赤ちゃんのうつぶせ寝について知っておきたいこと

赤ちゃん 睡眠

すやすやと眠る赤ちゃんの姿は、何とも癒されるものです。寝返りを打つようになると、ますます可愛さが増してくるのではないでしょうか。しかし、少し目を離したすきにうつぶせ寝の状態になっていると、一瞬ドキッとしてしまうこともあります。

うつぶせ寝の状態でいると、呼吸が止まってしまうのではないか、胸を圧迫するのではないかとヒヤヒヤしてしまうことでしょう。ただ、ひとくちにうつぶせ寝と言ってもすべてにデメリットがあるというわけでもありません。知っているようで知らないうつぶせ寝の、気をつけることと心配しなくていいことなどを詳しくご紹介していきましょう。

うつぶせ寝とは

うつぶせ寝とは

赤ちゃんがうつぶせ寝になっていると、心配になりますがそもそも「うつぶせ寝」とはどのような状態のことを言うのでしょうか。

うつぶせ寝は、布団に身体の前面をうずめた状態で寝る姿勢のことです。寝返りが始まった赤ちゃんに多くみられるもので、寝返りを打ったものの、寝返り返りができず仰向けになれないままの状態で寝続けてしまうことを指します。うつぶせのままで寝ることにより、仰向けとは異なる作用が起きるため、心配するお母さんが多いのです。

うつぶせ寝が始まる時期

うつぶせ寝が始まる時期

赤ちゃんのうつぶせ寝が発見されるのは、寝返りが始まる時期が多いでしょう。赤ちゃんの寝返りが始まる時期は個人差があるため、一概にいつから注意すべきということは断言できません。

平均すると、生後5ヶ月から6ヶ月くらいの時に寝返りを打ち始めることが多いですが、早い赤ちゃんだと生後3ヶ月で寝返りを打つこともありますし、1歳近くになるまで寝返りしない場合もあります。

気を付けるべきなのは、寝返りができるようになった初期の頃です。まだ一方向にしか寝返りが打てず、寝返り返りもできないので、うつぶせ寝の状態が長引いてしまうからです。

寝返り返りができるようになれば、苦しくなったら自分で仰向けになることができますが、それまでの期間が要注意だと言えるでしょう。

乳幼児突然死症候群のリスク

乳幼児突然死症候群

うつぶせ寝をすることで、赤ちゃんにはどんな変化が生じてしまうのでしょうか。うつぶせ寝で最も心配なのが、乳幼児突然死症候群のリスクです。乳幼児突然死症候群は、ある日突然赤ちゃんが亡ってしまう病気のことで、日本の場合、約6~7,000人に対して1人の割合で赤ちゃんの身体に起こっています。

月齢としては生後2ヶ月から6ヵ月あたりに発生することが多く、1歳以上でもまれに発症することがあります。乳幼児突然死症候群は、解剖しても原因が不明で現在も明確にはわかっていません。

ただ、欧米でうつぶせ寝をする赤ちゃんに乳幼児突然死症候群が起きるケースが多いという報告があり、うつぶせ寝が危険だという認識が広まっていくと乳幼児突然死症候群が減少したことから、うつぶせ寝と乳幼児突然死症候群の関係は一切ないとは言い切れません。

うつぶせ寝が乳幼児突然死症候群を誘発するとは限りませんが、可能性のひとつとして気をつけるべきだと言えるでしょう。 ※参考 厚生労働省:乳幼児突然死症候群(SIDS)について|厚生労働省

乳幼児突然死症候群は他の原因も注意

乳幼児突然死症候群は他の原因も注意

乳幼児突然死症候群が知られるようになると、それまで流行っていた赤ちゃんのうつぶせ寝を避けるお母さんが多くなりました。しかし乳幼児突然死症候群は、うつぶせ寝だけが原因ではない事を知っておく必要があります。

うつぶせ寝の他に、ミルク育児や両親の喫煙・低体重児・先天性の呼吸の異常・冬季などがあり、どれが決定的な原因かは分かりません。うつぶせ寝に気をつけていても、他の原因がそろっていれば乳幼児突然死症候群の可能性は高くなる事を覚えておきましょう。

特に両親の喫煙は大きな危険因子の一つで、喫煙する両親の場合はしない両親よりも症状の発生率が高いデータがあるほどです。これらの原因が当てはまっていないかどうか、一度チェックしましょう。

うつぶせ寝と歯並び・かみ合わせの影響

うつぶせ寝と歯並び・かみ合わせの影響

うつぶせ寝は顔の彫りが深くなる、なんて昔は言われていました。現在は彫りが深くなるというよりも、歯並びやかみ合わせの影響が高い寝方だと歯科学会などから指摘されています。

うつぶせ寝は顔が横を向くので、頭の重さが側面にかかって歯並びに影響を与えます。特に赤ちゃんは頭が大きく骨が弱いですから、長時間うつぶせの姿勢だと歯や顎への影響は大人よりも大きくなります。

新生児の頃からうつぶせで寝る赤ちゃんは、仰向けで寝る赤ちゃんよりも歯並びやかみ合わせの影響を受けやすいので、将来歯科矯正などが必要になる場合もありますので、今から注意が必要です。 参考※子どもたちの口と歯の質問箱|日本小児歯科学会

うつぶせ寝の注意点

ふわふわ布団、毛布などは厳禁

ふわふわは厳禁

頻繁にうつぶせ寝の状態になってしまう赤ちゃんの場合、少しでも目を話すことが不安になってしまいます。うつぶせ寝の状態になると、シーツやまくらなどで窒息しやすいため、ふわふわの素材を使用しないようにしましょう。

ベッドのマットレスは固めを選び、枕やクッションをベッドの上に置かないようにしてください。柔らかいベッドにしてしまうと、身体が沈んで鼻や口をふさぎやすくなってしまいますし、寝返り返りがしづらくなるからです。

また、小さなぬいぐるみや、おもちゃも、いつ移動して赤ちゃんの鼻や口をふさぐかわかりませんから、寝るときは片づけるようにしましょう。タオルや、厚みのあるシーツも、うつぶせ寝で窒息を招く恐れがありますので、ふわふわ素材はできるだけ排除するのが安全だと言えます。

赤ちゃんの衣服には注意

衣服について

うつぶせ寝で窒息を避けるために、ふわふわ素材は避けるべきだとご紹介しました。もうひとつ注意しておきたいのが、衣服です。

首元が緩く、寝ている間に頭の方へずり上がってくるタイプの衣服を着ていると、寝返りを打った時に口元をふさぎ、呼吸を妨げてしまう可能性があります。首元は詰まったタイプのものを選び、フードなど余計なものがついていないスッキリとしたものをパジャマにしましょう。

赤ちゃんの体温を調節

体温について

うつぶせ寝だけに限らず、室温が高すぎたり、衣服を着させ過ぎたりすると、体温が上昇して呼吸を止めてしまうことがあります。

赤ちゃんは体温のコントロールがまだできないため、熱すぎる状態になるとうまく調整できずに脳がストップしてしまう可能性があるからです。脳がストップしてしまうと呼吸を止めてしまう恐れがあるので、温めすぎないようにしましょう。

冬場だと寒いのではとつい余分に服を着させてしまいますが、赤ちゃんの体温はもともと高いので、1枚足りない位でちょうど良いのです。熱い、寒いとまだ言葉や表情で伝えられないからこそ、慎重に調整してあげるようにしましょう。

うつぶせ寝のメリット

うつぶせ寝で気を付けるべきことはたくさんありますが、うつぶせ寝の全てが悪いというわけではありません。うつぶせ寝のメリットには、どのようなことがあるのでしょうか。

夜泣きが少なくなる

夜泣きが少なくなる

まず、うつぶせ寝になることでよく眠り、夜泣きも少なくなるという報告があります。仰向けより睡眠が深くなり、目が覚めたときもぐずりにくいと言われているのです。

頭の形が良くなる

頭の形が良くなる

うつぶせ寝のメリットとして、頭の形が良くなるということがあります。仰向けでばかり寝ていると、後頭部を圧迫する時間が長くなるため、絶壁のような頭になりがちです。

しかし、うつぶせ寝なら後頭部を圧迫することもありませんし、顔を左右交互に向けるため、形の良い頭に成長することができます。

吐かない

吐かない

うつぶせ寝のメリットとして、吐かないということがあります。生後間もない赤ちゃんの胃は、入り口が閉まっていないためちょっとした刺激で吐いてしまうことが良くあります。

胃の入り口は背中側にあるので、仰向けで寝ることで胃の上部にゲップが溜まりやすく、ゲップを出す時に胃の内容物も一緒に逆流して、吐き出してしまいます。

しかし、うつぶせ寝では入り口が上向きになるのでゲップが出やすくなります。また、胃の内容物が下の部分に溜まって逆流しにくくなるので、うつぶせ寝になると吐かなくなるのです。

成長に貢献

成長に貢献

うつぶせ寝のメリットとして、成長に貢献するということがあります。うつぶせ寝の状態になると、頭を持ち上げたり、顔を左右に動かしたり、手を伸ばしたりすることが増えるため、筋肉がたくさん刺激されます。

その結果、首が座る時期が早まったり、ハイハイやお座りが他の赤ちゃんよりも早くなったりすることがあるのです。筋肉は使えば使うほど発達していくので、健やかな成長にも役立っていると言えます。

うつぶせ寝とうつぶせ(腹ばい)の違い

うつぶせ寝とうつぶせの違い

うつぶせ寝について、気をつけるべき点や、メリットなどをご紹介していますが、ひとつ勘違いしやすいポイントとして、うつぶせ寝とうつぶせを混合してしまうということがあります。

結論から言うと、うつぶせの状態になることは成長のために必要なことですから、無理やり止めさせる必要はありません。しかし、うつぶせ寝の状態はその姿勢が長く続く可能性が高いため、目を話すと窒息してしまう危険性がありますから、注意するようにしましょう。

意図的なうつぶせ寝

意図的なうつぶせ寝

うつぶせ寝のメリットについてご紹介すると、きちんと見張っていればうつぶせ寝の方が良いのでは?と考えてしまいがちです。

しかし、まだ身体が成長している最中ですし首も安定していないため、寝返りを打たないうちに無理やりうつぶせ寝にしないようにしましょう。どうしても意図的にうつぶせ寝にしたい場合は、生後6ヶ月を過ぎてからにしましょう。

この頃になると、首が座りはじめ自分でも寝返りが打てるようになってきているので、比較的安心と言えます。ただし、必ず目の届く範囲にいるようにしましょう。

うつぶせ寝の防止

うつぶせ寝の防止

お母さんが起きている間なら、うつぶせ寝をチェックして対処することができますが、夜中に寝ているうちに寝返りをしてしまい、うつぶせ寝になってしまうこともあります。

万が一呼吸できなくなってしまったらどうしようと、気になって心配で眠れないというお母さんも多いでしょう。そんな時は寝返り防止の対策をしておくと、うつぶせ寝にならずにすみます。

寝返り防止専用のクッションが出ていますが、左右に分厚い布団を引いて身体を仰向けに固定しておくのもオススメです。クッションや布団を使う時は、ずれないようにしっかりと固定することが大切です。

ふわふわしている掛け布団だと、寝返りが成功して口元をふさいでしまう恐れもあるので、固めの素材にするようにしてください。寝返りを防止できれば、お母さんが寝ている間にうつぶせ寝になってしまう事もなくなるでしょう。

ラッコ寝には注意が必要

ラッコ寝には注意が必要

添い寝しても抱っこしても寝てくれない時に、お母さんの胸の上に赤ちゃんをうつぶせに乗せるラッコ寝をすると、ぐずらずに寝てくれる場合があります。

赤ちゃんにとってよく眠れるうつぶせの姿勢に加えて、お母さんの体温や心音を感じられるのが、スムーズに眠りに入れる理由なのでしょう。しかしラッコ寝には落とし穴があって、それはお母さんも一緒に寝てしまうと赤ちゃんに危険があるという事です。

胸の上から赤ちゃんを落としてしまったり、お母さんが睡眠中に腕を動かして赤ちゃんに当ててしまうなど、寝ている間に赤ちゃんに万が一の事が起こりかねません。また、寝てしまうと赤ちゃんの異変にも気づかなくなりますので、ラッコ寝をする際には寝ないよう十分気をつけてください。

寝返り返りができるまで

寝返り返りができるまで

基本的にうつぶせ寝の状態を心配するのは、寝返りができるようになってから寝返り返りができるまでの間です。

しかし、寝返り返りができるようになったからと言って、ふわふわの布団に戻してしまうと危険を防ぐことはできなくなってしまいます。また、絶対に安心ということはありませんので、寝返り返りができるようになったとしても目は話さないようにしましょう。

ここまでのまとめ

うつぶせ寝で気をつけることについて幅広くご紹介しました。さまざまなうつぶせのメリットもご紹介しましたが、基本的には注意するのが前提です。乳幼児突然死症候群の関係もあると言われていますので、くれぐれも目を離さないようにしましょう。

赤ちゃんのうつぶせ寝が始まると、お母さんにとっては心配事がまたひとつ増えますが、成長過程のひとつとして捉え、安全第一で見守ってあげてください。

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