生後5、6ヶ月ごろから始める赤ちゃんの離乳食。赤ちゃんがすくすく成長し、離乳食を始めるまでになったと嬉しい気持ちでいっぱいになりますが、それと同時に毎日の離乳食作りに頭を悩ませてしまいます。
離乳食に入れたい食材はたくさんありますが、乳幼児の食物アレルギーのことを考えると何でも好きなものを選ぶというわけにはいきません。ヨーグルトもそのひとつ。
ヨーグルトは噛む必要がなく、舌触りも滑らかで、離乳食を始めたばかりの赤ちゃんにとって食べやすい食材。調理の必要がなく、そのままスプーンで食べさせることができてお母さんにとっても便利な食べ物ですが、乳製品ということでアレルギーのことが気になります。
赤ちゃんにヨーグルトをあげるのはいつから?あげる時期、回数、量、あげ方などについて、離乳食にヨーグルトをあげるときの注意点など知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介していきます。
赤ちゃんにヨーグルトをあげてもいい?
赤ちゃんの離乳食についてもっとも気になるのがアレルギーのこと。とくに注意すべきなのが、乳幼児の三大食物アレルゲンと呼ばれる牛乳・小麦粉・卵。これら三つに関しては、あげる量や時期を慎重に見計らう必要があります。
これら三つのアレルゲンですが、これらを原料とする食品についても同じような注意が必要。乳製品であるヨーグルトに対しても同様で、離乳食として赤ちゃんに食べさせるとアレルギーになるのでは?と躊躇するお母さんもいるでしょう。
しかしアレルギーのことが心配だからといって、アレルゲンになる可能性のある食品をすべて除去してしまうのは問題です。
アレルギー予防としてのアレルゲン除去
牛乳、卵、小麦粉以外にもアレルゲンとなりうる食品は数多くあります。アレルギーを発症する前から、これらすべての食品を離乳食から除去するのは問題の解決にはなりません。
ヨーグルトに関しても同じで、あげ方やあげる時期、量や回数などに注意を払い、適切なタイミングで少量ずつ食べさせることが大切。
赤ちゃんにヨーグルトをあげる際には、乳幼児のアレルギーや離乳食の進め方に関する正しい知識を養っておくことが必要です。赤ちゃんにヨーグルトをあげるときのポイントをひとつずつ見ていきましょう。
赤ちゃんにヨーグルトをあげるのはいつから?
赤ちゃんが離乳食を始めるのは生後5ヶ月~6ヵ月頃で、離乳が完了するのは生後12ヶ月から18ヶ月頃になります。赤ちゃんにヨーグルトをあげる時期ですが、これは離乳食を始める時期や進み方次第です。
一応の目安としては、離乳食中期と呼ばれる生後7ヵ月以降に赤ちゃんにはじめてヨーグルトを与えます。一般的には離乳食を開始するのは、生後5ヶ月~6ヵ月で、この時期は離乳食初期と呼ばれています。
離乳食の開始の時期や進み方のペースによっては、離乳食初期の後半、生後6ヵ月目頃から赤ちゃんにヨーグルトを食べさせるお母さんもいます。
ヨーグルトをあげるタイミングは、離乳食の進め方と深く関わっていますので、ここで離乳食の進め方についておさらいしておきましょう。※参照1
離乳食初期
離乳食初期とは生後5ヶ月から6ヶ月目を指します。離乳食は十倍粥から始めます。飲みこみやすく滑らかにつぶしたお粥を一日一回あげることから始めましょう。
お粥に慣れてきたら、にんじんやかぶ、かぼちゃなどのくせのない野菜をすりつぶしたものも加えます。野菜が食べられるようになり、離乳食の進み方が順調であれば、白身魚、お豆腐をあげるようにします。
離乳食初期のポイントはあげる回数を一日一回にし、母乳やミルクは好きなだけあげること。初めての食材は何かトラブルがあると困りますので、病院の診察時間に間に合うよう、午前中に一さじずつあげて様子を見ます。
離乳食中期
生後7ヵ月から8ヶ月離乳期中期になると舌で食べ物をおしつぶせるようになります。離乳食をあげる回数も2回に増やし、与える食材の数も増やしていきます。
野菜はキャベツや白菜、ほうれん草なども取り入れ、すりおろしたり、細かく刻んだ果物も加えていきます。お魚は白身が問題なければ赤身の魚にも挑戦し。お肉は脂肪分の少ない鶏肉から始めます。
脂肪分の多い卵に関しては、赤ちゃんには卵白のアレルギーが多いので、最初は固ゆでにした卵の卵黄だけをあげるようにします。お米に加えて、麺類や食パンなども離乳食のメニューに加えると、赤ちゃんも飽きません。ヨーグルトをあげる際にはプレーンタイプで無糖なものを選びましょう。
離乳食後期
生後9ヶ月から11ヶ月は離乳食後期と呼ばれています。中期に引き続き、離乳食としてあげる食品の数をどんどん増やしていき、回数も一日3回にします。
この時期になると歯茎で食べ物をつぶして食べられるようになりますので、これまでよりも噛み応えのある食べ物も食べられるようになります。手づかみで食べることが大好きな赤ちゃんも出てきますので、赤ちゃんが手にもって食べられるような離乳食も工夫してみましょう。
赤ちゃんの鉄欠乏性貧血に注意
離乳食後期の注意点は鉄分不足。とくに母乳育児の赤ちゃんは離乳食が進み、母乳の摂取量が減るとともに鉄分が欠乏する傾向にあります。
鉄欠乏性貧血にならないよう、離乳食に加える食材として、鉄分豊富な鶏レバーやひじきなどを積極的に取り入れましょう。
いろいろな食材をバランスよく取り入れる
野菜、果物、肉、魚、大豆製品、卵、乳製品、お米・麺類・パンといった食品をバランスよく、すべてのカテゴリーから満遍なく離乳食に取り入れるにしましょう。
乳製品はヨーグルトだけでなく、脂肪分および塩分の少ないチーズを加えてもかまいません。ヨーグルトは中期同様、無糖タイプのものを食べさせます。そのままあげても、また果物や野菜のピューレと混ぜてあげてもいいでしょう。
離乳食完了期
月齢12ヶ月から18ヶ月は離乳期完了期と呼ばれています。一日3回の離乳食が完了し、大人と同じように、ほとんどすべての食材を食べることができるようになります。
離乳食が完了する時期には個人差がありますので、離乳の完了の早い・遅いについて気持ちを煩わさないようにしましょう。離乳が完了すると、一日3回の離乳食のリズムが定まり、その合間におやつタイムや飲み物が摂れるようになり、幼児期の食習慣に移行していきます。
ヨーグルトの成分や栄養について
ここでヨーグルトの成分や栄養についておさらいしておきましょう。ヨーグルトにはタンパク質、脂肪、炭水化物がバランスよく含まれています。牛乳の栄養分の多くを含みながら、さらに乳酸菌やビフィズス菌による発酵力の効能も得られます。
整腸作用はもちろんのこと、カルシウムやビタミン類も多く含まれるヨーグルトは理想的な食材。果物や野菜を加えてドリンクにしたり、調味料のひとつとして料理に用いたりと、いろいろな食べ方が出来るのもメリットのひとつです。
赤ちゃんにヨーグルトをあげる際のポイント
善玉菌を増やし腸内環境をサポートしてくれるヨーグルト。体によい影響をもたらす効能をたくさん得られるヨーグルトですが、赤ちゃんに食べてもらう際にはそれなりの配慮をしなければなりません。
乳製品のひとつですので、最初からたくさんの量を食べさせるのはNG。離乳食としてヨーグルトを赤ちゃんに食べさせる際の注意点について見ていきましょう。
最初はひとさじから食べさせる
離乳食の進め方の基本は一品ずつ、そして少量ずつあげること。お粥からはじめる離乳食ですが、赤ちゃんにとってはじめての食品は、ひとさじから始めます。一口食べさせてみて口のまわりに赤みやかゆみなどの症状が出ないかどうか確認します。
赤ちゃんの消化・吸収機能について
それまで母乳かミルクしか飲んでいなかった赤ちゃんは、胃腸の消化・吸収機能がまだ未発達。離乳食を始め、母乳やミルク以外の食べ物を少しずつ摂取することにより、胃腸の消化吸収機能、唾液の分泌活性、食べ物を噛む力などを徐々につけていきます。
離乳食を始めたばかりの頃はまだ消化吸収能力も未熟ですので、いちどに複数の食材を量に制限なく 食べさせるのは下痢を引き起こす原因になります。ヨーグルトをはじめてあげるときは、ひとさじずつから始めましょう。
はじめてヨーグルトを食べさせるタイミング
はじめてヨーグルトを食べさせる際は、万が一なんらかのトラブルがあっても対応できるよう、病院の診療日の午前中にすると安心です。
アレルギーには食べてすぐに症状のあらわれる即発性のものと、症状が出るまでに数時間から数日間時間のかかる遅発性のものがあります。ヨーグルトをはじめて食べさせる際は、万が一のことを考えて午前中にあげるようにしましょう。
家族にアレルギー疾患が見られる場合
赤ちゃんの両親・兄弟姉妹にアレルギー性疾患を抱える人がいる場合には、ヨーグルトなどの乳製品を食べさせる時期について、あらかじめ医師に相談するようにしましょう。
アレルギーになってはいけないと思うあまり、アレルゲンになる可能性のある食べ物を、お母さんの勝手な判断で離乳食から除去することは勧められませんが、だからといって、適当な時期に適当な量をあげるのもNG。
食品アレルギー自体は遺伝しませんが、アレルギー体質には遺伝の影響もあるといわれています。赤ちゃんにヨーグルトを食べさせる際に不安なことや疑問があれば、医師に相談してから離乳食に取り入れるようにしましょう。
無糖のプレーンタイプ ベビー用ヨーグルト
赤ちゃんの離乳食初期には調味料は一切使用しないことが基本。赤ちゃんにあげるヨーグルトは無糖のプレーンタイプにしましょう。
離乳食に塩・砂糖を加えるのは生後7ヵ月以降が勧められています。赤ちゃんにはじめてヨーグルトをあげる際には、砂糖が加えられたタイプや果物が入ったもの、ゼラチンやコーンスターチで固められたものは避けるようにしましょう。
上述したとおり、離乳食の進め方の基本は食材をひとつずつ与えること。ゼラチンや果物などの入ったヨーグルトをいきなり与えると、万が一アレルギー症状が出た場合、アレルゲンを特定しにくくなります。
また塩や砂糖といった調味料を加えるようになったあとも、赤ちゃんの離乳食は極力薄味にします。赤ちゃんにヨーグルトをあげる場合には、無糖プレーンのものにしましょう。
野菜や果物の自然な甘み
無糖ヨーグルトの酸味が気になるときは、野菜や果物をうらごししたものを加えると自然な甘みがつき、赤ちゃんもすんなり食べてくれます。
ヨーグルトに混ぜる野菜や果物は、すでに食べたことのあるものにしましょう。りんご、にんじん、バナナ、ほうれん草など、混ぜるものを工夫することにより、いろいろな味で飽きずに美味しく食べてもらえます。
市販のベビー用ヨーグルト
お出かけのときなどに便利なのが、市販のベビー用ヨーグルトです。食べ切りサイズでスプーンもついていますので、外出のときやお母さんが忙しい時にも大活躍。果物や野菜入りで赤ちゃんの好みのものを選ぶことが出来るのもメリット。ベビーフード代わりに利用できて便利です。
ただしベビー用ヨーグルトは赤ちゃんが好むように甘く作られていますので、あげ過ぎに注意。離乳早期にたくさん食べさせてしまうと、この味だけを覚えてしまい、普通のプレーンヨーグルトを食べないようになります。甘いベビー用ヨーグルトばかりあげるのは控えましょう。
ヨーグルトの温度は?温める?常温?冷やす?
赤ちゃんにあげる食べ物は温かいものが基本ですが、ヨーグルトは温めて食べさせるべきなのでしょうか?赤ちゃんには冷たい食べ物や飲み物は控えるのが原則。
胃腸の消化・吸収機能がまだ未発達な赤ちゃんには、冷たく冷やした食べ物や飲み物は負担がかかりすぎ。ヨーグルトも同様で、温める必要はありませんが、冷蔵庫から出したばかりのヨーグルトをそのまま与えるのは控えましょう。冷蔵庫から出しておき、常温に近い温度まで温まったらあげるようにすると、おなかを冷やしません。
まとめ
赤ちゃんにヨーグルトをあげる際に知っておきたい情報をご紹介しました。カルシウムや良質なタンパク質をはじめ、整腸作用のある乳酸菌やビフィズス菌を含むヨーグルトは、赤ちゃんにとっても理想的な食材。調理の必要もなく、すりつぶしたりする手間もありませんので、手軽に赤ちゃんに食べてもらえます。
ただし乳製品ということでアレルギーのリスクがありますので、赤ちゃんにヨーグルトをあげる際には時期や量に注意を払うことが大切。ヨーグルトをあげるタイミングや注意点に十二分に配慮し、ヨーグルトをぜひ離乳食に取り入れましょう。
参照1 厚生労働省 離乳食の進め方