赤ちゃんが小さな手で目をこすっている姿はとっても愛らしく、眠くなったのかな?と微笑ましく思ってしまいます。眠いと目をこするのは赤ちゃんも大人も同じ。目をこする大きな原因は眠気にあります。
眠いので目をこするというのは自然な反応ですが、しかし目をこするのは眠いときだけではありません。眠そうでもないのに、なぜか赤ちゃんが目をこすっている。こんな場合は注意が必要です。
赤ちゃんが目をこする原因のひとつは結膜炎などの目のトラブル。赤ちゃんは自分の言葉で症状を表現することが出来ませんので、いつも側にいるお母さんが注意深く観察した上で、適切に対処してあげるようにしましょう。
赤ちゃんが目をこする原因や症状、対処方法など、赤ちゃんが目をこするときに知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。
眠くなると目をこする理由とは?
赤ちゃんが目をこする原因のひとつは眠気。人は眠くなると無意識に目をこすってしまいますが、これはどういうメカニズムがはたらいているのでしょうか?
眠くなると目をこするのは、年齢・性別に関係なく、体が本能的に反応するためと考えられます。赤ちゃんも例外でなく、誰からも教わったわけではないのに、眠くなるとひとりでに目をこすってしまいます。
眠くなると目をこするのは涙腺を刺激するため
眠くなると目をこするのは、眠気を覚まそうとして、涙腺を刺激し、目を潤そうとするためです。目の機能が正常にはたらくためには、目に潤いがなければなりません。ドライアイという症状は、目の乾燥から生じますが、ドライアイになるとさまざまな問題が生じます。
通常起きて活動している際には、このように目の機能が正常にはたらくように、目に適当な潤いを与えるため、脳が指令を出しています。しかし睡眠状態に入ると、脳からの指令はなくなり、目の機能も休止します。眠くなると目をこするのは、涙腺を刺激し、涙を分泌させることで、眠気を覚まそうとするためです。
眠気以外に赤ちゃんが目をこするのはなぜ?
眠くなると目をこするメカニズムについては分かりましたが、では眠くないのに赤ちゃんが目をこするのはなぜでしょうか。赤ちゃんが目をこする原因はさまざま、結膜炎やアレルギーなどの病気から、単なる癖、斜視や弱視といった視力の問題など、さまざまな原因が考えられます。
赤ちゃんでも大人でも、眠気以外に目をこする理由は主に三つ。目にかゆみがある、ごろごろとして、違和感がある、目がかすんでものが見にくい。このような場合に人は無意識に目をこすります。
新生児や幼児も決して例外ではなく、目を無意識にこすってしまいます。赤ちゃんが目をこすっていたら、まずは何が問題なのか、赤ちゃんの様子をじっくり観察する必要があります。
赤ちゃんが目をこする原因(病気の可能性)
眠くもないのに、赤ちゃんが頻繁に目をこすっているのは、目の病気や視力に問題が生じているせいかもしれません。赤ちゃんが目をこすっている場合に考えられる病気についてまとめてみましょう。
結膜炎
結膜炎は赤ちゃんよりも幼児に多い症状といわれていますが、感染により新生児が結膜炎にかかることは十分ありえます。結膜炎とはまぶたと眼球の間にある薄い膜「結膜」が、ウイルスや細菌などに感染しておこる症状を指します。
結膜炎の主な症状は、結膜の充血や目やに、目がごろごろする、まぶたの裏にぶつぶつした突起ができるなどです。結膜炎の主原因は細菌、ウイルス、アレルギーなどですが、赤ちゃんの場合、結膜炎は涙のう炎によっても引き起こされます。症状が気になる場合は自己判断せずに病院に行くようにしてください。
涙のう炎とは?
涙のう炎とは涙のうに起こる炎症を指します。涙のうとは、分泌された涙が涙鼻管を通り、鼻に排泄されていく途中にある器官で、この部分に生じた炎症は涙のう炎と呼ばれています。
赤ちゃんに多い先天性涙鼻管閉塞
涙のう炎の原因のひとつは、涙鼻管の閉塞にあります。赤ちゃんはまだ涙鼻管が完全には発達していないことが多く、このため涙鼻管に閉塞が生じてしまいます。
先天性涙鼻管閉塞になると、涙のう炎にかかりやすく、目やにがたくさん出たり、まぶたが腫れるといった症状があらわれます。またこれが引き金で結膜炎にかかることもありますので、涙が止まらない、目やにが常に出るといった症状がある場合には、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
ウイルス性結膜炎
ウイルス性結膜炎はウイルスに感染することにより広がる炎症で、いわゆる「はやり目」などがこれに当たります。ウイルス性結膜炎を生じさせるウイルスは非常に多いのですが、ウイルス性結膜炎は感染力が強いのが特徴。免疫力の弱い赤ちゃんや幼児がかかると、大人よりも症状が強くあらわれます。
一般的にはやり目と呼ばれているウイルス性核結膜炎以外では、不特定多数の人が利用するプールなどで感染することの多い咽頭結膜炎なども子供に多く見られます。
細菌性結膜炎
ウイルスではなく黄色ブドウ球菌や表皮ブドウ球菌などの細菌によって起る炎症で、症状はウイルス性のものと似ていますが、症状は比較的軽く、通常1週間から10日程度で治るといわれています。
細菌性結膜炎の感染力は弱く、体力のある大人や健康な方にはほとんど感染しませんが、どんな場合でも絶対に感染しないわけではありません。免疫力の低下している方や赤ちゃん・幼児、体調を崩している方は、比較的容易に細菌性結膜炎にかかってしまいますので、体力を低下させないように十分注意しなければなりません。赤ちゃんのいる家庭では、大人が先に感染してしまわないように注意しましょう。
ウイルス性・細菌性結膜炎の対処方法
症状が気になる場合は自己判断せずに病院に行くようにしてください。ウイルス性・細菌性結膜炎の治療は、炎症を鎮める点眼薬を用いて行われます。またウイルスや細菌が混合して炎症を起こさないよう、抗生物質の点眼薬を用いることもあります。
結膜炎の治療は基本的に点眼薬を用いて行うことになりますが、赤ちゃんの目に目薬をうまく入れるにはコツと慣れが必要です。赤ちゃんが嫌がるので点眼薬をさしたくない、というお母さんもいるようですが、そのままにしておくと、結膜炎の症状は長引き、赤ちゃんに辛い思いをさせてしまいます。
アレルギー性結膜炎が原因
ウイルス性・細菌性結膜炎とは異なり、アレルギー性結膜炎には感染力はありません。アレルギー性結膜炎の原因はアレルゲンと呼ばれ、花粉、ハウスダスト、ダニなどが主なアレルゲンとして挙げられます。
アレルギー性結膜炎は以前にはどちらかというと年齢の高い人に多く見られる症状でしたが、最近では若年齢化がどんどん進み、幼児の間でもアレルギー性結膜炎にかかる割合が増加しています。
アレルギーを予防するには
赤ちゃんが寝起きする場所にダニや蚤が発生しないよう、掃除をまめにし、室内の換気に気を配るようにしましょう。まだ立って歩くことの出来ない赤ちゃんは、床やベッドで一日の大半を過ごしていますので、ハウスダストやダニといったアレルゲンの影響を受けやすい環境にあります。
赤ちゃんのベッドや布団がじめじめしていると、ダニなどの害虫が繁殖しやすくなります。赤ちゃんの生活空間からアレルゲンを出来るだけ排除するよう、室内の掃除と換気はこまめに丁寧に行いましょう。
ベッドや布団だけでなく、おもちゃやマットなど、赤ちゃんが直接触れるものは清潔に保つようにしましょう。
食物アレルギーが原因
離乳食が進んで食べられるものが増えてきた頃に目をこする仕草を頻繁にするようになったら、もしかしたら食物アレルギーの可能性があるかもしれません。
食物アレルギーは皮膚症状以外に粘膜のある部分にも症状が現れやすく、もちろん粘膜に囲まれている目も同様のことが言えます。
アレルギーは個人で発症程度が異なりますが、乳児は2時間以内に症状が現れる即時型アレルギーの患者数がもっとも多いと言われていますので、離乳食後しばらくして目をこするような仕草を見せた時は、その他のアレルギー症状の有無を確認しましょう。
離乳食を開始する頃からアレルギー検査を受けられる病院も多いですが、やはり検査は赤ちゃんにとって負担となりますから、事前に医師とよく相談してから決定してください。 ※参考 即時型食物アレルギー
視力に問題がある場合
赤ちゃんが目をこするのは、斜視や弱視など視力に問題が生じているせいかもしれません。斜視や弱視になると、ものに焦点が合わせにくく、そのため無意識に目をこすってしまうようです。
赤ちゃんの視力はまだ弱く、視力の未発達とは別に、弱視、乱視、斜視といった問題が生じている場合には、早めに診察を受け、必要な治療を行わなければなりません。
こんな場合は注意!
赤ちゃんの目のトラブルにはさまざまな種類があります。斜視や乱視、弱視のほかにも、先天性白内障や先天性緑内障なども、赤ちゃんの目の病気になります。生後しばらくは赤ちゃんの視力は弱く、目の病気なのか、それともこれが普通なのか、なかなか判断できないお母さんも多いようです。
生後半年たっても、目の前にあるものを目で追わない、片目が寄り目に感じられる、横目でものを見る、黒目が濁っているように感じられる、目をよくこすっている、まぶしそうにする、目やにが多い、涙が止まらない、このような症状が頻繁に見られる場合には、目の病気の可能性も捨て切れません。様子を見ておかしいと感じるようでしたら、早めに専門医に相談するようにしましょう。
逆さまつげが原因
逆さまつげとは、まつげが逆の方向にむかって生えていること。本来であれば、上のまつげは上向きに、下のまつげは下向きに生えてきますが、赤ちゃんの場合、まぶたに脂肪がふっくらとついているため、まぶたの筋肉がまだ未発達。このために赤ちゃんのまつげは逆さまつげになりやすいといわれています。
逆さまつげの症状
逆さまつげになると、まつげが眼球に常に触れてしまい、ちくちくと痛みを感じます。その他の症状を挙げると、目の充血、まばたきが多い、目を頻繁にこする、まぶしそうな様子、目やに、涙目など。
逆さまつげはそのままにしておいても、自然に治ることが多いといわれています。赤ちゃんの成長につれて、まぶたの脂肪が少なくなり、筋肉がついてくると、まつげは自然な方向に生えそろうようになります。
ただし、症状がひどく、眼球に損傷をあたえている場合は、そのままにしておくと視力にダメージをきたす恐れもありますので、このような場合は炎症を抑える薬が処方されます。
赤ちゃんが目をこするときの対処法
眠いわけでもないのに、目を頻繁にこするのは目にトラブルが生じているというシグナル。またこれと同時に、目をこすること自体も赤ちゃんの目にダメージを与えかねません。
赤ちゃんが目をこすっても瞳に傷がつかないよう、爪を手入れしてあげるようにしましょう。目のかゆみがひどくそのままにしておくと、瞳を傷つけそうな場合には、ベビーミトンをはめてあげると安心です。
目をこすることのデメリット
眠気を覚えたときに目をこすってしまうのは仕方ないことですが、理由もなく目をこする習慣がつくと、爪や指で眼球やまぶたを傷つけ、これがもとで雑菌が繁殖しやすくなります。
目をこすること自体、結膜炎や炎症の原因にもなりえます。赤ちゃんの目の症状に注意を払うのはお母さんの役目。眠い以外の理由で、赤ちゃんが目をこすっているときは、他の症状もないかどうか、注意深く見守ってあげましょう。
赤ちゃんに目薬をする際のコツとは?
目薬は必ず医師の処方を受けたものを使用してください。目薬を入れようとすると、赤ちゃんは思わず目を瞑ってしまいます。またじっとしていてくれないので、赤ちゃんの目に目薬をさすのは簡単ではありません。お母さんが目薬をさそうとすると、赤ちゃんは本能的に目をつむるか、顔を傾けてしまいます。
大人のように、目を開けた状態で目薬をさすのは難しいので、無理に目を開けさせようとする必要はありません。目を閉じた状態であっても、目頭にさすようにすれば、赤ちゃんが目を開けたときに目の中に薬が入り込みますので、心配いりません。
無理に赤ちゃんの目を開けさせようとすると、赤ちゃんが嫌がったり、ぐずったりして、目頭やまぶたに目薬をさすことも出来ないでしょう。目を開けてくれないときは、赤ちゃんの目頭につけるつもりでさすのがポイントです。
自己判断は控え、病院に
目の病気はどれも症状が似通っていますので、自己判断でどの病気と断言することは出来ません。憶測に頼り判断を誤ると、不適切な治療法を取ってしまうおそれもあります。治療方針が間違っていると、症状は悪化してしまい、結果として視力に悪影響を及ぼすこともあります。
赤ちゃんの場合はとくに免疫力も弱く、大人よりも症状が重症になる傾向が顕著です。少しでもおかしいな?と思うことがあれば、なるべく早めに小児科あるいは眼科で診察を受けるようにしましょう。
ここまでのまとめ
赤ちゃんが目をこする場合に知っておきたい情報ををご紹介しました。眠気以外の理由で目をこすっているときは、目の病気も疑われます。目をこするのはなんらかのトラブルが発生しているせい。赤ちゃんが目を頻繁にこすっていたら、まずは注意深く観察し、その上で必要な対策を取らなければなりません。
赤ちゃんの目の病気についての知識を備えておかないと、いざというときに適切な対応を取ることが出来ません。目をこすることに加えて、目の充血、目やに、まぶたの腫れ、瞳孔の濁りなど、気になる症状を伴う場合は、必ず専門医の診察を受けるようにしましょう。