情緒がますます発達し、感情表現が豊かになるのが3歳ごろと言われています。トイレトレーニングもほぼ完了し、おむつなしで過ごせるようになっている子も多いことでしょう。
しかし、トイレはいけるようになったのに、おねしょを繰り返してしまったり、感情的になりやすく気性が激しくなったりする子もいます。
さまざまな変化が見られる3歳は、つい周りの子供たちと比較してしまいがちですが、個性を認めてあげるおおらかさも大切です。とはいえ、3歳になるとどれくらい成長しているものなのかと、気になる部分もあるかと思います。そこで、3歳の成長スピードや、発達レベル、育児のポイントまで幅広くご紹介します。
3歳の体の成長・発達
3歳の体重 身長は?
3歳になると、成長のスピードは緩やかになってきます。体重より身長の方が伸び率としては大きくなってくるでしょう。
3歳~3歳6ヶ月未満の男の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長88.8cmから101.8㎝で中央値が95.1㎝です。体重は11.72kgから17.43kgで中央値が13.99kgになります。※1
3歳~3歳6ヶ月未満の女の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長87.7cmから100.6㎝で中央値が93.8㎝です。体重は11.04kgから16.76kgで中央値が13.53kgになります。※1
どれくらい運動しているかにより個人差はありますし、遺伝などにより身長や体重は変わってきます。平均値に当てはまらないとしても焦る必要はありませんので、ひとつの目安として受け止めておくようにしましょう。
3歳の食の発達
断乳 卒乳
3歳になれば、食事からの栄養補給が主流になりますし、多くの子供が卒乳や断乳を終わらせているもの。
早い子だと、離乳食がスタートした1歳前後に卒乳するケースもあるでしょう。しかし、授乳はスキンシップや心を満たす行為でもあるため、子供が求めれば拒否したり、無理やり断乳したりする必要はないという意見も多々あります。
ただ、長い期間授乳を習慣にしてしまうと歯並びに影響が出る恐れもありますし、幼稚園や小学校へ通うようになれば授乳は物理的に時間を取れなくなりますので、できれば3歳までに授乳を終えておくのが良いでしょう。
この時期の卒乳方法は
3歳になれば卒乳や断乳を完了しているのが理想的ですが、まだ授乳しているという場合はどのようにして卒乳に挑めばよいのでしょうか。
まず、子供と話し合い卒乳する日を決めるようにしましょう。カレンダーに記をつけ、「この日におっぱいは終りね」と告げておきます。
そして、最後の授乳を終えたら「今日でおしまいでした。おっぱいさんにさよならしようね」とおっぱいに手を振ってバイバイし、別れさせてあげましょう。
しかし、翌日になると習慣からおっぱいを欲しがることもあります。場合によっては泣き出してしまうお子さんもいるでしょう。
ただ、ここで泣き止まそうと再びお乳を与えてしまうと、余計に子供を苦しませてしまうことになります。どんなに泣いていても3日もたてば治まりますので、母子ともに乗り越えられるようにしましょう。
食べない 体重増えない 偏食 肥満
3歳になると、たくさん食べる子とあまり食べない子というように、偏食が目立つ子が増えてきます。
今までは欲しがるものはどんどん与えていましたが、これからは偏食に気を付け、栄養をきちんと管理していくことが大切です。なかなか太らず体重が増えない子は、食事内容をもう一度見直してみましょう。
炭水化物、ミネラル、食物繊維、たんぱく質、鉄分などさまざまな栄養素がバランスよく保たれているでしょうか。味の好みで食べないからと食材を避けてしまうと、バランスの良い食事には近づけませんので、他の食材に混ぜ込んだり、見た目を変化させたりするなど工夫を凝らして食べてもらうようにしましょう。
また、おやつをたくさん与えすぎたり、塩分や糖分の多いものにしたりしてしまうと、カロリーオーバーになり肥満体質になってしまいがちです。味が濃くなることから3度の食事も薄味では満足できなくなることもあるため、おやつは、蒸かしたお芋やおにぎり、フルーツなど素材を活かしたものにするようにしましょう。
3歳の睡眠の発達
3歳になると、そろそろお昼寝の習慣も終了へと向かってよい頃です。お昼寝は脳や身体を休めるために必要とされてきましたが、3歳になれば、お昼寝を矯正する必要はなくなります。
眠たいことは眠らせてあげるのも良いですが、短めの時間にしておきましょう。
もし、夜の寝つきが悪いようなら、お昼寝の時間が長かったり、午後遅めの時間だったりする可能性があります。お昼寝の時間を早め、短めにしたり、思い切ってやめてみたりすることで夜の寝つきがぐっと良くなるでしょう。
3歳のこころの発達
イヤイヤ期 わがまま 反抗期 落ち着きがない ぐずり
3歳になると、情緒が発達し喜怒哀楽の感情表現が豊かになってきます。子供によっては、相手の感情に反応し注意を向けたり、慰めたり、気に欠けたりすることもあるでしょう。
またその反面、イヤなことはイヤとわがままを言いだしたり、ぐずりが長引いたりすることもあります。相変わらずイヤイヤ期が続く子もいますし、落ち着きがなく情緒不安定なままの子もいます。
感情表現の個人差は子供によりそれぞれですから、喜怒哀楽が落ち着かないからと言って不安になる必要はありません。しかし、あまりにもわがままが過ぎたり、イヤイヤ期が長かったりする場合、スキンシップやコミュニケーションが不足している可能性があります。
子供は安心したいという気持ちとリラックスしたいという気持ちが満たされていなければ、わがままやぐずりをして気を引こうとすることがあります。いつもより激しい様子が見られる場合は、一度スキンシップやコミュニケーションの時間を見直し、きちんと時間を作るようにしましょう。
徐々に我慢が出来るように 待てる
上記のように魔の2歳・悪魔の3歳と言われるほど、イヤイヤや癇癪はまだ続いています。赤ちゃんのしたい事とお母さんの我慢をすり合わせて、これまで何とかやってきた事でしょう。
しかし3歳以降になれば我慢したり待つ事が少しずつできるようになるので、何でもかんでも赤ちゃんの都合に合わせる必要が減ってきます。
どうしてもお母さんの都合がつかなければ、「ちょっと待って」と待たせても大丈夫になってきます。しかし待たせままお母さんが忘れてしまうのはNGです。
「約束を守る」というルールを赤ちゃんが覚えるチャンスですから、待たせた時はなるべく早く用事を終わらせて赤ちゃんの話を聞いてあげましょう。
ルールを徐々に理解 しかし喧嘩に
3歳になると、友達と一緒に遊ぶうえでのルールを徐々に理解できるようになってきます。おもちゃを貸しても返ってくることが理解できるため、おもちゃを触られたからといって2歳の頃のようにいきなりバチンとたたくようなことは無くなるでしょう。
とはいえ、思い通りにならないとケンカになることも度々あります。ケンカをしたときは謝るというルールを教えてあげるのもとても大切なことですので、親がフォローしてお互いに気持ちよく遊べるようにサポートしてあげましょう。
また、感情表現が豊かになる時期なので、粘土やお絵かき、ブロックなど想像を形にできるものがおもちゃとしては最適です。
自閉症 特徴とは?
3歳になると、周囲との発達の違いに不安を感じてくるころではないでしょうか。コミュニケーションの発達スピードや、言葉の発達スピードが多いと、自閉症ではないかと思うかもしれません。
自閉症の特徴を知ることで、見比べていきましょう。
まず、自閉症の特徴として、言葉の発達が遅れていることが良く取り上げられますが、言葉数が少ないのと、言葉を話さないのとでは大きな違いがあります。
言葉数が少なくても、意思表示を明確に行い、表情豊かであれば自閉症である可能性は低いと言えるでしょう。しかし、言葉を話さず表情もあまり変化がない。目を合わせて意思表示をすることができないという場合は、自閉症である可能性があります。
また、おもちゃの遊び方にも注目してみましょう。3歳だと、さまざまなおもちゃに興味を示す時期ですが、積み木だけを使って、積み上げるだけの遊びを繰り返すなど、おもちゃが限定されていたり、遊び方の動きが反復であったりする場合は、自閉症の疑いがあると言えるでしょう。
しつけマナーをしっかりと教える
3歳になると、少しずつ周りとのコミュニケーションが取れてくる時期です。信号が赤の時は止まる・公園の花を折らない・ごみはごみ箱に捨てるなど、社会的なルールもしつけとして教えていくようにしましょう。
ひとつずつしつけていくことで、より安全に外で遊ぶことができるようになります。また、スプーンやフォークだけでなく、お箸のトレーニングも本格的に始めていきましょう。
最初はうまくいきにくいこともあるでしょうが、指先をしっかり使うことで脳にたくさん刺激が与えられますので、どんどんチャレンジさせてあげるようにしましょう。
3歳 の手や指の発達・運動発達
成長痛 ストレス
3歳になると、夜中に足やひざが痛いと泣き始める子がいます。翌日にはケロッと元気になっているのですが、夜になるとまた痛みがでて来るので、異常があるのではと悩まれるお母さんも多いです。
これは成長痛というものですが、骨や筋肉が関係しているケースもありますが、多くは精神的なケースが考えられます。思春期によく起こる成長痛とは少々原因が異なります。
この場合は何かプレッシャーがあったり、弟や妹が生まれた後の精神的ストレスなどによる自律神経バランスの崩れが原因と言われています。
一過性のものなので対処法がないのですが、痛がる部分を優しくマッサージしたりホットタオルを当てて血流を促せば、痛みも和らぎます。また、神経質で頑張ってしまう赤ちゃんにも起こりやすいので、一度様子をよく観察してみましょう。
3歳 健診
3歳になると、定期健診が行われます。小学校に入学する前の最後の健診になるのでしっかりチェックしてもらうようにしましょう。
3歳の健診では、身長や体重、胸囲や頭囲、歯のチェックを行っていきます。また、運動能力として短距離を走ることができるか、階段をいくつくらい上がれるかをチェックしていきます。
精神発達では、言葉やごっこ遊び、クレヨンで丸を描けるかなどチェックしていきます。さまざまな育児の悩みや、発達が遅れて気になることなど、この際いろいろ質問してみると良いでしょう。
3歳 歯の成長 虫歯 歯磨き
3歳になると、歯磨きの習慣は必ずつけておきたいもの。
食べる量も種類も増えてくるので、虫歯になると治療で痛い思いをしなくてはなりません。歯磨きを押し付けるのではなく、なぜ歯磨きが必要なのか、その理由も教えると効果的です。
虫歯になるとこんなに大変。大好きなおやつが食べられなくなるなど、具体的にイメージしやすい事を伝えると、頑張って歯磨きできるようになるでしょう。
3歳 の生活
習い事 英語 ひらがな
3歳になると、受講できる習い事は増えてきます。ピアノ教室など音楽系の習い事は3歳~4歳以上から受け付けていることが多いので、問い合わせてみると良いでしょう。
3歳からスタートさせる習い事として人気なのが英語です。早いうちから英語に馴染んでおくことで、英語を話せるようになるのが目的ですが、子供によって英語よりもひらがなや漢字に興味を示す場合もあります。興味がないのに英語を習わなければならないのは、子供にとっては苦痛になります。英語教室に通う時は、楽しそうにしているかどうかを確認してあげるようにしましょう。
その他にもさまざまな習い事がありますが、3歳ならだれでも習い事を始めればいいのかといえば、そうではありません。
周りのお友達と仲良くできず、協調性がまだ取れないようなら、習い事でじっと座ったり立ったりしておとなしくしていられないでしょう。また、人見知りが激しいお子さんだと、先生と一対一になったり、知らない子供たちと一緒に学んだりすることはストレスになります。
それぞれの個性に見合った習い事がありますし、スタートするべき時期にも違いがありますので無理強いはしないようにしましょう。
旅行は? 飛行機は? お出かけは?
3歳になると、社会のルールも少しずつ理解できるようになってくるので、ちょっと遠いところへお出かけに行ったり、旅行に出かけたりするのも楽しくなる時期です。しかし、しつけが行き届いていないと移動や宿泊で周囲に迷惑をかけてしまうこともあるでしょう。
特に注意したいのが、飛行機での対処です。飛行機は一度搭乗すると目的地に着くまで降りることはできません。だからこそ、狭い機内の中でもぐずらないようにしつけておくようにしましょう。
周囲にたくさん人がいるときは大声を出さない・トイレは離陸前に済ませておくなど、いくつかのルールを事前に打ち合わせておき、車や新幹線などで事前にトレーニングしておくと安心です。また、少し早めに空港について、大きな飛行機を眺めて「今からあれに乗るんだよ」と気持ちを高めておくとより楽しい旅行になるでしょう。
親にとっても、子供にとっても楽しい旅行にするためには、事前の準備とシミュレーションが大切です。最初は近い距離に旅行に出向き、徐々に距離を伸ばしていくと良いでしょう。
3歳 生活リズム
3歳になると、3食しっかり食べ、お昼寝をせずに遊びまわり、夜しっかり寝る生活リズムになっていきます。
まだお昼寝の習慣が抜けない子もいますが、保育園、幼稚園、小学校入学に向けて徐々にお昼寝の時間を短くしていけるようにしましょう。
また、活発に動き回り、たくさんの刺激をインプットして脳や気持ちが活性化される時期なので、お腹がよく空く頃でもあります。おやつの与えすぎには気を付け、3食の食事で基本的には栄養を取るようにしましょう。
三つ子の魂百まで 人格形成の節目
「三つ子の魂百まで」という諺があるように、専門家の間でも3歳は人格形成に節目の時期と言われています。
産まれてからこの年齢までの間で培ってきた自己肯定感が、これからの人生の基礎になると言われているのです。
赤ちゃんの時から「危ないから」「片づけが大変だから」という理由でお母さんがダメと言い続ければ、赤ちゃんは自分の行動や考え全てに自信が持てなくなってしまいます。
大人の都合で赤ちゃんの意志を抑え付けてしまうのは可哀想です。せっかく大きな可能性を秘めて産まれてきたのですから、失敗を繰り返しても大きく伸ばしてあげたいものです。この機会に一度自分の育児を振り返ってみてください。
ここまでのまとめ
3歳の子供の成長スピードと、発達のレベル、育児のポイントについて幅広くご紹介しました。個人差が大きく出る時期で、言葉の遅れや運動能力の発達遅れが気になる時期です。
しかし、十人十色と言われるように、子供たちひとりひとりにより成長のスピードは違います。また、感情表現や好きな遊びも異なるでしょう。
その子らしい成長速度を認めてあげることで、お母さんとしても気持ちは和らいできます。是非我が子の個性を大切にしてあげてください。※1参考:厚生労働省 乳幼児身体発育調査