「赤ちゃんのよだれは元気な証拠」と言われますが、あまりにもたくさんのよだれが出ていると、ちょっと多すぎるかもしれないと不安になることもありますよね。しかし逆に、全くよだれが出ない場合も心配になったりします。
赤ちゃんがよだれを出す時期には個人差はありますが、早すぎたり遅すぎたりしても、また気がかりになることでしょう。拭き取るのが大変で、不衛生な気もするよだれですが、ちゃんとした原因や役目があって出てきています。多くのお母さんが気にしている赤ちゃんのよだれについて、詳しくご紹介していきましょう。
赤ちゃんのよだれの状態は?
赤ちゃんといえば、笑っても怒っても泣いていてもよだれを垂らしているというイメージがありますよね。そもそもよだれが口の外まで垂れくる原因はどこにあるのでしょうか。
まず、赤ちゃんはきちんと口を閉じるという事がまだできません。大人であれば、口をしっかり閉じてよだれが出てくることを防ぐことができますが、赤ちゃんはまだその機能が十分ではないため、口が開いた状態になりよだれが流れ出てしまうのです。
また、出てきたよだれを飲み込むという行為も、赤ちゃんはまだ学習することができていません。そもそもよだれを飲み込むべきものということも理解していないため、ただたくさん垂れ流している状態になってしまうのです。
赤ちゃんのよだれの原因は?
赤ちゃんのよだれが出てくるのには、さまざまな原因があります。よだれは、きちんとした理由があって分泌されています。
主な理由としては、口の中の湿度を保ったり、消化を助けたり、粘膜を保護したり、悪い菌を殺菌したりします。赤ちゃんの身体は繊細な状態で、さまざまな悪い菌にも浸食されやすい状況です。
だからこそ、たくさんよだれを分泌させて、悪い菌が身体の中に侵入しにくいようにしています。
よだれが出やすい時期は?
赤ちゃんによって、よだれが出やすい時期には違いがありますが、平均的には生後3ヶ月~生後4ヶ月あたりによだれが増えてくるようになり、離乳食をスタートしたり、乳歯が生えてきたりするタイミングで再びよだれは増量します。
そして、1歳~2歳くらいになると徐々によだれが垂れてくることが少なくなってくることが多いようです。ただ、生後1ヶ月半や2ヶ月であっても大量によだれを流し始める赤ちゃんもいますし、3歳を過ぎてもなかなかよだれが改善しない場合もあります。
基本的に、他の成長スピードが早い赤ちゃんほど、よだれが出はじめる時期が早く、成長スピードが緩やかな赤ちゃんほど。よだれが出はじめる時期が遅くなる傾向があるようです。よだれに関しては個人差がかなりありますので、あまり神経質にならずに捉えた方が良いでしょう。
よだれの様子、異常、トラブル
よだれが臭う場合
よだれには独自の匂いがありますが、それ以外におかしな臭いがしてきたら注意しましょう。その臭いの原因は唾液量の減少で、通常ならば十分な量のよだれが口の中のミルクかすや食べ物の残りを洗い流してくれます。
しかし、よだれが減ってしまうとその洗浄作用も低下してしまい、本来なら流されるはずのものが残り雑菌が繁殖して臭いの基になってしまうのです。大人も朝の起床時や飲酒後の口臭がする事がありますが、赤ちゃんの場合もそれと同じと考えてください。
よだれの臭いをなくすには、よだれを十分分泌できるよう水分をきちんと取っているかどうかが問題になります。特に夏で沢山汗をかく・病気で母乳・ミルクをあまり飲まないという時は臭いやすいので、こまめに水分を飲ませるように気をつけましょう。
泡が立つよだれの場合
よだれを垂らしていると思ったら、いつの間にか泡のようなよだれになってる!とびっくりされたお母さんもいらっしゃるかもしれません。何かの病気なのかと悩んでしまいますが、この現象はよだれが非常に多い時に起こります。
ですから、赤ちゃんがご機嫌で母乳・ミルクの飲みも普段と変わらないようならば、特に心配する必要はありません。もう少し大きくなって自分で音が出せるようになると、口をブーッと尖らせてわざと泡を作って遊ぶ赤ちゃんもいます。
こんな時は沢山よだれが泡と一緒にたれているので、いつもよりも頻繁にスタイを変えたりして、赤ちゃんの肌がかぶれないように気をつけてください。
急に増えるよだれ
赤ちゃんは分泌されている全てのよだれを口から出すわけではなくて、ある程度は飲み込んでいます。しかし、ウイルス感染などで気管が炎症を起こすと、痛くてよだれを飲み込めなくなって口から垂らしてしまいます。
赤ちゃんのよだれが急に増えるのにはそういった理由も考えられるので、気づいた時には赤ちゃんの様子をチェックしてみてください。
口内炎でもよだれが増えますが、その他にもヘルパンギーナや突発性湿疹など、赤ちゃんがよく感染しやすい病気にかかった時によだれが増える傾向にあるようです。このような状態では満足に母乳・ミルクが飲めませんから、赤ちゃんが脱水にならないように配慮しましょう。
口周りや首のかぶれ
オムツかぶれと同じように、よだれもそのままにしておくと赤ちゃんの弱い肌が刺激を受けてかぶれてしまいます。オムツかぶれと違うのは、赤ちゃんの手が届く範囲なので触ったり描いたりして中々かぶれが良くならない可能性が出てきます。
よだれが赤ちゃんの肌についていると分かったらすぐに拭くようにして、なるべくかぶれが出る前に対策をとるようにしましょう。忘れがちなのが口周りだけでなく、あごや首もしっかり拭くこと。
スタイではカバーできない部分ですし、ハンカチを首に巻いて対策しても放置すれば蒸れてしまい、それもまたかぶれの原因となってしまいます。沢山あっても困る事はありませんから、スタイやガーゼハンカチなどは沢山用意しておきましょう。
よだれが少ない場合
赤ちゃんがたくさんよだれを流しているのは、決して悪い状態ではありません。むしろ、さまざまな雑菌を消毒し、消化の働きをサポートしてくれるため、よだれが出ていない状態の方が心配と言えるでしょう。
よだれがあまり出ていないと口の中が乾燥してしまうため、粘膜がデリケートになったり、消化が不十分で下痢になったりしてしまいます。
何日もよだれが少なく、口の中が乾燥している状態が続くようなら、一度病院で診てもらった方が良いでしょう。
垂れるよだれの対処方法
赤ちゃんのよだれはたくさん分泌されるため、こまめに拭きとることが大切です。もしよだれを放置していると、口の周りがベタベタになってしまいゴミやウィルスがくっつきやすくなってしまいます。
また、服も濡れてしまいますし、周囲も汚してしまいますし、よだれが原因で肌荒れが起きてしまうこともあります。頻繁によだれが出てくるようになると、何度拭ってもキリがないため、首につけるスタイなどでよだれを受け止めやすくしておきましょう。
柔らかいスタイなら、気づいた時にハンカチ代わりにすぐ吹くことができますし、ちょっと目を話していても服や床が汚れる心配もありません。さまざまな形状や材質のスタイが出てきていますので、ニーズに合わせて選んでみると良いでしょう。
口を閉じるトレーニング
赤ちゃんの口からよだれが垂れてしまうのは、口が開いている状態が続いているからです。逆にきちんと口が閉じていれば、よだれが流れ出てしまう心配はなくなるでしょう。
ただ、赤ちゃんに「口を閉じなさい」と言い聞かせてもできるというわけではないので、遊びながら口を閉じるトレーニングをしていくことが大切です。
オススメとして楽器を使うトレーニングの方法があるのでご紹介しておきましょう。
笛やラッパなど息を吹くことで音が鳴る楽器は、何度も試して遊びたくなりますし、きちんと口を閉じることができなければいい音は出てきません。
最初はなかなか音が出にくかったとしても、少しずつチャレンジを続けていくことで次第に上手に拭けることができるようになるでしょう。
出来なかったことができるようになれば、さらに楽しんで吹くようになります。その繰り返しが続くことで、口の周りの筋肉が発達し、口を閉じてよだれが流れ出ないようになっていきます。
口を閉じるさまざまな方法
口を閉じて空気を吹き出す行為は、楽器以外にオモチャでも代用することが可能です。風車や、水の上に浮かべたアヒル、などを使いながら、口を閉じる訓練をしていきましょう。
また、風船を膨らませたり、たんぽぽを吹いたりするのもいいトレーニングになります。
オモチャ以外にも、お母さんと一緒ににらめっこをするのもオススメです。「あっぷっぷ」と口を膨らませる顔を見せることで、赤ちゃんは真似をしようとしてきます。
次第にうまくできるようになれば、自然と口を閉じる筋肉がつき、よだれが流れ出ることを防いでくれるようになるでしょう。
歯とよだれの関係
赤ちゃんのよだれは、歯が生え始めてくる時期になると増してくることがあります。歯が生えてくるときにムズムズすることが増えてくるため、何かを噛んだり下で歯茎をいじったりすることから、唾液腺が刺激されるからです。
また、歯が生え始める頃になると離乳食もスタートすることが多いため、初めて食べる固形物を消化しようとたくさん唾液が分泌されてきます。唾液がたくさん出ることで、生えた歯が虫歯になりにくくなりますし、食べカスを洗い流すことも可能です。
見た目はよだれで汚れてしまうと感じがちですが、よだれにはこのような作用があるため、必要があってたくさん分泌されているのです。
大人より強い唾液の力
赤ちゃんのよだれは、大人より強い消化力があると言われているのをご存知でしょうか。ちょっと目を離したすきに赤ちゃんが机によだれを垂らし、拭き取らずに放置していたら机の材料の一部が溶けてしまったという話しがあります。
赤ちゃんのよだれには、それほど強力な消化力があると言われているため、初めての離乳食もしっかり消化して吸収することができるのです。
まとめ
赤ちゃんのよだれについてさまざまな角度からご紹介しました。赤ちゃんがよだれを垂らしてしまう原因や、よだれの役割、よだれが増える時期やよだれを垂らさないトレーニング方法など、お分かりいただけたと思います。
一見、ただ流れているだけのよだれに見えてしまいがちですが、赤ちゃんの健康を守るうえでよだれは必要不可欠なものです。
大量に分泌されているなら心配はありませんが、口が乾燥するほど唾液が少ない場合は必ず病院で診てもらうようにしましょう。赤ちゃんのよだれは元気の証ですので、きちんとケアをして見守ってあげてください。