新生児の授乳時間(長い・短い・起きないなど)で知っておきたいこと

新生児の授乳時間について知っておきたいこと 時間 目安 量 回数 間隔 状況 状態 原因 対処方法 など 赤ちゃん 食事

生まれたばかりの赤ちゃんへの授乳については、いろいろな疑問点や悩みがあります。授乳のタイミング、授乳時間、一日の授乳回数、授乳間隔、母乳の飲み方が足りているかどうかなど、新生児の授乳については分からないことがいっぱいです。

新生児の授乳時間やタイミングについて、いまいちコツが掴めないとお悩みのお母さんにぜひ参考にしてもらいたい内容満載です。新生児の授乳時間が長い/短い理由とは?適切な授乳時間とは?授乳時間と回数の関係とは?など、新生児の授乳時間についてぜひ知っておきたいいろいろな情報をご紹介します。

新生児の授乳の特徴とは?

新生児の授乳の特徴とは?

世界保健機構(WHO)の定義では、新生児とは生後28日目までの赤ちゃんを指します。新生児期の赤ちゃんはまだ昼夜の区別がつかず、一日中寝ることとおっぱいやミルクを飲むことを繰り返しています。一度に飲める量が少ないため、授乳の回数が多く、お母さんにとっては体力的にも精神的にもいちばん大変な時期。

新生児への授乳が大変な理由は、授乳回数が極端に多いこと。新生児に対しては赤ちゃんが飲みたいだけ、飲みたいときに授乳することが基本になります。新生児の授乳回数は一般的には一日7、8回から12、13回程度、一回に飲める量が少ない場合には、20回に及ぶこともあります。

頻回授乳について

頻回授乳について

一日に8回以上の授乳を行うことは頻回授乳と呼ばれています。頻回授乳はお母さんにとって体力的に負担になりますが、一度にたくさんの母乳やミルクを飲むことのできない新生児にとっては健やかな成長に絶対に必要なこと。新生児の授乳の特徴は頻回授乳にあります。

詳しく説明すると、頻回授乳とは3時間程度の間隔をあけて、一日に8回以上の授乳を行うことを指します。新生児の場合は多い場合、一日に10回から12回の授乳になることもあります。

頻回授乳はいつまで続けるべき?

頻回授乳はいつまで続けるべき?

頻回授乳をいつまで続けるかは、赤ちゃんとお母さんの授乳のリズム次第。新生児への授乳回数は、赤ちゃんとお母さんの授乳のリズムが徐々に整ってくる生後3ヶ月目になると、回数が次第に減ってきます。

赤ちゃんが一度に飲める量が増えるにしたがって、授乳回数は自然に減っていきます。赤ちゃんの満腹中枢が発達し、上手に母乳を飲めるようになるまでは、赤ちゃんが欲しがるだけ回数を気にせずに授乳することが絶対に必要です。

頻回授乳の重要性とは?

頻回授乳の重要性とは?

プロラクチンとは母乳の産生を促す物質ですが、このプロラクチンは一日に8回以上授乳することで、その濃度を保つことができるとされています。(※参照1)完全母乳での育児を考えている方はこの点に注意を払いましょう

。一日に8回ということは、平均すると3時間置きに授乳をするタイミングになります。授乳の間隔に関してはそのときの状況次第ですが、頻回授乳は母乳の出を良くするためにも非常に重要です。

新生児の授乳時間について

新生児の授乳時間について

新生児の授乳回数について挙げてみましたが、では新生児の授乳時間の目安はどのくらいでしょうか?赤ちゃんの授乳時間は、そのときどきの赤ちゃんの様子や母乳の出方にもよります。標準的に考えると、目安にする時間は20分程度。新生児は体力がなく、授乳時間が長引くとすぐに疲れてしまいます。

授乳の際のコツとは?

授乳する際のコツですが、片方からだけ飲ませるのではなく、片方ずつ交互に飲ませるようにしましょう。時間を区切り、まず片方から5分間~10分間、次にもう片方から同じように5分間~10分間を目安に授乳します。

片方ずつ時間を区切って授乳することにより、授乳時間が長引くことを防止できます。また両方から飲んでもらうことにより、乳腺炎になるリスクも減少できます。

授乳時間を長引かせないメリットとは?

授乳時間を長引かせないメリットとは?

体力がない赤ちゃんにとっては、母乳やミルクを飲むことは大仕事。赤ちゃんの中には母乳やミルクを飲みながら再び眠ってしまう子もいます。飲みながら眠ってしまうと、授乳時間がだらだらと長引いてしまい、赤ちゃんもお母さんもしんから休むことができません。

また授乳時間が長くなると、授乳と授乳の間隔が短くなり、この点でもお母さんにとっては負担が大きくなりすぎます。新生児の授乳時間は長引かせずに、片方から5分ずつ、あるいは10分ずつと時間を決めて行うといいでしょう。

ただし授乳時間があまりにも短すぎると、赤ちゃんが十分な栄養を得ることができません。新生児はまだうまく母乳が飲めないこともありますので、最初の1ヵ月は授乳中の赤ちゃんの様子を観察すると同時に、赤ちゃんの体重増加をしっかり計測することが大切です。

新生児の授乳時間が長い状況・原因とは?

生後1ヵ月目の赤ちゃんの一回の授乳時間の目安は20分程度が適当ですが、授乳時間が20分を軽く超えてしまう場合、どんな理由が考えられるのでしょうか?

母乳の出が悪い

母乳の出が悪い

母乳の出が悪く飲み足りない場合、赤ちゃんがお母さんのおっぱいをいつまでも飲み続けてしまいます。母乳の出が悪いと感じたら、授乳間隔や食事内容を見直し、母乳の出を良くするよう努めましょう。

赤ちゃんの抱き方が良くない場合

赤ちゃんの抱き方が良くない場合

赤ちゃんに上手に母乳を飲んでもらうためには、赤ちゃんの抱き方やおっぱいの飲ませ方のポイントをおさえておく必要があります。

授乳をするときのお母さんの姿勢や赤ちゃんの抱き方、赤ちゃんの口を乳頭にしっかりフィットさせることなど、授乳の際のポイントをもう一度確認しましょう。

赤ちゃんがうまく母乳を飲めない

赤ちゃんがうまく母乳を飲めない

お母さんの抱き方に問題はなくても、赤ちゃんのほうがまだ授乳に慣れていないため、母乳やミルクをうまく飲めないこともあります。生まれたばかりの赤ちゃんは本能的にお母さんのおっぱいや哺乳瓶の乳首を吸おうとしますが、慣れるまではうまく母乳を吸い込めない子もいます。

乳首のくわえ方がまずいため母乳やミルクを飲みこめず、かわりに空気をぐっと吸い込んでしまう赤ちゃんも。最初はうまく飲めなくても、授乳を何度も繰り返すうちに、赤ちゃんは自然に上手に飲めるようになります。赤ちゃんが空気を飲み込んでいるときは、乳首のふくませ方をもう一度見直してみましょう。

新生児の授乳時間が短い原因とは?

新生児の授乳時間は10分間から20分間程度が目安になりますが、稀に授乳時間が10分以内と短いこともあります。授乳時間が短すぎると、赤ちゃんが十分な栄養を得られていないのでは?と不安に感じてしまいます。新生児の授乳時間が短いときに注意したいポイントは何でしょうか?

赤ちゃんの体重増加

赤ちゃんの体重増加

新生児の授乳時間が短い場合、まずは赤ちゃんの体重増加が適正範囲内にあるかどうか確かめましょう。新生児の体重増加の目安ですが、厚生労働省の乳幼児身体発育評価マニュアルによると、生後1ヵ月から3ヶ月の赤ちゃんに期待される体重増加は、一日25gから30gになります。(※参照2)

ただしこれはあくまでも標準的な数字ですので、一日一日の体重の変化に一喜一憂する必要はありません。母乳育児に関してはWHO(世界保健機構)による指標もあります。この指標によると、生後6ヵ月までの、母乳のみで育つ赤ちゃんの一週間の体重増加の目安は100gから200g。一日にすると15gから28g程度になりますので、先述の厚生労働省の目安に比べるとずっと少なくなっています。

新生児の体重増加には幅がある

これら二つの指標にはなぜこれほどの違いがあるのでしょうか?厚生労働省の目安は生後3ヶ月までの赤ちゃんが対象なのに対し、後述のWHO(世界保健機構)の指標は、生後6ヵ月目までの赤ちゃんを対象にしています。赤ちゃんの体重増加は生後3ヶ月までは著しく、その後増加のスピードは緩やかになっていきます。

もうひとつの要素は、母乳栄養とミルク栄養の違い。母乳のみで育つ赤ちゃんは、ミルク栄養あるいはミルク混合栄養の赤ちゃんよりも、体重の増加が緩やかになる傾向が顕著です。

新生児の体重増加について疑問があるとき

新生児の体重増加について疑問があるとき

新生児の体重増加については、母乳栄養・ミルク栄養の違いに加えて、遺伝的な体質や母乳の出方など、いろいろな要素によって違ってきます。赤ちゃんの栄養が足りているかどうか、ミルクを足したほうがいいかどうか、といった疑問点がある場合には、乳児1ヵ月健診の際に医師に相談しましょう。

乳児健診では身長・体重の測定もあり、授乳に関して問題があれば、医師のほうから母乳に加えてミルクを○○g足すように、といった助言が受けられます。ミルクを足したほうがいいかどうか迷う場合は、医師の指示に従いましょう。

母乳が不足しているかどうかの見極め

母乳が不足しているかどうかの見極め

母乳栄養の場合、赤ちゃんがどの程度の量を飲んでくれているのか、いまいちはっきり分かりません。もしかして母乳が不足しているのでは?と不安になるお母さんもいるようですが、母乳が不足しているかどうかを見極めるポイントとはなんでしょうか?以下に母乳が不足している可能性のある状況をいくつか挙げてみましょう。

授乳後すぐに母乳を欲しがる

2、授乳時間が長引く

3、おしっこの量や回数が少ない

4、体重増加がおもわしくない

以上のような状況が見られる場合には、母乳が不足している可能性もあります。母乳の出をよくするための方法をいろいろと取っているにも関わらず、母乳の出が悪い場合には、産婦人科や助産院の母乳外来で相談してみるといいでしょう。

新生児が授乳の時間になっても起きない場合

新生児が授乳の時間になっても起きない場合

新生児は一般的に2、3時間おきに寝ることと起きることを繰り返します。寝ること、母乳やミルクを飲むこと、排泄すること、そして何か不快なことをあれば泣く。新生児の主な活動はこのようなもので、授乳は赤ちゃんが起きたときを見計らって行います。

新生児は通常は2、3時間おきに起きてくれますが、3、4時間たっても目を覚まさないこともあります。こんなときお母さんとしては、赤ちゃんを起こして授乳したほうがいいのか、それともこのまま寝かせておいたほうがいいのか、迷ってしまいます。授乳の時間が来ても新生児が起きないときは、無理をしても起こしたほうがいいのでしょうか?

体重が順調に増えている場合

新生児の体重増加が順調で、機嫌も体調も良く、おしっこやうんちもきちんと出ている場合は、寝ている赤ちゃんを無理やり起こす必要はないでしょう。まずは赤ちゃんの目が覚めるまで様子を見るようにしましょう。

ただし眠っている赤ちゃんの様子に異常が見られる場合は別。普段の様子と明らかに違う様子が見られる場合には、かかりつけの小児科医に早急に連絡しましょう。

新生児を起こす際のポイントとは?

新生児を起こす際のポイントとは?

授乳のために無理やり新生児を起こす必要はありませんが、状況によっては眠そうな赤ちゃんを起こして授乳しなければならないこともあります。新生児を授乳の際に起こすときは、まず部屋のカーテンを開き、日の光を取り入れましょう。

赤ちゃんを優しく抱き上げ、話しかけながら起こしてみます。おむつを替える時間であれば、おむつ替えを行ってみましょう。そのあと体にタッチしながら、授乳するときの体勢を取り、おっぱいを口元にもっていくようにするとすんなり目を覚ます子もいます。

新生児が授乳中に寝てしまった場合の対処法とは?

新生児が授乳中に寝てしまった場合の対処法とは?

赤ちゃんは授乳中にそのまま寝てしまうこともありますが、途中で寝てしまうと栄養が足りなくなるのでは?と心配になってしまいます。授乳中にうとうとと赤ちゃんが寝てしまった場合、もう一度起こして最後まで授乳を続けたほうがいいのでしょうか?

授乳中に寝てしまった赤ちゃんを無理やり起こす必要はありません。母乳を飲む行為は簡単そうで、実は体力を要する大仕事。舌をうまく動かしながら、母乳を口の中に入れることを吸綴と呼びますが、これは大人が想像するよりもはるかに体力を消耗する行為です。

授乳中に赤ちゃんが疲れて眠ってしまうことは珍しくありません。赤ちゃんが眠ってしまうのは、体が休息を必要としているため。眠って体力を回復させることが必要ですので、そのまま寝かせてあげましょう。

授乳時間を見計らうタイミングとは?

授乳時間を見計らうタイミングとは?

新生児への授乳の間隔は2時間から3時間程度が一般的ですが、母乳育児の場合もっと間隔が短くなることもあります。授乳の間隔は2時間おき、あるいは3時間おきにしましょう、と聞くと、その時間ぴったりに授乳しないといけないと思い込むお母さんもいるようですが、授乳の間隔はあくまでも目安。基本的には赤ちゃんが目覚めてから授乳すれば大丈夫。

生後1ヵ月目の赤ちゃんは一日の大部分を眠って過ごしますので、目を覚ましたときが授乳のタイミング。母乳栄養の場合、授乳の間隔がまちまちになっても気にせず、赤ちゃんが目を覚まして泣いたときが授乳のタイミングと心得ましょう。

まとめ

新生児の授乳時間について知っておきたい情報をいろいろなポイントからご紹介しました。新生児への授乳はとにかくお母さんの体力勝負。新生児は一度に少しの量しか飲めませんので、必然的に授乳回数は多くなります。

夜間の授乳や頻回授乳で、お母さんは体力的にも精神的にも疲労困憊する時期ですが、生後3ヶ月になると授乳のリズムも整ってきます。生後一ヶ月目の授乳は、お母さんも赤ちゃんもお互い手探りの状態。授乳のリズムが整うまではいろいろと大変ですが、授乳時間や回数、間隔などに注意を払いつつ、授乳をとおして赤ちゃんとの密なスキンシップを楽しみましょう。

※参照1 日本助産師会 赤ちゃんとお母さんに優しい母乳育児支援
※参照2 厚生労働省 乳幼児身体発育評価マニュアル