産後の骨盤の治し方で知っておきたいこと

産後の骨盤をどう治す? 歪む原因、治す時期、治し方方、治さないとどうなる? 産後お母さん

出産を経験した多くの女性は、体型が変化してしまったと実感しています。お尻が大きくなったり下腹がポッコリでてしまったり、妊娠前に履けていたジーンズが入らなくなったなどさまざまな悩みが発生してしまいます。また、産後に便秘症になったり尿漏れが起きたりしてしまう方もいらっしゃるでしょう。

産後は、骨盤が大きく開いてしまうため歪みが生じやすく体形や臓器にも影響してしまうことが大きな原因です。産後の体形崩れやさまざまなトラブルを防ぐためには、骨盤をきちんと治すことが大切です。そこで、産後の骨盤を治す方法について詳しい情報を幅広くご紹介していきましょう。

産後は骨盤を治すチャンス!?

産後は骨盤を治すチャンス!?

出産を経験した女性の骨盤は、靭帯が緩んで不安定な状態になります。そのため、そのまま放置しておくと歪みがそのままの状態で固定されてしまうため、産後に体形が崩れたりトラブルが起きやすくなったりしてしまうのです。

しかし、骨盤が緩んでしまうということは今まで抱えていた骨盤のさまざまなトラブルも、出産を機に改善することができるということです。

出産ほど骨盤が大きく動くことはありませんので、これをチャンスと捉えて妊娠前より良い骨盤の状態に整えていくようにしましょう。

そもそも骨盤とは?

そもそも骨盤とは?

産後の骨盤の治す方について触れる前に、まずは骨盤とは何かについて簡単にご説明しておきましょう。骨盤は、仙骨、尾骨、寛骨(腸骨、坐骨、恥骨の総称)といった骨が結合してできているものです。

骨盤が大切だと言われているのは、身体の中心にあり、下半身に繋がる大腿骨や、上半身を支える背骨と直結しているからです。そのため、骨盤が歪むことで身体のあちこちに影響が及ぶようになってしまいます。

また、骨盤の中には子宮を始め腸などの臓器がたくさん集まっているため、骨盤が歪むことで臓器にも影響が出るようになります。だからこそ、骨盤を正しく整えることは非常に大切なのです。

出産で骨盤が歪む理由について

出産で骨盤が歪む理由について

産後に骨盤を治す必要があるのは、出産により骨盤が大きく歪みやすくなるからです。妊娠すると、妊娠3ヶ月を過ぎたころから、「リラキシン」というホルモンが卵巣から分泌されるようになります。

リラキシンは、関節を緩める作用があるため、少しずつ骨盤周辺の関節や靭帯を緩めて骨盤の締まりを広げていくようになります。骨盤の関節や靭帯が緩められることから、腰痛が悪化したりする方もいるでしょう。

リラキシンは出産後数日の間も分泌されることがあるため、しばらくの間は骨盤がグラグラで不安定な状態が続くようになるのです。

分娩による骨盤の歪み

分娩による骨盤の歪み

産後に骨盤を治す必要があるのは、分娩により骨盤が大きく開くからです。自然分娩の場合、赤ちゃんは産道を通って外に出てきますが、赤ちゃんの頭の直径は約10センチもあるため、骨盤が大きく開かなければ出てくることはできないのです。

自然分娩で出産した後、自然に骨盤の開きは少しずつ元に戻っていきますが、しっかりサポートしなければ骨盤が開いたままの状態になってしまい、体形やトラブルに影響してしまうでしょう。

産後の過ごし方による歪み

産後の過ごし方による歪み

産後に骨盤を治す必要があるのは、産後の過ごし方が良くなかったことも関係してきます。出産してから1ヶ月くらいの間は、安静にすることが基本となっています。

しかし、身体がもう動くからと産後間もないうちから家事や育児をフルパワーで行ってしまうと、身体の回復が遅れ内臓下垂が起きて骨盤が閉まらなくなってしまうようになるのです。

産後は安静期間が必須

産後は安静期間が必須

出産に向けて大きくなった子宮が元の大きさに戻るのには、約3週間~1ヶ月ほどの時間が必要だと言われています。子宮が元の大きさに戻るということは、大きくなっていた子宮に圧迫されたり押し上げられていたりした臓器も、元の位置に戻っていくということです。

ところが、産後安静にしていないことで骨盤が閉じないうちに重力の影響で子宮や内臓が下がっていき、骨盤の中に入り込むようになってしまいます。骨盤の中に臓器が入り込むと、骨盤が閉まりにくくなり歪みがそのまま定着しやすいので、産後は安静に過ごすようにしましょう。

横になる時間を多めに

横になる時間を多めに

産後は、骨盤を治すためにも安静にすることが大切です。安静というのは起きて活動している時間より布団やベッドに横になっている時間が多いということです。家事は家族に任せて、赤ちゃんのお世話やトイレなど必要なとき以外はできるだけ横になるようにしましょう。

内臓が重力を受けないことで、内臓下垂を防ぎ骨盤が開いたままの状態になることを防いでくれます。起きている時間が長いほど、内臓下垂も起きやすくなることを、しっかり頭の中にインプットしておくようにしてください。

早すぎるベルトはNG

妊娠や出産、そして産後の状態により骨盤はあっという間に歪んでしまいます。そのため、歪みをできるだけ早く取り除きたいと、出産した直後から骨盤矯正のベルトをまいたり、サポーターをはめたりする方もいらっしゃいますが、時期としては早すぎると言えるでしょう。

産後3週間~1ヶ月の間は安静にすることが大切ですが、これは子宮が小さくなっていく期間や、悪露が落ち着く期間、出産の体力が回復する期間として必要とされています。

この時期から骨盤矯正のベルトをまいてしまうと、悪露が出にくくなってしまったり内臓下垂を促進させたりしてしまうこともあるので、産後1ヶ月を過ぎてから骨盤を治すベルトやエクササイズをスタートするようにしましょう。

骨盤を治す時期について

骨盤を治す時期について

妊娠や出産、産後の過ごし方により骨盤は歪みやすくなってしまいますが、きちんとサポートすれば治すことも可能です。では、具体的にいつから骨盤を治し始めるのが良いのでしょうか。

産後2ヶ月から開始しよう

骨盤を治し始めるのに理想的なのは、産後2ヶ月くらいからの時期です。この頃になると悪露の量も落ち着いてきますし、少し赤ちゃんとの生活にも慣れてきているため、自分の身体にも意識を向けやすくなります。

ただ、悪露や身体の状態の回復には個人差がありますので、様子を見ながら少しずつ身体を動かしていくようにしてください。

産後6ヶ月までに行おう

骨盤を治し始める期間は、早すぎても良くないですが、遅すぎても良くありません。産後の時間が経つにつれてどんどん骨盤が動いて安定しようとしてくるため、遅すぎると骨盤の歪みを直しにくくなるからです。

骨盤を治す期間としては、産後6ヶ月までに行うようにしましょう。産後2ヶ月から骨盤を治し始め、産後6ヶ月までにある程度整っているのが理想的です。

骨盤の歪みが取れた状態で骨盤が安定すれば、妊娠前より良い状態にすることができますので、この期間を逃さないようにしましょう。

骨盤の治し方について

骨盤の治し方について

骨盤を治す期間には限りがありますので、その間にできる限りのことはしたいと思います。産後の骨盤を治す方法としては、リフォームインナーを使用する方法、骨盤体操で整える方法、ヨガやピラティスで整える方法、専門家に整えてもらう方法などがあります。

リフォームインナーを使用する方法

インナー

リフォームインナーとは、骨盤を温めたりするものから、強力にサポートするものまで幅広く展開しています。

締め付けないタイプの腹巻などは、産後すぐに着用して温めるために使用することができますが、骨盤ベルトなど矯正機能が高く締め付けも強いものは、産後すぐに巻くと内臓下垂を促進させてしまうこともありますので、産後2ヶ月以降につけるようにしましょう。

リフォームインナーの種類について

骨盤を治すのに、リフォームインナーを使用する方法がありますが、どんな種類があるのかもう少し詳しくご紹介しておきましょう。

リフォームインナーで最も締め付けが弱いのは、「腹巻」で、骨盤を締め付けずに温めてサポートすることができるため、産後すぐに着用することができます。

次にサポート力があるのがウエストニッパーや、矯正機能のついたショーツです。少し締め付けるタイプのものなので、産後2ヶ月くらいから使用するようにしましょう。

最もサポート力があるのは、骨盤ベルトやガードルです。締め付ける力が強いので、産後すぐに使用するのは絶対にやめてください。締め付けが強いことにより、皮膚にかぶれが起きる場合もあるので、長時間ではなく短時間から様子を見て使用するようにしましょう。

骨盤体操で整える方法

骨盤体操で整える方法

骨盤体操なら、寝たままの状態でもエクササイズすることができるので、産後の回復期間を経て日常生活にリハビリしている時から取り入れることができます。

刺激の緩やかなものから、しっかり骨盤に効くものまで幅広いので、それぞれの時期に合わせて行うようにしましょう。

骨盤体操のやり方について

骨盤を治すのに、骨盤体操を行う方法がありますが、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

まず、産後すぐ骨盤体操は行わないようにしましょう。悪露を出しやすくする産褥体操がありますので、産後1ヶ月の間は腹式呼吸や手足をブラブラ動かして血行を促進することをメインに行うようにしてください。産後2ヶ月以降からは、骨盤体操を取り入れて行きましょう。

左右に両膝を倒す

左右に両膝を倒す

仰向けの状態で膝を立て、両膝をそろえたまま左右に倒していきます。ゆっくりと呼吸をしながら左右に両膝を倒していくことで、骨盤の歪みを整えていくことができるでしょう。

お尻を浮かせる

お尻を浮かせる

仰向けの状態で膝を立てて2拳くらい開きます。手は身体の両脇にまっすぐ伸ばし、手のひらを床につけておきます。足を踏ん張りお尻を浮かせて30秒キープしましょう。可能なら背中も一緒に浮かすようにしてください。その後はゆっくりと背中とお尻を床につけるようにしましょう。

お尻歩き

お尻歩き

 

座った状態で脚をまっすぐ伸ばし、お尻の力で前後に歩いていきましょう。膝を曲げないことと背中を丸めないことがポイントです。上手く進まない場合は、腕振りをしながら行うようにするとやりやすくなります。

骨盤回し

骨盤回し

立った状態で脚を肩幅に広げ、腰に手を当てましょう。そのまま時計回り、反時計回りと骨盤をグルグル回していきます。呼吸は止めず自然に行うようにすると、骨盤も回しやすくなるでしょう。

鏡を見ながら行うことで身体の歪みを認識しやすくなるので、大きな全身鏡を使うようにするのがオススメです。

ヨガやピラティスで整える方法

ヨガやピラティスで整える方法

産後の回復期間から日常生活に移行して慣れてきた頃に取り入れたいのが、ヨガやピラティスです。身体全体を整えることができるので、骨盤だけでなく姿勢改善やダイエットにも効果的です。

専門家に整えてもらう方法

専門家に整えてもらう方法

骨盤をより良く治したい場合や、腰痛などの持病がある場合、専門家に整えてもらうようにしましょう。整体院やカイロプラクティックなど、身体の歪みを改善してくれる専門医に診てもらうことで、より安全に骨盤の歪みを整えていくことができます。

医院によって、保険が使えるところと使えないところがあるので、それぞれのケースに合わせて自分に適した医院を選ぶようにしましょう。

骨盤を治さないとどうなるのか

骨盤を治さないとどうなるのか

産後の骨盤は歪みやすいため、しっかりサポートして整えることが大切です。しかし、エクササイズが面倒だと感じる方や、締め付けが苦手な方もいらっしゃるでしょう。産後に骨盤の歪みを放置しておくと、どのような影響が出てしまうのでしょうか。

尿漏れの可能性

産後の骨盤の歪みを放置しておくと、尿漏れが起きる可能性があります。骨盤が歪み内臓下垂が起きると骨盤底筋で支えきれなくなるため、尿漏れが起きやすくなるのです。

婦人病の可能性

産後の骨盤の歪みを放置しておくと、子宮筋腫や更年期障害など婦人病を発症する可能性が高くなると言われています。

骨盤が歪むことにより子宮周辺の血流が悪くなることが原因です。不妊になりやすい場合もあるので、第二子を望む方は骨盤を整えておくようにしましょう。

まとめ

産後の骨盤を治す方法について詳しくご紹介しました。骨盤が歪んでしまう原因には、さまざまなことがあることがお分かりいただけたと思います。

骨盤を治す期間には限りがありますので、それを逃さないように注意し、出産をきっかけにもう一度自分の身体と向き合ってみましょう。きちんとエクササイズやサポートを行うことで、妊娠前より調子の良い骨盤や体調を手に入れてください。