赤ちゃんは、生後10ヶ月になると行動範囲がさらに広がることから、運動量が多くなります。今まではぽっちゃりと赤ちゃんらしい体型だった子も、やや引き締まり幼児体型へと変化する時期です。
つかまり歩きを始めたり、言葉をしゃべりはじめたりと変化が何かと大きいときですが、他のこと比べると発達が遅れているのではと焦りを感じ始めるお母さんが多い時期でもあります。
生後10ヶ月となれば、できる赤ちゃんとできない赤ちゃんの差が出てきますが、異常というわけではありません。ただ、おおよその目安は知りたくなります。そこで、生後10ヶ月の赤ちゃんの成長具合と、育児のポイントについてご紹介していきたいと思います。
生後10ヶ月の赤ちゃんの体の成長・発達
生後10ヶ月の身長・体重は?
生後10ヶ月になると、赤ちゃんはどれくらいに成長しているものなのでしょうか。
男の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長68.4cmから77.4㎝で中央値が72.8㎝です。体重は7.34kgから10.59kgで中央値が8.88kgになります。※1
女の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長66.5cmから75.6㎝で中央値が71.4㎝です。体重は6.86kgから10.06kgで中央値が8.34kgになります。※1
離乳食を食べる量や、運動量によっても個人差が大きく開きますので、これらの平均値は参考程度に考えておくと良いでしょう。
赤ちゃん成長カレンダー 発育・発達の目安
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生後10ヶ月の食の発達
授乳間隔 回数 時間は?
生後10ヶ月の赤ちゃんは、離乳食が始まると授乳しなくなるのでしょうか。いいえ、そんなことはありません。授乳間隔は広がり回数は少なくなるものの、授乳は引き続き飲み続けています。
メインは授乳から離乳食へと移行していますから、授乳離れが進む赤ちゃんは授乳回数が減り、まだ離乳食が馴染めない赤ちゃんは授乳で栄養を補充します。
生後10ヶ月になれば、1日3回離乳食を食べることが多いですが、スタート時期が遅い場合はまだ1日2回のままになることもあります。赤ちゃんの食欲や、離乳食の進み具合に合わせて、授乳間隔を調整していくと良いでしょう。
ミルクの量 授乳量は?
生後10ヶ月の赤ちゃんの授乳量は、1日でトータルすると1000mlになります。ただ、離乳食の量により減ることもあるので参考にしてください。
ミルクの量は1日に2回程度にし、母乳は赤ちゃんが欲すれば与えるようにしましょう。
母乳を欲する時は、栄養不足で欲するというより、スキンシップで求めていることが多いため、栄養面を考えて制限する必要はないでしょう。
離乳食の量は?
生後10ヶ月の赤ちゃんは、どれくらいの離乳食を食べるのでしょうか。早い時期から離乳食に慣れてきた赤ちゃんなら、1日3回離乳食を食べるようにしていきましょう。
離乳食をスタートしたときは、とろとろのクリーム状ですが、徐々に粒状で素材がわかる形状にしていき、もぐもぐと噛む癖をつけていきます。
歯が生え始めてくる赤ちゃんも多いので、よく噛んで食べることはとても大切です。ただ、食事の回数が3回になると食べムラが出てきます。1回の食事の量が極端に少なかったり、多すぎたりすることで、心配になるお母さんも多いようです。
味に飽きてしまったり、同じ食材が続くことでマンネリ化を感じたりするので、味付けや形状を少し変化させていくと良いでしょう。
離乳食を食べない 体重増えない
生後10ヶ月になり、せっかく離乳食にも慣れてきたと思ったら、急に離乳食を食べないことが増えてきた。これは、生後10ヶ月だからこそ生じることです。
この頃になると味覚が発達してくるため、好きな味や好きな形状を感じ取ることができます。好き嫌いが出てくるため、嫌いだったり飽きたものを食べようとしなくなったりするのです。
また、噛む動作がなれていない赤ちゃんだと、粒が大きいとすりつぶせずに飲み込んでしまうこともありますので、食べやすい離乳食の状態にまでとろとろにしてあげるようにしましょう。
手づかみ食べ
生後10ヶ月になると、食事の時にスプーンを持ちたいと手を伸ばして来たり、自分で食べ物を掴んで口に運んだりするようになります。
まだ慣れていないので、ダラダラとこぼしたり、あたりを散らかしたりすることも多いですが、食べ物に興味を示し、新しい道具にチャレンジしている最中なので、怒らず見守ってあげることが大切です。
ケガをしない柔らかいスプーンやフォークを使うようにし、心配な場合は手づかみで食べられるパンやスティック野菜を用意しておくと良いでしょう。
ただ、手づかみするようになったからといって、食事に集中し続けるとは限りません。他に興味があるものができると、食事の最中でもぽいっと食べ物を投げてしまうこともあるでしょう。そのような時は、ある程度食べたことを確認し、一定時間が過ぎたら片づけてメリハリをつけるようにしてください。
生後10ヶ月の睡眠の発達
睡眠時間は?昼寝時間は? リズムを大切に
生後10ヶ月になると、昼夜逆転している赤ちゃんはほとんどいません。お昼寝や夜の睡眠はある程度まとまった時間になってくるでしょう。
もし、この段階でも昼夜逆転が改善されなかったり、短時間睡眠が続いたりするようなら、生活サイクルが乱れている可能性があります。
赤ちゃんの欲求のまま応じるのではなく、生活リズムに馴染むようサポートしてあげましょう。早起きの習慣をつけ、離乳食を取る時間をキチンと決めて管理することで、生活にメリハリがついてきます。
また、お風呂に入ったら少し遊んでベッドに入るという習慣を身に着けていけば、夜の就寝もスムーズになっていくでしょう。
明るいままの寝室だと、寝にくくなりますし、テレビがついていると光や音に反応して目が覚めてしまいます。寝る時間には明かりを暗くし、好奇心を与えるものは少しでも減らしておくようにしましょう。
生後10ヶ月の手や指の発達・運動発達
飲み方 ストローやコップのトレーニング
まだ哺乳瓶でミルクや麦茶を飲ませている方は、ぜひストローやコップを使って飲むように教えてみましょう。大きくなると哺乳瓶では一度に飲める量が少なくなり、赤ちゃんが怒ってしまうかもしれません。
離乳食も進んで複雑な口やあごの動きが出来るようになってきたので、練習して飲めるようになれば赤ちゃんも沢山飲めて満足かも。お母さんにとっても、大人と同じコップならば洗いものが楽ですし、外出する際荷物が少なくなりますね。
まずは離乳食を食べ終わった後に飲む白湯やフォローアップミルクをコップに入れたりストローで飲ませてみましょう。その時にお母さんも同じコップやストローを持ってお手本を見せてあげると、赤ちゃんも真似してスムーズに飲めるようになります。
ハイハイ つかまり立ち つたい歩き
生後10ヶ月にもなれば、行きたいところへ自由にハイハイして突進し始めます。お気に入りのおもちゃを取ろうとハイハイしたり、ママのところに行きたいと後を追うようにハイハイしたりします。行動範囲が急速に広まるので、床に置いているものには細心の注意を払うようにしましょう。
また、生後10ヶ月になるとつかまり立ちから、つたい歩きまで進む赤ちゃんもいます。テーブルを掴んでつたい歩きするものの、急にバランスを崩して角に頭をぶつけてしまうこともあるので注意しましょう。
また、床の物をソファにあげておけば安心と思っていたのに、つかまり立ちや、つたい歩きで取れてしまうこともあります。小さな台によじ登って転落することもあるので、赤ちゃんの目線で障害物をもう一度チェックしておくようにしましょう。
ハイハイの時に触れるもの、つかまり立ちやつたい歩きで触れるものを取り除いておけば、安心して遊ばせてあげることができます。
生後10ヶ月のこころの発達
後追いする?しない?
記憶能力が発達してもお母さんが隠れてしまうと不安の方が勝ってしまい、大泣きしたりハイハイして追いかける赤ちゃんが多く、この時期お母さんの悩みの種です。
この時期にこのような後追いがあるのは成長過程として当たり前なのですが、反対に後追いをしない・お母さんが見えなくても泣かない赤ちゃんも少なからずいます。後追いしないと異常があるのかもと心配になってしまいますが、お母さん以外の大人が赤ちゃんの面倒を見ている家庭では後追いが少ないです。
また、赤ちゃんがお母さんをしっかり信頼し戻ってくると理解していれば、その場合も後追いは少なくなります。後追いするしないは赤ちゃんの性格も関わってきますから、あまり心配しないのが一番です。
人見知り
生後10ヶ月の赤ちゃんは、お母さんが誰か、お父さんが誰かという認識ができるため、それ以外の人に人見知りを起こすことがあります。
知らない人が目の前に現れると、途端にだまって注意深く観察し始めるでしょう。また、近づいてくることに不安を感じ、泣き出してしまう赤ちゃんもいます。
これは、お母さんやお父さんとは違う人がいるということを認識している証拠です。誰の顔か、誰の声かということを理解しているから人見知りが起きてしまうのです。
突然の人見知りに、相手に申し訳ない気持ちになるお母さんも多いでしょうが、人見知りが始まったということは成長しているということでもあるので、困りながらも喜ばしいことに気づきましょう。
生後10ヶ月の言葉の発達
生後10ヶ月になると、赤ちゃんの言葉はハッキリとしてきます。お母さんとお父さんの口の動きを観察して、真似をしようとするので話せる言葉は一気に広がってくるでしょう。
「まんま」「わんわん」「だーだー」など、ハッキリと発音することはできませんが、言葉をかけてあげると理解することはできます。離乳食を上げるときは、「まんま食べようね」というと、まんまという言葉を覚えようとするのです。
夫婦の会話も、赤ちゃんはしっかり聞いているので、マネされたくない言動は慎むようにしましょう
生後10ヶ月の体調不良
主食が離乳食へ 便秘や下痢になりやすい
生後10ヶ月は、離乳食の回数も増えるのでうんちにも変化が訪れます。母乳から離乳食へと主食が移行していくので、少し便秘になりやすいことが多いようです。
離乳食だと水分不足になりやすいため、こまめに水分を摂るよう心掛けましょう。また、なんでも掴んで口に入れることが増えてくるため、変なものを食べて便通に異変が生じることもあります。
食欲が落ちていたり、下痢や長すぎる便秘が続いたりするなど、違和感を覚えたらすぐに受診し、異常がないか判断してもらうようにしましょう。
風邪の予防や注意点は
生後10ヶ月になると、お外へ出かけることも増えてくるため、その分ウイルスや菌に触れる機会も増えてきます。
何でも口に入れたがるので、できるだけ手は清潔な状態を心掛けるようにしましょう。生後10ヶ月の赤ちゃんは、お母さんからもらった免疫が少なくなり、すぐに風邪をひきやすくなります。
活発に動いて体温が上昇し、汗をかきやすくなるので、服装にも注意するようにしましょう。急に高熱が出たり、咳が止まらなかったり、鼻水が止まらなくなったりと、風邪のような症状が出たら速やかに病院で診てもらうようにしましょう。
生後10ヶ月の生活
活発に動き回る遊びが大好きに!おもちゃは?
生後10ヶ月の赤ちゃんは、活発に動き回る遊びが大好きです。ハイハイやつかまり立ちができるようになることが多いため、追いかけっこをしたり、抱っこしながらジャンプして遊んだりするようにしましょう。
おもちゃに関しては、指先を使ったおもちゃに興味を示すことが多くなります。リモコンのスイッチを押したりするのも上手になり、気づいたらスマホで電話がかかっていたなんてこともあるようです。
音の出るものに強く惹かれるので、タンバリンでバンバン叩いて遊べるおもちゃもいいでしょう。掴んだり話したり叩いたりしながら、どうすれば音が鳴るかを探り、遊ぶようになります。
歯が生えることによるケアや注意点は?
生後10ヶ月になると、歯が生えてくる赤ちゃんがほとんどです。授乳中に歯があたり、痛い思いをするお母さんも増えてくるころです。生えてきた乳歯は、虫歯予防のためにも毎日ケアしてあげるようにしましょう。
離乳食の後には歯磨きを行い、清潔な状態を心掛けておきます。歯磨きを嫌がる場合は、お水やお茶を飲んで、口の中に食べ物のカスが残らないようにしておくと安心です。
次々と歯が生えてくると、むずがゆさにおもちゃを噛みはじめる赤ちゃんも多いので、清潔な歯固めを与えて歯のむずむずを解消させるようにしましょう。
生後10ヶ月 生活リズム
生後10ヶ月の赤ちゃんは、人見知りもしますし、お母さんの姿が見えないことで泣いてしまう後追いも激しくなる頃です。
また、つたい歩きを始めたり、ハイハイでどこでも行けるようになったりするため、目が離せないことも増えてくるでしょう。
ただ、しっかりと動いて遊ぶ分、夜はぐっすり眠れるようになります。時々寝付けなかったり、夜中に目が覚めて泣いたりすることもありますが、昼の出来事を記憶して、怖かったことや不安だったことを思い出し、泣いている可能性があります。近くにお母さんがいて、トントン叩きながらあやしてあげると安心して眠れるようになるでしょう。
離乳食は自分でも食べようとするため、時間がかかることが増えてきますが、食べる時間は決めるようにし、生活リズムにメリハリを付けるようにしましょう。
10ヶ月 健診
9ヶ月・10ヶ月健診は、身体測定やハイハイや立つための準備ができているかどうかを主にチェックします。そのチェック方法は原始反射の一つであるパラシュート反応で、赤ちゃんの両脇を支えて持ち上げ頭から下に傾けると両腕と両手がぱっと開きます。
立った時に転倒を防ぐための反応と言われていて、新生児やおすわりの頃にはこの反応が出ず、歩く準備ができた時期に現れます。
赤ちゃんの体調が悪かったり不機嫌だとこの反応が出ない場合がありますが、その場合は複数回行ってチェックするので、一度で出来なかったからと不安になる事はありません。
ここまでのまとめ
生後10ヶ月の赤ちゃんについて成長具合や育児のポイントについて幅広くご紹介しました。ご紹介した数値や、成長のポイントはあくまで参考であって、必ずしもそこに当てはまらなければならないというわけではありません。
赤ちゃんによって成長スピードの速さには違いがありますし、離乳食を食べる量も違います。ひとりひとり性格が違うので、ハイハイも前に進まず後ろに下がったりすることもあるでしょう。
赤ちゃんの成長に、「こうでなければならない」というルールはありません。しかし、周りの赤ちゃんとつい比べてしまい、我が子は大丈夫かと不安になるようなら、近くの病院や子育て支援所でアドバイスをもらうようにしましょう。
お母さんの不安を少しでも解消することは、赤ちゃんにとっても良いことなので、ちょっとでも感じたら周囲にサポートやアドバイスをお願いし、ひとりで問題を抱え込まないようにしましょう。※1参考:厚生労働省 乳幼児身体発育調査