初めての出産や育児は、戸惑うことも多いですし赤ちゃんの成長に一喜一憂してしまうものです。育児に大変さはつきものですが、順調に育っている可愛い我が子の姿に、つい「二人目も早く授かりたい」と早々に思ってしまいます。
しかし、本当に二人目を妊娠してしまったらどうしますか?赤ちゃんにまだ授乳をしている時期に妊娠した場合、どのような対処をすべきなのでしょうか。
育児中の赤ちゃんにとって、お腹の中の赤ちゃんにとって、そしてお母さんにとって何がベストなのか、さまざまな方向から見ていきましょう。
授乳中は妊娠しにくい理由
基本的に、赤ちゃんに母乳を与えているお母さんは、妊娠しにくいと言われています。それは、授乳により分泌されたホルモンが、排卵しないようにブレーキをかけているからです。
赤ちゃんが母乳を飲んでいれば、排卵されることはないため、授乳中は妊娠しなくなります。しかし、授乳中にもかかわらず妊娠してしまうのは何故なのでしょうか。それは、授乳とホルモンの仕組みに関係があると言えます。
ホルモンと排卵の関係
授乳中は、ホルモンの分泌により排卵しないようにブレーキがかかるため、基本的には妊娠しないものです。しかし、それでも妊娠してしまうのは、ホルモンバランスが変化していることが関係していると思われます。
赤ちゃんに母乳を与えるとき、お母さんの体の中ではプロラクチンやオキシトシンといったホルモンが積極的に分泌されます。これらのホルモンには、排卵を抑制し、子宮を収縮させて回復する働きがあるため、妊娠することはないのです。
しかし、ストレスや授乳量の減少によりホルモンの分泌量が減ると、排卵しないようにかかっていたブレーキが緩くなってきます。そして抑えきれずに排卵された結果、妊娠に結びついていくのです。
授乳間隔を見直そう
授乳中は、ホルモンの影響により妊娠しないことがほとんどですが、赤ちゃんの授乳量が変化してくるとホルモンの分泌量が変わってくるため、気を付ける必要があります。
およその目安として、1日に5回以上授乳しており、1回の授乳時間が10分以上であれば、排卵にブレーキをかけるホルモンは充分分泌されると考えられています。
また、赤ちゃんの授乳間隔が開いてくると、ホルモンの分泌が減るため、できるだけ授乳間隔は3時間以内に納めた方が良いでしょう。
夜の授乳は必須
妊娠を避けるために、授乳回数や時間が一定のリズムになっていたとしても、夜に授乳していないと妊娠してしまう可能性が高くなります。
なぜなら、夜の時間帯はホルモンが活発に分泌されるからです。この時間帯に母乳を与えていなければ、ホルモンの分泌量が減ってしまうため排卵にブレーキをかけることができなくなってしまいます。
できるだけ妊娠は先延ばししたい場合は、赤ちゃんが寝る前にしっかり母乳を与えるようにしましょう。
生理が来たら注意が必要
授乳中は、ホルモンの分泌により排卵しないようにブレーキがかかるため、基本的には妊娠しません。しかし、ホルモンの分泌量が減ると、排卵されるようになるため、性行為を行うことで妊娠してしまう可能性があります。
もし、授乳中に生理が来たら注意しておく必要があるでしょう。生理は、排卵した卵子が受精しなかった結果、引き起こされるものなので生理が来るということは妊娠する確率が上がっているという証拠になります。
二人目の妊娠はもう少し先にしたい場合や、妊娠を望まない場合は、必ず避妊するようにしましょう。
妊娠した場合は
二人目はまだ早いと思っていても、授乳中に妊娠が発覚することはあります。早い人だと、出産から2ヶ月後には排卵が開始されるケースもあるので、授乳中に妊娠してしまうことは珍しいことでもないのです。
ただ、母乳で赤ちゃんに授乳している人の場合、このまま授乳を続けても大丈夫かどうかが気になるところではないでしょうか。
実は、授乳期間中に妊娠した場合、母乳をストップさせるかストップさせないかは、病院やお医者さんによって意見が大きく異なってくるのです。それは、授乳と妊娠の作用が反比例してしまうことが原因になっています。詳しくご説明していきましょう。
授乳を続ける?やめる?
授乳中に妊娠すると、母乳をストップさせた方が良いという意見と、続けても大丈夫だという意見に分かれます。まずは、母乳をストップさせた方が良いという意見から見ていきましょう。
妊娠中でも授乳NGの意見
母乳をストップさせた方が良いという意見の場合、赤ちゃんに母乳を与えることが、お腹の赤ちゃんにとって良くないと考えられています。
母乳を作り出すには、プロラクチンやオキシトシンといったホルモンの分泌が欠かせません。これらのホルモンは、排卵を抑制するだけでなく、子宮を収縮させる働きも担っています。
妊娠中に子宮が収縮してしまうと、妊娠した赤ちゃんに影響がおよび、最悪の場合流産してしまう可能性があると言われているのです。このことから、授乳中に妊娠が発覚した場合は、一刻も早く母乳を中断すべきだという結論になります。
妊娠中でも授乳OKの意見
授乳中に妊娠した場合、母乳をストップさせた方が良いという意見がありましたが、その反対もあります。授乳中でも母乳を与えても良いという意見では、プロラクチンやオキシトシンといったホルモンが、流産に関係しているとは言い切れないと考えられています。
プロラクチンやオキシトシンといったホルモンには、子宮を収縮させる作用がありますが、同じ成分を母体に投与しても流産することはありません。
もし、これらのホルモンが本当に流産に関係しているのなら、望まない妊娠で人工的に流産させたい人に向けて、病院が投与するはずです。このことから、授乳中に妊娠しても中断する必要はないと考えられているのです。
どちらの意見もありますので必ず医師に相談して対応してください。
授乳を止めた方がよい場合とは
妊娠中の授乳は、赤ちゃんが嫌がらなければ普段どおりで構いません。お母さんのつわりや疲れが酷い場合は、添い寝で授乳したりその時だけはミルクにするなど、お母さんが無理しないようにご自身で調整してください。
しかし、中にはお母さんの体調を見て断乳すべきケースもあります。例えば妊娠初期は不安定ですから、そこで頑張ってしまうと切迫流産や流産の可能性が高くなります。
また、張り止めの薬を飲んでいる・高血圧症である・頻繁にお腹が痛くなる等の症状が出た場合も、症状の悪化を抑えるために授乳をストップするよう指示されます。残念ですが医師の指示にはしっかり従ってください。
母乳が出なくなることも
授乳中に妊娠した場合、母乳を自分の意志でストップさせるかどうかは、病院や医者により意見が異なります。しかし、妊娠したことによりホルモンバランスに変化が起き、母乳が出なくなって授乳できなくなるということもあるのです。
また、妊娠したことにより体調が安定せず、授乳する体力が保てない場合もあります。つわりがひどい場合は、満足に食事をとることもできなくなるため、母乳も制限されるようになってしまうでしょう。
授乳中に妊娠しても、母乳が出なければ続けたい意志があったとしても継続することはできません。哺乳瓶か、離乳食に切り替えていく必要があるでしょう。
卒乳へのチャレンジ
授乳中に妊娠する場合、多くのケースで赤ちゃんは生後10ヶ月以降となっています。これは、生理が再開する時期が生後10ヶ月以降になっていることが多いからです。
この頃になると、赤ちゃんは離乳食をスタートしていますし、早い赤ちゃんだと1日に2回~3回の食事に増やしている最中でしょう。授乳中に妊娠が発覚したのなら、それをきっかけに卒乳を目指すのもひとつの方法です。
卒乳するタイミングとしては、1歳をきっかけにする場合や、お母さんが社会復帰する場合、赤ちゃんが欲しなくなるまで待つ場合などさまざまです。しかし、妊娠をきっかけに卒乳を目指すのも良いタイミングだと言えるでしょう。
赤ちゃんと一緒に卒乳する日を決めて、心の準備を整えていくことで、赤ちゃんも納得して卒乳することができます。
授乳を赤ちゃんが拒否?
授乳中に妊娠したことをきっかけに、卒乳にチャレンジすることもできますが、赤ちゃんの方から授乳しなくなることもあります。母乳にはたくさんの成分が含まれていますが、お母さんの体調や栄養によって微妙に味も変化していくのです。
お母さんが妊娠したことによりホルモンのバランスも変わるため、母乳の味が変化して美味しく感じなくなったり、今までとは違う味に戸惑ってしまったりすることがあります。その結果、赤ちゃんが授乳を嫌がり拒否するようになっていくのです。
赤ちゃんに授乳を拒否されてしまうと、悲しい気持ちになってしまうかもしれませんが、飲みたくないのに強制するとさらにこじれてしまいます。哺乳瓶でのミルクや、フォローアップミルク、離乳食を充実させて別の栄養をたくさん与えてあげるようにしましょう。
授乳中に妊娠したい場合のポイント
妊娠を避けるお母さんとは対照的に、年子のメリットを考えて早く次の子を産みたいと思っているご夫婦もいます。手っ取り早く妊娠したいのならば、授乳の回数を少なくするのがポイント。
特に夜中の授乳を避けてホルモン分泌を抑えると、母乳を作るホルモン分泌量が少なくなり排卵を伴う生理再開が早くなります。
妊娠に適しているのは、妊娠に耐えられる体力と栄養が備わっている身体ですから、食事をしっかり摂って回復力を促進させるのも大事です。この時期はまだ女性ホルモンのバランスが整っていないため、基礎体温や排卵検査薬は役に立たない可能性がありますので注意してください。
身体や気力と相談しよう
授乳中に妊娠すると、思った以上に身体や気持ちが疲れてしまうことがあります。初めての育児に戸惑い、試行錯誤しながら進めていく毎日は、妊娠していない人にとっても大変です。
しかしそこに、妊娠で体調が安定せず、気持ちも不安定になってしまうことから、産後うつと妊娠ブルーが重なってしまうことがあります。産後間もない時期だと、まだ体力も万全には回復していない状況なので、無理をしないようにしてできるだけ周りの人たちにフォローしてもらうようにしましょう。
妊娠初期の頃に無理をしてしまうと、母体に負担がかかり赤ちゃんにも影響が出てしまう可能性があります。最悪の場合、流産してしまうこともあるので注意が必要です。
赤ちゃんの育児に意識が集中すると、自分のことをほったらかしにしてしまいがちになりますが、そんな時期だからこそ、より自分の身体を大切にするようにしましょう。家族に任せられる家事はできるだけお願いし、赤ちゃんの沐浴やおしめ替えも協力してもらうことで、負担をできるだけ軽くするようにしてください。
迷ったり気になることは専門家に相談を
妊娠前はとても元気だった方が産後は体質が一変してしまった、なんて良くある話です。それだけ妊娠と出産は、女性のエネルギーを多く消費してしまうものなのです。
出産前から母乳育児の仕方を勉強し家族計画をご主人と話し合ったとしても、出産後の体調変化によってはそのプランをひっくり返さなければならないケースも珍しくありません。
自分の体調・赤ちゃんの個性・夫婦の年齢・育児方法など迷いがちなポイントにひっかかり悩んでしまう場合は、医師や助産婦に相談してみましょう。お産と赤ちゃんのプロですから、どうすればよいか悩んでいたポイントもすっきり解決してくれるかもしれません。
まとめ
授乳中に妊娠した場合、どんな対処をすべきかなどついて詳しくご紹介しました。授乳することと、妊娠することでお母さんの身体にはたくさんの変化が起きてきます。ホルモンの影響受けて母乳の量が変わったりすることもあるでしょう。
授乳中に妊娠した場合、母乳を続けるかどうかは意見が分かれるところですが、それぞれの意見を良く検討し、自分の体調も見ながら判断していくことが大切です。
目の前の赤ちゃんにとって、お腹の赤ちゃんにとって、そしてお母さんの身体にとってベストな選択肢を見つけてください。