赤ちゃんとの生活が馴染み、授乳のタイミングもリズムが整ってくると、そろそろ気になり始めるのが離乳食のスタートするタイミングではないでしょうか。
いつが離乳食のタイミングとしてベストなのかと、悩むお母さんも多いことでしょう。そこで、たくさん悩みがちな離乳食に関するさまざまな情報について、幅広い角度からご紹介していきたいと思います。
離乳食を開始するタイミング
出生してから今まで、赤ちゃんの栄養は母乳やミルクから摂っていることがほとんどです。しかし、徐々に成長するにつれて離乳食からも栄養を摂っていく必要が出てきます。
おおよその目安としては、生後5ヶ月~生後6ヶ月が離乳食をスタートする時期だと言われていますが、赤ちゃんにより成長するスピードは異なるため、よく見計らう必要があります。
例えば、ある意見では乳歯が生えてきた時点で離乳食をスタートするべきだという考え方もありますし、哺乳反射が見られたら離乳食をスタートするべきだという考え方もあります。月齢だけに限らず、さまざまな様子を見ながら、離乳食を開始していくと良いでしょう。
乳歯が生えてくる時期
赤ちゃんが離乳食をスタートする時期として、ひとつの目安となるものに乳歯が生えてくるタイミングがあります。乳歯が生えてくるのは、生後5ヶ月~6ヶ月あたりが多く、「歯が生えてきたということは、歯で噛んで栄養を摂る必要がある時期」と考えられています。
実際に、歯が生えてきたら咀嚼回数をできるだけ多くした方が、顎の筋肉が発達し歯並びも良くなって歯のために良いとされています。
多くの赤ちゃんが、下の前歯から乳歯が生えてくるので、そのタイミングをきっかけに離乳食をスタートしてみると良いでしょう。
哺乳反射ができる時期
赤ちゃんが離乳食をスタートする時期として、哺乳反射をひとつの基準とする考え方があります。哺乳反射とは、赤ちゃんが口に触れた食べ物に反応して反射的に口を開き、固形物が口の中に入ったら舌で押し出したり、口の奥に入った食べ物に対して吸い込んだりするような動きをすることを言います。
哺乳反射は、生後4ヶ月~生後5ヶ月くらいに少しずつ弱まり、生後6ヶ月~生後7ヶ月頃くらいになると、自分の意志でコントロールできるようになります。
そろそろかな?と思うタイミングで離乳食を与えてみて、すぐに口から出してしまうようなら、まだ早い時期だと言えるでしょう。
首が座る時期
赤ちゃんが離乳食をスタートする時期として、首が座る時期を目安にするという考え方もあります。首が座ると支えたら座れる体制が取れるため、離乳食を与えても食道をきちんと通ることが可能になるからです。
首が座る時期になると、いろんなことに興味を持つことが増え、家族が食べているものにも興味を示し始めてきます。
いつもは授乳したら満足していたのに、食事をしているお父さんの顔をじっと見たり、お母さんが食べているものを見てよだれをたくさん流したりするようになります。食べるものに関心が出てきている証拠ですので、このような様子が見られたら、離乳食をスタートしても大丈夫でしょう。
今と昔の違い アレルギー
昔だと、赤ちゃんの離乳食をスタートする時期は生後4ヶ月くらいからが基本でした。しかし、今では多くの赤ちゃんが生後5ヶ月~生後6ヶ月くらいの時に、離乳食をスタートしています。少し時期が遅れているのは、食物アレルギーの懸念が強くなっているからです。
生後間もない赤ちゃんは、まだ消化器官が発達しきっていないため、アレルゲンの強い食材に対して強くアレルギー反応を起こすことがあります。そのため、できるだけ離乳食をスタートする時期を遅らせ、消化器官の発達を待ってから与えるのが安全だという考え方が浸透しているのです。
また、生後6ヶ月以降から1歳くらいまでに、食物アレルギーの検査を受けられるため、それを済ませてから離乳食をスタートしたいと考える家庭も多いようです。
アレルギー反応が強く出てしまうと、呼吸困難に陥ったり、全身に湿疹が出て痙攣したりする可能性もあるので、慎重に対処した方が良いでしょう。
離乳食初期について
赤ちゃんが離乳食をスタートするタイミングとしては、さまざまな考え方がありますが赤ちゃんに離乳食を与えて食べてくればそれがスタートとして最適な時期だと言えます。
離乳食の量について
最初の離乳食は、どんなものをどれくらい与えたらちょうど良いのでしょうか。初めて離乳食を食べるなら、お米をトロトロ状態にしたものが良いでしょう。お米はアレルギー反応を起こす可能性が低く、消化もしやすいので初めての離乳食としては最適です。お米を10倍の水でトロトロの糊状にしてから、小さいスプーン1杯を与えてみます。
離乳食を食べるタイミングとしては、授乳のうちの1回を離乳食にあてると良いでしょう。1日に5回授乳しているなら、お昼前後の1回分を離乳食にあててみてください。最初は、1日に小さいスプーン1杯程度の量で充分です。
離乳食の種類
赤ちゃんが離乳食をスタートする時には、トロトロのおかゆからスタートしていくのが安心です。ヨーグルトくらいの硬さを目安にすると良いでしょう。
その他の食材としては、野菜を中心に与えてみると良いでしょう。カボチャやリンゴ、さつまいもなど甘みの強い離乳食は喜んで食べてくれることが多いです。ただ、どんなにトロトロ状態にしていても卵や牛乳、はちみつは食べさせないようにしましょう。
蜂蜜に関しては、1歳を過ぎるまでは乳児ボツリヌス症予防の為にも食べさせないことが推奨されています。
離乳食初期の母乳やミルクの量
初めて離乳食を与え始めると、授乳の量やミルクの量が気になってくるのではないでしょうか。離乳食をスタートしたばかりなら、母乳やミルクは要求するだけ与えたら良いでしょう。
この時期は、まだ授乳から栄養をメインに取っているため、離乳食は慣らしている状態です。離乳食をスプーン1杯与えた後に授乳を欲求することもありますが、拒否せず与えてあげるようにしましょう。
果物について
赤ちゃんに与える離乳食としては、ご飯や野菜が中心となることが多いでしょう。では、果物についてはどれくらいの時期から与えて良いものなのでしょうか。
リンゴやいちご、バナナやミカンなどは、離乳食初期の頃から与えても大丈夫です。ただし、消化しやすいようにとろとろの状態にしておくことが大切です。
果物には特有の酸味があるので、苦手に感じる赤ちゃんもたくさんいます。ビタミンやミネラルが豊富な果物ですから、食べさせたいという時は少し加熱したり摩り下ろしたりして甘味を引き出し、食べやすいようにしてあげましょう。
同じ果物でも、パイナップルやグレープフルーツ、マンゴーにはアレルギー反応を起こす可能性があります。離乳食完了期の頃でも、反応を示すことがあるのである程度消化器官が発達してから食べてみるようにしましょう。
飲み物を飲む練習もスタートしましょう
離乳食を始めたら、一緒にストローやマグで飲み物を飲む練習を始めましょう。ストローで飲めるようになれば、外出しても一々ミルクを持っていく必要がなくなります。
月齢が低い頃は唇を閉じて動かす事ができず、唇が動くようになるのは生後6ヶ月ごろと言われています。しかしこの頃でもストローは咥えるだけ、コップから飲もうとしても唇の端から流れ落ちてしまうなど、まだまだ上手に動かせるわけではありません。
しかし遊び感覚で使わせていくと、次第に慣れて出来るようになってきます。今まで母乳やミルクだけだった赤ちゃんに、白湯や麦茶など他の味を覚えさせて卒乳の準備を今から始めていきましょう。
離乳食中期について
離乳食をスタートしてみると、食べることが得意かそうでないかが徐々にわかってきます。離乳食が得意なようなら、生後7ヶ月から8ヶ月くらいには次の段階へ進んで行きましょう。
離乳食中期として、離乳食の回数を1日1回から、1日2回に増やしていきましょう。離乳食の硬さも、少し舌触りが残るほどにしていきます。
まだ歯を使って咀嚼することはできないので、舌と上あごで潰せるくらいの硬さにしておくと良いでしょう。離乳食初期の頃には、ヨーグルトの硬さを目安にしていましたが、離乳食中期ではお豆腐くらいの硬さを目安にすると良いでしょう。
卵などをチャレンジ
離乳食中期では、食べる食材の種類も徐々に増やしていきます。お豆腐などの大豆製品が大丈夫なら、次は卵にチャレンジしてみましょう。
卵黄と卵白では、卵白の方にアレルギーが出やすいので、卵黄から食べ始めてみるのがオススメです。白身魚や、納豆、バナナなども試してみると良いでしょう。
離乳食後期について
離乳食も慣れてきたら次は1日3回の食事にしていきましょう。生後9ヶ月~11ヶ月くらいには、離乳食後期の食事として、ある程度粒の硬さがある食材にしても大丈夫です。硬さの目安としては、歯茎で潰せるくらいの硬さが良いでしょう。
離乳食中期ではお豆腐の硬さが目安でしたが、離乳食後期になるとバナナくらいの硬さを目安にするとちょうど良いです。
まだ歯が生えきっていないので、しっかり噛み砕いたりすることは難しいですが、柔らかいものを歯茎で何度も噛むことで、徐々に歯でかむ感覚も養われていくことでしょう。
離乳食完了期について
離乳食を1日3回無理なく食べられるようになってきたら、いよいよ完了期にさしかかります。1日3回の食事量は変えずに、食事の硬さを調整していきましょう。
生後12ヶ月~生後1歳半くらいまでの間に、離乳食を完了期に近づけていきます。
離乳食後期では、バナナくらいの硬さが理想的でしたが、離乳食完了期になると、大人に近い食べ物を食べられるようになります。食べ物の硬さの目安としては、肉団子くらいの硬さを目指すと良いでしょう。
突然離乳食を食べなくなったら?
これまで母乳やミルクだけだった赤ちゃんが離乳食にチャレンジするようになると、中には全然食べない赤ちゃんも出てきます。赤ちゃんがこんな状態ではお母さんも不安になってしまいます。
離乳食を始めたばかりならば、赤ちゃんはまだ母乳やミルクだけで十分と思っているケースがあります。しかしこれまで順調に離乳食が進んでいたのにある日突然食べなくなってしまった場合は、もしかしたら赤ちゃんなりに納得していない部分があるのかもしれません。
離乳食を進める時期はちょうど精神的に成長する時期と一致しているので、話せないながらも何とか自分の納得できない事を伝えようとしているのかもしれません。
突然離乳食を食べない赤ちゃんへの対策
離乳食を急に食べなくなってしまった赤ちゃんは、細かな不満に対する抗議行為だと考えれば理解できるかもしれません。例えば毎日同じ離乳食が出てきて飽きてしまったとか、タイミングが悪くてまだお腹が空いていない・椅子に座るのが嫌といった不満を態度で表しているのですね。
また、夜に家族で食事をしているのを見て、自分が離乳食を食べる時には誰も一緒に食べてくれないのが寂しい、なんていう可愛い理由も挙げられるでしょう。今までと同じは嫌だという気持ちは心が成長している証ですから、なるべくなら汲み取ってあげたいものです。赤ちゃんの様子を良く見て、アイデアを色々出してあげてみて下さい。
手づかみについて
離乳食も完了期にさしかかると、お母さんやお父さんから食べさせてもらうだけでなく、自分でも食べたいという意思が働いてきます。
目の前にある食べ物を掴もうとしたり、食べさせようとするスプーンを嫌がったりすることもあるでしょう。そんな時は、自分のさせたいようにご飯を手づかみさせて、食べさせてあげるようにしてください。
目の前の食べ物に興味を示し、指を使ってそれを確かめて、舌で味わうという作業は、脳の発達にたくさんの刺激を与えてくれます。目と、手と、口を連携させる大切な訓練のひとつなので、汚れることがあってもじっと見守ってあげるようにしましょう。
離乳食は手で掴みやすいような形状にしてあげるのもオススメです。ごはんは小さなお結びにしたり、野菜を掴みやすいようにスティック状にしたりすることで、楽しみながら食べることをトレーニングすることができます。
味付けについて
赤ちゃんに与える離乳食は、基本的に薄味にしておくことが大切です。
最初から濃いめの味付けにしてしまうと、素材本来の味を確かめることができなくなってしまいますし、味覚障害を引き起こす恐れもあります。また、喉が渇きすぎたり、甘すぎて血糖値が上がりすぎたりすることもあるので注意が必要です。
極力味付けはしないようにして、素材そのものの味をしっかり感じることで、五感をしっかり育んでいけるようにしましょう。
離乳食の作り置きについて
離乳食初期は赤ちゃん用スプーン1杯からスタートします。少ない量を毎日作るのは大変なので、沢山作って小分けにして冷凍すれば1週間持ちます。1週間に1回の作り置きならお母さんも楽です。
製氷皿やラップなどで1回分ずつ分けますが、容器は一度洗ってよく乾かしてから使います。野菜はそのまま冷凍すると解凍した時に水分が抜けてスカスカになってしまうので、よく茹でてつぶしてから小分けにしましょう。
冷凍していてもダメになってしまう事があるので、解凍する時にはレンジや鍋で再度火を通すと安心です。それから赤ちゃんが残した離乳食の冷凍は絶対にNG。唾液がついているので雑菌が繁殖しやすくなり、お腹を壊してしまいます。
離乳食のグッズ
離乳食を楽しく食べて、お母さんの片づけも楽にしたいなら、さまざまな便利グッズを使ってみてはいかがでしょうか。
食べこぼしたものを受け止めてくれる形状のスタイや、握りやすいスプーンやフォーク、食べこぼしても気にならないマットなどがあると非常に便利です。
特に、離乳食完了期に近づくと、自分で食べたがる赤ちゃんが増えるため、いつもより時間がかかり食べこぼす頻度も増えていくでしょう。
しかし、赤ちゃんは真剣ですし、必死で食べようとしながら学んでいる最中です。散らかしてしまうからと、やみくもに中断させるのではなく、静かに見守りながらサポートしてあげるようにしましょう。
卒乳について
離乳食を1日3回食べるようになると、徐々に授乳する回数は減らし、量も減っていきます。離乳食も完了期に差し掛かる段階なら、口から栄養を十分補給できているので、卒乳にチャレンジしてみるのも良いでしょう。
卒乳は、赤ちゃんと一緒に日付を決めておくと心の準備がはかりやすくなります。「今日でおしまいね」と宣言し、最後の授乳が終わったら「もう終わりだよ」ときちんと教えてあげましょう。
3日くらいは、おっぱいが飲みたいと泣いたり駄々をこねたりしますが、徐々に気持ちも納まり受け入れられるようになります。
離乳食は柔軟性を持って進めましょう
離乳食の進め方についての情報を沢山目にしますが、それはただの目安に過ぎず結局は赤ちゃんのペースに合わせる事になります。
熱や下痢・便秘などになれば消化の良いものが一番なので、赤ちゃんが調子を崩すたびに離乳食を一段階戻すなんて良くある事ですし、自分が納得するまで次のステップには進まない頑固な赤ちゃんなど、赤ちゃんのキャラクターによっても進み方がずいぶん変わってきます。
離乳食の進め方が遅れるほど不安になってしまいますが、必ず大人と同じような食事を摂れるようになるので、心配しないで赤ちゃんのペースでゆっくり進めていきましょう。
まとめ
赤ちゃんと離乳食について知っておくべきことを幅広くご紹介しました。離乳食をスタートする時期としては、赤ちゃんの様子を見ながら決めていくと良いでしょう。
また、離乳食を進めていくスピードにおいても、赤ちゃんそれぞれの食べ方を見ながら、マイペースに進めていくことが大切です。
月齢○ヶ月までにここまでできていなければならないという制限はありませんので、我が子のペースを大切にゆっくりと見守ってあげましょう。