赤ちゃんの身体は大人が思っているよりもずっと繊細なもの。ショッピングモールに出かけたら、あっという間に風邪を引いてしまったということも珍しくありません。
赤ちゃんが風邪を引いてしまったら、こじらせないようにすぐに完治するのが大切です。風邪の引き初めにきちんと対処しておくことで、悪化を防ぐことができるでしょう。
赤ちゃんが風邪を引いた時には、どのような対処方法を実践すべきなのか、また風邪を予防する上で気を付けるべき点など、幅広くご紹介していきたいと思います。
風邪の初期症状
赤ちゃんが風邪を引き始めているサインは、さまざまな所に出てきます。鼻水、くしゃみ、咳、発熱、食欲不振、下痢、ぐずりなどで気づくことが多いでしょう。
しかし、鼻水においては風邪でなくても出ることがありますし、発熱していたとしても単に服を着すぎて体温が上がっている場合もあります。それぞれの初期症状でどのように判断し、対処すべきなのか具体的にみていきましょう。
平熱を知っておく必要性
子供は平熱が高く、成人なら熱があると思うような体温が普通です。元々の体温が高いと、どこから高熱なのか分からず病院を受診するのもためらってしまう事もあります。
どうしようと思っているうちに赤ちゃんの容態が悪化する可能性もありますから、普段から熱を測って赤ちゃんなりの平熱を知っておく必要があります。
赤ちゃんや子供は平熱が高いといっても実際どのくらいなのかは個人差があり、一般的な赤ちゃんの平熱の37度でも他の赤ちゃんにとっては熱が出始めているというケースもあります。中々測らせてくれない時は、赤ちゃん用体温計や耳で測定する体温計を購入して使ってみてはいかがでしょうか。
鼻水について
赤ちゃんの鼻水が増えてきたら、風邪を心配するお母さんも多いと思います。しかし、別の要因で鼻水が出てきている可能性もあるので、すぐに風邪と判断せずにいろんな可能性を考えてみましょう。
そもそも鼻水は、鼻の中や体内に入った異物を外に排出するために機能するものです。部屋の中がホコリっぽいと、鼻水が大量に出てくることもあるので、まずは換気をしてお部屋をきれいな状態にしてあげましょう。しばらくして鼻水が治まれば、ホコリが原因ということになります。
また、気温差でも鼻水は出てくるので、お外から帰ってきたときだけ鼻水が出たり、外に出てしばらくしてから鼻水が出たりすることもあります。
鼻水の色に注目
赤ちゃんはよく鼻水を出すものです。気温差やちょっとしたホコリにも敏感に反応し、鼻水を出しますから、風邪かどうかを判断しづらい部分もあるでしょう。そんな時は、鼻水の色に注目してみてください。
無色透明でサラサラしているようなら、風邪ではない可能性が高いでしょう。しかし、鼻水が黄色っぽくなっていたり、緑がかった色をしていたりするならウィルスや細菌に感染している可能性があります。
放置しておくと鼻づまりの原因になり、呼吸がしづらくなるのでこまめに拭き取ってあげるようにしましょう。そして鼻水を処理した後は、お母さんへの感染を防ぐために手を洗うことを忘れないようにしてください。
風邪から中耳炎にならないために
子供の鼻と耳は大人と違って、鼻から入ったウイルスが耳の中の中耳にまで進入しするので、そこで溜まって炎症を起こしやすくなっています。ウイルスに感染した鼻づまりを放っておくと中耳炎につながりやすくなるので、色のついた粘度のある鼻水が出ている時は熱や咳がないとしても病院を受診しましょう。
急性中耳炎の状態が3ヶ月続くと慢性中耳炎となり、難聴や耳漏など生活に支障が出る可能性も出てきます。耳の中をきれいにするには時間がかかり、症状の重さによっては治療に1・2ヶ月を必要とするケースもあります。風邪を引いたら赤ちゃんが耳を触っていないか・ずっと不機嫌か等をよくチェックしましょう。
咳について
赤ちゃんが風邪を引き始めると、咳が出ることがあります。咳も、鼻水と同じように喉や体内に入った異物を外に出すために作用するものです。ホコリや乾燥で咳が出ることもあるので、加湿や掃除に気を付けるようにしましょう。
乾いた咳が何日も続いたり、ヒューヒューと音がなったりする場合は喘息を発症している可能性があります。専門の小児科で診てもらい、早期に対処していくようにしましょう。
しかし、鼻水や発熱を伴う咳が出ている場合、放置することで悪化させてしまうことがあります。咳を悪化させてしまうと、肺炎を引き起こす可能性もあるので、早期に対処するようにしましょう。
咳込みを和らげる方法
赤ちゃんの咳が悪化すると、痰が混じって喉の粘膜を傷めたり、肺炎を引き起こしたりする可能性があるので注意が必要です。部屋の湿度をあげて、喉の粘膜に負担がかからないようにしましょう。
また咳き込みがひどい場合は、クッションを挟んで上体を少し起こして寝かせてあげたり、縦に抱っこして背中をトントンしてあげたりすると治まりやすくなります。
発熱について
赤ちゃんが風邪を引き始めると、発熱することがありますが、赤ちゃんは体温調整をするのがまだ上手ではないため、ちょっとしたことでも熱が高くなることがあるので、見分けられるようにしましょう。
例えば、夏の暑い季節に冷房を使用せずに熱い部屋にいたり、外に長時間いたりすると、気温に影響されて体温が上昇します。放置しておくと脱水症状を引き起こすので、室温を調整し、外では日陰で休ませてあげるようにしましょう。また、冬の季節でもたくさん服を着せ過ぎると、熱がこもって体温が上昇してしまいます。
汗をかくほど服を着ていると、のぼせてしまいますので衣服を1枚~2枚少なめにするようにしましょう。お風呂に長湯しても、のぼせて体温が上昇するので、入浴時間は短めに、適温を心掛けるようにしてください。
これらの原因を探っても、発熱の原因がわからない時は風邪を引き始めている可能性がありますので、対処が必要です。
緊急を要する発熱
風邪を引くと発熱しますが、これは風邪のウィルスや細菌と戦っている証拠でもあります。赤ちゃんの体温は、平熱で37.5度ありますが、38度未満であれば慌てて病院に行く必要はありません。
風邪の引き始めで熱が出てきている場合、手足はやや冷えていて寒がっていることが多いので、衣服を1枚プラスしたり、毛布を掛けたりして温かくしてあげましょう。
熱が上がりきって、治まってきたら今度は暑がって汗をかいてきます。そうしたら、服を1枚減らして毛布から布団やタオルケットに切り替えて、体温を下げるようにしましょう。ただ、生後3ヶ月未満の赤ちゃんで38度以上の熱があるようなら、病院で診てもらう必要があります。
生後3ヶ月以上の赤ちゃんなら、39度以上の高熱がでたら、病院に行くようにしましょう。高熱が出ると、脳や発育に支障が出るのではないかと不安になる方も多いと思いますが、よほどの高熱でない限り、影響が出るようなことはありませんので、心配いりません。
熱を冷ますタイミング
風邪を引いて発熱した場合、寒がっているときは温めてあげて、熱が上がりきって暑そうにしたら冷やしてあげるのが大切です。
熱が出ると、あわてて熱を下げようとすぐに解熱剤を求めるお母さんもいらっしゃいますが、熱はウィルスや細菌と闘うために必要があって出ているものです。熱を安易に下げてしまうと、風邪が治りにくくなることもあるので注意しましょう。
高熱が出ていて病院にすぐに行けない場合は、冷却ジェルシートをおでこに貼ったり、ワキや太ももの付け根を冷やしたりしてあげるとよいでしょう。
下痢や食欲
赤ちゃんが風邪を引き始めると、下痢や食欲が落ちてしまうこともあります。もともと、母乳やミルクを飲んでいる赤ちゃんのうんちは下痢のように緩いことが多いですが、水っぽく回数も多いようならウィルスや細菌の影響を受けていると考えられるでしょう。
ただ、下痢や食欲不振は、その他の病気が関係している恐れもあります。いつもとちがううんちが出たと思った時は、写メで記録し、お医者さんに診断してもらうようにしましょう。
赤ちゃんの風邪とインフルエンザ
インフルエンザウイルスは風邪のウイルスよりも強力で、風邪の症状が重篤化したものと考えてよいでしょう。任意ですが赤ちゃんにインフルエンザワクチン接種があるのは、ひとえに合併症の怖さによります。
合併症は中耳炎・肺炎・気管支炎などもありますが、0歳~5歳の乳幼児に突出している合併症が脳症・脳炎です。脳症・脳炎は、後遺症が残る場合や死亡にいたることもあり非常に恐ろしい病気です。
免疫力のない赤ちゃんはかかりやすいのですが、病気になり始めの段階では普通の風邪なのかインフルエンザなのか分かりません。とにかく早めの対応が必要です。もしかしてインフルエンザかもと思った時には病院にいく前に電話連絡しておきましょう。二次感染を防ぐために病院も配慮してくれます。
脱水症状には注意が必要
赤ちゃんが風邪を引いてしまうと、発熱や下痢などで脱水症状が起きやすくなります。冷たいお水は刺激になるので、ぬるま湯や常温のお水を与えるようにしましょう。
母乳やミルクを飲んでいる時期なら、水分補給はそこから摂ることができるので、無理に水を飲ませる必要はありません。
離乳食がスタートしている赤ちゃんにおいては、うまく食べられなくなることも多いので、一時的に母乳やミルクに戻してあげると良いでしょう。
風邪の予防について
赤ちゃんが風邪を引いてしまったら、すぐにケアしてあげることが大切です。また、風邪を引かないためにも日頃からさまざまな予防策を準備しておくことも必要になるでしょう。
ウィルスや細菌は、乾燥している空気の中で感染しやすくなります。室内の湿度を高めに設定したり、洗濯物を室内に干したりして乾燥しないように注意しましょう。また、外から帰ってきたときは手を洗ったり、お風呂に入って身体についたウィルスや細菌を洗い流したりすることも大切です。
母乳を飲んでいる赤ちゃんは、お母さんから免疫や抗体を受け継いでいるので、風邪を引きにくいと言われていますが、万全ではありません。ミルクで育っている赤ちゃんにおいては、感染しやすい傾向が強いので、より一層注意してあげるようにしましょう。
赤ちゃんは風邪を引いて丈夫になる?
「赤ちゃんは生後6ヶ月までは病気にならない」という事を信じているお母さんも多いですが、実は風邪に関しては例外です。
初乳だけでなく妊娠中もお母さんから免疫を移行してもらっていますが、この免疫は主に消化管の病気と水疱瘡・麻疹・風疹に対して効果があり、全てのウイルスに対する免疫をもらっているわけではないのです。
特に風邪のウイルスは200種類以上とも言われていて、お母さんからもらう免疫だけでは全てをカバーできません。ですから、風邪に何回もかかったりワクチン接種をする事で、赤ちゃん自身が免疫抗体を作り上げる必要があるのです。
赤ちゃん時代には沢山風邪を引きますが、体が丈夫になっている証拠だと思ってしっかりサポートしてあげましょう。
お母さんの風邪
赤ちゃんが風邪を引いてしまう場合、お母さんからの感染が原因となっていることもあります。お母さんが風邪を引くと、母乳から風邪がうつってしまうのではないかと考えがちですが、そのような心配はありません。
むしろ、風邪のウィルスや細菌が近くにいることで、たくさん風邪に対抗するウィルスが母乳に含まれるようになります。
お母さんから赤ちゃんに風邪がうつってしまうのは、飛沫感染がほとんどです。くしゃみや咳を頻繁にしている場合や、鼻水をかんだ後の手を洗わないでいると、あっという間に赤ちゃんが風邪を引いてしまいますので注意しましょう。
室内にいるときもマスクを着用し、鼻水をかんだ後はしっかり手を洗うことで、赤ちゃんに風邪がうつる心配は軽減されるでしょう。また、こまめに換気をして風邪のウィルスを外に出してしまうことも大切です。室内の湿度もしっかりあげておけば、赤ちゃんが風邪を引くリスクを少しでも減らすことができるでしょう。
ここまでのまとめ
赤ちゃんが風邪を引いた時の対処方法などについてご紹介しました。咳や鼻水、発熱といった症状は、他の要因でも引き起こされるため、すぐに風邪だと勘違いしやすくなります。さまざまな可能性を考え、それでも風邪だと判断したら、悪化しないようにきちんとケアしてあげましょう。
咳がひどくなりそうだったり、熱が高温になって心配になったりしているようなら、すぐに病院で診てもらうようにしてください。赤ちゃんの風邪は悪化してしまうと、肺炎を引き起こしてしまうこともあります。風邪がなかなか治らず、同じ状態が長引いているときも、必ず病院で診てもらうようにしましょう。
風邪のウィルスや最近はたくさんの種類があるので、一度風邪が治ってもまた新たな風邪のウィルスや細菌に感染することもあります。しっかり予防策を行い、赤ちゃんを風邪から守ってあげるようにしてください。