母乳の保存方法と解凍方法について知っておきたいこと

母乳の保存方法・解凍方法・保存期間について知っておきたいこと 赤ちゃん 生活

完全母乳で育児したいけど、でも卒乳まで1日も欠かさず赤ちゃんに授乳するのは自信がない。そんな方にぜひ知っておいてもらいたいのが、母乳の保存方法。

完全母乳を目指しているママにとって、母乳保存の方法に関する知識は必要不可欠。仕事をしているかどうかに関わらず、母乳を冷凍・冷蔵することによって、いつでも好きなときに赤ちゃんに母乳をあげることが出来ます。

知っておくと便利な母乳の保存法。搾乳の方法に始まり、保存の仕方、冷蔵保存すべきか、それとも冷凍保存すべきか?解凍の方法や保存できる期間など、母乳保存について知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。

母乳の保存のメリットについて

母乳の保存のメリットについて

母乳の保存は面倒と思っていませんか?まず母乳を搾乳し、それを哺乳瓶や保管パックに保存。保存した母乳を赤ちゃんにあげるときに解凍して温める。母乳を搾乳し保存するのは確かに手間と時間のかかる作業になりますが、そのかわりメリットもたくさんあります。まずは搾乳のメリットについて考えてみましょう。

搾乳は大切!様々なメリットが

搾乳は大切!様々なメリットが

母乳の出がよく、胸の張りや痛みが気になる方にとっては、搾乳は乳腺炎や発熱を防ぐ意味でも重要です。反対に母乳の出が少ない場合は、出産直後から搾乳を始めることにより、母乳の分泌を安定させることが出来ます。

母乳の出の良し悪しとは別に、赤ちゃん自身が母乳を飲む量には、月齢やそのときの赤ちゃんの体調によって違いがあります。

母乳の分泌量と赤ちゃんの飲む量が常に一定であることが望ましいのですが、現実にはこれは稀なケースで、どんなに理想的な状況でも、母乳の供給と消費はアンバランスになります。搾乳を行うことにより、このアンバランスな状況を改善することが可能になります。

母乳の保存方法

母乳の保存方法

搾乳した母乳の保存方法について詳しくみていきましょう。搾乳した母乳は殺菌消毒してある哺乳瓶か、専用の母乳パックに保存します。

哺乳瓶も母乳パックも、母乳保存に便利な製品がたくさんありますので、保存方法や保存期間を考え、もっとも適したものを選ぶようにしましょう。

母乳を常温で保存する場合

常温で保存する場合

搾乳したあとそのまますぐに赤ちゃんに飲ませる場合には、哺乳瓶で常温保存しても差し支えありません。搾乳後どのくらい保存できるかですが、4時間以内が目安になります。

ただしこれは飲ませることが可能な限度ですので、気温や湿度によってはこれよりも早く飲ませなければなりません。哺乳瓶や保存容器によって飲ませられる期間が決まっていますので、まずはこれを確認するようにしましょう。常温保存の母乳は、出来るだけ早く飲ませることが原則です。

気温が25℃以上の場合や湿度が高い場合など、常温で保存すると母乳がだめになりそうな場合、いつ赤ちゃんに飲ませるか、はっきり分からない場合は、常温ではなく冷蔵や冷凍保存したほうが安心です。

母乳を冷蔵保存する場合

母乳を冷蔵保存する場合

搾乳してから数時間以内に飲ませる場合以外は、冷蔵庫あるいは冷凍庫で保存しなければなりません。冷蔵保存する場合も常温保存同様、哺乳瓶や母乳パックに入れて保存します。

冷蔵保存の場合の注意点

冷蔵保存の場合の注意点

母乳保存に適した哺乳瓶の場合、乳首を外し、保存用のキャップをしっかり閉めます。母乳パックの場合も必ず密封し、母乳の栄養が損なわれないように、母乳がだめにならないようにします。

保存する際には冷蔵庫内の手前ではなく、温度が変化しにくい奥の部分に入れるようにします。冷蔵庫の手前部分や扉部分の保管場所は、扉の開け閉めにより温度が上がりやすいので注意しましょう。

また冷蔵庫内の他の食べ物の匂いが移らないよう、必ず密封できる容器かパックを使用するようにします。

冷蔵保存できる期間

冷蔵保存できる期間

冷蔵保存できる期間ですが、一般的には3日から8日間可能とされています。しかしこれはあくまでも可能な範囲を示したもので、保存できる期間は、赤ちゃんの月齢や健康状態、冷蔵庫内の温度や保存容器によって大きく左右されます。

冷蔵保存した母乳は、出来るだけ24時間以内に飲ませることが勧められています。また保存に利用している容器によって、可能な保存期間が異なります。哺乳瓶や容器を購入したら、まずはこれをきちんと確認してから搾乳・保存しましょう。

母乳を冷凍保存をする場合

母乳を冷凍保存をする場合

冷蔵保存よりも長い期間保存したい場合には、フリーザーバックや母乳パックに入れて冷凍保存します。哺乳瓶の中には冷凍保存可能なものがありますので、哺乳瓶のまま保存したい方はこちらを利用しましょう。冷凍可能な哺乳瓶以外は、破裂してしまうおそれがありますので、必ず冷凍対応のものを使用してください。

フリーザーバックは普通のものではなく、母乳専用のものを利用しましょう。母乳専用のフリーザーバッグは母乳が入れやすい工夫がされており、機能性の面でも減菌・密封など、母乳保存にとって必要不可欠な機能が備わっています。

母乳を入れたあと空気が抜きやすい、搾乳した日付やメモを記入できる、容量の種類が多い、など母乳保存には欠かせないポイントがきちんと押さえられていますので、使いやすく無駄がありません。

冷凍保存の場合の注意点

冷凍保存の場合の注意点

冷凍保存する際には必ず搾乳した日時を記入するようにします。日にちを記入していなければ、いつまで飲ませられるか判断できなくなります。。

母乳パックいっぱいに入れるとパックが膨張し破裂してしまいます。冷凍保存する場合、母乳パックいっぱいではなく、四分の三程度入れるようにしましょう。

また後述しますが、飲み残した母乳は処分するしかありませんので、母乳パックに保存する際には赤ちゃんが一回で飲める量を考え、それに応じた容量のパックを選ぶようにすると無駄がありません。

冷凍保存できる期間は

冷凍保存できる期間は

冷凍保存の期間は3ヶ月から12ヶ月とされていますが、これもあくまでも可能な期間ということで、1ヵ月をめどに飲ませることが理想的です。

家庭用冷蔵庫は開閉の際に庫内の温度が変化しやすく、また冷蔵庫の性能や外気による影響を受けやすくなっています。冷蔵にしろ、冷凍にしろ、ここに挙げた保存可能な期間は、あくまでも適正な温度管理のもと、完全な密封状態で急速に冷蔵・冷凍した場合の目安ですので、この期間ぎりぎりまで飲ませることは勧められません。

冷凍保存の場合も出来るだけ早く使い切るようにしましょう。冷蔵保存同様、保存容器やパックによって期間が定められていますので、これに従うようにしましょう。

冷蔵と冷凍の選び方

冷蔵と冷凍の選び方

冷蔵するか、それとも冷凍にするか、迷ってしまう方が多いようです。冷蔵も冷凍もどちらも同じような気がしますが、長期間冷凍すると栄養価や成分の質が少々損なわれてしまう可能性があります。

24時間以内に赤ちゃんに飲ませることが分かっている場合には、冷凍ではなく冷蔵保存しましょう。冷蔵庫の中に置く場所に注意し、温度の変化の少ない冷蔵庫の奥に保存します。冷凍保存の場合は長期の冷凍も可能ですが、出来れば2週間から1ヵ月程度で飲み切るようにします。

保存母乳の温め方 解凍方法

保存母乳の温め方

冷蔵・冷凍保存した母乳を飲ませる際にはどのような方法で温めればいいのでしょうか。母乳の栄養を損なわない温め方をしっかり覚えておきましょう。

母乳を温める際に直火で沸騰させたり、電子レンジにかけると母乳に含まれる成分が壊れてしまうおそれがあります。搾乳・保存していても、温めるときに母乳をだめにしてしまったらまったく意味がありません。母乳の温め方について詳しくみていきましょう。

常温・冷蔵保存の場合の温め方

常温・冷蔵保存の場合

常温・冷蔵保存の場合は、湯せんにかけて人肌程度にゆっくり温めます。直火や電子レンジで温めると母乳の成分が損なわれたり、成分の質が低下しますので絶対にやめましょう。湯せんでも温めすぎないように注意します。

冷凍保存の場合の解凍の仕方

冷凍保存の場合の解凍の仕方

冷凍保存の場合は冷蔵庫で自然解凍をするか、流水につけて解凍します。解凍後は常温・冷蔵保存の場合と同じように湯せんで温めます。

外出中に解凍・温める場合

外出中に解凍・温める場合

自宅であれば湯せんにかけて温めれば済みますが、外出中や移動中の解凍・温めはどのような方法で行えばいいのでしょうか?外出中に保存した母乳を飲ませたい場合もやはり同じように湯せんで温めなければなりません。

魔法瓶にお湯を入れたものと、母乳パックがはいるサイズの容器、そして哺乳瓶の三つを必ず携行しなければなりません。哺乳瓶の消毒が面倒な場合は、使い捨てタイプの哺乳瓶を利用すると便利です。

解凍後の保存期間と保存方法

いったん解凍した母乳をすぐに飲ませない場合、10時間程度であれば冷蔵庫で保存できます。解凍したのち常温に置いた場合は周囲の気温環境に影響を受けますので、出来るだけ早く飲ませるようにしてください。

飲み残しや飲んでくれなかった母乳を再冷凍するのは絶対にいけません。残った分を新しく搾乳した母乳に加えて冷凍することもNGです。飲み残しはすべて処分することになりますので、一回に飲める量だけ解凍します。

外出先で搾乳する場合

外出先で搾乳する場合2

自宅であれば搾乳した母乳をそのまま冷蔵庫や冷凍庫に保存できますが、外出中や職場で搾乳した場合、そのまま運んでいるとせっかく搾乳した母乳がだめになってしまいます。

すぐに飲ませる予定もなく、冷蔵庫・冷凍庫に入れることも出来ない場合には、保冷剤を入れたクーラーバッグに入れ、出来るだけ早く冷蔵・冷凍するようにしましょう。

哺乳瓶を嫌がるときの対処法とは?

哺乳瓶を嫌がるときの対処法とは?

母乳に慣れきっている赤ちゃんの中には、哺乳瓶から飲むことを嫌がる赤ちゃんがいます。赤ちゃんが哺乳瓶を嫌がる場合には、無理強いをせずにおなかが空くまで待ってみましょう。

おなかが空いていないときに、無理やり哺乳瓶から飲ませようとしても嫌がってなかなか飲んでくれません。おなかが空くまで待ってもう一度試してみます。それでもまだ嫌がる場合には、哺乳瓶の乳首が吸いやすいものかどうか、見直してみましょう。

乳首が固く、吸いにくいと哺乳瓶を嫌がります。また乳首だけでなく、哺乳瓶自体の種類を見直すのも効果的です。母乳を飲む感覚に近い哺乳瓶を選ぶようにすると、すんなり飲んでくれることがあります。

母乳保存はこんなときに便利

母乳保存はこんなときに便利 (2)

搾乳した後の母乳はそのまま殺菌消毒した哺乳瓶や専用保存パックに入れて保存します。手で搾乳する場合も、搾乳機で搾乳する場合も、とりあえず哺乳瓶に入れ、その後必要に応じて母乳パックに移しかえます。

母乳・ミルク混合育児の方は、直乳出来ないときはミルクを与えることが出来ますが、完全母乳育児を希望している場合、ミルクの代わりに保存しておいた母乳を赤ちゃんにあげられます。

ママが自分で与えるだけでなく、他の人に授乳を代わってやってもらうことも出来ますので、育児にかかる負担が格段に減ります。母乳を保存しておくと次のような場合に便利です。

他の人に授乳をお願いしなければならないとき

他の人に授乳をお願いしなければならないとき

ママが用事で自宅を留守にするとき、実家に赤ちゃんを預けるときなど、事情があり他の人に赤ちゃんの授乳をお願いしなければならないときに便利です。昼間に用事があるときだけでなく、夜間の授乳が辛いときにパパにお願いしてやってもらうなど、ママの授乳の負担を軽減することができます。

またママが病気のときや、薬を服用していて赤ちゃんに授乳することが出来ないときにも、保存してある母乳があれば完全母乳を断念せずにすみます。

直乳に慣れている赤ちゃんの中には、哺乳瓶からの授乳を嫌がる赤ちゃんも多いので、他の人に授乳をお願いする前に、赤ちゃんに哺乳瓶に慣れてもらうようにしましょう。

赤ちゃんを保育園に預ける場合

赤ちゃんを保育園に預ける場合

赤ちゃんを保育園に預けていても、保存母乳があれば完全母乳育児を続けることができます。保育園に預け始めたことをきっかけに、完全母乳を諦めるママもいるようですが、保存しておいた母乳があれば、そのまま完全母乳を続けることも可能ですので、通うことを予定している保育園に相談してみましょう。

まとめ

母乳保存の方法について知っておきたいさまざまな情報をご紹介しました。完全母乳を目指しているママにとって、母乳の保存は避けて通ることの出来ない重要な事柄。完全母乳育児の場合、直乳が基本にはなりますが、母乳を適切に保存しておくといざという時に非常に便利です。

完全母乳で育児をしている場合でも、ママが病気で直乳できないとき、ママが用事で外出するので他の人に授乳をお願いするとき、赤ちゃんが病気入院していて直乳できないときなど、保存しておいた母乳が役に立つ場面はたくさんあります。母乳の保存の仕方をしっかり学び、完全母乳に上手に役立てましょう。 ※参考1 公益社団法人日本助産師会 赤ちゃんとお母さんに優しい母乳育児支援