赤ちゃんの視力について知っておきたいこと

赤ちゃんの視力で知っておきたいこと 赤ちゃん 仕草

生まれたての赤ちゃんはとにかく繊細で、さまざまな機能がまだ発達しきれていない状態です。初めて母乳やミルクをうまく飲むことができず、何度もトライしては失敗してしまうというケースも多いのではないでしょうか。

おっぱいや哺乳瓶を差し出しても思うように吸い付かなかったり、反応しなかったりするため、もしかしたら見えていないのでは?と感じるお母さんもいらっしゃることでしょう。実は、赤ちゃんの視力は生まれたばかりだとほとんど見えていないものなのです。

では、赤ちゃんはどれくらいから視力が発達して物を見る力がついてくるのでしょうか。気になる赤ちゃんの視力について、詳しくご紹介していきましょう。

赤ちゃんの視力について

新生児の視力

新生児の視力

赤ちゃんの視力は、産まれたばかりの新生児の頃だと個人差はありますが0.01~0.02ほどしかないと言われています。目を動かすこともまだスムーズにできないため、ほとんど見えていない状態だと考えた方が良いでしょう。

ただ、視力はほとんどなくても明るさや暗さは判別することができます。お母さんのお腹の中にいるときから、明暗は区別することができているため、産まれたばかりの時も明るさや暗さは感じることができるのです。

生まれたばかりの新生児の赤ちゃんは、焦点距離が顔から16cm~24cmくらいの範囲に限られています。また認識することができる色は、黒、白、灰色だけなので、シルエットがわかる程度だと考えておきましょう。

生後1週間後の視力

生後1週間後の視力

赤ちゃんの視力は、産まれたばかりの頃はかなり低く、明暗やモノクロの色調は判断できるものの、ほとんど見えていない状態です。しかし、生後1週間ほど経つと、他の色も識別できるようになってきます。

徐々に赤い色や黄色い色を識別できるようになり、シルエットが動くことでそれを目で追えるようにもなってきます。

左右の目を連動させることがまだ難しいため、生後2ヶ月くらいまでは黒目がやや外側を向いていることがありますが、月齢を重ねるにつれて少しずつ改善されていきますので、心配する必要はないでしょう。

生後3ヶ月~生後4か月の視力

生後3ヶ月~生後4か月の視力

生後3ヶ月~生後4ヶ月くらいになると、赤ちゃんの視力は個人差はありますが0.1まで上がってきます。さまざまな色を識別できるようになり、左右の目を連動しながら追視することもできるようになっているでしょう。

赤ちゃんの顔にオモチャや指を近づけて、左右に動かしてみて目で追ってくるようなら追視ができるようになっている証拠です。

また、ひとつの物を凝視するようになるため、お母さんの顔を近づけるとじっと見つめることも増えてくるでしょう。

生後5ヶ月~生後6か月の視力

生後5ヶ月~生後6か月の視力

生後5ヶ月を過ぎると、赤ちゃんの視力は個人差はありますが0.2くらいまで上がってきます。まだ輪郭が何となく見える程度の視力ですが、目で見えるものに触れようと手が連動してくる時期なので、オモチャで一緒に遊んだりすることができるようになります。

またこの頃になると首が座ってくる赤ちゃんも多いため、オモチャを目で追ってそのまま顔を動かしたり、物音がした方向を見たりすることが増えてくるでしょう。

首が座り顔を動かせるようになったことで、目を動かすだけよりも大きな範囲を見られるようになるため、ますます脳は発達して視力も上がってきます。

ガラガラと音のなるオモチャや、指遊びなどで積極的に遊んで脳を刺激し、視力をどんどん発達させていきましょう。

生後10ヶ月~生後11ヶ月の視力

生後10ヶ月~生後11ヶ月の視力

生後10ヶ月を過ぎる頃になると、首すわりが完了し、お座りができるようになる赤ちゃんが増えてきます。今までベッドで仰向けやうつぶせの状態で過ごすことが多かった赤ちゃんにとって、座って見る景色は大きな刺激になります。

お座りすることで視界が一気に広がることから、奥行や高さを感じ取ることができるようになり、見えているものを立体的に捉えられるようになるでしょう。

手の発達も促進し、積み木を掴んで遊ぶという事もできるようになってきます。目と手が連動することが増えてくるようになれば、ますます脳は刺激され、さまざまなものを識別して判断できるようになってくるでしょう。

とはいえ、まだまだぼんやりとしか赤ちゃんは見えていませんから、オモチャは原色に近い色にしておくと反応しやすくなります。赤色、青色、黄色などカラフルなオモチャで遊んであげるようにしましょう。

1歳の視力

1歳の視力

産まれたばかりの頃は0.01とほとんど見えていなかった赤ちゃんですが、成長して1歳になる頃には個人差はありますが0.3くらいまで視力がついてきます。

大人と同じように見えることはできませんが、つかまり立ちをし始めたりしてさらに高さや奥行きを判断できるようになるため、行動範囲がますます広がっていくことでしょう。

物を見て、記憶することもできるようになってくるため、いないいないばーでお母さんと一緒に遊ぶこともできますし、ちょっとしたかくれんぼも楽しむことができるでしょう。

大人と同じように見えるのはいつ?

大人と同じように見えるのはいつ?

赤ちゃんの視力は、産まれたばかりだと0.01ですが1歳を過ぎる頃には0.3まで上がってきます。ただ、まだまだぼんやりとしていてハッキリ見ることはできません。

大人と同じように見えるようになるは3歳くらいの頃で、視力は個人差はありますが1.0くらいになると言われています。赤ちゃんの成長スピードにより1.0の視力になる時期は異なりますので、ひとつの目安として考えておくと良いでしょう。

しかし、1歳でもお父さんやお母さんを判断することはできていますし、人見知りだってします。

ぼんやりとしていても、聴覚で声を聞き分け触れ合った時の皮膚の感覚も学習しているため、視力以外でもその人の存在をきちんと把握することができているのです。

視力と脳の関係

視力と脳の関係

赤ちゃんが大人と同じように見えるのには時間がかかります。では、なぜ生まれたときには赤ちゃんはほとんど見えていない状態なのでしょうか。実は、視力そのものが弱いというだけでなく、脳の発達がまだ不十分であることが関係しているのです。

目で見てそれが何か判断するには、視神経を通じて見たものを伝え、脳で判断するという作業が必要になります。最初は脳も、初めての体験で経験値不足の状態なので、それが何かを判断することはできませんが、毎日いろんなものを見続けることで脳が経験を重ね、次第に判別できるようになってきます。

次第に目を左右連動して動かせるようになり、首が座ったり、お座りができるようになったり、立ち上がったりできるようになることで、奥行きや高さを把握して立体的に捉えられるようになります。

そこに、色や明暗などさまざまな情報が目に映り、視神経を通じて脳に伝えられることが繰り返され、徐々に視力は上がってくるのです。

赤ちゃんの視力を早く発達させたいと考えているのなら、たくさん赤ちゃんと遊んで脳を刺激し、いろんなものを見せてたくさんの情報をインプットするようにしましょう。

赤ちゃん・幼児の眼科健診

赤ちゃん・幼児の眼科健診

3歳児健診で、初めて視力や目の検査を行う赤ちゃんがほとんどです。しかし先天性白内障や先天性緑内障は生後数ヶ月の間に手術をする必要があるため、これらの病気に付随する症状が表れた場合は、生まれてすぐからでも眼科健診が必要になります。

乳児の眼科健診は、固視・追視の確認や利き目の確認・瞳孔反応などで、何か異常が出た時は詳細な検査のために総合眼科健診を受けるよう勧められます。

ただ、3歳健診前に赤ちゃんの眼科健診を行う病院は少なく、更に詳しい検査となると、大きな総合病院や大学病院など数が限られてしまいます。出産した産婦人科で紹介してもらうか、赤ちゃんの眼科健診ができる近くの病院をしっかり確認しておきましょう。

赤ちゃんの弱視とは

赤ちゃんの弱視

赤ちゃんの視力が大人と同様になる3歳ごろ、定期健診で弱視の疑いがあると指摘されるケースがあります。

弱視とは病気ではなく視力の発達が遅れている事をさし、斜視・乱視・遠視・近視・片目の遮蔽などが見られます。ただこれは、片目が弱視でもう片方が普通の視力だと、健診でも気がつきにくい厄介なもので、発見が遅れれば視力低下をまぬがれません。

反対に早期に治療や訓練をすれば正常な視力を得られますので、お母さんは普段から赤ちゃんの様子に注意しておきましょう。

目の発達とテレビの関係

目の発達とテレビ

赤ちゃんの目のことを考えると、テレビやスマートフォンのような強い光が出る電子機器は、良くない影響が出そうで怖いですよね。実際に視力の発達を阻害しているかどうかという点では、視力に影響する可能性は低いと言えます。なぜなら生後間もない赤ちゃんの視力はまだ発達している途中でほとんど見えていません。

また、ひとつの物を長時間凝視し続けることはできないため、5歳くらいまではテレビの光に神経質にならなくてよいと考えられています。

ただ、目の発達よりも影響を受けてしまうのがコミュニケーション障害です。長時間テレビやスマートフォンを見続けていると、情報に対して受け身になり、コミュニケーションを自ら行うことが減っていくため、意思表示ができなくなったり、他の赤ちゃんと一緒に遊ぶことを嫌がったりするようになるのです。

また、将来落ち着きのない子に成長したり、集中力が欠けてしまう子になったりする可能性があるため、できるだけテレビやスマートフォンに触れる時間は少なめにするようにしましょう。

赤ちゃんの目のトラブルについて

目のトラブルについて

赤ちゃんの目は白くて透明感があってキレイですよね。しかし、急に充血したり、目やにが増えてしまったりするなどトラブルも起きやすいので注意が必要です。

汚れたままの手で赤ちゃんが自分の目を擦ってしまうと、白目が充血したり、突起物ができたりしてしまうので、顔回りにふれる手やおもちゃは清潔な状態にしておくようにしましょう。

目やにに関しては、花粉やホコリなどで生じることが多いため、部屋の中を清潔にしたり、外出したらお風呂に入って汚れを洗い流したりするようにしておくと予防することができます。

赤ちゃん斜視の心配

斜視の心配

産まれたばかりの赤ちゃんはまだ視力が発達していないため、左右の目を連動して動かすことが難しい状態です。このため、左右の目が少し離れて外側を向いていたり、目線が不規則に動いたりするので斜視を心配するお母さんも多いことでしょう。

月齢が重ねるにつれて左右の目が連動できるようになるため、徐々に症状は落ち着いてきますが、生まれながらに斜視を持っている可能性もあります。

斜視は、片方の目が外側を向いたり内側を向いたりする症状のことで、目と脳の連携がうまく取れていないことが関係しています。

生まれつき物を見るための脳の命令が弱ために斜視は起こりますが、治療することができるので早めに相談するようにしましょう。早めに眼鏡をかけたり、手術を受けたりすることで斜視を克服することができます。

さかさまつげと視力

さかさまつげと視力

赤ちゃんは体も顔も脂肪が多いので、通常は外に向かって生えているまつげが脂肪に押されて内側を向いてしまう事がよくあります。

動くようになる前の生後6ヶ月までの赤ちゃんに多く、まつげが目の中に入っても赤ちゃんが気にしていないようなら問題ありませんが、目をこすったり目やにが多く出るようだと雑菌が入り炎症を起こしやすいので、眼科で治療をしてもらった方がよいでしょう。

運動量が増えると同時にさかさまつげも無くなってくるので、あまり心配しないよう。ただし、3歳すぎてもこの症状がある場合は、まつげの内側への反りが強く角膜を傷つけて視力を低下させる原因になりかねないため、すぐに検査をしてもらいましょう。

ここめでのまとめ

赤ちゃんと視力についてさまざまな情報を幅広くご紹介しました。産まれたばかりの赤ちゃんは、ほとんど何も見えていない状態ですが、成長するにつれて少しずつ見えるようになってきます。

シルエットはボンヤリとしていても、お父さんやお母さんの存在はちゃんと感じていますので心配はいりません。月齢が浅いときはできるだけ近づいてコミュニケーションを取るようにし、成長してきたらどんどん新しい遊びをプラスして見える楽しみを増やしていってください。

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