赤ちゃんがすやすやと眠っている姿は、何とも微笑ましいものです。しかし、眠っている赤ちゃんからいびきのような音が聞こえ、ビックリしたり心配したりするお母さんもいます。実は、いびきをかいている赤ちゃんは思っている以上に多いと言われています。
一時的ないびきを入れれば、赤ちゃんの半分がいびきをかくと言われていますから、それほど珍しいことでもありません。しかし、たかがいびきと思っていると、思いがけない病気が発覚することもありますので注意が必要です。赤ちゃんのいびきはなぜ起きてしまうのか、そしてどんな対処方法があるのかなど、詳しくご紹介していきましょう。
いびきの状態をチェック
赤ちゃんが寝ているときにいびきをかく原因としては、さまざまなものがあります。まずは危険ないびきと、普通のいびきの違いを見極めていく必要があります。
赤ちゃんがいびきをかき始めたら、呼吸がきちんと継続しているかどうか、確認するようにしましょう。耳を澄ますのも良いですが、ティッシュなど少しの空気で動くもので確かめるとスムーズです。
もし、いびきをかいている赤ちゃんの呼吸が一定時間止まっているようなら、睡眠時無呼吸症候群の可能性がありますので、要注意だと言えるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の影響でのいびき
赤ちゃんが寝ている時にいびきをかいていて、呼吸が一定時間止まって再開するようなら、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
睡眠時無呼吸症候群の赤ちゃんは、睡眠が浅くしっかり眠れていないことが多いので、昼間に眠たくなったり、ぐずったりすることが多くなります。お昼寝の時間が長く夜に眠れない場合や、不機嫌な様子が続く場合は、睡眠時無呼吸症候群の影響を受けている可能性を考えておきましょう。
睡眠時無呼吸症候群の原因は
赤ちゃんのいびきの原因が、睡眠時無呼吸症候群だった場合、どのように対処すべきなのでしょうか。そもそも、睡眠時無呼吸症候群が起きる原因から探っていきましょう。
睡眠時無呼吸症候群が起きるのは、アデノイドという咽頭扁桃や、扁桃腺の肥大が関係していることがほとんどです。のどの奥にあるアデノイドや扁桃腺が大きいと、寝ている時に気道がふさがれやすくなっていびきとなり、睡眠時無呼吸症候群を引き起こすのです。
アデノイドと扁桃腺が肥大してしまうのは、先天的な疾患や障害が原因で起こっていると考えられています。特に生まれたばかりの新生児がいびきをかいている場合、アデノイドと扁桃腺の肥大が関係している可能性が高いと言えるでしょう。
睡眠時無呼吸症候群の治療
赤ちゃんがいびきをかいている場合、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。一定時間呼吸が止まるのは、アデノイドや扁桃腺が肥大しているからです。
先天的なだから治療することはできないと思いがちですが、実は成長につれて自然に治まってくることがあります。アデノイドや扁桃腺の肥大は、10歳前後がピークと言われています。この年齢を過ぎると徐々に肥大は治まり、いびきも減少していくとされています。
赤ちゃんの頃に睡眠時無呼吸症候群の可能性があるからと言って、あわてて手術する必要はないのです。ただ、無呼吸症状がひどくて日常生活に影響したり、夜泣きが続いてしまったりすることも多くあります。また扁桃腺炎を繰り返して、何度も高熱を出してしまう場合もあるでしょう。
そのような状態が続くようなら一度耳鼻科を受診し、必要な場合は手術を検討してみても良いでしょう。
鼻の影響でのいびき
赤ちゃんがいびきをかく原因として、睡眠時無呼吸症候群をご紹介しましたが、先天的なものですし、成長につれて自然消滅していくこともあります。
睡眠時無呼吸症候群かどうか、呼吸のリズムをチェックしておきましょう。このチェックの際、いびきはかいているけれど、呼吸が止まることもないということがあります。呼吸が止まらない場合は、鼻の影響がいびきを誘発している可能性があります。
風邪を引いたり、ハウスダストで鼻水が大量に出て鼻づまりを起こしてしまったりした場合、鼻呼吸することができなくなるため、口で呼吸を確保しなければなりません。しかし普段は鼻呼吸で口呼吸には慣れていませんから、いびきが生じてしまいます。
鼻づまりを解消することでいびきを解決することができますが、単なる鼻づまりだと放置しておくと、呼吸が滞ることもあるので注意が必要です。
鼻づまりの原因でのいびき
赤ちゃんの鼻が詰まってしまうと、口呼吸が始まりいびきが生じやすくなります。
鼻づまりの原因としては、風邪などでウィルスや細菌に感染しているか、ハウスダストや花粉などの影響を受けていることが関係してきます。鼻づまりを防ぐには、風邪を引かないように、人込みを避け、風邪を引いている家族の影響を受けないことが大切です。
また、赤ちゃんのいる環境は常にクリーンな状態にしておけるよう、こまめにお掃除しておくことが大切だと言えるでしょう。
鼻づまり解消 便利なアイテム
鼻づまりが原因のいびきを解消するためには、鼻づまりを除去するのが確実です。鼻水を口で吸って取り除くのが簡単ですが、風邪を引いている場合処置をした人にうつってしまう可能性があります。
最近は、鼻づまりを解消できる便利なアイテムが続々と出てきていますので、ストローやスポイトなど使いやすいものを選んで試してみると良いでしょう。
アレルギー鼻炎が影響してのいびき
鼻づまりの原因は様々ですが、アレルギーが原因の鼻づまりが多くなって来ました。食生活や住環境の変化で、ダニやハウスダスト・乳製品・花粉などアレルギーの元となる物質が増えてきたのがその理由でしょう。
湿疹や肌のかゆみがなくても、急に鼻づまりやいびきの症状が出て来た時はアレルギーの可能性を考えて、上記でも記したように一度部屋の中を徹底的に掃除しましょう。
また、離乳食早期にアレルギーの可能性のある食品をあげてしまうとそれもまたアレルギーの原因となってしまうので、離乳食の進め方をおさらいしてみてはいかがでしょうか。
のどの影響でのいびき
赤ちゃんがいびきをかいている場合、のどの影響を受けている可能性があります。実は赤ちゃんの喉の構造は、大人とは異なり、高い位置に存在しています。
また、舌が喉と同じように上の方に存在しているため、口呼吸がしづらくなるのです。さらに寝ているときにはのど周辺の筋肉が緩んできますから気道が細くなります。
細い気道を空気が通ることにより、のどの膜が震えていびきになるのです。赤ちゃんが成長し、のどの位置が変わってくると。自然といびきも治まってくるでしょう。
喉仏の凹み
赤ちゃんがいびきをかいている場合、睡眠時無呼吸症候群の時間がなければ深刻ないびきである可能性は低くなります。ただし、いびきをかいているときに喉仏が凹むようなら、充分に呼吸ができておらず、酸欠している可能性が高いといえます。
そのままの状態にしておくとさまざまな障害が引き起こされることもありますので、早めに耳鼻科を受診するようにしましょう。
舌の動きの影響でのいびき
舌の裏側にある舌と歯茎をつなぐ小帯という部分が、通常よりも短かったり長かったりして舌の動きが制限されてしまう症状を、舌小帯短縮症といいます。舌を前に出した時に小帯に引っ張られてハート型になるのが特徴です。
舌小帯短縮症は赤ちゃんに様々な影響を与えますが、その中の一つが「いびきをかく」事です。ただ、この症状が原因のいびきはあまり問題にされず、それよりも舌の動きの悪さで上手く飲めずに成長が遅れる事の方が問題となっています。
小児科学会でも舌小帯短縮症の積極的な手術は行わない方針なので、あまり気にせず様子を見ていきましょう。不安な方は主治医に相談してみましょう。
赤ちゃんの体型が影響してのいびき
肥満の方や首の短い方・太い方はいびきをかきやすいのですが、赤ちゃんにも同じ事がいえます。赤ちゃんは丸々しているのが当たり前ですが、それが度を越してしまうと大人と同じように気道が狭まっていびきをかきやすくなるのです。
また、体重が増えすぎてしまうと小さな鼻の穴がそれ以上に狭くなってしまい、いびきの原因につながる事も考えられます。成長曲線を大幅に超えて体重が増加している場合は、赤ちゃんが十分に寝られるように寝る姿勢や枕などを色々工夫してみてください。
今はぽちゃぽちゃしていても、1歳を過ぎれば沢山体を動かすようになってスリムな幼児体型に変わっていくので、あまり心配しないようにしましょう。
寝ている状態をチェックで判断
赤ちゃんがいびきをかいていても、気持ちよさそうに眠っているようなら過剰に心配する必要はありません。
基本的には、赤ちゃん自身の睡眠を阻害しない程度のいびきで、睡眠時無呼吸症候群が確認されなければ、緊急性はないと言ってよいでしょう。ただ、お母さんにとってはいびきがうるさく聞こえてしまったり、睡眠時無呼吸症候群が起きるのではないかと心配しすぎたりすることがあります。
気持ちよさそうにしていても、お母さんの方がいびきに参ってしまうこともあるので、早めに病院に相談するようにしましょう。
横向きに直してみよう
赤ちゃんがいびきをかいていて、よく眠れているようなら基本的に心配はいりません。しかし、いびきがうるさくて眠れなかったり、睡眠時無呼吸症候群が出るかもしれないと心配になったりすることもあるでしょう。
そんな時は、赤ちゃんを起こさないようにそっと横向きにしてあげましょう。横向きになると気道の位置が変わるため、いびきが抑えられたり、治まったりすることがあるからです。
うつぶせになってしまうと、呼吸しづらくなることもあるため、クッションなどでサポートしながら安全な角度を保つようにしましょう。
気になるときは病院へ
赤ちゃんのいびきは、ほとんどが喉の構造によるものか、鼻づまりの影響を受けているものが原因です。
稀に、扁桃腺やアデノイドという咽頭扁桃が肥大していることが原因となる場合もありますが、いずれにせよ成長により自然と治まっていくことが多いので、赤ちゃんのいびきに関しては心配しすぎる必要はないのです。
しかし、初めての育児だと戸惑うことも多いですし、お母さんが大丈夫ないびきかどうか判断できない場合もあります。少しでも様子がおかしいと感じたり、いびきがいつもと違うと思ったりしたら、すぐに病院で診てもらうようにしましょう。
赤ちゃんの身体に関することで不安を抱えたままにしておくと、お母さんのストレスが溜まってしまいます。お母さんのストレスが溜まると、赤ちゃんにも悪影響が出ることも多いので、不安要素はなるべく早く解決できるようにしましょう。
先生に相談 動画で記録が便利
病院でいびきをチェックしてもらう時は、スマホなどでいびきをかいているときの様子を記録しておくと便利です。
基本的に、いびきは寝ているときに出てくるものですから、受診の際に口で説明することは容易ではありません。しかし、いびきをかいている様子を動画で見せることができたら、より的確な判断ができるようになるでしょう。
いびきの音、口や鼻の状態、喉仏の凹みの有無、体勢などいろんな角度から撮影しておくと、何が原因なのか特定しやすくなります。
ここまでのまとめ
赤ちゃんのいびきについてさまざまな角度からご紹介しました。基本的には、喉や鼻の影響を受けていびきが出ることが多く、稀にアデノイドや扁桃腺の肥大が関係していることがあります。
いびきを聞くと、お母さんとしてはビックリしてしまいますが、呼吸が止まったり、喉仏が凹んだりしなければ、あわてて病院に行く必要はありません。しっかり睡眠が取れているようなら、いびきを多少書いていても問題ないと考えて良いでしょう。赤ちゃんのいびきは、成長と共に消滅していくことが多いので、神経質にならないことが大切です。
身体の姿勢を横向きに変えたり、鼻づまりを解消したりして対策を取りながら、健やかな睡眠を守ってあげるようにしましょう。