どんどん話す言葉が増え、歩くスピードも以前とは比べものにならないほど早くなる1歳11ヶ月頃は、何でも自分でやりたがりますし、他の子におもちゃを取られたとかんしゃくを起こすなど、とにかく忙しくなる時期です。
めまぐるしいほど忙しくなるお母さんにとっては、少し疲れの色も見えてくるころではないでしょうか。
ひとつひとつを神経質に捉えていては、お母さんも子供も戸惑ってしまいがち。そこで、1歳11ヶ月の成長や育児のポイントをご紹介していきましょう。さまざまな情報を知ることで、少しでも育児に役立てて頂ければと思います。
1歳11ヶ月の体の成長・発達
1歳11ヶ月 体重 身長は?
成長には個人差があるとわかっていても、やはり周りのこと比べてしまうのが母心。体型に大きな差が出てくる時期ですが、平均的にはどれくらいの身長や体重になっているものなのでしょうか。
男の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長79.7cmから90.7㎝で中央値が85.1㎝です。体重は9.52kgから13.69kgで中央値が11.28kgになります。※1
女の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長78.3cmから89.4㎝で中央値が83.8㎝です。体重は8.78kgから12.90kgで中央値が10.64kgになります。※1
いずれも平均値でかなりの個人差があります。神経質に数字を捉えず、自分の子の成長スピードに適しているかで判断するようにしましょう。
1歳11ヶ月の言葉の発達
二語を話せるように! 言葉遅れ が心配に
1歳11ヶ月になると、たくさんの言葉を話すようになります。
以前は「ワンワン」「ブーブー」の一語のみでしたが、「ワンワンきて」「ブーブーこっち」など二語に増えてくることが多いでしょう。
また、写真に写った自分を指さして「〇〇だ」と言ったり、靴を指さして「ママの」と判別できたりします。しかし、言葉を話し始めるスピードや、種類の多さはかなり個人差があります。
周りの子はもう「こんにちは」と言えているのに、自分の子はまだ「マンマ」しか話さないと気がかりになりがちですが、決して成長が遅れているわけではありません。その子なりの得意なこと、不得意なことがありますので、温かく見守ってあげるようにしましょう。
言葉のトレーニング
1歳11ヶ月になっても、なかなか言葉を積極的に話さない。話す言葉が少なくて心配というお母さんのために、いくつかの言葉トレーニング方法をご紹介しておきましょう。
言葉を話すためには、たくさんの言葉を聞き、理解するということが必要です。聴覚で言葉の発音を記憶し、ジェスチャーと一緒に言葉をインプットすることで理解に繋がります。それが何度も繰り返されることにより、言葉の意味を理解し、自分の言葉として話し始めるようになるのです。
つまり、言葉を話しかける頻度が少なく、どんな言葉かを教えていなければ話すことはできないということです。
指をさして名前を言ったり、美味しいときの表情を伝えたり、絵本を読み聞かせしたりすることで、徐々に言葉のインプットが溜まり、言葉を話すアウトプットに繋がっていくことでしょう。ただ、たくさんの言葉を聞き、理解していてもアウトプットするまでに時間がかかる子もいますが、きちんと理解できているようなら問題ありません。
今までほとんど話さなかったのに、急にあふれ出るように言葉を話し始めることも多いので、気長にその時を待ってあげましょう。
歌を覚える 言葉やリズム感も
1歳11ヶ月になると、言葉を覚えるだけでなく、歌も覚えるようになってきます。
一緒に手遊びしながら歌える「げんこつ山のたぬきさん」や「とんとんとんとんひげ爺さん」などを教えると、喜んで一緒に歌い、手遊びをするようになるでしょう。
この頃になると、テレビから流れる歌にも反応し、すぐに覚えるようになってきます。教えたはずのない歌を、歌い始めビックリさせることもあるでしょう。しかし、テレビばかりに任せていると、コミュニケーションは一方通行になりがちです。
恥ずかしくてもお母さんが一緒に歌うことが大切ですので、たくさんの歌のバラエティを増やしておきましょう。
1歳11ヶ月の食の発達
食事の量は?食事の質は?
1歳11ヶ月になると、たくさん身体を動かしますし、どんどん言葉を覚えていくのでとにかくお腹が空いてくるもの。今までそんなに食べる方ではなかったのに、歩き始めてから急に食欲が増してきたということもあるでしょう。
そんな中、あまり食べようとしない子もいます。もともと小食なら問題ありませんが、急に食事量が落ちた場合は病気の可能性もあるので注意深く観察してみましょう。
観察して、もし特定の食べ物を避けているようなら、好き嫌いがスタートしていると考えられます。ダイレクトに味がすると嫌がるので、何かに混ぜたり、スープとして与えたりすると良いでしょう。
また、家遊びしているとエネルギーの消費が少ないため、食欲がわかないことがあります。しっかり食べるためにもめいっぱい身体を動かして外で遊ぶようにしましょう。
1歳11ヶ月のこころの発達
イヤイヤ期
1歳11ヶ月になると、お母さんを困らせるのがイヤイヤ病。何をしても「イヤ」「ダメ」と拒否してきます。
お出かけしようとしてもイヤ、食べさせようとしてもダメ、お風呂に入ろうと言っても逃げるなどとにかく手を焼くことが増えてくるでしょう。
イヤイヤ病は、自立心が芽生えていることで起きるものですから、ある程度尊重してあげることが大切です。自分でやりたいという意思表示をしているなら、不器用でもやらせてあげるようにしましょう。
イヤイヤ期 対策
1歳11ヶ月になるとイヤイヤ病に手を焼くお母さんも多いことと思います。
何を言ってもイヤと言われるので、ついイライラしたり、怒ったりしてしまいがちですが何か良い対策はないのでしょうか。イヤイヤ病で疲れないためには、命令形にしないことがポイントになります。
「そろそろお風呂に入ろうか」という言葉も、子供にとっては命令に感じてしまいイヤとなります。それを避けるためにも、選択肢を与えてあげると良いでしょう。
「お風呂に楽しいおもちゃがあるけど、リビングのおもちゃとどっちと遊ぶ?」と聞くことで、相手の意志を尊重してあげることができます。お風呂を選んだら「えらいね」と褒めてあげましょう。
ひとつひとつに選択肢を与え、それを自分で選ぶことで褒められて嬉しいという気持ちになることで、イヤイヤ病も徐々に治まってくるでしょう。
かんしゃく、怒る、イライラ
1歳11ヶ月になると、急にかんしゃくを起こし始めることがあります。機嫌よく遊んでいたと思ったのに、かんしゃくが起きて何事かと驚くお母さんも多いのではないでしょうか。かんしゃくを起こすのは、さまざまな原因がありますが大きく分けると「やりたいことができなくてもどかしい」「自分の物を取られた」のどちらかでしょう。
手先が器用になり、自立心も芽生える1歳11ヶ月では、なんでも自分でやろうとすることが増えてきます。しかしその気持ちとは裏腹に、なかなかうまくすることができずイライラしてしまうのです。
また、自分の物を判別することができるため、おもちゃを他の子が触ったり、妹や弟がお母さんに抱っこされていたりすることを嫌がります。自分の物である意識が強いため「奪われた!」と怒りかんしゃくを起こしてしまいます。
いずれも、徐々に成長してやりたいことができるようになったり、貸し借りの認識がつくようになったりすれば、かんしゃくは徐々に落ち着いてくることでしょう。
1歳11ヶ月の手や指の発達・運動発達
遊び方は?おもちゃは?
1歳11ヶ月では、全身を使った遊びを行っていきましょう。20cm位の高さからジャンプの練習をしたり、かけっこの練習をしたり、ストップや後ずさりの練習を遊びとして行うことで運動能力が向上してきます。
「ダッシュ!」の掛け声で走りはじめ、「ストップ!」と言ったら止まれるようにすることで、事故防止にもつなげられるでしょう。ちょっと目を離したすきに遠くに走っていったとしても、ストップ!と声をかければ立ち止まれるようになります。
行動範囲やできることが増える分、事故やトラブルに遭遇する確率も高くなりますので、注意深く見守っていくようにしましょう。
つま先歩き
つま先で立ったり歩くのは、知覚過敏による自閉症症状の一つと言われています。歩きが上手になったこの頃でもつま先立ちやつま先歩きをする子は少なからずいて、そのような赤ちゃんを持つお母さんは心配されているのではないでしょうか。
しかし、つま先歩きをする赤ちゃんが全員自閉症と言うわけではなく、比較的多いという事に過ぎません。たいていつま先歩きをする赤ちゃんは女の子が多く、自閉症以外では足の柔軟性と筋肉の少なさが原因だと言われています。
沢山歩いたり遊んでいるうちに、ふくらはぎの筋肉がついて踵をつけて歩けるようになるので、外遊びをぜひ毎日の習慣にしてみましょう。
1歳11ヶ月の生活
トイレトレーニングを考える
1歳11ヶ月になると、徐々にトイレトレーニングを始めていく時期です。おむつからトイレへと移行するのは簡単ではありませんが、徐々にトイレやおしっこ、うんちに興味を持たせていきましょう。
今までは通気性の良いおむつでしたが、トイレトレーニング用の濡れた感じがわかるおむつもあるので便利です。おしっこをしたら濡れるということがわかれば、徐々におしっこするタイミングも自分でわかってくるようになるでしょう。
うんちをしたときは、トイレに一緒に持っていって流すことで、ここでバイバイするものだと認識してきます。突然トイレができるようになることは稀ですので、少しずつトイレとおしっこ、うんちを知っていくことから始めていきましょう。
歯の成長 歯磨き
1歳11ヶ月になると、奥歯も生えそろってくるころです。早い子だと、上下で16本生えそろっていることもあるでしょう。
虫歯にならないためにも、歯磨きを習慣にするのはとても大切です。ベビー歯ブラシなら柔らかいのでチャレンジしてみると良いでしょう。
また、かかりつけの歯医者を見つけ、フッ素で虫歯予防していくことも大切です。フッ素には虫歯が発生しにくくなる作用がありますが、だからといって虫歯にならないというわけではありません。きちんと歯磨きのケアをすることで、歯の健康を守っていけるようにしましょう。
性別の差が出てきます
遊ぶおもちゃや興味のあるものに、男女差が出てきます。例えば男の子なら電車を見るのが大好きでお気に入りの車を持っていたり、女の子ならばお母さんの真似をしてメイクをする振りをしてみたり好きなぬいぐるみを離さない、というシーンが見られるのではないでしょうか。
もちろん男女差が出てきたといっても、おままごとが好きな男の子がいたり虫が大好きな女の子も沢山います。
このような性別による特徴はまだ確立せず混ざった状態ですから、「男の子がピンクの服を着るのはおかしい」「女の子だから虫に興味を持つのは変だ」と決め付けずに、赤ちゃんの好きな物で好奇心や興味をより膨らませてあげたいですね。
1歳11ヶ月 早生まれは七五三も
七五三は数え年で行う場合と満年齢で行う場合があります。3歳の七五三は満年齢では3歳時ですが数え年では2歳時となり、12月生まれや早生まれの赤ちゃんでは、1歳11ヶ月で数え年の3歳と数えるケースも出てきます。
いくらなんでも早すぎでは、と思ってしまいますが、確かに着物を着せるのが大変だったりサイズが合わない事もあるので、来年にずらす家庭も多いです。しかし、おじいちゃんおばあちゃんが孫の七五三を楽しみにしているので、あえてこの年齢で行うと言う家庭も少なくありません。
もう少し大きくなってからゆっくり行うのでもよいですし、先にお祓いを受けておいて記念写真は後で、という方法もあります。周りの意見や赤ちゃんの様子を見て一番納得がいく方法を選ぶようにしましょう。
赤ちゃん成長カレンダー 発育・発達の目安
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ここまでのまとめ
1歳11ヶ月の子供における育児のポイントをご紹介しました。つい周りの子と比べがちになりますが、スピードが遅いからと言って発育が遅れているわけではありません。
人にはそれぞれ個性というものがありますので、成長スピードが緩やかなのも我が子の個性と捉えられるようにしましょう。そして、しつけやトイレトレーニングなど、いろいろ教えていく必要が出てくる時期です。
ひとつのことを言い聞かせて理解し、実行できるまでになるには多くの時間が必要になるので、いつかできればいいと気長に考えるようにしましょう。※1参考:厚生労働省 乳幼児身体発育調査