言葉を話す機会も増え、動きもさらにスピードアップしてくる生後11ヶ月。食事は離乳食がメインになるため、そろそろ母乳から卒業し始める赤ちゃんも多い頃です。しかし、離乳食の食べムラが気になったり、授乳回数に卒乳への不安をよぎらせたりするお母さんも多いことでしょう。
そこで、生後11ヶ月の赤ちゃんがどれくらい成長しているものなのか、また育児において心が得ておくべきポイントなどをご紹介していきたいと思います。
これでいいのだろうかと感じていた不安を、さまざまな情報を知ることでひとつずつ払拭していきましょう。
生後11ヶ月の赤ちゃんの体の成長・発達
生後11ヶ月の体重、身長は?
生後11ヶ月の赤ちゃんは、一般的にどれくらい成長しているものなのでしょうか。
男の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長69.4cmから78.5㎝で中央値が73.8㎝です。体重は7.51kgから10.82kgで中央値が9.06kgになります。※1
女の子の赤ちゃんの場合、統計全体の94%は身長67.4cmから76.7㎝で中央値が72.4㎝です。体重は7.02kgから10.27kgで中央値が8.51kgになります。※1
出生時に比べると身長も体重も3倍近くに成長してきますが、赤ちゃんにより個人差はあります。ギリギリ7kgくらいしかない赤ちゃんもいますが、成長グラフが緩やかでも順調なら問題ないでしょう。
赤ちゃん成長カレンダー 発育・発達の目安
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生後11ヶ月の食の発達
授乳間隔 回数は? 卒乳を考え始める?
生後11ヶ月になると、メインは離乳食に移行しているため、授乳回数は減ってきます。
そろそろ卒乳を考え始める頃ですが、生後11ヶ月なら完全な卒乳を目指す必要はありません。ただ、授乳から少しずつ距離を取るためにも、欲しがる場合は離乳食を食べた後に授乳するようにしましょう。
ムリに卒乳しようとすると、赤ちゃんにとってもお母さんにとってもストレスになってしまいます。
最近はさまざまな考え方が出てきており、3歳まで授乳している親子もいるようです。それぞれの親子にとって良い形を考えていくようにしましょう。
ミルクの量 授乳量は?フォローアップミルクも検討?
生後11ヶ月の赤ちゃんは、授乳量もミルクの量も減ってきます。
離乳食を主とするので、ミルクの量は補助的な役割として与えるようにしましょう。栄養が足りない場合は、フォローアップミルクなどを活用し、サポートすると良いでしょう。
授乳に関してはスキンシップも兼ねているため、無理やり制限する必要はありません。病気で離乳食が食べられないこともあるので、必要なときはしっかりと母乳を与えるようにしましょう。
離乳食の量は?
生後11ヶ月の赤ちゃんは、朝、昼、晩と3食しっかり離乳食を食べることがほとんどです。しかし、一度に食べる量は定まっておらず、バラバラになりやすいのも生後11ヶ月の特徴と言えるでしょう。
食べる量よりも質を重視し、たんぱく質やビタミン、食物繊維、鉄分が足りているか気を付け、バランスの良い食事内容にすることが大切です。
離乳食の量が足りず、栄養が心配な場合はフォローアップミルクで栄養補給しておくと安心でしょう。
離乳食を食べない 体重増えない
生後11ヶ月になると、味覚が発達し、食べられる離乳食の範囲も増えてくるため、食に対する好みが出てきます。
これは食べるけど、これはイヤと意思表示を示し、離乳食を食べないことも出てくるでしょう。味付けや、硬さを変えてみたり、同じ食材を続けて出したりしないようにすることで、徐々に食事の量は安定してくるでしょう。
離乳食もそろそろ最終段階に近づいてくるため、とろとろのおかゆ状態から、やわやわのごはんくらいにまで硬さを付けていきます。
できるだけ消化のよい食材を選び、指で潰せる柔らかさを基準にすると良いでしょう。魚や肉を与える場合は充分過熱をしておくことも大切です。味付けは極力薄味にし、化学調味料はできるだけ使わずに素材の味を感じ取れるように心がけましょう。
おやつはどうする?
生後11ヶ月になると、離乳食がメインになるため栄養はそこから摂ることになります。赤ちゃんによっては、離乳食が始まったことから授乳離れが進むこともあるでしょう。
しかし、赤ちゃんが1回の食事で食べられる量はある程度決まっていますので、おやつで足りない栄養を補充するのもオススメです。果物や甘味の少ないボーロなどを与えると良いでしょう。
ただ、おやつの回数が増えると、メインの3食の離乳食で思うように食べられなくなります。また、塩気が強かったり甘味が強かったりすることで、胃に負担がかかったり、虫歯になりやすくなったりするので注意しましょう。
生後11ヶ月の睡眠の発達
睡眠時間は? 昼寝時間? 眠り方は?
生後11ヶ月になると、短時間で目を覚ますことは少なくなってきます。活発に動くのでお昼寝も夜もぐっすり眠れるようになるでしょう。
夜も大人と同じように長い睡眠をとれるようになってきます。夜20時か21時くらいには寝る習慣をつければ、成長ホルモンも積極的に分泌されるようになるでしょう。
また朝早く目覚めて離乳食を食べることで、午前中に消化機能がしっかり働くようになります。しっかり消化吸収できると、次の離乳食も美味しく食べられるようになるので、睡眠と離乳食のタイミングはできるだけ固定するようにしましょう。
寝ない 夜泣き 夜中起きる
生後11ヶ月になると、時々夜中に起きたり、夜泣きしたりすることがあります。怖い夢を見て泣き出す赤ちゃんもいますが、昼間のことを記憶していて、それを思い出して不安になることもあるようです。
昼間に公園で怖い犬に会って激しく泣いたことをふと思い出し、同じような気持ちになって泣いてしまうことがあります。また、目が覚めたら近くにお母さんの姿が見えず、不安になって泣くこともあるようです。
いずれにせよ、しばらく付き添いなだめておけば、徐々に治まってくることでしょう。
疳の虫(かんのむし)とは
一日中泣いてばかりいたり些細な物音や光に過敏に反応して神経が高ぶってしまうような状態は、「疳の虫」という虫が原因だと昔から言われていました。
現在では小児神経症と診断されていて、元々未熟な赤ちゃんの自律神経バランスがさらに崩れた状態を指し、生後6ヶ月から1歳半の赤ちゃんに多く発生し3歳ごろには治まっていきます。
神経過敏な赤ちゃんなので些細な事が原因となりえますが、中でもストレスによるお母さんの表情や態度が症状を悪化させる一因ではないかと考えられています。ちょうど育児疲れが出てくる頃ですので、お母さんにストレスが溜まっている可能性があります。夫に協力を頼んで、一人の時間を作ってリフレッシュしてみてはいかがでしょうか。
生後11ヶ月の手や指の発達・運動発達
ハイハイ ハイハイしない つかまり立ち
生後11ヶ月になると、遊びたいおもちゃや、興味のあるものに対して素早くハイハイできるようになります。かなりスピードアップしてきますので、ちょっと目を離したすきに思わぬ距離を進んでいることもあるでしょう。
しかし、生後11ヶ月になってもなかなかハイハイしない赤ちゃんもいます。どちらかというと座っている方が好きだったり、つかまり立ちをしては上下にジャンプするのが得意だったりするのです。
ハイハイしないからと言って、発達が遅れているようなことはありません。赤ちゃんの性格により、好みの動きがありますので、我が子らしい移動や動き方の好みを探ってみると良いでしょう。
ちなみに、ハイハイは前に進むものというイメージを持つ方も多いですが、後ろに進む赤ちゃんもいれば、斜めや横などハイハイの仕方はそれぞれ違います。それぞれの赤ちゃんにより異なるハイハイの楽しみ方を見比べてみるのも面白いでしょう。
生後11ヶ月のこころの発達
警戒心を持ち人見知り
生後11ヶ月になると、顔を認識したり、覚えたりできるようになるため、知らない人を知らない人だと認識できるようになります。
このことから、初めて会う人に警戒心を持ち、人見知りしてしまうことも多いようです。不安げな顔をする赤ちゃんもいれば、急に激しく泣き出す赤ちゃんもいて、人見知りの表現の仕方は様々です。
ただ、人見知りをしないからと言って、顔が認識できていないというわけではありません。不安よりも好奇心の方が勝る赤ちゃんの場合、知らない人を見ると、触れて確かめようとすることもあるでしょう。
また、最初は人見知りしていた人も、何度か顔を合わせているうちに覚え、人見知りしなくなることもあるので、気長にコミュニケーションを続けていくと良いでしょう。
読み聞かせ 集中力アップ
絵本を読み聞かせようと思っても静かに聴けず飽きてしまう赤ちゃんも多いですが、読み聞かせをする事は将来赤ちゃんの集中力をアップさせたり語彙力を増やすためには欠かせず、読み聞かせをしていない子としている子では成長するにつれて違いが明らかになる事が研究で分かっています。
聴かないからと諦めずに、ぜひ赤ちゃんが好きそうな本を選びましょう。ポイントは電車や車の音や犬の鳴き声など、身近にある擬音語の本をリズミカルに早く読む事で、この時期の赤ちゃんが座っていられる秒単位で読み終わるような絵本がお勧めです。
図書館の赤ちゃんコーナーに連れて行って絵本を読むのも楽しそうですが、絵本を破ってしまったり館内をうろちょろしないよう十分に気をつけましょう。
生後11ヶ月 言葉 の言葉の発達
生後11ヶ月になると、言葉の認識がかなりハッキリしてきます。相手が話していることが理解できるため、ダメなことはダメだとハッキリ教えてあげることも必要です。
例えば、食事中に食べ物を投げる行為をしたら、手を握って「投げたらダメ」と注意してあげましょう。真剣な顔といつもとは違う声のトーンに、これはいけない事なのだと理解することができます。
また、相手の言葉を復唱して覚えようとするので、御飯を上げるときは「まんま」寝かしつけるときは「トントン」と言葉で表現することで、お腹が空いているときに自ら「まんま」というようになるでしょう。
さらに、感情表現を声で表すことも増えるため、甘い声を出して来たり、キー!と怒った声を上げたりすることもあるでしょう。お母さんに何か話しかけるような言葉を発することもあります。
赤ちゃんとしては相手に話しかけているつもりなので、何か言葉を発してきたら顔を見てうなずいたり、「そうだね」と答えてあげたりすると良いでしょう。
毎日の挨拶を教えましょう
赤ちゃんのおしゃべりも更に増えてくる頃です。大人の話もよく理解しているようで、赤ちゃん自身は大人のように会話をしていると思っているかもしれません。
急に何か話しかけてきた時は、ぜひわからなくても答えて会話をしてみては。危ない事はしてはいけないという社会の基本的なルールはすでに教えているお母さんも多いですが、会話を理解し始めた今はぜひ毎日の挨拶を身につけさせましょう。
「おはよう」から始まる挨拶の言葉は沢山ありますが、赤ちゃんがそれを理解すれば行動の合図となりますから、赤ちゃんがその言葉で自発的な行動を取れるようになります。
生後11ヶ月の体調不良
排便にも変化 便秘 下痢
生後11ヶ月になると、授乳の機会が減り離乳食がメインになります。このことにより、徐々に排便にも変化が生じてくるでしょう。
気を付けたいのは、水分補給。水分が不足すると便が硬くなって便通が滞ってしまいますので、お茶やお水をこまめに飲むようにしてください。
なかなか便通が改善しない時は、お腹を優しくマッサージしてあげると良いでしょう。
下痢が続く場合は、離乳食が硬すぎたり、柔らかすぎたりしている可能性があります。また、腸に合わない可能性もあるのでアレルギーテストで調べてみるのも良いでしょう。
生後11ヶ月の生活
音遊び おもちゃ
生後11ヶ月になると、言葉を理解する聴覚がより発達してきます。このことにより音楽にも興味を示し始めるので、楽しい音楽をかけてあげると良いでしょう。身体を一緒に動かすリズミカルな音楽なら、音に合わせて一緒に踊ることができます。
またボタンを押すと音が流れてくる絵本や、楽器にも興味を示すことが増えてくるでしょう。
指先の力がついてくるので、びりびりと紙を破いたりする行為も夢中になります。紙が破ける感触と音が楽しくて、触ったものを全て破ろうとするので、大切な紙は高いところへ避難させておくようにしましょう。
何処の歯が生える? 歯固めは?歯磨きは?
生後11ヶ月になると、上下に歯が生え始めてきます。4本ずつ生えてきて8本生えそろった赤ちゃんもいるでしょう。
歯が生えてくると、むずむずと痒さが生じるため、離乳食のスプーンをずっと噛んでいたり、絵本の端を何度もかじったり、おもちゃを口に入れたりするようになります。
おもちゃだと誤飲の可能性もありますし、スプーンだと目を離したときに奥に入ってしまうこともあります。
歯固めというアイテムがあると、安心して口に入れて噛むことができるので、与えてあげると良いでしょう。
また、虫歯を防ぐためにも毎食後に歯磨きをすることを忘れないようにしましょう。健康な歯を守ることは美味しく食べることに繋がります。歯の健康を守るのも、お母さんの役目のひとつと心得ておきましょう。
生後11ヶ月 生活リズム
生後11ヶ月になると、生活リズムは整ってきます。では、お母さんの生活リズムはどうでしょうか。
育児休暇を取っている場合、そろそろ職場復帰の準備を始めなくてはなりません。赤ちゃんと共に不規則な生活リズムになっていた方は、徐々に鳴らしていくようにしましょう。
また体力的な問題もあるため、ムリは禁物です。家事や育児に加えて仕事もするとなると、かなり体力を消耗されることをシミュレーションしておくべきです。
そして気持ちの面でも赤ちゃんと離れたくないという気持ちが強くなるでしょう。生まれてからずっと、赤ちゃんにつきっきりでしたから無理もありませんが、育児から少し距離を置くことで、気持ちに余裕が生まれることもあります。さまざまな考え方がありますので、心と体のバランスを考え、職場復帰は無理をしすぎないようにしましょう。
まとめ
生後11ヶ月の赤ちゃんについての情報をご紹介しました。ひとりひとり成長のスピードは違いますから、自分の子供と周りの子供を見比べて評価する必要はありません。
また、赤ちゃんの性格により、ハイハイが好きでどんどん上手になっていく子もいれば、つかまり立ちでスクワットだけしかしない赤ちゃんもいます。ひとつできることが多いからと言って、運動機能が発達しているとは限らないので、焦る必要は全くありません。
しかし、周りの子と比べてしまい不安になることもあるでしょう。そんな時は、定期健診や各自治体の育児教室に赴き、さまざまな疑問や不安を投げ掛けてみましょう。自分が思っているよりも、赤ちゃんは健やかに成長しているということが理解できますし、育児の不安も解消されていきます。焦らないことが最も大切ですので、一つ一つの不安を払拭し、楽しい育児を心掛けていきましょう。※1参考:厚生労働省 乳幼児身体発育調査