赤ちゃん用品をそろえる時に、必ず「おくるみ」がリストに含まれています。他のものは用途が分かるものばかりですが、おくるみの場合はどうやって使うのか分からない・必要性があるのか疑問と感じるお母さんも多いのではないでしょうか。
おくるみは赤ちゃんを包むものとしか考えられませんが、実際にはそれ以外にもあれこれ使える万能アイテムなのです。
そこで、どのようにおくるみを使えば効果的なのか・赤ちゃんにとってどのようなメリットがあるのか等、おくるみについて詳しくご紹介していきます。
おくるみの効果
おくるみはただ赤ちゃんを包むだけのアイテムではありません。使い方が分からず手をつけないお母さんもいらっしゃいますが、それでは損をしているのと同じこと。まずはおくるみの効果を見ていきましょう。
抱っこしやすい
生まれてから首が据わるまで3・4ヶ月かかりますが、その間お母さんは赤ちゃんを抱っこするのに非常に気を使います。
また新生児の皮膚は大人よりも薄く、お母さんの爪で傷つけてしまうことすらあります。こういった点をカバーするのがおくるみで、きっちりと包めば赤ちゃんの姿勢が固定されるため抱っこしやすく、爪で傷つけてしまうこともありません。
赤ちゃんが安心する
赤ちゃんはお母さんのお腹の中で姿勢を丸め、羊水に包まれていました。出産後は仰向けで羊水温よりも低い室内で寝かされるのですから、出産前と全く異なった環境に置かれることになります。
その環境が嫌ですぐ起きてしまったり泣いてしまうことが多いのですが、そんな赤ちゃんを安心させるのがおくるみなんです。布をギュッと赤ちゃんに巻きつけますから、その包まれる感じが羊水内にいた時と同じように感じて安心すると言われています。
実際に泣いている赤ちゃんをおくるみで巻くと泣き止む、という経験を持つお母さんは多いのがその証拠かもしれません。
モロー反射をふせぐ
モロー反射は寝かせた赤ちゃんの頭を少し持ち上げて頭を支えていた手を緩めると、赤ちゃんが両手を前に向かって広げる仕草のことを指します。
新生児から生後3ヶ月までに見られると言われますが、抱っこして寝かせた赤ちゃんを布団におろそうとしたら、ビクッと両手を突っ張って泣いてしまいまたやり直し、となるのはこの反射のためなのです。
赤ちゃんをおくるみでくるむと腕や体が固定されるため、モロー反射を防ぐことが出来ます。
窒息を防ぐ
新生児の頃から元気だと、布団の中で手足をバタバタさせて移動してしまうことがあります。気をつけなければならないのは、動きが激しいあまりにくるっと寝返りをしてしまう赤ちゃんです。
まだ首が据わっていない時期ですから、何かの拍子に寝返ってしまうと首を動かして呼吸出来ずに窒息してしまう恐れが出てきます。
動きの激しい赤ちゃんを持つお母さんは、脇に丸めたバスタオルなどを置いて寝返らないように対策しますが、ここでおくるみを使うと手足の過剰な動きを抑えられて寝返りを防げます。
おくるみの種類
おくるみは様々な種類が販売されているので、いざ買おうと思った時にどれを選べばよいか迷ってしまうお母さんも多いです。
おくるみは複数枚あると便利なので、タイプにこだわらずいくつか購入するのもアリでしょう。それから夏生まれ予定の赤ちゃんだと、暑いのにおくるみって必要なの?と思ってしまいますね。
赤ちゃんが安心するという効果を考えると、やはり夏でも活躍します。そこで、おくるみの種類や季節に合わせたおススメのおくるみ素材などをご紹介します。
正方形タイプ
最もスタンダードなおくるみが、この正方形タイプです。大きさは70~80cm四方と90~100cm四方の2種類が主流で、新生児におくるみを使う場合は前者がダブつかずぴったり包めます。
また正方形なので、おくるみだけでなくブランケット・バスタオル代わりと何役も兼用できるのが最大の特徴です。おくるみ以外に他の用途でも使いたい時は、大きなサイズを選ぶのがおススメです。
体に巻きつけるタイプ
正方形タイプのおくるみは、きちんと巻かないと赤ちゃんが動くうちに緩んできてしまうデメリットがありますが、このタイプは面ファスナーなどを使って簡単に赤ちゃんを包めるようになっているのがポイントです。
正方形ではなくT字のような形をしているおくるみで、下部分で赤ちゃんの足を包み左右の布を赤ちゃんに巻きつけます。布を必要分だけ使用しているのでダブつかず、布が緩んで赤ちゃんの顔にかかってしまうといったトラブルもありません。
足が分かれているタイプ
足を入れられる部分があるおくるみもあります。新生児の頃から足をバタバタさせて、普通のおくるみだとすぐはだけてしまうような赤ちゃんにはおススメでしょう。
またこのタイプだと、ベビーカーにおくるみのまま乗せられるというメリットもあります。他のタイプよりも巻きつきがゆったりしているので、普通のおくるみを卒業した赤ちゃんでも使えそうです。
またおくるみがずれないようにフードがついているデザインが一般的なので、赤ちゃんの可愛さがアップすること間違いなしです。
夏におススメの素材
夏のおくるみは暑そうに感じてしまいますが、汗も対策やエアコン対策としても効果的です。
夏におススメのおくるみは、やはり吸収性と通気性に優れたガーゼやタオル地がおススメですし、特殊加工を施して熱を放散させる生地で出来たおくるみも販売されています。
お店で夏におススメのおくるみについて相談すると、希望に合ったものを提供してくれるでしょう。
冬におススメの素材
サッと赤ちゃんに巻けるおくるみは、防寒着として最適です。冬はやはりフリースやウール生地のおくるみがおススメですね。
ただ気をつけたいのは、おくるみを使う時期の赤ちゃんは体温調節機能が未熟で、暖かい室内で厚い生地のおくるみを使うと熱がどんどん上がってしまう可能性があります。おくるみを使ってしばらくの間は、赤ちゃんの顔が赤くなっていないか・呼吸が荒くないか等をこまめにチェックしましょう。
おくるみ・アフガン・スワドルの違い
おくるみを買おうと思って情報収集していると、「アフガン」「スワドル」といった言葉が出てきます。普段では聞かない耳慣れない言葉ですから、もしかしたらおくるみ以外にも違うものが必要なの?と慌ててしまうかもしれません。
このように3種類の言葉がありますが、実際は同じものです。スワドルは英語で「赤ちゃんを布で包む」という意味の、まさにおくるみそのままの意味です。
また、アフガンはアフガン編みという手法で編んだ毛布やひざ掛けが、時間が経つうちに乳児用品の意味へ変わってきたと考えられています。店によっても「おくるみ」「アフガン」「スワドル」と名称が異なりますが、中身は同じですので、自分の赤ちゃんに合ったものを選びましょう。
おくるみの巻き方
簡単に包めるタイプのおくるみなら手軽に出来ますが、特に正方形のおくるみだとどのように包めばよいのかさっぱり分かりませんよね。緩まないように巻くためには、左右上下を交互にたたんでいくのがポイントです。
まず、ひし形に動かして一辺の端を内側に折って、そこに赤ちゃんの頭が来るようにします。
それから右側の布を赤ちゃんに左側に巻きつけ体の下に入れ、余った下の部分を左肩から背中の下へ入れます。
残った左側の布をぐるっと巻きつけて完成です。この時、赤ちゃんの両手はまっすぐ下に伸ばすように注意しましょう。
おひなまきとは
基本のおくるみの巻き方を更にしっかりさせたのが、このおひな巻きです。
正方形のまま使いますが、右側の布を赤ちゃんの体の下に入れるのではなく肩に斜めに持っていきます。
左側も同じ事をすると下の部分が台形に広がりますが、次は台形部分の右側を左肩にもって行き、それから左側を右肩に持って行って赤ちゃんの肩に押し込むようにすれば出来上がりです。
巻き方で気をつけること
おくるみはしっかり赤ちゃんに巻きつけるのがコツですが、呼吸が苦しかったり赤ちゃんが窮屈に感じるほどきつく巻いてしまうのはNGです。
だからと言ってゆるく巻けば後で取れてしまうなど巻きつけのバランスが難しいのですが、何回か続けているうちに慣れてくるでしょう。
また、おくるみは解けないように巻きながらも赤ちゃん独自の姿勢は保つというポイントがあります。きつく巻きすぎて、赤ちゃんの足が真っ直ぐになってしまわないように注意してください。
赤ちゃんの様子は常にチェック
赤ちゃんは体温調節が出来ませんから、暖かい部屋の中で温かい格好をして寝ていると体温がどんどん上昇します。
脳は熱エネルギーを発生させる筋肉の動きを低下させて体温を下げようとしますが、呼吸に必要な筋肉まで弱めてしまうので呼吸が止まってしまい、乳幼児突然死症候群(SIDS)につながると言われています。涼しい素材でも巻けば熱がこもってしまうので、冬やおくるみを使い始めた時期はこまめに寝ている赤ちゃんをチェックする必要があります。
また、おくるみをしていても寝返ってしまい、手足を動かせないために位置を戻せずに窒息してしまうケースもありますから、おくるみで包んだ赤ちゃんに最適な環境が分かるまで十分注意しましょう。
おくるみは寝かしつけに効果的?
赤ちゃんは寝てばかりですが、実は眠るのがとても下手です。抱っこしてやっと寝たと思って布団に下ろすと、とたんに目を覚ましてまた泣き始めるといったパターンを多くのお母さんが経験しますが、今までお母さんのそばにいたのに急に1人になってしまったことで、怖くなってしまうのが原因で泣いてしまうのだと言われています。
その反対に寝る時におくるみに包まれてると、お母さんのお腹の中にいるような安心があるため、泣かずにスーッと寝てくれるのです。
おくるみと入眠儀式
新生児は昼夜に関係なく寝て起きてを繰り返しますが、生後1~2ヶ月になると体時計が整い始め、3~4ヶ月で体内時計が完成するといわれています。
おくるみを使って夜ぐずらずに寝てもらうには、早いうちから「おくるみを巻いて部屋が暗くなったら寝る」という入眠儀式を習慣にしておく必要があります。
おくるみを使う前に抱っこや授乳が入眠儀式となってしまうと、急におくるみに変えても赤ちゃんは嫌がって更にぐずってしまうかもしれません。
おくるみ卒業後の寝かしつけのコツ
おくるみは一般的に首が据わったら卒業となっています。おくるみを入眠儀式に取り入れたお母さんは、首が据わったら何を入眠儀式に使えばいいの?と心配になってしまいます。
首据わり=おくるみ卒業と決め付けるのではなく、赤ちゃんがおくるみを嫌がるまで使うのが、一番自然かもしれません。スリーパーをおくるみ代わりとして使う方法もありますが、赤ちゃんが新しい入眠儀式に慣れるまではぐずってしまうのも止むを得ないと考えましょう。
おくるみ卒業はいつ?
上でも述べたように、首が据わり動きが盛んになり始めた頃がおくるみ卒業の目安となっています。首が据わってもおくるみを止められない赤ちゃんもいますが、そんな時は赤ちゃんが動きを妨げるおくるみが嫌になるまで使い続ける方法もあります。
使い続けていたとしても、寝返りが出来るようになると赤ちゃんの顔におくるみがかぶさって窒息してしまう可能性が出てきます。
寝返りが出来たらきっぱり卒業するか、手を出して下半身のみに巻くという風に赤ちゃんの動きの妨げにならないようにしていく必要が出てくるでしょう。
赤ちゃんがおくるみを嫌がったらどうする
新生児からおくるみを嫌がる赤ちゃんは、すでに自分の中で寝る方法が決まってしまっているのかもしれません。
赤ちゃんがパッチリ目覚めていると嫌がってしまうので、抱っこや授乳などでうつらうつら浅い眠りに入った時におくるみを巻いて少しずつ慣らしていきましょう。
また中には包まれるのが嫌いで手足を自由に動かしたい新生児もいますから、その時は無理やり巻かずに違う方法を試すのが一番です。
一日中おくるみしててもOK、NG?
おくるみで巻くと、今までぐずっていた赤ちゃんもすぐ熟睡モードに入ります。育児や家事で疲れているお母さんにとっては、魔法のアイテムに思えます。
ただ、良く寝てくれるからと一日中おくるみするのは止めたほうが良いでしょう。おくるみを入眠儀式に使いたいと考えている方は、一日中巻きっぱなしだと眠るタイミングのメリハリがつきません。
昼夜の区別が定まらない新生児の時は問題ないかもしれませんが、生後1・2ヶ月に入って体内時計が調整され始めるような時期には、おくるみは寝る前限定で使いましょう。
まとめ
おくるみで赤ちゃんがすぐ寝てくれるのは、お母さんのお腹の中にいた時と同じ安心感を得られるからです。また生まれてすぐの赤ちゃんに起こるモロー反射を防ぐ効果もあります。
おくるみ自体は生後4ヶ月ごろで使わなくなりますが、バスタオル代わりや日よけ・授乳ケープなど使い方は多岐に渡りますから、複数持っていても便利です。
ただ、赤ちゃんはおくるみで体温が上がりすぎると乳幼児突然死症候群の危険因子となりますので、おくるみを使う時は環境や赤ちゃんの様子に十分注意してください。まずは赤ちゃんを巻いて、おくるみの効果を実感しましょう。