赤ちゃんの下痢について知っておきたいこと

赤ちゃんの下痢について知っておきたいこと 赤ちゃん 排泄

赤ちゃん(新生児)を育てるにあたって、健康のバロメーターのひとつとなるのが、うんちです。まだ言葉が離せない赤ちゃんにとっては、貴重なメッセージとなるものなので、いつも気にしているお母さんも多いことでしょう。

しかし、赤ちゃんのうんちの状態がこれだから健康だと一言で言い表すことは難しい部分があります。赤ちゃんそれぞれにより、通常のうんちの状態が異なるからです。

特に、初めての育児を経験するお母さんにとって、赤ちゃんのうんちが下痢なのでは?と戸惑うことも多いでしょう。そこで、赤ちゃんが下痢になっているかどうかという判断の方法や、下痢の原因、そして解消方法についてなど、幅広くご紹介していきたいと思います。

目次

赤ちゃんのうんちの状態は?

赤ちゃんのうんちの状態

赤ちゃんは、どのように栄養をとっているかにより、うんちの状態が変わってきます。例えば、母乳を飲んでいるか、ミルクを飲んでいるか、離乳食を食べているかにより、うんちの状態は大きく異なってくるのです。

柔らかさや色、ニオイまでさまざまなことから、一体何が正常で、何が異常なのかがわからなくなることもあるでしょう。そこで、下痢と誤解しないためにも、正常なうんちの状態をそれぞれご紹介していきましょう。

母乳を飲んでいる赤ちゃんのうんち

母乳うんち

赤ちゃんは、生まれてから離乳食がスタートするまで、基本的に母乳かミルクを飲んで栄養を補給します。母乳を飲んでいる赤ちゃんのうんちは、黄色い色で硬さとしてはかなり緩めです。回数も1日に10回前後と多いのが特徴になるでしょう。

母乳を与えている赤ちゃんは、うんちが非常に緩いので、下痢だと勘違いしやすいですが、食欲もあり、ぐずった様子も見られないようなら、問題ないと言えるでしょう。

ただ、日によってうんちの緩さが異なることがあります。いつもより極端に水っぽい、回数が多いという場合は、下痢を引き起こしている可能性があるので、一度病院で診てもらうようにしましょう。

ミルクを飲んでいる赤ちゃんのうんち

ミルクうんち

ミルクを飲んでいる赤ちゃんのうんちも、かなり緩い状態にあります。母乳よりも少し硬さはあるものの、柔らかく、少し茶色っぽい色をしているのが特徴です。回数としては、母乳に比べると少し少な目になるでしょう。1日7回~8回あたりが多いようです。

ただ、母乳とミルクを混合で与えている場合、ミルクの時だけ下痢をする赤ちゃんがいます。

これは、ミルクに含まれている乳糖を分解できないからです。乳糖を分解するためにはラクターゼという消化酵素が必要ですが、生まれながらにしてこれが不足していることがあります。

その場合は、ミルクのように乳糖の多いものを飲んでいると、下痢を引き起こしてしまうことがあるので、乳糖が入っていないものを選ぶようにしましょう。

赤ちゃんのうんちの色

赤ちゃんが最初に出すうんちの色は、何色をしているのかご存知でしょうか。

実は、濃い緑色のうんちを出します。これは、胎児の頃に蓄積されていたものが出てくるもので、胎便とも呼ばれています。その後、生後2週間ほどで黄色い泥のようなうんちに変化していきます。

問題ないうんちの色

問題ないうんちの色

赤ちゃんのうんちは、もともと下痢っぽいものが多いですが、色に注目して大丈夫なうんちか、病気やウィルスの下痢か判断していきましょう。黄色や、黄色寄りのクリーム色、緑色、つぶつぶの混じったものは、およそ心配ないと言えるでしょう。

うんちの色は、腸にどれくらい留まっていたかにより変わります。腸内にガスが溜まっていると、緑色っぽい色になりますが、病気ではないので心配ありません。

ちょっと心配なうんちの色

赤ちゃんのうんちは、下痢っぽいものが多いですが、色でおよそ判断することができます。黄色っぽい色や緑色は病気ではありませんが、この色が出たら要注意、といううんちの色もあるので、ご紹介しておきましょう。

いちごジャムうんち

まず、赤いイチゴジャムのようなうんちが出た場合は、腸重積症を発症している恐れがあります。

白いうんちで酸っぱいニオイ

白いうんちで酸っぱいニオイがきつい場合は、ウィルスに感染している恐れがあるでしょう。

白グレイうんち

白っぽいグレーなうんちが続く場合は、先天性胆道閉鎖症の可能性があります。

血液が混じったうんち

血液が混じったうんちは、大腸菌による大腸炎を起こしている可能性があるでしょう。

また、色は通常でも、ニオイがいつもと違ったり、水分が明らかに多かったりする場合、回数が突然増えた場合は、病院で診てもらうようにしましょう。(画像は色イメージです。)

赤ちゃんは元々下痢が多い

赤ちゃんは元々下痢が多い

赤ちゃんは全ての基本的な内蔵機能を持って産まれてきますが、赤ちゃんが成長するにつれて少しずつその機能も発達を続けていきます。

産まれてしばらくの赤ちゃんは内臓が未発達なため、胃や腸はちょっとした事で正常に働かなくなり便秘や下痢になったりするのです。

また、特に離乳食前の赤ちゃんが口にするものは水分のみなので、自分が吸収できる以上に飲んでしまうと便が柔らかくなったり下痢を起こしたりします。

赤ちゃんの体調がおかしいといってもそれは成長途中にあるアクシデントなので、お母さんは慌てず赤ちゃんの様子を観察して適切な手当てを行うようにしましょう。

下痢と病気の関係は?

下痢と病気の関係

赤ちゃんのうんちは下痢っぽいのが通常ですが、水分が多すぎたり、うんちの回数が急に増えたりしたときは下痢をしていることがあります。また、さまざまな色やにおいなどから、下痢と判断することもできるでしょう。

下痢になっているということは、何かの病気にかかっていたり、ウィルスが侵入したりしている恐れがあります。下痢を伴う病気やウィルスには、どのようなものがあるのでしょうか。

下痢の症状が出る主な病気としては、急性腸炎、乳糖不耐性下痢、アレルギー性腸炎、細菌性胃腸炎、ロタウイルス腸炎、単一症候性下痢があります。

また、他の病気として扁桃腺、肺炎、中耳炎、尿路感染症、突発性発疹などの病気も下痢を伴うことがあります。まずは、主な病気のそれぞれの特徴を見ていきましょう。

急性腸炎

赤ちゃんが急に水っぽい下痢をするようになったら、どんな体調かを観察してみましょう。

グッタリとして食欲がない、熱を測ってみたら通常より高い熱が出ている、母乳やミルクを与えてもすぐに嘔吐を繰り返してしまうようなら、急性腸炎を引き起こしている可能性があります。そのままでは体力も低下してしまいますので、すぐに病院で診てもらうようにしましょう。

乳糖不耐性下痢

母乳を与えたり、ミルクを与えたりした後に、すぐ下痢を繰り返すようなら、乳糖不耐性下痢の可能性があります。乳糖不耐性下痢とは、母乳やミルクに含まれる乳糖を消化できず、下痢をしてしまう症状のことです。

先天的に乳糖を消化できる酵素が足りない場合、飲むたびに下痢になってしまうので、ミルクは乳糖が含まれていないものを選ぶようにしましょう。

アレルギー性腸炎

母乳やミルクから、離乳食をスタートした時期に見られるのが、アレルギー性腸炎です。特定の食べ物にアレルギー反応をおこし、下痢になってしまいます。

アレルギーの有無は、検査で詳しく知ることができますので、離乳食を初めて下痢が続いた場合は、一度専門機関で診てもらうようにしましょう。

細菌性胃腸炎

赤ちゃんが下痢を起こして、発熱し、食欲も落ちている場合、急性腸炎とも考えられますが、下痢に粘液が混じっている場合は、細菌性胃腸炎を疑う必要があるでしょう。

細菌性胃腸炎だと、便の中に粘液が混じり込んできます。場合によっては血が混じることもあるので、このようなうんちが出た場合は、すぐに病院で診てもらうようにしてください。

ロタウイルス腸炎

赤ちゃんが白っぽい水のような下痢を繰り返し、嘔吐もあるようなら、ロタウイルス腸炎である可能性があります。ニオイが酸っぱい場合や、色がかなり白っぽい場合は、疑う必要があるでしょう。

ロタウイルスは、予防接種で防ぐこともできるものですので、近くの病院で接種時期を相談してみると良いでしょう。

単一症候性下痢

赤ちゃんが下痢をしているけれど、食欲も問題ないし、辛そうな様子もない場合、単一症候性下痢ということがあります。下痢以外は目立った症状がないため、特に病気というわけではありません。

自然に回復することもありますし、特別な治療がなくても下痢は治まってくるので、医師と相談しながら経過を見守っていきましょう。

下痢をしたときの注意点と対策

下痢をしたときの注意点

赤ちゃんが下痢をした場合、病院で原因を知る必要がありますが、家ではどんなケアをするべきなのでしょうか。医師からの指示もありますが、いくつかご紹介しておきましょう。

まず、何度も下痢をしている場合は脱水症状を引き起こしてしまうことがあります。脱水症状が悪化すると、命の危険も伴う恐れがあるので、水分補給をこまめに行うことを心掛けましょう。

また、下痢は酸性が強いため、おしりふきで拭き取っただけではかぶれてしまう恐れがあります。洗面器にお湯を張って、優しくうんちを洗い流してあげることで、下痢によるかぶれを防ぐことができるでしょう。

下痢の頻度が高く、毎回お湯で洗うのが大変な場合や、外出先で下痢になった場合は、脱脂綿にお湯をたっぷり含ませ、優しく拭いてあげるようにしてください。

下痢の時に控える飲み物

下痢の時に控える飲み物

赤ちゃんが下痢を引き起こしているときは、脱水症状を防ぐためにも水分補給が大切です。しかし、与える飲み物によっては、下痢を悪化させてしまう恐れもあるので、控えておくべき飲み物についてもご紹介しておきましょう。

乳糖不耐性下痢の場合、乳糖に反応してしまいますので、水分補給の代わりに母乳やミルク、乳酸飲料を与えると、下痢をひどくさせてしまいますので、注意しましょう。また、ミカンやオレンジなどの柑橘系のジュースや、糖分が多いリンゴジュース、大人用のイオン系のスポーツ飲料も下痢を悪化させてしまう恐れがあります。

一番安心なのは、お湯を冷ました白湯を与えることです。こまめに与えて水分をしっかり補給するようにしましょう。

下痢に効くマッサージ

下痢に効くマッサージ

赤ちゃんが下痢をしたときは、マッサージをしてあげるのもオススメです。お腹を反時計回りに優しくマッサージしたり、おへその周りを指で優しく押してあげたりするのも良いでしょう。

自律神経を落ち着かせるために、背骨の両脇を手で撫でて温めたり、尾骨の外側をトントン叩いてあげたりするのも効果的です。

ただ、赤ちゃんによっては嫌がることもありますし、冷たい手でマッサージしたり、長い間お腹を出したままにしたりしていると冷えて逆効果になる恐れもあります。いずれにせよ、赤ちゃんの様子を見ながら行うようにしましょう。

室温や体温をチェックしてみる

室温や体温をチェックしてみる

体内水分量が多い赤ちゃんは、夏のエアコンや冷えた果物などで身体は冷えやすく、また生後1年未満の赤ちゃんは体温調節が難しいので、周りが気をつけないとあっという間に体温が下がってしまいます。

身体が冷えて腸の機能が鈍り下痢になってしまうのは、大人でも赤ちゃんでも同じです。細菌やアレルギーが原因の下痢には効果はありませんが、なんとなく赤ちゃんのウンチの回数が多いと気づいた時には、一度室温を確認しましょう。大人が少し暑いと感じる室温が赤ちゃんには最適です。

離乳食の影響による下痢

離乳食の影響

赤ちゃんが下痢をするタイミングとして、離乳食がスタートする時期があります。特定の食べ物にアレルギー反応として下痢が引き起こされることもありますが、アレルギーではなく固形物に腸がビックリしてしまうということもあります。

離乳食をスタートすると、今まで母乳やミルクなど水分しか吸収していなかった腸が、固形物にビックリして下痢を引き起こしてしまいます。中には、食べた離乳食がそのまま消化されず、うんちとして出てきたというケースもあるほどです。

初めての固形物に戸惑い、うまく吸収や消化できずに下痢をしてしまうことは、実はよくあることです。腸が徐々に慣れてくれば固形物をしっかり消化できるようになるので、心配ないでしょう。離乳食をスタートしたことによる下痢は、腸の成長過程のひとつとして捉えておくと気が楽になります。

ただ、離乳食の種類により下痢が出てくる場合は、アレルギー反応を起こしている可能性もあります。意外なものにアレルギー反応が出ることもあるので、下痢が度々みられる時は、何を食べたか照らし合わせ、医師に相談するようにしましょう。

離乳食の内容を検討、変更し様子を見る

離乳食の内容を検討、変更し様子を見る

離乳食が順調に進んでも、まだまだ腸の機能が追いついていない場合もあります。そんな時は腸に負担がかかって下痢となってしまうので、1つ前の段階の柔らかい離乳食に戻して様子を見てみましょう。

その際、脂身の多い肉やバター・クリームなど脂肪分が多い食材を使うのは避け、冷たいアイスやジュースを食べさせるのはNGです。肉や油脂は消化に時間がかかるため腸に負担をかけ、冷たいものは腸の機能を更に鈍らせて下痢を悪化させる原因になりかねません。

離乳食を進める目安は書いてあっても赤ちゃんの体調が第一ですから、あまり気にせずに赤ちゃんのペースで進めていきましょう。

抗生物質が下痢の原因になる場合も

抗生物質が下痢の原因になる場合も

赤ちゃんの高熱や中耳炎に対して、ほとんどの医師は抗生剤を処方します。効き目が早いので赤ちゃんの症状もすぐ楽になるのですが、その代わりに下痢になってしまうケースも多く見られます。

抗生物質は症状を引き起こした細菌を攻撃する作用がありますが、その働きは腸内細菌にも向かうため腸内細菌のバランスが崩れて腸本来の働きが出来なくなってしまい、下痢を引き起こします。だからと言って下痢を抑えるために服用すべき抗生剤を飲まなければ、症状が悪化してしまい意味がありません。

この場合の下痢は抗生剤を飲んでいる間のみに起こるので、通常よりも軟便程度であれば様子を見、もし酷い場合は抗生剤を変えてもらいましょう。

自己判断は禁物 異常な状態は病院へ

自己判断は禁物 異常な状態は病院へ

赤ちゃんが下痢を悪化させてしまうのは、ほとんどがウィルス性のものです。色やニオイでだいたい判断することはできますが、だからといって自己判断して薬を投与するのは危険です。

アレルギーや、月齢などにより服用を控えた方がいい薬の成分もあるので、必ず医師の診察を受けて指示に従うようにしましょう。

そして、下痢の状態がいつもと同じか、違うか判断しづらいときは、様子を見るのではなくすぐに病院に行って判断してもらうことも必要です。

うんちは赤ちゃんの健康のバロメーターですから、少しでも不安や異常が見られるようなら、なるべく早く解決するべきです。

ここまでのまとめ

赤ちゃんの下痢の原因と、解消方法などについて詳しくご紹介しました。下痢が引き起こされる原因には、さまざまなものがあります。うんちの色やニオイ、回数などから病気やウィルスが関係しているかを判断することができるでしょう。

ただ、いつもと違う状態で下痢だと感じたら、色やニオイが普通でも何か原因が隠されている場合があります。少しでも違和感があった時は、すぐに病院で診察を受け適切に対処してもらうようにしましょう。

赤ちゃんのうんちに、一喜一憂してしまう時期ですが、健康を知る上でうんちは大切な情報源です。いつもチェックし、赤ちゃんの健康を保てるようにしていきましょう。

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