初乳はいつからいつまで出るの?色量は?など特別な母乳について

初乳はいつからいつまで出るの?色量は?など特別な母乳について 赤ちゃん 食事

赤ちゃんを出産したら、母乳で育てたいというお母さんはたくさんいらっしゃいます。近年、完全母乳で育てたいという方は急増しており、母乳育児の大切さが見直されています。

赤ちゃんを出産してから初めて飲ませる母乳のことを「初乳」というのをご存知でしょうか。初乳は普通の母乳とは違い、特別な物です。お母さんにとっても赤ちゃんにとっても非常に重要なものですので、きちんと知り準備をしておく必要があります。そこで、初乳の大切さや母乳が出やすくなる方法など、さまざまな情報を詳しくご紹介していきましょう。

初乳とは?

初乳とは?

初乳とは、赤ちゃんが産まれてから1週間以内に分泌される母乳のことを言います。普通の母乳よりも栄養価が高く、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても非常に重要になるため、ミルク育児で育てる方であっても、産後の初乳だけは飲ませるようにするなど、どの産婦人科でも初乳を重要視しています。

いつからいつまで出るの?

初乳はいつからいつまで出るの

初乳が出る時期は、早ければ出産直後から始まります。母乳マッサージなどで準備をしていた方は、比較的初乳が出るタイミングが早いため、赤ちゃんもすぐに初乳を飲み始めることができます。

しかし、中には産後すぐに母乳が出ないお母さんもいます。根気よく母乳マッサージを続け、赤ちゃんに吸い続けてもらうことで出てくるので、諦めずに続けるようにしましょう。

初乳がいつまで出るのかは個人差があり、平均して1週間前後になります。早い方だと5日ほどで初乳から母乳へと変わっていきますし、長い方だと10日間初乳が出続けることもあります。

どんな色をしているの?

初乳の色は、黄色みの強いクリーム色をしています。通常の母乳が白っぽくてさらさらしていますが、初乳だけは黄色めでドロッとしています。

これは、栄養価が豊富に含まれているためで、初乳は通常の母乳よりもβカロテンが5倍近く多いため、黄色みの強いクリーム色をしているのです。

どれくらいの量が出るの?

初乳の量は個人差があり、少量ずつしか出ない方もいれば、たくさん出る方もいらっしゃいます。ただ、初乳は通常の母乳に比べるとドロドロしているため、たくさん出ているという感じはあまりしません。

少量しか初乳が出なくても、赤ちゃんに栄養や免疫はしっかり届けられますので、こまめに与えるようにしましょう。

初乳の成分について

初乳の成分について

初乳には、たくさんの栄養が凝縮されています。これらは赤ちゃんにとって必要不可欠なものですので、簡単にご紹介しておきましょう。

初乳の栄養分について

初乳に含まれている栄養は非常に濃度が高く、産まれたばかりの赤ちゃんにはなくてならないものです。

母乳にはさまざまな栄養成分が含まれていますが、初乳には特に、IgA抗体、たんぱく質(ラクトフェリン)、鉄分、カルシウム、ナトリウム、ビタミンなどが豊富に含まれています。

IgA抗体について

初乳を飲ませることは、赤ちゃんの健康を守る上でも大切なことです。初乳に含まれる免疫グロブリンのIgA抗体は、消化器官や呼吸器管にある粘膜の免疫を高めてくれる作用があるため、細菌やウィルスから赤ちゃんを守ってくれるでしょう。

初乳のIgA抗体は、牛乳の20倍もあると言われており、初乳で与えることで約半年間持続することができます。

たんぱく質(ラクトフェリン)について

初乳には、たんぱく質(ラクトフェリン)も豊富に含まれていますが、これは腸の善玉菌を増やしたり、鉄分の吸収をサポートしたりする作用があります。産まれたばかりの赤ちゃんは、身体の機能や消化器官などが未発達な状態で弱いため、たんぱく質(ラクトフェリン)の作用で免疫を高めておく必要があるのです。

たんぱく質(ラクトフェリン)は、大腸菌、ブドウ球菌、ヘルペスウイルス、C型肝炎ウィルスなど、さまざまな細菌やウィルスに対して免疫力を発揮します。初乳には、通常の母乳の約3倍もたんぱく質(ラクトフェリン)が含まれているため、積極的に飲ませる必要があると言えます。

初乳でコミュニケーションの充実

初乳でコミュニケーションの充実

初乳を赤ちゃんに飲ませることは、コミュニケーションの上でも非常に重要です。赤ちゃんは本能的におっぱいを吸うことを知っているので、一生懸命お母さんのおっぱいを探すことでしょう。

帝王切開で自然分娩ではなかったお母さんでも、母乳を与えることで赤ちゃんを産んだと安心感が芽生えると言います。また、赤ちゃんにとってもお母さんと肌が触れていることで気持ちが落ち着いてくるでしょう。

また、初乳を与えることで乳腺が開きやすくなるため、今後の授乳もスムーズになってきます。赤ちゃんが元気なら、分娩台の上からでもおっぱいを吸わせて上げるようにしてください。

初乳が出ない理由

初乳が出ない理由

初乳は赤ちゃんにとってもお母さんにとっても重要なものですが、なかなか初乳が出ないお母さんもいらっしゃいます。乳首が硬かったり、赤ちゃんの吸う力が弱かったりするなど、理由はさまざまですが、初乳が出ないことで焦る必要はありません。

実際に、分娩後すぐに初乳が出るお母さんは少なく、赤ちゃんがおっぱいを吸い始めて数日たってから初乳が出始めるのも珍しくありません。ただ、できるだけ早く赤ちゃんに初乳を与えたいという方は、妊娠中からしっかりケアをして分娩後に初乳が出やすい状態に整えておきましょう。

母乳マッサージのススメ

母乳マッサージのススメ

分娩後に初乳がスムーズに出るかどうかは、妊娠中のケアにより大きく左右してきます。妊娠後期に差し掛かったら、母乳が出やすくなるマッサージを行うようにしましょう。妊娠28週頃から行い始めることができます。切迫早産の可能性がある場合や、マッサージ中にお腹が張る場合は行わないようにしてください。

母乳マッサージは、身体が温まっているときに行うと効果的なので、入浴中や入浴後に行うのがオススメです。入浴できない場合はホットタオルなどでおっぱいを温めてから行うと良いでしょう。

おっぱい全体のマッサージ

おっぱい全体のマッサージ

初乳をスムーズに出すためには、乳腺を発達させて母乳の分泌をよくすることが必要になります。まずは、おっぱい全体をマッサージして乳腺を刺激していきましょう。

外から中心へ

母乳マッサージ 外から中心へ

まず、バスケットボールをつかむように、右手の指をいっぱい広げておっぱいを持ちます。次に、左手の親指の付け根にある母指球をおっぱいの付け根の上の方にあて、みぞおちに向かって横方向に押していきましょう。

痛みがある場合は外側から押すようにしてください。4回~5回くらい繰り返していきましょう。

斜め方向へ

母乳マッサージ 斜め方向へ

次は、右手の位置を少し下の方へとずらし、外側から斜め上にかけておっぱいを持ちます。そして、左手は右手を包み込むようにあて、斜め上に向かって押していきましょう。

これも、4回~5回くらい繰り返すようにしてください。力を入れすぎるとおっぱいが潰れてしまいますので注意しましょう。

下から上へ

母乳マッサージ下から上へ

次は、右手をさらに下にずらし、下からおっぱいを支えるように持ちます。そして、左手は右手の下に添えるようにあて、真上にすくい上げるように、4回~5回繰り返し押していきましょう。

手のひらで押し上げるというよりは、指で包み込んで引き上げるという感覚です。手のひらが少し見えるくらいがやりやすいでしょう。

乳首のマッサージ

乳首のマッサージ

乳首が硬かったり、皮膚が弱かったりすると、初乳が出にくくなるだけでなく、初乳を与えている最中に乳首が割けたり炎症を起こしたりすることがあります。トラブルを避けるためにも、乳首のマッサージも行うようにしましょう。乳首にオイルを塗るとマッサージしやすくなります。

圧迫法について

乳首は、親指、人指し指、中指の3本でつまみ、指が白くなるまで圧迫していきましょう。乳首が柔らかい方なら3秒くらいで充分ですが、乳首が硬い方は10秒くらいかけて少しずつ圧力をかけるようにし、2分~3分くらい圧迫するようにしましょう。

ただし、圧迫しすぎて乳首が痛くならないように注意してください。

縦横に伸ばす

乳首は、親指、人指し指、中指の3本でつまみ、こよりを作るように揉みほぐしながら、横方向や縦方向にずらしていきましょう。最初はゆっくりと行い、さまざまな方向にずらして柔軟性を高めるようにしてください。

ただ、圧迫法で乳首が痛い場合、縦横に伸ばすともっと痛みが生じるので、圧迫法をクリアしてから行うようにしましょう。

赤ちゃんへの吸わせ方について

妊娠中から母乳が出やすいようにマッサージを行っていれば、スムーズに初乳を出しやすくなります。次は、赤ちゃんを抱っこしてどのように吸わせるとやりやすいか、ご紹介しておきましょう。

さまざまな角度から赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらうことで、乳首のトラブルを避けることもできますし、初乳の分泌量を増やしやすくなります。

基本の横抱き

基本の横抱き

基本の横抱きを行う時は、背筋を伸ばし胸は張るようにしましょう。まだ赤ちゃんの首が座っていないので、片手で赤ちゃんの首元を支えてください。授乳クッションなどで高さを調整し、もう片方の手でおっぱいを持ち、乳輪まで深く含ませるようにしましょう。

この時、唇が内側に巻き込まれると吸いづらいので、唇を外側に出すようにサポートしてあげるのがポイントです。一定時間経ったら、もうひとつのおっぱいも吸わせバランスを取るようにしましょう。

縦抱き

縦抱き

縦抱きは、赤ちゃんの首をしっかり支えながら、赤ちゃんの顔がお母さんのおっぱいの正面に来るように抱っこしましょう。まだ身体が不安定な状態ですのでしっかり支えることが必要ですが、力を入れすぎないように気を付けてください。

乳首が硬く伸びない方や、乳首が陥没している方は、縦抱きの方が比較的飲ませやすくなります。

フットボール抱き

フットボール抱き

フットボール抱きは、横抱きの応用編と考えてください。お母さんが座っている横にクッションなどを積み重ねて赤ちゃんを寝かせ、ラグビーボールをワキに抱えるように赤ちゃんを支えます。

ちょうど、ワキから赤ちゃんの頭が出るようになるので、前腕や手を使って後頭部を支え授乳しましょう。

添い乳

添い乳

添い乳は、寝ながら授乳ができるため、赤ちゃんにとってもお母さんにとっても楽な姿勢です。赤ちゃんの顔におっぱいが来るよう位置を調整し、横向きに寝ても苦にならないように枕やクッションでお母さんの首や上半身を支えましょう。夜中の授乳や、産後すぐに体力が回復していない時に役立ちます。

母乳が出るしくみについて

母乳が出るしくみについて

赤ちゃんに初乳を与えるためには、とにかく赤ちゃんにおっぱいを吸ってもらう必要があります。なぜなら、赤ちゃんに吸ってもらわないと母乳は出ない仕組みになっているからです。

初乳をすぐに与えるためにも、母乳はどのようにして赤ちゃんまで運ばれるのか、簡単にご説明しておきましょう。

吸わないと出ない

吸わないと出ない

出産すると、ホルモンバランスが変わり乳汁の分泌抑制が取れるため初乳が出やすくなります。プロラクチンという成分が分泌され、乳腺が活発に働きはじめると、乳汁が生産され、乳管を通過して乳管洞に蓄えられます。

赤ちゃんが乳頭をくわえて吸う刺激を加えると、脳からオキシトシンという物質が分泌されておっぱいの筋肉を収縮させ、ポンプのように母乳を出せるようになるのです。

そのため、赤ちゃんに吸ってもらわないと生産された初乳はいつまでたっても出てこないため、何度も吸い続けてもらう必要があるのです。

血液から作られる母乳

赤ちゃんに与える母乳は、お母さんの血液から作られています。赤い色をしていないのは、乳管が赤血球を通さないため赤い色素が取り除かれるからです。美味しい母乳を与えるためには、バランスよく栄養を摂ることが大切です。鉄分、たんぱく質、カルシウムなどは特に意識し、しっかり摂取するようにしましょう。

まとめ

初乳について詳しくご紹介しました。産まれたばかりの赤ちゃんに与える初乳には、たくさんの栄養と免疫が詰まっているので、できるだけたくさん飲ませてあげることが大切です。

出産後スムーズに初乳を出すためには、妊娠中から準備を行っておくことが必要ですので、マッサージをしっかり行い万全の状態に整えておきましょう。切迫早産などで準備ができなかった方も、産後すぐに赤ちゃんに吸ってもらい、マッサージを続けることで出やすくなります。

初乳は、これから赤ちゃんがスクスク元気に育っていくために必要なものですので、しっかりその大切さを理解し、赤ちゃんにたくさんあげられるようにしてください。