二人目や三人目の赤ちゃんが 欲しいと思うときに考えてしまうのが上の子と下の子の年の差。年の差がどの程度あると育児が楽になるのか?何歳差が理想か?に関してはさまざまな意見があります。二人目との年の差は2歳または3歳にするのが、もっとも典型的なパターン。しかし年子や4歳以上の年の差があるほうがいい、という考え方もあります。
年の差が開いていれば、ひとりずつ落ち着いて育児が出来るというメリットがありますが、その代わり育児をしている期間が長びくというデメリットもあります。
これとは反対に育児期間が短く、一気に子育てを終えてしまえるのが年子育児。新生児と乳幼児、二人の赤ちゃんをかかえての育児はとっても大変そうですが、一気に子育てが終わってしまうのでかえって楽という意見も聞かれます。年子育児のメリット・デメリットから、年子育児をするときに知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。
年子の定義とは?
上の子は去年の3月生まれ、下の子は今年の9月生まれなので、上の子と下の子の年齢差は1歳半、1歳違いですのでこの二人は年子ということになります。
年子の定義とは同じ母親から産まれたひとつ違いの子。つまり上に挙げた例のように、年齢差は1歳でも学年差は2年になります。年子とは年齢も学年も1年違いのこと、と思っている方もいるようですが、これは間違いで実際には学年は関係ありません。
年子に対する否定的な考え方
年子の赤ちゃん二人を連れて外出した際に、周囲の人から年子や年子育児に関する否定的なことをいわれ、傷つくお母さんは大勢います。
二人目との年の差は2歳あるいは3歳にする、という意見が優勢な中、年子育児に挑むのは精神的にも大変なこと。「年子はさぞ大変でしょう。」「上の子がかわいそう。」「できちゃったの?」、年子育児に対するネガティブなイメージはこのような言葉で表現される場合があります。
大変なことだけではない年子育児
年子育児が精神的にも体力的にも大変なことは間違いありませんが、それを補って余る喜びや楽しみが得られることも確か。育児の形はひとつひとつの家族によって違っているのが当たり前。年子育児だからとお母さん本人が萎縮してしまっては、育児がうまくいくはずはありません。
年子育児にはメリットも楽しさもいっぱい。ネガティブなことを考えるよりも、前向きにポジティブに、年子育児に取り組むようにしましょう。
年子育児のメリットとは?
年子育児はとにかく体力勝負。生まれたばかりの赤ちゃんとようやく一歳になったばかりの赤ちゃんの二人を抱えての育児は、お母さんにとって体力的にも精神的にも大きな負担がかかるもの。
年子育児にはこのようにデメリットが多いように感じてしまいますが、もちろんメリットもたくさんあります。まずは年子育児のメリットについて挙げてみましょう。
育児期間が短い
年子育児のいちばんのメリットは一気に育児が終わること。二人目との年の差が少ないため、育児にいちばん手のかかる期間が短くてすみます。二人目の赤ちゃんが幼稚園を卒業する頃には、お母さんの自由な時間が格段に増えますので、一気に育児を終えたいお母さん向きです。
上の子の洋服やグッズが使える
一人目と二人目の年の差があまりありませんので、洋服やベビーグッズをそのまま使えて経済的です。ベビーベッドやベビーベッドなどの大型のグッズに関しても、上の子が使わなくなってもすぐに二人目の赤ちゃんが使えるようになりますので無駄がありません。
ベビー服にしても状態の良いものは新しく買わずに、そのまま下の赤ちゃんに着てもらうことが出来ます。新品を購入するか、レンタルにするか、それとも購入せずに他のもので代用するかなど、ベビーグッズを用意するときに付き物の悩みを抱えずにすみます。
上の子と下の子が一緒に遊べること
一人目と二人目の赤ちゃんの年齢が近いと、お互い同士で仲良く遊んでくれます。お母さんが家事で手が離せないときなどに便利です。
下の子との間に年の差があると、上の子はどうしてもお兄ちゃん・お姉ちゃん意識を持ってしまい、赤ちゃんと遊ぶのはつまらないといった言動を取ることがあります。年子の場合はお友達のように仲良く遊び、双子のような密な関係を築くことが出来ます。
一人目の育児の経験をすぐに活かせる
年の差が少ないと上の子のときの育児の経験をそのまま二人目の育児に役立てることが出来ます。育児のコツや実体験を鮮明に覚えている状態で二人目の育児に取り掛かれますので、一人目の出産や育児で学んだ知識や経験をそのまま活かすことが出来ます。
上の赤ちゃんの赤ちゃん返りがない
下の子が出来るとお母さんの視線はどうしても乳児に偏りがち。授乳、おむつ替え、沐浴、と乳児の育児にはひと時も休まる時間がありません。このようにお母さんの注意はどうしても産まれたばかりの赤ちゃんに向いてしまうことから、上の子が赤ちゃん返りをしてしまうことがあります。
しかし年子育児ならば、上の子と下の子の年齢差があまりなく、上の子の赤ちゃん返りがほとんど起こりませんので、お母さんの育児の苦労がひとつ減ります。
赤ちゃん返りとは?
赤ちゃん返りとは、下の子が産まれたことをきっかけに、上の子まで赤ちゃんのような行動を取り始めることを指します。今まで出来ていたことが出来なくなる、お母さんにべたべた甘えるようになる、理由なくだだをこねるようになる、自分だけに注意を向けさせる行動を取るなど、お母さんの注目を集めるような行動に出ることを赤ちゃん返りと呼んでいます。
赤ちゃん返りをする年齢ですが、2歳から小学校低学年までとさまざま。妹や弟にお母さんが付きっ切りになることで、上の子の欲求不満が高まることが原因と考えられています。
受験時期が重ならない
学年差が3年あると中学受験、高校受験の時期が重なってしまうというデメリットがあります。同時に二人の子供が受験に挑むというのは、両親にとって経済的にも精神的にも大きな負担を与えます。二人分の学費をあらかじめ用意しておくなど、しっかりした計画を立てることが必要でしょう。
これに対して年子の場合は受験時期や卒入園・卒入学の時期が重なりません。受験は2年連続になりますので、少し大変かも知れませんが、二人同時に受験を受けるよりは精神的・経済的負担が軽いと言えます。
年子育児のデメリットとは?
年子育児のメリットについていろいろ見てきましたが、年子育児が大変ということに間違いはありません。年子育児でノイローゼになるお母さんもいるほど、年子育児は体力的にも精神的にも大変な労力を要します。年子育児のデメリットについて挙げてみましょう。
育児の手間が一気に2倍になる
赤ちゃんの入浴や授乳など、毎日繰り返し行わなければならない育児の手間が倍増します。二人の赤ちゃんを一緒にお風呂に入れること、それぞれの授乳時間がずれていること、一緒のタイミングで寝てくれないこと、一人が泣き始めるともう一人も泣いてしまうことなど、年子を抱えての育児にかかる手間と苦労は並大抵のものではありません。
抱っこや長時間に及ぶ寝かしつけにより腰痛が起こり、つらい思いをするお母さんも大勢います。年子育児のストレスを出来るだけ軽減するためには、家族や周囲の理解と強力が不可欠です。
消耗品のコストが増える
おむつやおむつカバー、マグカップなどのベビー食器など、乳幼児の育児に絶対必要なべビー用品は、必ず二人分必要。このため育児にかかるコストは倍増します。
年子育児は年の差が離れている場合に比べ、月々の育児経費が大きく割り増しになることを覚悟しなければなりません。
母乳育児継続が難しい
年子を育てるには、母乳育児の継続が難しいというデメリットがあります。出産後から分泌されるオキシトシンというホルモンには母乳生成を促す働きの他に、子宮を収縮させる働きがあります。
分娩後急速に子宮を元の状態に戻して、はがれた胎盤からの出血を抑えるために必要なホルモンなのですが、妊娠中に母乳をあげるような場合はお腹の張りにつながりやすくなります。
病院によっては下の子の妊娠中、上の子の母乳は控えミルクに変えるよう指導されることもあります。また、妊娠すると体の変化に伴い母乳の味が変わってしまうという説もあり、赤ちゃんが母乳を嫌がる可能性も無いわけではありません。
完全母乳育児を目指していた方は、年子を妊娠した場合に育児方針を変える必要が出てきますので、悩んだときは家族で話し合いをしたり医師に確認してみると良いでしょう。
外出が大変
年齢がほとんど同じ赤ちゃん二人を連れて外出するのは大変な作業です。外出のための準備も二人分ですので、ちょっと近所の公園まで出かけるのにも億劫になってしまいます。
出来るだけ外出しないようにしていても、乳幼児健診、病院での診察、予防接種など、どうしても外出しなければならない用事はたくさんあります。一人でも大変な赤ちゃん連れの外出、年子の二人を連れての外出には入念な準備が必要です。
赤ちゃん同士が喧嘩しやすい
上の子が赤ちゃん返りしにくいのは年子育児のメリットですが、その反対に年が近いため、喧嘩友達のようにしょっちゅう喧嘩ばかりするきょうだいも。
上の子にお姉ちゃん・お兄ちゃんとしての自覚が出来にくいので、仲良く遊んだり、喧嘩したりと、お友達同士のような関係になります。
下の子優先になってしまいがち
とくに産まれてすぐの頃は、お母さんの注意がどうしても下の子に集中してしまいます。これはやむを得ないことですが、その代わり上の子の精神面でのケアをしっかりしてあげないと、さみしい思いをさせてしまいます。
年子育児を上手に行うポイントとは?
メリットもデメリットもある年子育児。年子育児を上手に行うためにはいくつか注意すべきポイントがあります。
幼い赤ちゃん二人を抱えての育児は、どんなにお母さんが頑張っても大変なもの。少しでも育児の苦労を軽減するための注意点を押さえておきましょう。
赤ちゃんのうちはできるだけ上の子を優先する
出来る限り上のお子さんを優先しましょう。下の子が産まれるとどうしても上の子への関心や注意が逸れてしまいます。上の子に対して、この子はもうお姉ちゃん・お兄ちゃんなのだから、といった気持ちを無意識に持ってしまいますが、年齢差が1歳しかない場合、上の子もまだ赤ちゃん。
下の子が産まれてからといって上の子を急にお兄ちゃん・お姉ちゃん扱いするのは間違っています。下の子ばかりを優先させていると、上の子の育児も大変になります。
上の子とのクオリティタイムを持つ
下の子が眠ってしまったときやちょっと手が空いたときには、上のお子さんをたっぷり可愛がってあげましょう。
これまではお母さんが側につきっきりでいてくれたのに、急にお母さんの関心が逸れたと感じるのは、赤ちゃんにとって受け入れがたく、言葉では表さなくとも苦痛に感じているのは確か。出来る範囲で上の子を優先し、お母さんの愛情をたっぷり感じられるような時間を作ってあげましょう。
完璧さを求めない
生真面目なお母さんの中には、育児にも家事にも手抜きをせずに頑張ろうとする方がいます。年子育児で完璧なお母さん・主婦を目指すのは簡単なことではありません。あれもこれも完璧にしようとして自分を追い詰めてしまうと、精神的にブレイクダウンしてしまうことも。完璧を目指そうとせず、家事は適当に手抜きしながら、育児を第一に優先させましょう。
また育児に関しても、育児書や先輩お母さんのアドバイスどおりにやらなければならないと堅苦しく考えず、その時々の事情や赤ちゃんの状態に応じて、自分なりの育児法を臨機応変に確立しましょう。
お父さんや家族のサポート
自分一人で育児に取り組もうとせず、お父さんや家族の協力をどんどん求めるようにしましょう。いちばん手のかかる時期の赤ちゃん二人を抱え、お母さんがひとりですべてを抱え込んでしまうと、いわゆる年子育児ノイローゼという状態に陥ってしまいます。
お父さんや同居の家族の方に任せられることはそのままやってもらい、育児に参加してもらいましょう。
年子育児を楽しむ
年子だから大変ね、といわれることの多い年子育児ですが、苦労が多分楽しいことや嬉しい思い出もいっぱいもらえます。年子育児は大変、とお母さん本人が嫌になると、育児に前向きに取り組めなくなってしまいます。
下の子が産まれたばかりの頃は毎日が戦争ですが、授乳回数が少しずつ減ってくるにつれて、気持ちに余裕も出てくるはず。育児にネガティブな感情を持ち込むと、子供たちも萎縮してしまいます。楽しんで年子育児を行えるよう、気持ちを鷹揚に持ち、便利なベビーグッズなども積極的に利用してみましょう。
まとめ
いろいろと大変な年子育児ですが、他では得られない充足感や幸福感が実感できることも事実。大変だと思っているうちに、赤ちゃん二人はあっという間に成長してしまい、一気に育児が終了します。下の子が幼稚園に入園する頃には、いちばん大変な時期は終了。お母さんは自分の時間を早く持てるようになります。
年子育児に対しては否定的な考えを持つ方もいますが、それはあくまでも部外者の考え方。大切なことはお母さんとお父さんが年子育児に楽しみながら取り組むということ。年子育児のメリット・デメリットを知り、メリットを活かした育児を実践していきましょう。