赤ちゃん~子供の乗り物酔い(原因 予防 対処 など)について知っておきたいこと

子供の乗り物酔いについて知っておきたいこと 原因 対処方法 予防方法 など 赤ちゃん 生活

赤ちゃんや子供と一緒に旅行に行くときに心配なのが乗り物酔い。子供は比較的乗り物酔いしにくいといわれていますが、体調がよくないときや座席の位置によっては乗り物酔いにかかる子供も決して少なくありません。

楽しいはずの乗り物での遠出や旅行なのに、子供がひどく乗り物に酔ってしまい、その対応に追われた挙句、旅行をゆっくり楽しむ暇がなかった!というお母さんも多いのが現実。

子供と一緒に旅行に出かける際に役立つ情報や子供の乗り物酔いの予防方法や対処方法などについて知っておきたいさまざまな情報をご紹介します。

乗り物酔はいつから?赤ちゃんは酔うの?

子供は乗り物酔いしにくい?赤ちゃんは?

乗り物酔いには脳の視床下部のはたらきが大きく関わっています。そのため脳のはたらきがまだ完全に整っていない子供や脳のはたらきが老化する高齢者に関しては、乗り物酔いしにくいといわれています。

乗り物酔いは乳幼児期から幼児期にかけてはほとんど起きませんが、小学校に入る頃より徐々に増えていきます。高学年になるとさらに乗り物酔いにかかりやすい子供が増えますが、男児よりも女児のほうが乗り物酔いしやすいという統計があります。参照1

子供は乗り物酔いにかかりにくいといっても、まったく起こらないわけではありません。小さな子供は自分の状態をうまく説明できませんので、乗り物酔いの兆候が出ていないかどうか、お母さんやお父さんが十分に注意してあげなければなりません。

子供の乗り物酔いとは?

子供の乗り物酔いとは?

乗り物酔いとは乗用車・バス・船・電車・飛行機などに乗った際に生じる不快感や体の症状を指します。乗り物酔いは乗り物の振動によって引き起こされます。乗り物酔いは一般的な言葉で、医学用語では動揺病や加速度病などと呼ばれています。

乗り物酔いは車や船だけでなく、公園のブランコやアトラクションパークのジェットコースターなどの乗り物によっても起こりますので、この点にも注意が必要。子供の乗り物酔いの予防や対処方法を考えるには、まずどのような仕組みで乗り物酔いが起こるか、この点をしっかり把握することが必要です。乗り物酔いはどのようなメカニズムで起こるのでしょうか?

乗り物酔いの仕組みとは?

乗り物酔いの仕組みとは?

ふとした瞬間に体のバランスを崩しても転ばないのは、体に備わった平衡機能がきちんと作用しているため。この平衡機能のはたらきには耳の内部にある前庭が深く関わっています。

内耳にある平衡機能とは?

内耳にある前庭は平衡感覚を司る大切な器官。耳石器と呼ばれる部分は体の縦の動きをセンサーし、得られた情報を脳へ伝達します。三半規管にはリンパ液が流れていて、リンパ液の流れによって回転する動きを感知し、耳石器同様、これを脳へと伝達していきます

乗り物に乗ったときに感じるのは、発車・停車、減速・加速の動き、上下左右前後への揺れ、右折・左折、スピードの変化、その他乗り物内の不規則な揺れなど。乗り物に乗っているときに感じるこれらの情報は、前庭の神経を通じて脳に送られます。このとき体に感じる振動や動きだけでなく、目に見える情報も同時に脳へと伝達されていきます。

乗り物酔いが起こる流れ

乗り物酔いが起こる流れ

たとえば急発進や急ブレーキなど、乗り物の動きや揺れが不規則で予測できない場合、いきなりたくさんの情報が錯綜しながら脳へと伝達されます。

さらに目から得られる情報と内耳から伝えられる情報が合致しないため、脳の司令塔は大混乱。この結果自律神経が乱れ、体にさまざまな不調が生じます。これが乗り物酔いが起こる仕組みです。

乗り物酔いの症状とは?

乗り物酔いの症状とは?

脳の自律神経は体のさまざまな器官のはたらきをコントロールしています。自律神経が乱れることにより、いろいろな症状が段階を追ってあらわれます。

子供が乗り物酔いした場合、初期の段階でなんらかの対処法を講じると、症状の進行を止めることが可能になります。

乗り物酔いの初期段階

乗り物酔いの初期段階

生あくび、生つば、めまいは乗り物酔いの第一段階。この段階を超えると、顔面蒼白、胃のむかつき、冷や汗、寒気、胃のムカムカ、頭痛、吐き気などを感じるようになります。

この後さらに症状が進行すると実際に嘔吐することも。体調や状況によっては一度嘔吐してしまえばあとが楽になり、症状が落ち着く場合もあります。

しかし体調が著しく悪いときや揺れが激しいときなど、吐き気が止まらず何度も繰り返し吐いてしまい、最悪の場合脱水症状に陥ることもあります。

乗り物酔いしやすい状況とは?

子供が乗り物酔いをしやすい条件や状況についてみていきましょう。乗り物酔いをしやすいかどうかは、基本的には体質によりますが、乗り物酔いしにくい体質の子供でも、ある一定の条件下では乗り物酔いしやすくなります。

子供の乗り物酔いを防ぐためにも、どんなことが乗り物酔いを誘発・悪化させるのか、よく把握しておくようにしましょう。

匂いが乗り物に充満している

匂いが乗り物に充満している

体に感じる揺れや動きだけでなく、乗り物酔いには視覚によって得られた情報も大きく関わっていますが、さらに嗅覚による影響も乗り物酔いを加速させます。

香水・スプレー・芳香剤などの強い匂い、ガソリンなどの不快な匂い、食べ物や飲み物の匂いもまた、乗り物酔いを引き起こすきっかけになります。

進行方向と逆の方向に向かって座ること

進行方向と逆の方向に向かって座ること

乗り物酔いには不規則で予測できない揺れだけでなく、視覚とのギャップも関わっています。乗り物を運転する人が酔わないのは、スピードの変化や揺れを事前に察知できるから。前方が見渡せる助手席に座っても乗り物酔いしにくくなります。

これとは反対に進行方向が見渡せない位置や、進行方向とは逆の方向に座らせると乗り物酔いしやすくなりますので注意しましょう。

また進行方向を向いて座っていても、顔や体を頻繁に動かしたり、視線を上下左右に動かすと酔いやすくなります。乗り物の中でじっとしていられない子供は、車の中で動き回ってしまうことにより、乗り物酔いしてしまいます。車内ではできるだけじっとしているように、お母さんやお父さんが手助けしてあげましょう。

空腹あるいは満腹の場合

空腹あるいは満腹のときは、乗り物酔いにかかりやすくなります。子供を乗り物に乗せる際には、乗る直前に食べさせないようにする、消化のよいものを食べさせるなどの工夫が必要です。

睡眠不足や体調の悪さ

睡眠不足や体調の悪さ

疲れているときや睡眠不足のときも乗り物酔いしやすくなります。

精神的プレッシャー

精神的プレッシャー

前に乗り物酔いを経験した子供は、今度もまた酔うかもしれないという精神的なストレスを感じます。精神的なストレスやプレッシャーもまた乗り物酔いを誘発する原因のひとつです。

子供の乗り物酔いの予防方法とは?

子供の乗り物酔いを予防・対応するのに効果的な方法について知っておきましょう。乗り物酔いをすると体力を消耗させてしまいます。旅行や遠出を楽しいものにするためにも、子供の乗り物酔いの予防方法についてぜひ覚えておくようにしましょう。

前日はたっぷり睡眠と休養を取らせる

前日はたっぷり睡眠と休養を取らせる

乗り物に乗る前日は普段にも増してたっぷり睡眠を取らせ、疲れを抱えたまま乗り物に乗せないよう注意しましょう。

消化のよい食事を食べさせておく

消化のよい食事を食べさせておく

空腹でも満腹でも乗り物酔いしやすくなります。出かける前には消化がよく、胃腸の負担にならない軽めの食事を食べてもらいましょう。乗り物に乗る直前は避けたほうが安心です。また長時間乗り物に乗る場合には、おなかにもたれないような食べ物や飲み物をあらかじめ用意しておくようにしましょう。

揺れの少ない場所に座らせる

揺れの少ない場所に座らせる

子供を座らせる場所をよく吟味しましょう。バスの場合は車輪の上や後部座席は避けるようにします。乗り物ですので、どんな場所に座ってもまったく揺れを感じないということはありませんが、揺れを感じにくい場所を選んであげることが大切です。

こまめに換気する

こまめに換気する

車内にいやな匂いがこもってしまうと酔いやすくなりますので、匂いが強いものを車内に持ち込まないようにしましょう。芳香剤は置かないようにし、消臭剤は無臭タイプを選ぶようにします。またお母さんの香水やお父さんのコロンやヘアケア製品の匂いにも注意しましょう。

匂いのするものを車内に持ち込まないようにすると同時に、車内の換気をこまめに行うと気持ち悪くなりません。匂いだけでなく、車内の温度や湿度が高くなると不快感が増大し、酔いやすくなります。こまめに換気を行い、新鮮な空気を循環させましょう。

スマホで遊ばせない

スマホで遊ばせない

乗り物に乗っているときに本を読んだり、スマホで遊ぶのはNG。下を向いてしまうと平衡感覚が乱れます。できるだけ頭を動かさず、遠くの景色を見るように言い聞かせましょう。

体を締め付ける服を着せない

体を締め付ける服を着せないようにしましょう。とくにおなか周りがきつく締まった服を着せてしまうと、ムカムカが増大します。厚着は絶対に避け、体を締め付けないゆったりした服を選んであげましょう。

酔い止め薬を飲ませる

酔い止め薬を飲ませる

市販の酔い止め薬の中には子供でも飲めるものがありますので、これを利用することも考えてみましょう。子供でも飲みやすい、水なしで飲めるチュラブル錠が便利です。錠剤タイプ以外にもドリンクタイプもありますので、子供が飲みやすいタイプを選んであげましょう。

子供の精神的なストレスを解消してあげる

子供の精神的なストレスを解消してあげる

一度ひどい乗り物酔いをすると、そのときの不快な経験がいつまでも記憶に残ります。次回以降も乗り物酔いをするのでは?と精神的にストレスを感じる子供も少なくありません。薬を飲んだから大丈夫だよ、外を見ていると酔わないんだよなど、お母さんやお父さんが積極的に声をかけ、子供のストレスを軽減するように心がけてください。

ストレスによる自律神経の乱れは、乗り物酔いを誘発する引き金のひとつ。乗り物に乗る前に余計なストレスやプレッシャーを感じないように、子供が安心するような言葉をかけてあげましょう。

子供が乗り物酔いしたときの対処方法とは?

子供の乗り物酔いを予防するための方法について見てきましたが、乗り物酔いをしてしまったときの対処方法について考えてみましょう。乗り物酔いを完全に防ぐことはできません。子供が乗り物酔いにかかったとき、どのように対処すればいいのでしょうか?

子供の様子をしっかり観察する

子供の様子をしっかり観察する

乗り物酔いは段階を追って、症状がどんどん悪化していきます。乗り物酔いの前兆である生あくびや生つばを見逃さないようにしましょう。また小さなお子さんはどのように気持ち悪いのか、なかなか言葉で表現できませんので、お母さんやお父さんが気をつけてあげなければなりません。

顔色が悪い、急に静かになった、落ち着きなく体を動かしている、このような最初の段階で気がついたら、換気をする、子供の体勢を変えてあげる、いったん車から降ろす、といった対処法を行うことで、気持ちの悪さがおさまります。

気持ちが悪くなったと感じたら、早めに目を瞑ってしまうのも効果的です。視覚をシャットアウトすると、体に感じる揺れと視覚から入る情報の間のギャップを感じなくなります。乗り物に乗ったら子供の様子を注意深く観察するようにしましょう。

いったん乗り物から降ろす

いったん乗り物から降ろす

乗り物酔いにもっとも効果がある方法は、乗り物から降りること。乗用車の場合はいったん停止して、子供を車から降ろし、休憩するようにしましょう。

乗り物から降りることができない場合は、体を座席に横たわらせ、おなか周りを覆う服をゆったり緩めてあげると楽になります。

新鮮な空気に当てる

新鮮な空気に当てる

子供が気持ち悪そうにしていたら、すぐに窓を開け新鮮な風に当ててあげると、気持ち悪さが軽減できます。頭を冷やしてあげることも同様に効果的。よどんだ空気の中にいると酔いやすくなります。

窓が開閉できる乗り物であれば、こまめに換気をしてあげることで、乗り物酔いの症状を抑えることができます。

酔い止めの薬を飲ませる

乗り物酔いの薬は基本的には乗る30分から1時間前に服用するともっとも効果的ですが、酔ってから飲んでも効果はあります。お子さんが酔いやすい場合には乗る前だけでなく、酔ってからも飲めるように、酔い止めの薬を用意しておくようにすると安心です。

まとめ

子供の乗り物酔いの原因から対処方法まで知っておきたい情報をポイントごとにご紹介しました。大人でも辛い乗り物酔い。

子供は比較的乗り物酔いしにくいといわれていますが、自分の体調を管理することができないため、お母さんやお父さんがきちんと予防・対処してあげることが大切です。子供の乗り物酔いの予防法や対処方法をしっかり覚え、楽しい遠出や旅行にしてあげましょう。

※参照1 乗り物酔い研究室 乗り物酔いについて