赤ちゃんはなぜかたくさんくしゃみをします。授乳の最中にも赤ちゃんがふいにくしゃみをし、鼻からミルクが出てしまった、こんな体験をして不安に思うお母さんも多いようです。風邪を引いているのでは?もしかしてアレルギー体質?熱が出るのでは?などと、気になることはさまざまです。
赤ちゃんがよくくしゃみをする原因とは何でしょうか?赤ちゃんのくしゃみの原因やその対処法についてしっかりと備えていなければ、いざというときにお母さんが慌ててしまって、適切な対応を取ることが出来ません。赤ちゃんのくしゃみについて、原因から対処法など幅広くご紹介していきますので、参考にしていただければと思います。
赤ちゃんのくしゃみの原因とは?
風邪を引いているわけでもないし、熱があるわけでもない、それなのになぜか赤ちゃんがくしゃみや咳をする。
こんなとき新米お母さんは、赤ちゃんを病院に連れていったほうがいいかどうか、判断に迷ってしまうようです。赤ちゃんのくしゃみの対処法を知る前に、まずは赤ちゃんのくしゃみの原因について考えていきましょう!
赤ちゃんは鼻の粘膜が柔らかい
大人に比べると赤ちゃんはたくさんくしゃみをします。この原因のひとつは赤ちゃんの鼻の粘膜にあります。赤ちゃんの鼻の粘膜は柔らかく、小さいため、ほこりや異物に対して敏感で、ちょっとしたことに感応し、しゃくりとなってあらわれます。
赤ちゃんの鼻にはまだ鼻毛が生えてない
大人の鼻には鼻毛が生えていますが、赤ちゃんの鼻にはまだ鼻毛がありません。鼻毛のはたらきとは、鼻を通して入ってくる菌やほこりなどの異物をキャッチすること。鼻毛は外部からの異物をふるいわける、いわばフィルターの役目を果たしています。
赤ちゃんの鼻にはまだこの鼻毛がなく、そのためにほこりや菌がそのまま鼻の粘着に付着しやすいため、くしゃみが出やすいといわれています。赤ちゃんの鼻や喉の粘膜は繊細で、柔らかく、その機能がまだ完全には整っていません。
鼻毛がないために、異物をキャッチしてごみとして排出することが出来ません。このためくしゃみをすることで異物を体外に排出しようとします。
外気の変化に敏感
赤ちゃんは室内の温度や湿度に敏感に反応します。温度や湿度が急激に変化すると、鼻の粘膜がむずむずしてしまい、くしゃみが出ます。
赤ちゃんはまだ鼻や喉の粘膜の機能が完全ではなく、外気の変化などに対する調整がうまく出来ずに、くしゃみや咳が出ることがあります。
風邪を引いている
赤ちゃんは妊娠中にお母さんの体から、免疫グロブリンGという抗体を受け取っています。また母乳で育児をしている場合、母乳を通して免疫グロブリンAという抗体も得ていますので、生後6ヵ月目までの赤ちゃんは、あまり風邪を引かないといわれています。
しかしこれはあくまでも傾向というだけで、実際には生後6ヵ月以内でも風邪のウイルスに感染してしまう場合もあります。風邪を引いてしまったことにより、くしゃみや咳、鼻水といった風邪の諸症状が出ている可能性もあります。
赤ちゃんの風邪
生後6ヵ月目までの赤ちゃんはお母さんからもらった抗体があるので、風邪を引きにくいといわれていますが、これはあくまでも引きにくいというだけで、絶対に引かないというわけではありません。お母さんから引き継いだ抗体は確かにありますが、お母さん自身が免疫をもっていないもの当然存在します。
風邪のウイルスは種類も多く、どんなに注意していて赤ちゃんが風邪のウイルスに感染することはあります。赤ちゃんが風邪を引いてしまうのは心配ですが、風邪を引くことではじめてそのウイルスに対する免疫が出来、次回からは症状が軽く済むようになります。
ハウスダストなどによるアレルギー
ハウスダストやダニ、ごみなどにより、アレルギー性鼻炎の症状が出ていることから、くしゃみが出ることもあります。
赤ちゃんのアレルギーというと、食べ物によるものをすぐに思い浮かべますが、ハウスダストや花粉、動物のダニなど、アレルギーを誘発するものはたくさんあります。
光くしゃみ反射でくしゃみ
赤ちゃんが急に大きく両手を広げるモロー反射のように、自分の意識とはまったく関係なく刺激に対する反応を反射といいます。反射の種類は様々ですが、「太陽や蛍光灯の光を見るとくしゃみが出る」というものがあり、これを光くしゃみ反射と言います。
これは優性遺伝のため、お父さん・お母さん・おじいちゃん・おばあちゃんの誰かがこのようなくしゃみをしていれば、赤ちゃんもこの反射によってくしゃみが多いのだと考えられます。あまり心配せず家族の遺伝だからとしておくと、気が楽です。
赤ちゃんがくしゃみをしたら注意したいこととは?
鼻や喉の粘膜が柔らかく、薄くデリケートな赤ちゃん。赤ちゃんの鼻は、ほんの小さな刺激に対しても反応し、すぐにくしゃみが出てしまいます。赤ちゃんのくしゃみはほとんどの場合、そのままにしておいても大丈夫。
一時的なものでとくに問題はありませんが、くしゃみが止まらない、熱を伴う、鼻水が止まらない、食欲がなくなる、咳が激しい、だるそうにしているなど、症状が強くあらわれている場合には、まずはかかりつけの小児科に連絡して、判断を仰いだほうが安心です。
風邪を引いているかどうかの判断
赤ちゃんのくしゃみが風邪の症状かどうかを見極めるには、赤ちゃんの様子を注意深く見守る必要があります。くしゃみとともに発熱や咳、鼻水が出る場合、食欲がなくなり、ぐずったり、ぐったりする場合は、風邪を引いている可能性があります。
また風邪ではなく、インフルエンザのウイルスにかかっている可能性もあります。インフルエンザにかかっているにも関わらず、熱はあまり出ないこともありますので、発熱だけを頼りに判断することは出来ません。
赤ちゃんの体温はもともと大人よりも若干高めなので、熱が出ていることにまったく気が付かないお母さんもいます。風邪やインフルエンザの症状は熱だけでありません。咳や鼻水はもちろんのこと、赤ちゃんの機嫌や食欲などについても注意深く観察するようにしましよう。
アレルギー症状かどうかの判断
室内から戸外に出たときや、朝起きたとき、暖房やエアコンのきいた場所にいるとき、犬や猫などのペットの側にいるときなど、ある特定の環境に置かれたときにくしゃみが出る場合には、アレルギー性鼻炎も疑われます。
くしゃみとともに鼻水が止まらない場合、目から涙があふれたり、目もとが赤くなる、はれぼったくなるなどの症状がある場合には、念のため病院で診察を受けるようにしましょう。
鼻水がだらだら続く場合
くしゃみとともに透明で水っぽい鼻水がだらだらと続く場合があります。くしゃみと鼻水が同時に起こる場合には、赤ちゃんの鼻づまりに注意しましょう。赤ちゃんは鼻腔が狭く、鼻づまりを起こしやすいので、鼻水が止まらない場合は、早めに耳鼻科で吸引してもらったほうが安心です。
また赤ちゃんは鼻と喉の粘膜が非常に薄くデリケートなために、鼻腔内で炎症が起こりやすく、中耳炎にもかかりやすいといわれています。
鼻がつまってしまうと、ミルクも飲みにくくなり、逆流してしまうおそれもあります。鼻水がだらだらと止まらずに、鼻づまりが生じているようであれば、早めに病院で診察を受けるようにしましょう。
赤ちゃんのくしゃみを予防するには
くしゃみとは生理的な反応で、自分の意思でこれを阻止することは出来ません。赤ちゃんのくしゃみもまた同様で、くしゃみが起きやすい環境にいると、自然にくしゃみがでてしまいます。赤ちゃんのくしゃみは可愛く、一回、二回出るくらいであれば問題ありませんが、あまりにも頻繁にくしゃみが起こると、赤ちゃんは体力を消耗させてしまいます。
くしゃみをすると、上半身全体の筋肉が大きく動き、くしゃみが起きた直後には呼吸が乱れてしまい、咳も出ることがあります。不必要にくしゃみが起こらないよう、赤ちゃんの住環境を快適に整えてあげることが重要です。
くしゃみが起こる仕組みとは?
くしゃみの作用は鼻腔内に入り込んだほこりや異物を排出させること。ほこりや異物だけでなく、エアコンの冷たい空気や髪の毛、香辛料などの刺激物などによっても、くしゃみは生じます。
また健康な状態では何でもないことも、風邪を引いたり、体調が悪いせいで、鼻や喉の粘膜が過敏になっていると、ごくわずかな刺激でもくしゃみが出ることがあります。
赤ちゃんのくしゃみ対策に有効な方法とは?
赤ちゃんのくしゃみを予防するには、出来るだけほこりのない、清潔な空間を作ってあげる必要があります。またごみやほこりを掃除するだけでなく、気温や湿度に注意することも必要。
気温は低すぎても、高すぎても、赤ちゃんにとっては快適ではありません。湿度に関しても同様で、季節によって変化する湿度を上手に調節してあげるようにしましょう。
ほこりやごみの立たない場所に赤ちゃんを寝かせる
室内はどんなにきれいに掃除しても、目に見えないほこりや雑菌がうようよしています。赤ちゃんを床にそのまま寝かせる場合には、床をきれいに拭き掃除するようにしましょう。
床はどんなに静かに歩いても、歩くたびにほこりが舞い上がってしまいます。ほこりが舞い上がらないよう、部屋の掃除はきちんと行うようにしてください。とくにフローリングの床はほこりが舞い上がりやすくなりますので、注意が必要です。
ベビーベッドに寝かせたほうが、床に寝かせるよりは安心ですが、ベビーベッドの場合には布団やベッドの枠などに積もったほこりや塵の掃除を忘れないようにしましょう。赤ちゃんが塵やほこりを吸い込まないよう、寝かせる場所だけでなく、赤ちゃんが一日を過ごす場所は念入りに掃除しておくようにしてください。
部屋の換気をこまめに
部屋の換気はこまめに行うようにしましょう。どんなに丁寧に掃除をしていても、部屋の空気がよどんでいると、雑菌が繁殖しやすくなります。部屋の温度や湿度が快適に感じられるときも、定期的に窓をあけ、新鮮な風を室内に通すようにしましょう。
室内を乾燥させないようにする
湿度の低い季節には、部屋が乾燥しすぎないよう、加湿器などを利用するようにしましょう。加湿器がない場合は、濡れた衣服を室内に干すなど、工夫を凝らして、室内の湿度を適正に保つよう注意しましょう。
部屋が乾燥していると、鼻や喉の粘膜が過敏になり荒れてしまいます。喉や鼻の粘膜が乾ききってしまうと、そこに風邪のウイルスが付着しやすく、風邪を引きやすくなります。赤ちゃんのいる部屋の湿度対策に常に気を配るようにしましょう。
病院で診察を受けるタイミング
赤ちゃんのくしゃみが止まらないとお母さんは不安になってしまいます。赤ちゃんのくしゃみが止まらない場合は、風邪やアレルギー性鼻炎にかかっているおそれもありますが、病院に行くタイミングを見計らうのはなかなか難しく、いつ病院に行ったらいいか、迷う方も多いようです。
赤ちゃんがくしゃみをしているからといって、すぐに病院に行かなければならないということはありませんが、風邪や鼻炎の症状が出ているにも関わらず、そのまま放置しておくと症状が悪化してしまい、赤ちゃんに辛い思いをさせてしまいます。
こんな場合は病院で診察を受けるようにしましょう!
くしゃみとともに38℃以上の熱がある場合、鼻水がだらだらと止まらずに、ミルクを飲むことも辛そうな場合、咳が止まらない場合、食欲がまったくない場合、ぐったりとしている場合、咳や鼻水の症状は軽いものの、風邪の諸症状が数日間にわたって続いている場合、このような場合には、小児科や耳鼻科で診察してもらったほうが無難です。
何科で診察してもらう?
赤ちゃんの風邪は何科で診察してもらうのがベストでしょうか。赤ちゃんの病気はまず小児科で診察してもらうのが基本、ちょっと風邪かな?程度の症状であれば、小児科で診察してもらうようにしましょう。かかりつけの小児科があれば、そこで診察してもらうのがいちばん安心です。
その上で、小児科から耳鼻科での診察を勧められたり、中耳炎を繰り返す、扁桃腺の腫れが著しい場合には、耳鼻咽喉科でいちど診察を受けるようにしましょう。すでに中耳炎や扁桃腺などで耳鼻科にかかっている場合は、耳鼻科での診察でももちろん構いません。
まとめ
赤ちゃんのくしゃみについて知っておきたい情報ををご紹介しました。赤ちゃんは大人に比べるとたくさんくしゃみをしますが、お母さんとしては赤ちゃんがくしゃみをするたびに、「風邪を引いたのでは?」「もしかしてアレルギー?」と不安に駆られてしまいます。
鼻の粘膜が繊細で、鼻毛のまだあまり生えていない赤ちゃんは、鼻腔に入り込んだダストや異物をくしゃみすることで排出しようとします。大人に比べると、赤ちゃんのくしゃみが多い原因はこのことにあります。
赤ちゃんがくしゃみをするのは当たり前ですが、だからといってくしゃみが続くのをそのままにしておくと、鼻づまりや中耳炎になってしまうこともあります。くしゃみとともに鼻水や咳、発熱がある場合には、早めに病院で診察を受けたほうが安心です。
まず肝心なことは、赤ちゃんのくしゃみの原因や対処法に関する情報を備えておくこと。赤ちゃんのくしゃみについて詳しく知り、病院に行くタイミングを見逃さないようにしましょう。