赤ちゃんの寝ている姿は天使のように可愛く思わず微笑んでしまいます。あまりの可愛さにママやパパはつい赤ちゃんの眠る姿に見入ってしまいますが、心休まるのは一瞬のこと。赤ちゃんは寝相が悪く、夜の間何度も布団にいれなおしてもすぐに飛び出してしまい、風邪を引いてしまうのでは?と不安になってしまいます。
赤ちゃんはどうしてこんなに寝相が悪いの?赤ちゃんの寝相が悪い原因って何?など赤ちゃんの寝相が気になるときに知っておきたいことをご紹介していきたいと思います。
赤ちゃんの寝相の状態いろいろ
赤ちゃんは寝ている間によく動きます。大人の場合は寝返りを打つ程度ですが、赤ちゃんは睡眠中によく動きます。赤ちゃんの寝相の様子は一人一人の赤ちゃんによって百人百様。赤ちゃんの寝相の状態について以下に挙げてみましょう。
大きく布団からはみ出す、ぐるりと180度回って寝ている、がに股でばんざいをしている、正座するように寝ている、うつぶせになってしまう、時計の針のようにくるりと回転するなど、赤ちゃんの寝相の状況は実にさまざまです。
赤ちゃんの寝相に関してはあまり心配の要らない状況と、注意が必要な状況があります。がに股でばんざいをしている状況は赤ちゃんらしいよくある風景で、とくに心配ありません。小さな手を上に思いっきり上にあげて寝ている姿は愛らしく、今流行りの寝相アートにもってこい。可愛い寝相を思う存分楽しめますが、その他の寝相に関しては注意しなければならない点もあります。
赤ちゃんの寝相の悪さによるリスク
布団からはみ出してしまう赤ちゃんは、きちんと服を着せてから寝かせないと風邪を引いてしまいます。また赤ちゃんが仰向けからうつぶせになってしまうと、乳幼児突然死症候群(SIDS)のリスクが生じます。
他にも布団から大きくはみだすと寝冷えをしてしまい、風邪を引いたり、体力を消耗させるおそれがあります。ベビーベッドや大人のベッドに寝かせている場合には、ベッドから転倒したり、壁との隙間にはさまり怪我をするリスクも。
布団に寝かせている場合にもリスクがあります。赤ちゃんが布団からはみだしてしまい、床に置かれた危険なもの、たとえば電気コードに触れてしまったり、テーブルや椅子に頭をぶつけてしまい、怪我をすることも。寝相の悪い赤ちゃんが誤って怪我をしないよう、家具の配置に注意し、床に危険なものがないかどうか確認しておく必要があります。※参考1
赤ちゃんの寝相が悪い原因とは?
赤ちゃんの寝相の状態のいろいろや、そのためにおこるリスクについてみてきましたが、そもそも赤ちゃんの寝相はどうしてこれほど悪いのでしょうか?
寝相が悪いということは、睡眠の質が悪く、安眠できていないのでは?と不安に思うママもいるでしょう。健康な大人でも寝返りや寝言はありますが、赤ちゃんの寝相の悪さは大人のそれとは比較になりません。赤ちゃんの寝相が悪い原因は何でしょうか?赤ちゃんの寝相の原因についていくつか挙げてみましょう。
レム睡眠の割合が高いため
睡眠にはレム睡眠とノンレム睡眠の二種類があります。大人の場合はノンレム睡眠の割合が高く、レム睡眠が占める割合は睡眠全体の約20% から15%程度。成人の場合、年齢が高くなるほどレム睡眠の割合が減っていきます。
これに対して生まれたばかりの赤ちゃんの場合、レム睡眠の割合が全体の約5割を占めます。その後月齢が上がるにしたがって徐々にレム睡眠の割合は減っていき、月齢3ヶ月から5ヶ月になった頃でも約4割、さらに生後1歳頃で約3割程度になります。
このように赤ちゃんは大人に比べるとレム睡眠が多く、このために浅い眠りが続きます。赤ちゃんが睡眠中によく動く理由のひとつはレム睡眠の多さにあります。赤ちゃんの睡眠パターンを知る上でも、レム睡眠およびノンレム睡眠の特徴や違い、そして赤ちゃんの睡眠の発達過程について学んでおくようにしましょう。
レム睡眠とノンレム睡眠について
人間の睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠の二つから構成される睡眠周期があります。大人になり睡眠周期が確立されると、レム睡眠は90分おきに訪れ、朝目覚めるまでレム睡眠とノンレム睡眠の周期が5回から6回繰り返されます。
レム睡眠の特徴とは?
レム睡眠とはRapid Eye Movement(急速)の頭文字をとったもので、眼球が急速に動くことによりこのように名づけられています。レム睡眠とノンレム睡眠にはいろいろな違いがありますが、どちらの睡眠も大切。二つの睡眠効果により、体と脳の両方をゆっくりと休息させ、疲労を回復させてくれます。
ノンレム睡眠中は脳波の活動は低下しますが、レム睡眠中の脳波は入眠時に似た状態にあり、ノンレム睡眠中ほど低下していません。
筋肉のはたらきはこれとは反対で、ノンレム睡眠中は筋肉の緊張は保たれているのに対し、レム睡眠中は姿勢を保つための筋肉の緊張が無くなります。他にも脈拍、呼吸、血圧などが不安定ということや、昼間に起こった出来事や学んだ情報を処理しているという特徴が挙げられます。
赤ちゃんの睡眠パターン
生まれたばかりの赤ちゃんの場合はレム睡眠の割合が約半分もあり、一日中寝ては起きるを繰り返しています。またレム睡眠とノンレム睡眠の区別もまだはっきりしていません。
レム睡眠とノンレム睡眠の区別がはっきりし、レム睡眠とノンレム睡眠が交互にあらわれる睡眠周期が出来上がるのが満2歳以降。睡眠周期は最初は40分程度と短いものの、年齢が上がるとともに徐々に長くなり、やがて大人と同じ90分周期が確立されます。※参考2
赤ちゃんは発汗作用が盛んなため
赤ちゃんの寝相が悪いもうひとつの理由は、赤ちゃんの発汗作用にあります。赤ちゃんはまだ体温調節機能が十分に発達していないため、室温の変化により体温が急激に上がったり下がったりします。
赤ちゃんが布団からはみ出してしまうのは、室温を高く設定しすぎているせいかもしれません。また寝冷えをしないようにと厚着をさせてしまっているために、赤ちゃんが暑がって布団の外から出てしまうこともあります。
さらに赤ちゃんが布団から手足を出して、ばんざいの体勢で寝る原因は睡眠時の体温調節とも関係があります。
睡眠時の赤ちゃんの体温について
睡眠中は体の深部の体温が少し下がります。体の深部の体温を下げるために、手足の先から熱を逃がし、その放熱作用により体温を下げようとします。眠くなると赤ちゃんの手足がぽかぽかと温まるのはこのため。
手足の先を循環している血管に血液をたくさん送り、周囲の冷たい空気によって血液を冷やし、体の深部の温度を下げる、というのが睡眠に入るときのメカニズム。赤ちゃんがばんざいの体勢で手を布団から出すのは、布団や着ている服が暑いというだけでなく、この体温調節機能のせいかもしれません。
赤ちゃんの寝相の対処法について
赤ちゃんの寝相は可愛く、見ているだけでほのぼのしますが、寝相が悪いせいで寝冷えしてしまうのは困ります。
また仰向け寝からうつぶせ寝になり、寝返りができないと乳幼児突然死症候群のリスクも生じます。赤ちゃんの寝相が悪いときの対処方法について詳しく知っておくようにしましょう。
寝冷えを防ぐ方法について
寝かせたときはちゃんと布団の中に入っていたのに、いつの間にか布団から完全にはみ出している。これは赤ちゃんの寝相のよくあるパターンで、寝冷えが気になり何度も起きてしまうママもいるでしょう。赤ちゃんの寝冷えを防ぐための方法について挙げてみましょう。
着せる服を工夫する
赤ちゃんが布団から出ても寝冷えしないよう、寝かせるときに着せる服を上手に選んであげましょう。体全体を覆うスリーパーなら、赤ちゃんのおなかが冷えるおそれがありません。
ただし厚着をさせるのはNG。赤ちゃんは汗かき、厚着をさせてしまうと眠っている間にたくさん汗をかき、汗が空気に触れることでかえって体を冷やしてしまいます。
赤ちゃんの様子は背中やおなかがぽかぼか温まっているかどうかで確認できます。手足が少々冷たい場合でも背中やおなかが温まっていれば、手袋や靴下を無理にはかせる必要はありません。
ベッドに寝かせる際の注意点
ベビーベッドに寝かせる場合には、赤ちゃんの安全を確保するため、必ず柵やベビーガードでしっかり保護するようにしましょう。
ベビーベッドはお昼寝の際に便利ではありますが、寝相があまりにも悪い赤ちゃんは、頭をベッドの柵にぶつけ、怪我をすることもあります。眠っているときに激しく動く赤ちゃんの場合は、ベッドではなく布団に寝かせたほうが安心です。
布団に寝かせる際の注意点
赤ちゃんを布団に寝かせる際には、周囲に危険なものがないか必ず確認するようにしましょう。布団のすぐ側に家具や物があると、赤ちゃんが動いた際に思わぬ怪我をすることもあります。
赤ちゃんが直接触れる可能性もあるものだけでなく、ぶつかった衝撃で棚やテーブルから物が落下する可能性も。赤ちゃんを寝かせる場所付近には、なるべく物や家具をおかないよう注意しましょう。やけどのリスクのある暖房器具にも十分な注意が必要です。
他にも電気コードやコンセントも赤ちゃんにとっては危険物。赤ちゃんが寝返りを打ったときやくるりと回転したときに触れるおそれがないかどうか、寝かせる前に必ず確認しましょう。
乳幼児突然死症候群について
赤ちゃんは寝ている間にいつの間にかうつぶせ寝になってしまうことがあります。寝返りができるようになった赤ちゃんは、自分でひとりでに再び仰向けの姿勢に戻ることができますが、それでも睡眠中のうつぶせ寝は危険です。
乳幼児突然死症候群を予防するためには、少なくとも生後1年間は赤ちゃんをうつぶせ寝にしないことが大切です。乳幼児突然死症候群の原因についてはいまだに完全に解明されていませんが、うつぶせ寝はできるだけ避けることが求められています。
うつぶせ寝のリスク
まだ寝返りのできない赤ちゃんの場合、くるりとうつぶせになったものの、寝返りして再び仰向けになることが出来ず、鼻や口が布団で塞がれてしまうという怖い状況に陥るリスクがあります。
また寝返りができるようになった赤ちゃんでも油断は絶対に禁物です。赤ちゃんがうつぶせ寝になったら、すぐに戻してあげなければなりません。
柔らかい寝具は使わない
赤ちゃん用のマットが柔らかすぎると、赤ちゃんの頭の重みで沈み込んでしまい、窒息するおそれがありますので、赤ちゃんの布団は固めのものを使用しましょう。赤ちゃんとママの布団をくっつけて敷く場合には、ママやパパの布団にも注意が必要です。
寝相の悪さは睡眠の質の悪さにつながるのか?
赤ちゃんの寝相があまりにも悪く、時計の針のようにくるくる回ったり、正座をするかのような姿勢で眠っていたりすると、ちゃんと睡眠が取れていないのでは?という不安を感じます。しかし赤ちゃんの寝相の悪さは睡眠の質を悪化させる理由にはなりませんので心配する必要はありません。
上に挙げたように赤ちゃんの睡眠はいまだ発達段階にあり、大人と同じ睡眠周期が確立されるまで暖かく見守るようにしましょう。
赤ちゃんの寝相アートを楽しむ
赤ちゃんの安全をきちんと確保していれさえすれば、赤ちゃんの寝相にそれほど心配する必要はありません。赤ちゃんの寝相が悪いのは一時的なもので、脳の中枢機能が発達し、睡眠周期が整えられるにしたがって徐々に良くなってきます。
寝相の悪さも赤ちゃんの発達段階のひとつ、可愛い盛りの赤ちゃんの寝相をアートにして楽しむ寝相アートで、赤ちゃんの成長を記念に残してあげましょう。
まとめ
赤ちゃんの寝相が気になるときにぜひ知っておきたいいろいろな情報をご紹介しました。赤ちゃんの睡眠はレム睡眠が多く、眠っている最中にもよく動き回ります。無心に眠る赤ちゃんの可愛いい寝相を、一生の記念に残す寝相アートも大人気。赤ちゃんの可愛い寝相は、ママやパパにとって宝物。寝相の悪い寝姿を見つめては、こんなに立派に成長してくれた、と感動もひときわです。
赤ちゃんの寝相はいわば成長の証しでもありますが、うつぶせ寝による乳児突然死症候群などのリスクもあります。赤ちゃんの寝相は安心なものと注意が必要なものがありますので、赤ちゃんを危険や事故から守るための方策をきちんと講じておくようにしましょう。
※参考1 厚生労働省 乳幼児突然死症候群(SIDS)について
※参考2 日本睡眠学会 ヒト睡眠の基礎 睡眠の発達
※参考 公益財団法人 健康・体力づくり事業財団