初めての育児は、何かと戸惑うことがたくさんあります。何で泣いているのかわからない、さっき眠りについたと思ったらもう目が覚めているなど、赤ちゃんに振り回されっぱなしのお母さんも多いことでしょう。
しかし、さまざまな壁にぶち当たる中で、頭を抱えてしまうのがミルクを飲んでくれない時ではないでしょうか。赤ちゃんがミルクを飲んでくれないと、体重も増えないし成長に影響が出るのではと心配になってしまいます。
赤ちゃんがミルクを飲まなくなるタイミングはさまざまで、原因も多岐にわたります。いろんな原因を突き止めて、それに見合った対処方法を実践することで、再び赤ちゃんはごくごくとミルクを飲んでくれるようになるでしょう。そこで、赤ちゃんがミルクを飲まない原因と、対処方法などについて詳しくご紹介していきますので参考にしてください。
新生児の赤ちゃん飲まない
赤ちゃんによって、ミルクを飲まなくなる原因はさまざまです。月齢によっても原因は異なってきますので、まずは新生児の赤ちゃんがミルクを飲まなくなる原因をご紹介していきましょう。
新生児の赤ちゃんがミルクを飲まない原因としては、吸う力が弱いということが挙げられます。産まれたばかりの赤ちゃんは、ミルクを欲していても哺乳瓶から吸い出して飲むという行為をスムーズに行うことはできないのです。
吸うという行為は、舌や上あごなどいろんな場所を使うことで初めて成立するものですから、生まれたばかりの赤ちゃんは、まだそれを完璧には習得できていません。
それに、吸うことはできても力が弱く、ミルクを飲むことができないこともあるため、哺乳瓶の口に針を刺して弱い力でも飲みやすいようにしてあげると良いでしょう。
また、哺乳瓶の乳首をしっかり締めすぎてしまうと空気が入らないため、吸い出しにくくなります。漏れない程度に緩めておけば、程よく空気が隙間から入り込んで、ミルクを吸いやすくなるでしょう。
ミルクの量について
赤ちゃんがミルクを飲んでくれないと焦る前に、まずはどれくらいの量を飲んでいるのか、測ってみることも大切です。思うように飲んでいないと思っていても、基準量を満たしている可能性もあるので、目安をご紹介しておきましょう。
赤ちゃんがミルクを飲む量は、体重に比例させて考えるとわかりやすくなります。
体重1kgあたり約100ml~200mlが適量になります。1回分の量で換算すると、体重1kgあたり約20mlで充分でしょう。
これを基に計算すると、体重が約4kgの赤ちゃんなら、1回の授乳は約80mlが適量になります。1日全体の量で計算すると、約600mlがちょうど良い授乳量になるでしょう。
また、体重が約7kgの赤ちゃんなら、1回の授乳では約140mlが適量になります。1日全体の量で計算すると、約1,050mlがちょうど良い授乳量になるでしょう。
ただ、赤ちゃんにより一度に飲める量は異なりますし、時間帯やお腹の好き具合によっても量は変わってきます。ひとつの目安として捉え、無理に飲ませようとしたり、もっと欲しがっているのに控えたりするようなことはしないようにしましょう。
飲まない原因 対処方法
哺乳瓶の乳首の相性
赤ちゃんがミルクを飲んでくれない原因のひとつとして、哺乳瓶の乳首と相性が良くないことがあげられます。哺乳瓶の乳首の大きさは、赤ちゃんにより適正サイズがありますので、大きすぎたり小さすぎたりしていないか、観察してみましょう。
哺乳瓶の乳首が大きすぎると、少し吸い出しただけでたくさんの量のミルクが出てきて、うまく飲むことができなくなってしまいます。
また、哺乳瓶の乳首が小さすぎると、少量のミルクになりますし吸い出す力もたくさん必要になるため、より適したサイズに交換してあげるようにしましょう。
ミルクの温度で飲まない
赤ちゃんがミルクを飲んでくれない原因のひとつとして、ミルクの温度が適温ではないことも考えられます。ミルクの温度は人肌程度の40℃くらいがちょうど良いとされていますが、赤ちゃんにより飲みやすい温度は異なるため、熱すぎたり冷たすぎたりすると飲みにくく感じて拒絶する場合があるのです。
最初にミルクをあげようとしたら拒絶されたのに、少し時間が経ってから与えてみると、ごくごく飲んだというのであれば、少し温度が高すぎる可能性があるでしょう。
温度調整は季節によって微妙にコントロールする必要があるため、難しいところではありますが赤ちゃんにとって飲みやすい適温を見つけてあげることが大切だと言えるでしょう。
ミルクの味で飲まない
小さな赤ちゃんでも、美味しいミルクと美味しくないミルクを判断する味覚は備わっています。そのため、このミルクの味は嫌い、このミルクの味は好きというように、好みも出てくるのです。
成分も味もほぼ同じだと大人は思っていても、赤ちゃんは繊細な味を見分けることができますから、いろんな種類を試してみるのも必要です。
赤ちゃんがなかなかミルクを飲んでくれなかったけど、メーカーを変えてみたら驚くほど飲むようになったという例もたくさんありますから、別の種類のミルクを試してみるのも良いでしょう。
ミルクに使う水が合わない
白湯や麦茶は哺乳瓶で飲むけれどミルクは飲まない、どのメーカーの粉ミルクを使ってもダメ、という場合は、ミルク用に使っているお水をチェックしてみましょう。
日本の水はほとんどが赤ちゃんのミルク作りに問題のない軟水ですが、場所によっては硬水に近い硬度を持つ水もあります。マグネシウムやカルシウムが多量に含まれた水で作ったミルクは、赤ちゃんの味覚に悪影響を与え下痢などの原因になる事もあり、何より美味しくなくなってしまいます。
海外の水はほとんどが硬水ですから、海外メーカーのミネラルウォーターは使わない方が良いでしょう。また、ナチュラルミネラルウォーターサーバーでミルクを作っている場合は、採水地と硬度を確認した方が安心です。
ミルクが入っていると教える
赤ちゃんがミルクを飲んでくれない場合、吸い出すことでミルクが出てくることが理解できていない場合もあります。新生児や、哺乳瓶の乳首を変えたときに発生しやすい原因ですので、ミルクが入っているということを教えてあげましょう。
哺乳瓶の乳首から数滴ミルクを絞り出して、赤ちゃんの口の中に垂らしたら、この中にミルクが入っていると理解することができます。
上手く絞り出せない場合は、少量のミルクを小皿にとって、哺乳瓶の乳首の周りにつけておくようにしましょう。
大人はこの中にミルクが入っていると知っていますが、赤ちゃんはその物体の先に何が入っているのか知りません。だからこそ、飲む前に教えてあげることが大切なのです。
お腹を空かせてから飲ませる
赤ちゃんがミルクを飲んでくれない原因のひとつとして、あまりお腹が空いていないケースもあります。あまり活発に動かない赤ちゃんの場合、消費カロリーが少ないのでお腹がすきにくくなるのです。
お腹が空いていない時に、無理やり飲ませようとしても、勢いよくミルクを飲んでくれるわけがありません。無理強いをしてしまうと、哺乳瓶が嫌いになってしまう可能性もあるため、お腹がすくようにしっかり遊んだり、授乳間隔を少し伸ばしたりして見ると良いでしょう。赤ちゃんは、お腹が空いきたら自然とミルクを欲するものです。
決められた授乳間隔内にミルクを飲ませなければならないと堅く考えてしまうと、赤ちゃんが拒否してしまいますので、柔軟に対応できるようにしましょう。
意識がそれてミルクを飲まない
赤ちゃんがミルクを飲まなくなる原因として、他のことに興味が出てきて注意散漫になっている可能性が挙げられます。
赤ちゃんは好奇心が旺盛で、いろんなことに興味を示しますから、スマートフォンから音楽が流れていたり、テレビがついていたりすると、そちらに意識が向かって、ミルクを飲むことに集中できなくなってしまうのです。
ミルクを飲んだり飲まなかったりするうちに、温度も下がって飲みにくくなり、結果として十分な量が飲めなくなってしまいます。
ミルクを飲ませるときは、できるだけ静かで刺激の少ない場所を選び、ミルクを飲むことに集中できる環境づくりを心掛けるようにしましょう。
母乳との混合でミルクを飲まない
母乳とミルクで育てているお母さんの場合、ミルクだけを拒否して飲まなくなってしまうこともあります。また、今までは母乳で育てていたけれど、託児所に預けるためにミルクに切り替えようとして失敗してしまうこともあるでしょう。
母乳を飲むことに慣れている赤ちゃんは、哺乳瓶で飲むことを嫌がる傾向が強いようです。できるだけ母乳と同じ状態に近づけることが大切ですので、ひとつひとつ見直していく必要があるでしょう。
まず、哺乳瓶の乳首を、お母さんの乳首と近いものにすることが必要です。乳首の形状や大きさ、柔らかさなどを似せることで、安心感が増すからです。
また、母乳で飲んでいた時はまっすぐ前を向いて飲んだり、横向きで寝ながら飲んだりすることが多いですが、哺乳瓶になると顎を上げて飲む姿勢になるため、この体制がきつい赤ちゃんも多いようです。角度がついている飲みやすい形状の哺乳瓶もありますので、母乳に近い角度で飲ませてあげるようにしましょう。
また、哺乳瓶の乳首は、お母さんのおっぱいと同じように温めておくことが大切です。冷たい乳首では、異物だと感じて拒否することが多いので、湯煎で温めておくようにしましょう。
混合の場合は母乳に近い温度
母乳だけで育ててミルクに切り替えようとしていたり、混合でミルクを飲んだりしている赤ちゃんには、母乳を基準にミルクを受け入れるかどうかを判断しがちです。
ミルク作りにおいて、最も重要で難しいのが温度で、少しでも熱すぎたり、冷たすぎたりすると飲んでくれないので適温を目指せるようにしましょう。
人肌程度の40℃が理想と言いますが、母乳に近い温度に感じるのが一番の狙いです。母乳を飲んでその温度と味に慣れていたからこそ、それに近い状態に近づけて飲みやすいようにしてあげましょう。
ミルクアレルギーの可能性
新生児の頃からミルクを嫌がる方は、赤ちゃんの体調をよくチェックしてみましょう。血便があったり下痢を繰り返していませんか?これらの症状がある場合、赤ちゃんはミルクアレルギーの可能性が高いです。
アレルギーの原因は牛乳に含まれるカゼインやアルブミンなどのたんぱく質ですが、ミルクアレルギーの95%は牛乳由来のミルクで起こります。
ミルクを飲めないのは赤ちゃんにとって致命的ですが、今はミルクアレルギー専用の粉ミルクがあるので発育面でも問題ありません。早く治療を始めれば1歳くらいで乳製品を摂れるようになるので、早期発見が大事です。
ミルクをあげる人を変えてみる
赤ちゃんは、産まれてすぐにお母さんの母乳の匂いが分かるといいます。産後すぐのまだお母さんの母乳が出ない状態であっても、赤ちゃんをお腹の上に乗せると体をよじっておっぱいを探しそのまま吸い付く事もあるのだとか。
このように赤ちゃんは本能でお母さん=母乳というのが分かるので、お母さんに抱っこされているのにおっぱいとは全く違うものを咥えさせられようとするのを嫌がる赤ちゃんも少なくありません。もしお父さんがいる場合は、お母さんの代わりにミルクをお願いしてみましょう。
全く違う人からのミルクは、すんなり飲む事があります。また、お父さんはお母さんよりもガッシリしていますから、安定感もあるでしょう。お父さんにとっても育児参加の良いチャンスです。
絶対にあせって無理強いさせないこと
赤ちゃんがミルクを飲まないと死んでしまうのではとパニック状態になってしまいますが、まずは落ち着いて赤ちゃんの様子や原因を考えて見ましょう。
原因は色々ですから、一つずつ解決していけばその内にまた飲むようになっていきます。ただ何が何でもミルクを飲ませなければと必死になってしまうと、赤ちゃんもお母さんの雰囲気を感じ取って余計頑なになってしまう可能性もあります。
赤ちゃんが元気で機嫌がよいのならば、少し待ってみる事も大事です。泣いても咥えさせたりするのは逆効果ですから、絶対に止めましょう。
まとめ
赤ちゃんがミルクを飲まない原因と、その対処方法などについてご紹介しました。赤ちゃんがミルクを飲む原因はさまざまですが、単純に機嫌が悪かったり、気分ではなかったり、お腹が空いていなかったりするだけでも簡単に飲まなくなります。
お母さんとしては、急にミルクを飲まなくなるので心配ですが、お腹がすけば必ず赤ちゃんはミルクを飲み始めますし、一回や二回、充分に飲めなかったとしても必要以上に神経質になることはありません。
おおらかに捉えて接することで、赤ちゃんのリズムでミルクを飲めるようになりますから、飲まないからと焦らず、温かく見守ってあげるようにしてくださいね。