赤ちゃんの伝い歩きとは、まだ一人歩きの出来ない赤ちゃんが、手で椅子やソファ、壁などを支えながら、じわじわと伝い歩くことを指します。伝い歩きが出来るようになったら、一人で歩けるようになるまであと少し。
赤ちゃんが自分ひとりで歩けるようになるまでには、さまざまな過程があります。まずはお座り、次にハイハイ、そしてつかまり立ち、最後に伝い歩きと、手足の筋肉が丈夫になるとともに、赤ちゃんの行動能力はどんどん高まっていきます。
ママやパパとしては、伝い歩きが出来るほど成長してくれた、と嬉しい気持ちでいっぱいになりますが、伝い歩きが出来るようになった赤ちゃんの周りには危険がいっぱい。これまでとは違うことにも注意を向ける時期が来たことを意味しています。
自分から伝い歩きを始めてくれない場合、トレーニングをしたほうがいいのかどうか、伝い歩きはいつころから始まるのか、など、伝い歩きに関して知っておきたいポイントをご紹介します。赤ちゃんがハイハイを出来るようになったら、伝い歩きまではもうすぐです。
赤ちゃんの伝い歩きとは?
伝い歩きとは赤ちゃんが手で壁や机、ソファなどを支えながら、少しずつ足を動かすことで移動することを指します。赤ちゃんの手足の筋肉のはたらきはまだ完全ではなく、手を支えにしなければ、足の筋肉だけで移動することは出来ません。
赤ちゃんの伝い歩きの特徴
赤ちゃんはまだうまく体のバランスを取ることができません。手でなにかにつかまりながら、体を支え、一歩ずつ足をずらすことにより、移動していきます。転ばないようにするため、赤ちゃんは無意識的に腰を落とし、重心を低くしながら、慎重に足をずらしていきます。最初はうまく歩を進めることが出来ませんので、足を少しずつずらすことで自分の行きたい方向に進もうとします。
これに慣れてきたら、今度は足を少し上げながら、踏み出していくことが出来るようになります。伝い歩きをすればするだけ、体のバランスを取るのもうまくなり、そのうち腰を落とさずに、まっすぐ直立して歩くことが出来るようになっていきます。
伝い歩きを始める時期はいつから?
赤ちゃんが伝い歩きを始める時期には個人差があります。早い赤ちゃんは7ヶ月目に入ってから伝い歩きを始めますが、1歳になってからようやく始める赤ちゃんもいますので、始める時期に関して神経質になる必要はありません。
平均的には、赤ちゃんは生後9ヶ月から10ヶ月目で伝い歩きをはじめることが多いとされています。
伝い歩きにいたるまでの過程は?
赤ちゃんの発達成長にはさまざまな過程があります。歩行に関しても同様で、伝い歩きが出来るようになるには、つかまり立ちが出来ることが前提になります。
つかまり立ちの前段階としてはハイハイ、その前はお座りと、赤ちゃんの伝い歩きにはその前段階としての過程が欠かせません。
つかまり立ちについて
つかまり立ちとは手でなにかを支えることにより、腰を浮かせて立ち上がることで、つかまり立ちが出来るようになると、伝い歩きまではあと少し。つかまり立ちが出来るかどうかは、伝い歩きのいわば条件のようなもの。
赤ちゃんのつかまり立ちの特徴とは?
赤ちゃんはつかまり立ちをすることにより、おしりや腰を自分の力でもちあげ、両足を踏ん張り立つ練習をしています。つかまり立ちをはじめたばかりの赤ちゃんは、うまく立ち上がれずに、尻もちをついて座り込んでしまうこともあります。
また頭が大きく、体のバランスを取ることが下手なためにぐらぐらしたり、ふらふらして再びおしりから座ってしまうことも。赤ちゃんはつかまり立ちを何度も繰り返して行うことにより、足の筋肉を鍛え、重心をうまく取ることが出来るようになります。
赤ちゃんがつかまり立ちを始める時期は?
赤ちゃんがつかまり立ちを始める時期ですが、伝い歩き同様、赤ちゃん一人一人の成長の度合いにより異なります。一般的にいうと、早い赤ちゃんで生後6、7ヶ月頃、もう少しのんびりしている赤ちゃんの場合、生後10ヶ月以降になってはじめてつかまり立ちをするようになります。
お座り・ハイハイ・つかまり立ち・伝い歩き
赤ちゃんが自分で歩けるようになるまでのプロセスと、その時期についてまとめてみましょう。
まずはお座り、お座りが出来るようになるのは生後7ヶ月頃。お座りが出来るなったら今度はハイハイ。
ハイハイが出来るようになるのも生後7ヶ月から8ヶ月頃で、つかまり立ちは8ヶ月目から9ヶ月目で出来るようになることが多いようです。伝い歩きに関しては、生後9ヶ月から10ヶ月目で始める赤ちゃんが多いといわれています。
つかまり立ちが出来るようになったら注意したいこと
つかまり立ちが出来るようになり、立ち上がることに慣れてきたら、すぐに伝い歩きに移行する赤ちゃんがほとんどです。つかまり立ちをするようになったら、赤ちゃんに常に注意を払うようにしなければなりません。
まだ立ち上がることに慣れていない赤ちゃんは、ふらふらと前後左右に揺れてしまい、転倒してしまうこともあります。赤ちゃんが尻もちをついても痛くないよう、鋭利なものや怪我をする恐れのあるものは、赤ちゃんの周囲に置かないようにしましょう。
赤ちゃんが伝い歩きをしてくれない
生後6、7ヶ月目で伝い歩きが出来る赤ちゃんもいれば、1歳を過ぎてもなおハイハイをしている赤ちゃんもいます。
生後10ヶ月頃になっても赤ちゃんが伝い歩きどころか、つかまり立ちをしないと、ママは不安になってしまうものです。周囲の赤ちゃんと比べてしまい、もしかしてどこか悪いところがあるのでは?とイライラしてしまうママもいるようですが、中には1歳半になってはじめて伝い歩きをする赤ちゃんもいます。
赤ちゃんの伝い歩きが遅い理由とは?
お座りから伝い歩きまで、赤ちゃんの身体機能は少しずつ発達していきますが、お座りから伝い歩きが出来るようになるまで、どのくらいの時間がかかるかに関しても、赤ちゃん一人一人に個人差があります。ハイハイから伝い歩きまであっという間に出来るようになる赤ちゃんもいれば、ハイハイまでは順調だったものの、その後なかなか伝い歩きをしてくれない赤ちゃんもいます。
ハイハイをして動きまわることが好きな赤ちゃんの中には、ハイハイして遊ぶことが楽しく、なかなかつかまり立ちをしないこともあります。またつかまり立ちはするものの、伝い歩きをなかなか始めない赤ちゃんもいます。
周囲の赤ちゃんよりも遅いからといって、必ずしも身体機能に異常があるとは限りませんが、どうしても気になる場合には、かかりつけの小児科で相談するようにしましょう。
赤ちゃんの伝い歩きのトレーニング
赤ちゃんがつかまり立ちと伝い歩きが出来るようなったら、一人歩きまであと少し。つかまり立ちと伝い歩きの段階からステップアップするには、ママと一緒にひとり歩きのトレーニングをすることが効果的です。
ひとり歩きのトレーニングをすることで、足の踏み出し方や体のバランスの取り方、足の筋肉の使い方など、赤ちゃんが自分ひとりではなかなかうまく習得できないことが、容易に出来るようになります。
手を取りながら歩く練習をさせる
つかまり立ちが出来て、伝い歩きも少しずつ出来るようになったら、今度はママとパパがサポートし、歩く練習をさせてあげるようにしましょう。
赤ちゃんと向き合い、両手を取ります。ママが一歩下がることにより、赤ちゃんが一歩前進できるように誘導します。または後方から手を支えてあげてサポートします。
最初は赤ちゃんの両手を取ってあげないと、ふらふらしてしまいますが、慣れてくると片手を支えてあげるだけで歩けるようになるでしょう。
もう少し慣れてきたら、今度は赤ちゃんの正面ではなく、横側に並び赤ちゃんの歩きをサポートするようにしましょう。最初は無理せず、少しずつ歩く距離を伸ばすようにしましょう。
赤ちゃんが怪我をしないように注意する
つかまり立ちや伝い歩きが出来るとはいえ、赤ちゃんは頭が大きいために、体全体のバランスを取りにくく、ママが手を離すと、ふらふら、ぐらぐらと揺れてしまいます。
手を離すとバランスを崩してしまう赤ちゃんの場合、歩こうとして尻もちをついてしまうことがよくあります。赤ちゃんが誤って怪我をしないよう、歩く練習をする場所は平らで歩きやすいところを選んであげましょう。
無理せずゆっくり練習させる
早く歩いてほしいと願うあまり、赤ちゃんのペースを考えずに、無理に歩かせることは絶対にやめましょう。赤ちゃんにも個性があり、活発で少々痛い思いをしても気にしない赤ちゃんもいれば、つかまり立ちは出来るものの、最初の一歩をなかなか踏み出すことの出来ないタイプの赤ちゃんもいます。
他の赤ちゃんは出来ているのに、とママが焦ってしまい、赤ちゃんに無理強いをすることがないように気をつけましょう。
おもちゃを使った一人歩きのトレーニング
つかまり立ちが出来るようになったら、歩行器や手押し車などを使ったトレーニングを行うと、赤ちゃんの歩行能力や身体能力が一気に向上します。このようなおもちゃはつかまり立ちの出来るようになった赤ちゃんを対象に作られていますので、楽しく遊びながら、つかまり立ちや伝い歩きが上手に出来るようになります。
遊びながら足や腰の筋肉を鍛えることが出来るので、特別な努力をすることなく、気がついたら一人歩きが出来るようになっていた、ということも多いようです。
足を鍛えられるだけでなく、手や指を使って遊べるパーツがついているものもあり、下半身だけでなく、手や指を動かすことも出来ます。一人歩きに向けて足を鍛えられるだけでなく、体全体の機能を発達させられるというメリットがあります。
支援センターや児童館に連れて行こう
つかまり立ちは出来たのに、そこから伝い歩きが出てこないとお母さんはやきもきしてしまいますね。赤ちゃんの気持ちが追いつくまで待つのが一番ですが、その気持ちをプッシュしてあげるのも一つの方法です。
無理に歩かせるのは絶対ダメですが、その代わり支援センターや児童館に遊びに行き、他の同月齢の赤ちゃんが遊んでいるのを見せましょう。
好奇心旺盛な赤ちゃんのことですから、友達の方へ行きたいという気持ちが強くなって、伝い歩きの一歩が出やすくなるかもしれません。
もちろん大勢の赤ちゃんや子供にびっくりしてしまって、反対に何も出来なくなってしまうこともありますから、お母さんはあせらず赤ちゃんの様子を見守りましょう。
伝い歩きできるようになったら気をつけたいこと
お座りしかできず、自分で移動することの出来ない時期と違って、ハイハイや伝い歩きをする時期は、赤ちゃんにとっては危険がいっぱい。大人にとってはなんのリスクもないことでも、判断能力のない赤ちゃんにとっては致命的な事故につながるものもあります。
赤ちゃんがハイハイや伝い歩きをするようになったら、赤ちゃんにとってリスクになるものを極力排除するようにしなければなりません。
誤飲の可能性のあるものは取除く
赤ちゃんが通る可能性のある場所に、赤ちゃんが誤って飲み込んでしまうような小さな物体が落ちていないか、必ずチェックするようにしましょう。赤ちゃんは手にしたものを何でもそのまま口に入れてしまいます。
ボタン電池やブロックなどの小さなおもちゃ、ママの指輪やイヤリングなどのアクセサリー、飴などの食べ物、など、赤ちゃんが誤って飲み込んでしまう可能性があるものは、家中に溢れています。
誤飲チェッカーを利用する
どんなサイズのものが赤ちゃんにとって危ないか、きちんと把握したい方は、市販されている誤飲チェッカーを用いると便利です。誤飲チェッカーは円筒状で、この中に物を入れることにより、危険度を計測することが出来ますが、手元にない場合は、親指と人差し指で円を作ったものでも代用できます。大人の親指と人差し指で作った円のサイズの中に入るものは、すべて危ないと覚えておきましょう。
扉や棚にストッパーをつける
赤ちゃんは好奇心が旺盛。戸棚や扉など赤ちゃんでも開けられるものには、ストッパーをつけるなどの対策を取るようにしましょう。台所や浴室、階段、ベランダに通じる扉などにはとくに注意が必要です。
ナイフや包丁、缶きりなどの鋭利なものや、洗剤、石鹸、殺虫剤などの危険物など、赤ちゃんにとっては命取りになりかねないものに、赤ちゃんが決して近づかないよう、万全の対策を講じておく必要があります。
まとめ
お座り・ハイハイ・つたわり立ち・伝い歩きと、生後半年を過ぎた赤ちゃんの成長は目覚しく、ママもパパも嬉しい気持ちでいっぱいになります。赤ちゃんがハイハイや伝い歩きをするようになると、これまでとは違ったリスクが生じてきます。
手近なものを何でも口に入れてしまう誤飲や、転倒や怪我など、ママにとっては不安なことが増えてくる時期。この頃の赤ちゃんはとにかく手がかかりますが、それを補ってあまりあるほどの喜びも与えてくれます。
赤ちゃんの伝い歩きについて知っておきたい知識やポイントをご紹介しました。伝い歩きを卒業して、一人歩きが出来るようになるまで、あともう少し。ママやパパのサポートがあれば、赤ちゃんも楽しく、不安を感じることなく、一人歩きを覚えてくれるようになるでしょう。