赤ちゃんが震えるときの原因と震えを起こす状況

赤ちゃんが震えるときに知っておきたいこと 赤ちゃん 仕草

赤ちゃんは体の機能が未熟なため、いろいろな場面で体や手足が震えることがあります。赤ちゃんの震えには心配のないものと、けいれんの疑いのあるものの二通りがあります。

自然な生理反応とは頭で分かっていても、小さな赤ちゃんの体や手足がぶるぶると震えているのを見るのは不安なもの。パニックになってしまい、どのように対処すればいいのか、途方に暮れてしまうお母さんもいるようです。赤ちゃんの震えに上手に対応するには、赤ちゃんが震える原因や対処法を知っておくことが大切。

いざというときのために、普段から赤ちゃんの様子を観察することはもちろん、どのような場合に震えるのか?どんな症状が出たら、病院を受診すべきなのか?熱けいれんの症状とは?など、知っておくべきポイントはたくさんあります。赤ちゃんが震えるときに知っておきたい情報をご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

赤ちゃんが震える原因と震えを起こす状況

赤ちゃんの震えについて

赤ちゃんは体温調節や神経伝達機能など体の機能が未発達なため、生理反応によって体や手をぶるぶると震わせることがあります。生理的な反応により震えている場合は、そのまま様子を見るだけで大丈夫ですが、赤ちゃんの震えはてんかんや新生児けいれんの発作の可能性もあります。てんかんや新生児けいれんが出たら、病院で診察や検査を受けたほうが安心です。

また赤ちゃんが震える状況もさまざまで、母乳やミルクを飲んでいるとき、泣いているとき、おしっこをしたとき、眠りに入ろうとするときなど、いろいろな場面で震えが見られます。震えの症状についてもさまざまで、手や手足だけがぴくぴくと震える場合もあれば、体全体が震える場合など、原因や状況によって震えの症状はさまざま。

大人の場合は体が震えても、自分でその理由や原因が分かるので、すぐに適切な対応が取れますが、赤ちゃんの場合はお母さんやお父さんが的確に判断し、その上で対処しなければなりません。赤ちゃんが震える原因と震えを起こす状況について詳しく見ていきましょう。

外部からの刺激によるもの

外部からの刺激によるもの

すでに述べたように赤ちゃんは神経の伝達機能がまだ完全に整っていません。このため外部からの刺激に対して、脳からの神経伝達に混乱が生じることがあります。手足や体の一部がびくっと動いたり、ぶるぶると震えるのは生理的な反応のひとつです。

眠りかけのときや、授乳中にうとうとしたときにも、手足がぴくぴくと小刻みに震えることがありますが、これもある種の生理的な反応で、そのままにしておいてもすぐに止まります。

これは大人が経験する入眠時の「ジャーキング」に似た症状で、脳からの指令と神経伝達に混乱が生じることから起こります。ジャーキングは疲れていたり、ストレスを感じているときに起こりやすく、ゆっくり休息を取り、ストレスの軽減に努めることにより改善されます。赤ちゃんの場合には自然な反応として起こりますので、治療の必要はありません。

寒さによるもの

寒さによるもの

赤ちゃんは体温調節機能が未熟で、外気の影響を受けやすい状態にあります。赤ちゃんがぶるぶると震えるもうひとつの原因は、寒さにあります。

ぶるぶると震えるだけでなく、赤ちゃんの顔色が青白くなる、泣き出す、手足の先だけでなく、おなかや体全体が冷え切っている、唇が蒼白、こんな場合は赤ちゃんが寒がっているサインと心得ましょう。

赤ちゃんにとって快適な温度とは?

寒さによる赤ちゃんの震えを予防するには、赤ちゃんにとって快適な温度に室温を調節することが大切です。赤ちゃんにとって快適な温度は季節によって異なります。夏場であれば22℃から27℃程度、冬場であれば18℃から22℃くらいが適当です。

また赤ちゃんは新陳代謝が活発で、汗をたくさんかきます。汗をかいたあとそのままにしておくと、汗が乾燥する際に皮膚表面の水分を奪うために、赤ちゃんがひやりとして体をぶるっと震わせることがあります。赤ちゃんの汗はこまめにふき取り、風邪を引かせないように注意しましょう。

身震い発作

身震い発作

赤ちゃんがいきんだり、震えたりする場合には身震い発作の疑いがあります。身震い発作とは英語でシャダリングアタックと呼ばれる症状で、乳幼児に起こる発作の一種です。生後4ヵ月から6カ月頃に始まり、2歳頃まで続くことが多く、そのまま自然になくなります。

身震い発作の症状について

身震い発作の症状は頭、肩、胴体を硬くし、寒さに震えるようにがたがたとするもので、発作は通常10秒程度続きます。一日に何度も起こることもあれば、ごくたまに起こるだけのこともあり、症状の出方には個人差があります。

身震い発作は一見すると熱けいれんに似ていますが、熱が出ているわけではありません。発熱したわけでもなく、体調も普段どおりなのに、突然寒さに震えるかのような身震いが継続して何度も続く場合は、身震い発作が疑われます。

身震い発作は赤ちゃんの成長とともに、徐々に起こる回数が減り、そのうちに自然に消滅していきます。身震いの症状が出ていて、他の病気との判断が付かない場合には、専門医に相談することをお勧めします。※参照1

憤怒けいれん(泣き入りひきつけ)

憤怒けいれん(泣き入りひきつけ)

赤ちゃんが激しく泣き出し、息を吐き出した状態で突然呼吸を止めてしまう。顔や唇が蒼白・青紫色に変わり、がたがたとひきつけを起こしたように体が震える。これは乳幼児に特有の憤怒けいれんと呼ばれる症状で、突然驚いたときにも起こります。

憤怒けいれんは、泣くことをきっかけに起こるため、泣き入りひきつけとも呼ばれます。生後6カ月から始まり2、3歳まで続くことが多く、身震い発作同様赤ちゃんが成長し、体力がつくと自然に良くなります。症状が続く時間は短く、ほとんどの場合一分程度でおさまり、後遺症の類は残りません。

突然激しく泣き出したため、一時的に無呼吸状態になり、顔色が蒼白になる他、全身の脱力、けいれん、意識を無くすなどの症状がでます。身震い発作との違いは、きっかけがあること。突然泣き出す、驚くといったきっかけが必ずあり、これが引き金になり、脳が無酸素状態になることが特徴です。※参照2

モロー反射

モロー反射

生後4ヵ月頃までの赤ちゃんは、モロー反射と呼ばれる原始的な反応を示します。これは赤ちゃんの吸綴反射と同じ、乳児に生まれつき備わっている原始反射のひとつで、赤ちゃんはみな無意識に行います。

赤ちゃんを正面に向いた体勢で寝かせ、頭の部分を30度程度手で支え浮かせ、そのあと急に支えている手を緩めると、赤ちゃんは腕を広げ誰かに抱きつこうとする動きをみせます。これがモロー反射で、お母さんやお父さんに抱かれている最中に急に落下しそうになったときにみせる自然な動きを指します。モロー反射は生後4ヵ月頃になると自然に消滅していき、かわって赤ちゃんの身体機能の発達の始まりである首座りができるようになります。

熱けいれん 熱性けいれん

熱けいれん

発熱とともに体がけいれんする症状は熱けいれんと呼ばれています。熱けいれんはよくある症状のひとつで、ほとんどの場合3分間から5分程度、長くても10分間程度でおさまりますので、あまり心配する必要はありません。

熱けいれんは風邪などによる発熱に起因して起こるもので、赤ちゃん全体の約5、6%程度に起こる症状です。体全体あるいは一部が震える、突っ張る、脱力する、といった症状があらわれます。

熱けいれんが起きる時期は、生後5、6ヶ月から5、6歳までの間。熱けいれんを起こしやすいかどうかには、遺伝的な要因も関わっています。

てんかんなどの心配のない熱けいれんの特徴とは、けいれんが左右対称に起こること、発症時間が比較的短いことで、一度しか起きないこともあれば、二回目、三回目と起こることもあります。一度でもけいれんを起こしたら、念のためいちど医師に相談するようにしましょう。二回目、三回目とけいれんが続く場合、薬でけいれんをおさえることもあります。

熱けいれんの対処方法について

赤ちゃんが熱けいれんを起こした場合の対処方法について詳しく知っておきましょう。赤ちゃんが突然けいれんを起こすと、それだけでお母さんはパニックになりますが、慌てず冷静に対処することがもっとも重要。赤ちゃんがけいれんを起こしたときの対処方法をポイントごとに挙げてみました。

けいれんが起こった時間を記録する

けいれんが起こった時間を記録する

けいれんについてあとで医師に相談する際に必ず尋ねられますので、けいれんが続いた時間を記録しておきましょう。けいれんが続く時間が長い場合には、単純な熱けいれんではない可能性もあります。

通常の単純な熱けいれんであれば5分程度でおさまりますが、慌てているとどのくらいの時間が経過したのか、あとで客観的に思い出すことが難しくなります。赤ちゃんのけいれんが始まったら、必ず時間を確認しておきましょう。

けいれんは十中八九自宅で起こりますので、赤ちゃんのけいれんの様子を動画として撮影しておくと医師が的確な診断を下せます。

赤ちゃんに刺激を与えないこと

赤ちゃんはそっと楽な姿勢で横たえます。大声で名前を呼んだり、体を揺することは絶対にしないでください。舌を噛まないように口の中にタオルやガーゼを入れることもNG。かえって窒息する原因になりかねません。服をゆるめ、出来るだけ楽な姿勢にし、静かに見守ります。

嘔吐している場合の対処法

嘔吐している場合には顔と体を横向きにし、嘔吐物で窒息しないように注意しましょう。赤ちゃんの様子をよく観察し、吐いていないかどうか、口の中に食べ物が詰まっていないかどうか、注意を払って観察することが大切です。

けいれんの様子を観察すること

けいれんの際に体の動きや眼球の動き、手足の動きなど、起こったことを医師に正確に伝えられるよう、けいれんの際の様子を冷静に観察しましょう。体の動きは左右対称か、それとも左右非対称か、白眼をむいていたかどうか、手足が突っ張る様子があったかどうか、意識を失っていないかどうかなど、けいれんの際の様子をしっかりと観察し、覚えておきましょう。

けいれんが10分以上続く場合の対応

けいれんが10分以上続く場合の対応

赤ちゃんのけいれんは通常3分から5分程度、長くても10分程度で自然におさまります。5分を超えてけいれんが続く場合には、けいれんが続いている時間を計りつつ、かかりつけの医師の指示を仰いだほうが安心です。

救急車を呼んだほうがいいかどうかの判断に迷ったら、まずかかりつけの小児科医に連絡しましょう。かかりつけの小児科医に連絡がつかない場合には、乳幼児医療相談窓口などを利用しましょう。

厚生労働省では、深夜や休日に乳幼児の医療相談のできる電話窓口を各都道府県に設けていますので、日頃から緊急連絡用の電話番号をわかりやすい場所にメモしておきましょう。※参照3

小児てんかんでの震え

小児てんかんでの震え

てんかんにはいろいろな種類があり、その症状もさまざまですが、発熱していないにもかかわらずけいれんが起こる場合には、小児てんかんの疑いもあります。小児てんかんは3歳以下の赤ちゃんに発症することが多く、その症状はさまざまです。

手足や顔が突っ張る・ねじれる、体全体が硬直する、ガタガタと全身が震える、体の片側が引く、回転するといった症状以外にも、視覚や聴覚に異常があらわれることもあります。

熱が出ていないにもかかわらず、けいれんが何度も繰り返し起こる場合には、必ず専門医の診察を受けましょう。小児てんかんは種類も症状もさまざまで、専門的な知識を備えた医師の適切な診断と治療が必要です。

小児てんかんの診断について

けいれんとてんかんは症状が似ていることもあり、専門医のいる病院で診察と検査を受けなければ、診断が難しい場合があります。てんかんの場合は脳波検査で異常が発見されますが、初回の脳波検査では異常が発見されないことが多く、脳波検査を繰り返し行う必要があります。

赤ちゃんの場合、まだ脳や体の機能が未発達であり、脳波が安定しないこともあり、最終的な診断が下されるまでには時間がかかります。てんかんが疑われる場合には、専門医のもとで定期的に検査を行っていかなければなりません。※参照4

まとめ

赤ちゃんが震えるときに知っておきたいポイントや情報をご紹介しました。赤ちゃんの震えには、心配のないものもあれば、病院で診察と精密検査を受けたほうがいいものもあります。

どのような場合に受診が必要で、どのような場合には必要ないかを把握するためには、お母さんやお父さんがいろいろな知識や情報を知っておく必要があります。赤ちゃんの震えの症状や考えられる原因、そして適切な対処方法をしっかり覚えておきましょう。

※参照1 中野区医師会 医療トピックス 赤ちゃんのけいれんひきつけ
※参照2 一般社団法人 日本小児神経学会 泣き入りひきつけはなぜ起こるのですか
※参照3 東京医科大学 茨城医療センター よくあるご質問
※参照 日本医師会 白クマ先生の子供診療所 けいれん ひきつけ
※参照 厚生労働省 子供医療電話相談事業
※参照4 大塚製薬 てんかんinfo
※参照 公益社団法人 日本てんかん協会