授乳中の姿勢と抱き方のコツについて知っておきたいこと

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赤ちゃんに授乳するときに気になるのが授乳中の姿勢。授乳中の不自然な姿勢は、お母さんの腰や背中に負担を与え、腰痛や背中の痛みの原因になります。授乳のつらさを軽減するためには、赤ちゃんの抱き方やポジショニングを工夫し、授乳のコツをつかむことが大切です。

授乳の姿勢の種類から赤ちゃんの抱き方のポイントなど授乳の姿勢やコツについて知っておきたい情報をご紹介します。

授乳中の姿勢の種類について

授乳中の姿勢の種類について

授乳の姿勢にはいくつか種類があり、お母さんと赤ちゃんにとってもっとも楽な姿勢を選ぶことが、授乳を上手に行うコツです。またひとつの姿勢にこだわるのではなく、その時々の状況に応じて随時変えることも必要。

授乳は赤ちゃんが卒乳するまでの期間中ずっと、一日何回も繰り返し行うもの。授乳姿勢それぞれの特徴を知り、赤ちゃんとお母さんの両方が楽になるコツを覚えることが大切です。授乳の姿勢と赤ちゃんの抱き方について、それぞれの特徴やメリットをひとつずつ詳しくみていきましょう。※参照1

横抱き(ゆりかご抱き、クレードル)姿勢の方法&コツ

横抱き(ゆりかご抱き、クレードル)姿勢の方法&コツ

横抱きはゆりかご抱きとも呼ばれ、授乳の姿勢の基本形になります。赤ちゃんのおなかとお母さんのおなかをぴったりと密着させ、飲ませるほうのおっぱいと同じ側の肘か前腕の部分に、赤ちゃんの頭を乗せるように抱きます。腕と手はそのまま赤ちゃんの体にそわせ、おしりと太ももを支えます。

横抱きのメリット

横抱きの姿勢は、赤ちゃんとお母さんがぴったりと密着し、お互いに顔を見ながら授乳できることがメリット。密なスキンシップが取れるので、赤ちゃんも安心して母乳を飲むことができます。

交差横抱き(交差ゆりかご抱き、クロスクレードル)姿勢の方法&コツ

交差横抱き(交差ゆりかご抱き、クロスクレードル)姿勢の方法&コツ

交差横抱きは横抱きに似ていますが、横抱きと違い、おっばいを飲ませる側と反対の腕で赤ちゃんの頭と体を支えます。おっぱいを飲ませる側の手は、赤ちゃんがうまく飲めるように、おっぱいを支えます。

授乳を始めるときにまずこの抱き方で赤ちゃんを抱き上げると、うまくおっぱいを口に含んでくれます。赤ちゃんがおっぱいを吸い始めたら、おっぱいを支えている手が空きます。空いたその手で赤ちゃんの体を支えると、上に挙げた横抱きになります。

交差横抱きのメリット

交差横抱きのメリットは、授乳に慣れていないお母さんでも赤ちゃんのポジショニングがしやすいこと。曲げた肘の間に赤ちゃんをはさむ姿勢ですので、お母さんの腕にかかる負担が軽くすむ上、前かがみになることを防げます。小柄な赤ちゃんや首がすわっていない赤ちゃんの授乳にも適しています

縦抱き姿勢の方法&コツ

縦抱き姿勢の方法&コツ

縦抱きとは赤ちゃんを縦にした状態で飲んでもらう姿勢をさします。飲んでもらうおっぱいの側の太ももに、赤ちゃんをまたがらせて乗せ、そのまま赤ちゃんの口をおっぱいに近づけます。

横抱きの注意点は、赤ちゃんの頭や体がぐらぐらしないようにうまく支えること。首がしっかりすわっていない赤ちゃんを縦抱きする際には、お母さんの足で赤ちゃんの重心をしっかり支えると、赤ちゃんの頭がぐらぐらしません。

縦抱きのメリット

縦抱きのメリットは、体が小柄な赤ちゃんでも母乳が飲みやすいこと。また赤ちゃんの重みが下半身全体に平均的にかかりますので、手や腕に対する負担が軽く、腱鞘炎のリスクが軽減できます。

赤ちゃんを膝に乗せる姿勢ですので、クッションや座布団で赤ちゃんのポジショニングを簡単に調整できることもメリット。赤ちゃんがお母さんの乳首にまっすぐに向かいますので、母乳が飲みやすく、飲み残しが少なくなります。縦に抱いているので、吐き戻しも少なく、げっぷをさせやすいというメリットもあります。

脇抱き(フットボール抱き、クラッチ抱き)姿勢の方法&コツ

脇抱き(フットボール抱き、クラッチ抱き)姿勢の方法&コツ

脇抱きの姿勢は、お母さんの脇に赤ちゃんを抱え込むように抱く姿勢です。片方の手で赤ちゃんの頭、肩、背中を支え、お母さんの前腕に赤ちゃんの頭をおきます。

赤ちゃんの足はお母さんの腰のあたりで背中側にくるように抱えます。フットボールやクラッチバッグを脇に抱える要領で赤ちゃんを抱くことから、このように名づけられました。。

脇抱きのメリット

脇抱きはお母さんのおなかに赤ちゃんの重みがかからないため、帝王切開手術で出産したお母さんにぴったりです。また赤ちゃんの口元がはっきりと見えるので、赤ちゃんが深く飲めているかどうか確認するのに便利。母乳の飲み方がまだ上手にできない赤ちゃんにもおすすめです。

授乳クッションなどを利用し、片手で赤ちゃんの頭を支えることができれば、片方の手が空くこともメリットのひとつ。脇抱きなら二人同時に授乳できるので、双子のお母さんの授乳の手間が省けます。

添い乳姿勢の方法&コツ

添い乳姿勢の方法&コツ

座っての授乳がつらく感じられるときは、横になった姿勢で授乳する添い乳が楽。お母さんは片手で自分の体を支え、もう一方の手で赤ちゃんをおっぱいのほうに寄せます。添い乳をする際には、お母さんの体の重みが赤ちゃんの上にかからないように、十分に注意しましょう。

添い乳のメリット

添い乳はお母さんも体を休めながら授乳できるので、体力的な負担が軽減できます。新生児への授乳は、2、3時間おきの頻回授乳ですが、これを毎回座って行っていると、お母さんの体力の消耗は避けられません。添い乳ならお母さんも横になりながら授乳できるので、赤ちゃんの寝起きのリズムに合わせてマお母さんも休息できます。

授乳するときのコツやポイント&ヒント

授乳時の姿勢のいろいろについて挙げてみましたが、今度は授乳する際のポジショニングのコツや注意点について挙げていきましょう。赤ちゃんが飲みやすく、かつお母さんも楽に授乳するためのポイントとは何でしょうか?

楽に座れるよう工夫すること

楽に座れるよう工夫すること

授乳は一回にかかる時間は短くても、それを一日に何回も繰り返すことになりますので、お母さんの体にかかる負担は非常に大きくなります。授乳の姿勢を工夫することも大切ですが、それと同時に座るときの体勢が楽になるよう工夫することも大切です。

背中にクッションや座布団を当てたり、肘掛や背もたれを有効に利用すると、背中や腰にかかる負担を軽減できます。市販されている授乳クッションを使うのも、授乳のつらさを軽減するひとつの方法です。

赤ちゃんが楽に飲める姿勢を取る

赤ちゃんが楽に飲める姿勢を取る

お母さんにとっても楽な姿勢があるように、赤ちゃんにとってもおっぱいが楽に飲める姿勢があります。

赤ちゃんに無理なく、効率的におっぱいを飲んでもらうためには、多少の工夫が必要。赤ちゃんの頭の下や後ろにタオルを丸めたものをはさむと、赤ちゃんがお母さんの乳首を深くくわえることができます。

赤ちゃんにとって飲みやすい姿勢とは?

授乳を短時間で効率よく終わらせるためには、赤ちゃんのポジショニングのコツをつかむことが大切です。ポジショニングが間違っていると、赤ちゃんはうまく母乳を飲めません。

母乳を飲みやすいポジショニングとは、赤ちゃんの顎がお母さんのおっぱいに触れていること、赤ちゃんの口が大きく開いていること、赤ちゃんとお母さんの体が密着していること、赤ちゃんの頭と体が一直線であることなど。赤ちゃんをうまくおっぱいにポジショニングすることが、授乳時間の短縮につながります。

授乳の姿勢を変える

授乳の姿勢を変える

授乳姿勢の基本形といわれる横抱きですが、新生児の授乳や授乳に慣れていないお母さんにとっては、難易度の高い抱き方です。横抱きでうまく授乳できないときは、交差横抱きにすると比較的簡単に授乳できますので、臨機応変に変えてみましょう。

おっぱいを吸う力の弱い赤ちゃんに対しては、ポジショニングのコツをつかむと意外に簡単にできる縦抱きを試してもいいでしょう。

帝王切開手術で出産された方の場合は、おなかに負担のかからない脇抱きがおすすめ。このように授乳の姿勢にはそれぞれ特徴があり、状況によって随時変えることが必要です。ひとつの授乳姿勢にこだわらず、お母さんにとってもっとも楽に感じられ、赤ちゃんが飲みやすい姿勢を見つけましょう。

乳腺炎の予防にもなります

授乳の姿勢を変えることは、乳腺炎の予防にもつながります。同じ姿勢で授乳を続けると、乳腺に母乳が詰まってしまい、乳腺炎になるリスクが高まります。

授乳の間隔が長すぎる、毎回同じ姿勢で授乳している、赤ちゃんが上手に母乳を飲めないことが、乳腺炎を引き起こす原因。乳腺の一部に母乳が残り、乳腺に炎症が生じることにつながります。

乳腺炎になると、痛みやしこり、発熱、寒気、倦怠感などの不快な症状があらわれます。乳腺炎を予防するには、授乳の姿勢を変え、乳腺に母乳が残らないようにすることが効果的です。

左右のおっぱいを交互に与える

左右のおっぱいを交互に与える

片方のおっぱいだけを飲む習慣がつくと、乳腺炎にかかりやすくなります。授乳の際にはできるだけ左右のおっぱいを交互に飲んでもらいましょう。

ただし赤ちゃんの中には片方のおっぱいだけで満足する子もいます。この場合は無理やり両方のおっぱいを飲ませる必要はありません。片方しか飲んでくれなかったときは、次の授乳でもう片方から飲ませるといいでしょう。

前かがみにならないように注意すること

前かがみにならないように注意すること

授乳する際には姿勢が前かがみにならないように注意しましょう。前かがみの姿勢で授乳すると、赤ちゃんが母乳を深く飲むことができません。赤ちゃんのポジショニングもうまくいかず、結果としていろいろな不都合が生じます。

授乳時間が長くなる、母乳の飲み残しがでる、授乳の間隔が短くなる、背中や腰の痛みにつながるなど、前かがみの姿勢がもたらすデメリットはさまざま。授乳の際には背中を楽にまっすぐに伸ばせる椅子やソファを選ぶことがポイントです。

まとめ

授乳の姿勢の種類から赤ちゃんの抱き方のコツまで、授乳の姿勢に関して知っておきたい情報を幅広くご紹介しました。授乳の姿勢に関してもっとも大切なことは、お母さんの体にかかる負担が少なく、尚且つ赤ちゃんが飲みやすい姿勢を取ること。いろいろな授乳姿勢の特徴やメリット・デメリットについて知り、赤ちゃんとお母さんの両方がもっとも楽にできる授乳姿勢を選びましょう。

※参照1 公益社団法人日本助産師会 赤ちゃんとお母さんに優しい母乳育児支援