感動的な出産を終えたのもつかの間。退院し、本格的な育児がスタートするといろんな初めてのことに戸惑いがちです。何が正解か不正解なのか、わかりませんし、何に気を付けるべきか手さぐりになりがちです。
そこで、生後1ヶ月の赤ちゃんに関するさまざまな情報をご紹介していきます。さまざまな情報を知ることで、少しでも不安を取り除き、楽しく育児ができるように参考にしていただければと思います。
生後1ヶ月の体の成長・発達
身長や体重はどれくらいに
生後1ヶ月の赤ちゃんは、まだまだ小さく扱いも慎重になりますよね。では、平均的な生後1ヶ月の赤ちゃんは、どれくらいの体重と身長が理想的なのでしょうか。
男の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長50.9cmから59.6㎝で中央値が55.6㎝です。体重は3.53kgから5.96kgで中央値が4.79kgになります。※1
女の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長50.0cmから58.4㎝で中央値が54.6㎝です。体重は3.39kgから5.54kgで中央値が4.47 kgになります。※1
生まれたときの体重や、個人差はありますが、出産したときから1ヶ月経つまでの間に、身長は平均すると約5cm伸びていきます。体重においては母乳の飲み具合にもよりますが、1kgほど増えていれば順調に成長していると言えるでしょう。
赤ちゃん成長カレンダーで発達の目安に
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生後1ヶ月の食の発達
授乳間隔 回数 時間はどれぐらい?
生後1ヶ月の赤ちゃんは、どれくらいの感覚で授乳するのが理想的なのでしょうか。
授乳はおよそ3時間から4時間間隔で行うのが平均です。
生後1ヶ月ですから、まだ母乳の飲み方が上手ではない赤ちゃんもいるかもしれませんが、徐々に慣れてくるので焦らず根気よくトレーニングしていきましょう。
母乳の飲み方が上手になれば、徐々に授乳間隔は安定してきます。回数としては、1日7回から8回になることが多いでしょう。
ミルクの量・授乳量がわからない? 体重が心配
赤ちゃんは母乳を飲んでいるけれど、実際にどれくらいの量を飲んでいるのかわからないと不安になる方もいらっしゃると思います。
母乳の出が良くない方の場合、ミルクの量が足りているかどうかも気になるでしょう。そんな時は、赤ちゃんの体重を測ってみましょう。1日当たり25gから35g増えているようなら、安定して発育していると考えられます。
その日の授乳量により体重が増えないこともありますが、翌日は倍以上飲んで体重が増えることもありますので、体重は目安程度に捉えておくようにしましょう。
授乳やミルクの際には赤ちゃんと目を合わせて
生後1ヶ月の赤ちゃんの機能で一番発達するのが、口と目だと言われています。口の発達はもちろんですが、お母さんの体内では発達のしようがなかった視覚がこの時期から急激に機能し始めるのです。
それでもまだまだ赤ちゃんの視力は弱く、ちょうどお母さんの胸の位置から顔がはっきり見えるくらいです。自分の周囲はぼやけていても授乳やミルクのたびにはっきり見えるお母さんの顔は、最も親しい顔と赤ちゃんに認識されます。
おっぱいやミルクを飲んでいる時、赤ちゃんはじっとお母さんの顔を見つめている事が多いですが、そんな時は顔を認識中なのだと思って、ぜひ沢山目を合わせ話かけてあげましょう。
生後1ヶ月の睡眠の発達
睡眠時間はどれくらいに
赤ちゃんと一緒に生活をし始めると、今までのように睡眠時間を確保することは難しくなります。
3時間おきの授乳で夜中も起きるため、昼夜逆転してしまうという方も多いでしょう。赤ちゃんの睡眠時間には個人差があり、2時間おきに目が覚めてしまう子もいれば、4時間ほど長く寝る子もいます。
しかし、お母さんとしては慢性的な睡眠不足になるため、少しでも隙間があればお昼寝するようにしましょう。短時間でも眠ることで気持ちもスッキリしてきます。
夜泣きがひどく寝てくれないときも
昼はご機嫌なのに、夜になると一向に寝ようとしない。夜泣きもひどくて一緒に寝ている家族にも気を使ってしまうこともありますよね。夜泣きがひどい場合は、部屋を変えてみるのもひとつの方法です。
明るいリビングであやしたり、ベランダで外の空気を吸ったりするのも良いでしょう。明るい光を浴びることで、赤ちゃんの気持ちもリセットされ、夜泣きも落ち着きやすくなります。
寝返りはするの? うつぶせ寝は?
生後1ヶ月だと、寝返りする赤ちゃんはほとんどいません。頭を動かして周囲を観察することは増えてきます。しかし、うつぶせにしてみると、動いて寝返りしようと試みる赤ちゃんもいます。
ただ、寝返りを期待して長時間赤ちゃんをうつぶせのままにしていると、呼吸が圧迫されて苦しくなってきますので注意しましょう。
生後1ヶ月の手や指の発達・運動発達
指しゃぶり始める? おしゃぶりはどうする
赤ちゃんによっては、生後1ヶ月でも指しゃぶりを始めることがあります。個人差がありますが、指しゃぶりを頻繁にするようなら、生後1ヶ月でもおしゃぶりを与えても良いでしょう。しかしおしゃぶりについては様々な意見がありますので、ご家庭でよく相談してから与えるようにしてください。
赤ちゃんが指しゃぶりをせず、おしゃぶりも要求しないようなら無理に与える必要はありません。
おもちゃなど興味があるものを目で追いかけるように
生後1ヶ月の赤ちゃんは、徐々に視力がついてくるため、見えるものを追視しようとします。おもちゃを目の前で動かすと、じっと観察して様子をうかがうこともあるでしょう。
目で見えるものすべてに興味がわいてくるため、お散歩しながらいろんなものを見て触れてみるのがオススメです。
首すわりはもう少し先になります
生まれたばかりの赤ちゃんは、まだ体が安定していないもの。首すわりを待ち遠しく感じているお母さんも多いのではないでしょうか。
しかし、平均すると赤ちゃんの首すわりは生後3から5ヶ月くらいです。生後1ヵ月だと、完全に首がすわることはほとんどありませんので、丁寧に抱っこしてあげるようにしましょう。
生後1ヶ月のこころの発達
表情が少しずつ豊かに!笑うように
このころは筋肉が緩んだ顔が笑顔に見えている、新生児微笑といいます。一般的な自分の意志での笑顔(社会的笑顔)は徐々に行われていきます。
赤ちゃんは成長するにつれて視力がついてきます。ものを観察し、刺激を受けることで、徐々に表情は豊かになっていくでしょう。機嫌の良い顔や、機嫌の悪い顔を見極められるようになるでしょう。眉間に少しシワを寄せるような顔をしたり、笑ったような顔をしたりしと、表情に次々と変化が見えてきます。
新生児微笑でもお母さんは嬉しいものです。ひとつの表情を長く続けることはあまりありませんので、一瞬の表情を見逃さないようにしましょう。
お母さんお父さんの顔を見つめて観察
お母さんにとって、生後1ヶ月くらいの赤ちゃんがどれくらい見えているのか、視力が気になるところではないでしょうか。
このころの赤ちゃんは、動くものを目で追うことができるようになっています。しかしまだ視野は狭いため、30cmから40cmの範囲でしか視力は働きません。お母さんの顔を見てほしいときは、この範囲に顔を近づけるようにしましょう。
抱っこしているときは、赤ちゃんはお母さんの顔を注意深く見ていることもありますので、顔を合わせてコミュニケーションを積極的に取るようにしてください。
生後1ヶ月の体調不良
便秘や下痢が心配な時は
赤ちゃんのお世話をしていると、下痢がひどいと心配になる方も多いのではないでしょうか。母乳で育てている場合、うんちは水っぽく下痢のように感じることもあります。粉ミルクを与えている場合は、やや硬めになりやすいでしょう。
また、生後1ヶ月の間は、毎日うんちが出るとは限りません。2~3日に一度ということもありますので、不安になる必要はないでしょう。しかし、1週間近く便秘が続く場合は、お腹をマッサージしたり、温めたりしてケアしてあげるようにしてください。
また、なかなかうんちが出にくそうなときは、ベビーオイルを含ませた綿棒で肛門を刺激してあげると出やすくなります。うんちの状態に異変を感じたときは医師に相談し、指示を受けるようにしましょう。
鼻づまりや鼻水の対処法は
生後1ヵ月の赤ちゃんは、鼻づまりを頻繁に起こすこともあります。鼻水がダラダラ流れ出るようなら、その都度吹いて乾燥しないように注意しましょう。
鼻水が硬くなり、鼻づまりを起こしているようなら、ストローで吸い上げてあげると楽になります。逆流を防げる便利な鼻づまり解消アイテムもありますので、活用してみると良いでしょう。
また、ティッシュで鼻水を拭き取る場合は、鼻をつままず、鼻水を吸い取るようにして拭き取ると肌荒れを防ぐことができます。気になるときは医師に相談し、指示を受けるようにしましょう。
咳や熱など風邪を引いてしまったら
生後1ヶ月でも、風邪をひくことがあります。コホコホと咳をしたり、熱が高いように感じたりした場合は、かかりつけの医師に診察してもらうようにしましょう。
決して、個人の判断で薬を与えないようにしてください。アレルギーがある場合、身体に良くない反応が出ることがあります。必ず医師の指示に従い、処方された薬を飲ませるようにしましょう。
湿疹が出たときは
生後1ヶ月の赤ちゃんで、ときおり湿疹が出る子もいます。顔や首のシワ、頭皮や胸あたりにも出ることがあるでしょう。
乳児湿疹であることが多く、身体にたまった余分なものを、皮膚を通して排毒していると言われています。生後2ヶ月も過ぎれば安定してくるので、心配ありませんが、気になる場合は医師に相談してみると良いでしょう。
また、皮脂が活発な赤ちゃんは、沐浴の際ガーゼだけでなく石鹸を泡立てて優しく洗ってあげると、肌が落ち着いてきます。
よだれやミルクを吐くときは
生後1ヶ月の赤ちゃんは、よだれをたくさん出すものです。しかし、時にミルクではなく、透明なよだれのようなものを吐くこともあるでしょう。
これは、胃液や消化したミルクを吐きだしている可能性があります。少量であれば問題ありませんが、頻発する場合は医師に相談し、指示を受けるようにしましょう。
生後1ヶ月の生活
沐浴とお風呂の切り替え時期、注意点は
生まれたばかりの時は沐浴が中心でしたが、生後1ヶ月近くになると免疫力がついてくるため、家族が入っているお風呂に一緒に入ることも可能です。ただ、温度には注意し、38℃から40℃くらいのぬるめのお湯に設定しておきましょう。
また、ベビーバスで沐浴しているよりも、家族で入る大きいお風呂の方が温まるスピードが速いため、長湯は禁物です。自分も一緒に温まりたいと長風呂してしまうと、赤ちゃんがのぼせてしまうので気を付けましょう。
そして、入浴後のケアは段取り良くスピーディーに行うようにしてください。いつまでも赤ちゃんが濡れたままでいると風邪をひいてしまうので、さっとタオルで拭いてお洋服を着られるよう、入浴前に必要なグッズを準備しておくようにしましょう。
外出は大丈夫? お出かけの注意点は
徐々にお母さんの体調が落ち着き、授乳の間隔も安定してきたら外出したくなるもの。ずっと赤ちゃんと一緒に家に引きこもっているのも良くありませんから、適度にお出かけすることも大切です。
近所のスーパーやコンビニに買い物ついでに外出するのも良いですし、暖かい日なら公園でお散歩するのも良いでしょう。
しかし、気分がいいからと遠出をすると、赤ちゃんが眠くなったり、ぐずったりすることで、対処できないこともあります。生後1ヶ月の間は、近隣の外出に留めておいた方が良いでしょう。
洋服の選び方で気を付けることは? 体温調整大丈夫?
産まれたばかりの頃は保温に気をつけていても、ふっくら赤ちゃんらしくなってきた今の時期は迷ってしまう事が多いのではないでしょうか。赤ちゃんは汗腺の数が大人と一緒で汗をたくさんかく事も、お母さんにとっては厚着・薄着の判断に悩む原因の1つです。
外見は成長したといっても体温調節機能が未熟なので、新生児と同様に大人が着ている枚数に1枚プラスしましょう。夏はお腹の出ないような肌着やオール1枚に肌がけなど、臨機応変に変えていきましょう。
赤ちゃんが暑いのか寒いのか分からない時は、手足ではなくお腹や背中を触ります。基本手足が冷たくてもお腹が暖かければ問題ありません。
飛行機に乗っても大丈夫? 旅行は?
里帰り出産をしたり、遠方の親戚に赤ちゃんを見せに行ったりするという場合、気になるのが飛行機に乗れるかどうか、ということではないでしょうか。
基本的に、飛行機には新生児を制限する決まりはないため、生後1ヶ月であれば問題なく利用することができます。飛行機会社によって赤ちゃんのケアをしてくれるサービスがあるので、利用してみると良いでしょう。
そして、気になるのが愚図り。気圧の変化で耳の奥に違和感が生じ、泣き出してしまう赤ちゃんも多いため、離陸時に授乳しておくと良いでしょう。飲み込む力で耳の気圧を調整することができるため、離陸後も違和感を覚えにくくなります。
また、赤ちゃんは体調の変化を起こしやすいため、急な予定変更が生じる可能性があります。長期間の旅行より短期間で計画した方が良いでしょう。
お宮参りの計画は早めに
男の子なら生後31日・32日、女の子なら生後32日・33日目に神社にお参りするのがお宮参りです。地域によって若干日にちは異なりますが概ね生後1ヶ月前後が一般的です。お宮参りの時期が真冬や真夏にあたる場合や体調がすぐれない場合などは、日にちをずらして生後100日までに済ませるのが良いでしょう。
お宮参り後の食事会や家族の記念撮影などついつい周りが張り切ってしまいがちですが、赤ちゃんはまだ長時間の外出には慣れておらず、まだ本調子でないお母さんも少なくありません。
また、祝詞や記念撮影の最中に赤ちゃんが泣いてしまっては、余計な時間がかかってしまいます。赤ちゃんがご機嫌でいられるように、ミルクやオムツの用意は完璧に。どちらにしろお母さんと赤ちゃんの体調を考慮して、なるべく短時間で終わらせる工夫が必要です。
赤ちゃん生活リズム
生後1ヶ月を過ぎると、徐々に赤ちゃんの生活リズムも安定してきます。昼間起きている時間が長くなっていき、睡眠時間も3時間から4時間に安定してくるでしょう。
生活リズムが安定しない場合、授乳のリズムが乱れている可能性があります。すぐに寝てくれるからと、お腹も空いていないのに授乳すれば、食事のリズムだけでなく睡眠リズムも乱れてしまいます。
生活リズムを安定させるためにも、授乳のタイミングはできるたけ決まった時間に行うようにし、愚図って寝ないときにはスキンシップを取ってコミュニケーションを優先させるようにしましょう。
このような工夫をすれば、徐々に授乳と睡眠のリズムが安定し、生活リズムを把握しやすくなってきます。赤ちゃんの生活リズムを把握することができれば、お母さんも息抜きの時間を作りやすくなるでしょう。
1ヶ月健診の内容は
1ヶ月健診は赤ちゃんの身長・体重・頭囲・胸囲の計測や原始反射の確認・股関節脱臼の有無・触診・視診・追視の確認等々、赤ちゃんの全身を調べて異常がないかどうかを確認します。
特に大事なのが健診時に行う新生児ビタミンK欠乏性出血症を防ぐためのビタミンKシロップ投与で、赤ちゃんの入院中に投与されていても1ヶ月健診で追加投与する病院が多いです。
また、赤ちゃんだけでなく悪露・高血圧・糖尿病の有無などを調べるなど、産後のお母さんにとっても日常生活に戻れるかどうかの大事な健診ですから、なるべくサボらずに受けたいです。
まとめ
生後1ヶ月の赤ちゃんについて、さまざまな情報をご紹介しました。お母さんにとっては、出産して徐々に体が落ち着いてくる頃ですが、初めての育児に戸惑う時期でもあります。必要な情報を知ることで、不安になりすぎたり、心配になりすぎたりすることもなくなるでしょう。
育児は大変で、何もかもが初めてのことばかりだと思います。生後1ヶ月の赤ちゃんの成長はめまぐるしく、片時も目を離すことはできません。しかし、だからこそ育児を楽しむことが大切です。
※1参考:厚生労働省 乳幼児身体発育調査