すやすやと気持ちよさそうに寝ていたのに、抱っこしてみたら汗びっしょりで、ビックリしたということはありませんか?
赤ちゃんは大人に比べて体温が高く、新陳代謝も活発なのでいつもたくさんの汗をかいています。その汗を放置しておくと、あせもの原因になりますので注意が必要です。
あせもを予防するための工夫と、あせもになった時に素早く対処することで、赤ちゃんの肌は健やかな状態をキープできるようになります。そこで、赤ちゃんとあせもについて詳しくご紹介します。
赤ちゃんとあせも
赤ちゃんはとにかくたくさん汗をかきます。その汗を放置しておくと、すぐにあせもになってしまいますが、実は多くの赤ちゃんにあせもが確認されているのです。
乳幼児の湿疹の多くが、乳児湿疹、脂漏性湿疹、あせもです。乳児湿疹や脂漏性湿疹は、女性ホルモンの影響が治まり、皮脂の分泌が穏やかになれば解決していきますが、あせもは新陳代謝によるものなので常に気を配る必要があります。
あせもの種類
あせもは首や脇・ももを中心に全身に赤く広がるものというイメージがありますが、実はそういう症状のないあせもがあります。
紅色汗疹
赤くなるあせもは紅色汗疹と呼ばれ、出口がふさがっているため汗管の中を通る汗が途中で溜まってしまい炎症を起こす症状を指します。
水晶様汗疹
皮膚が赤くならずに水泡が沢山できるあせもを水晶様汗疹と呼び、皮膚の表面に近い場所で肌内部に溜まる症状です。この水晶様汗疹はかゆみが無く、治療を行わなくても数日中に消えるのが紅色汗疹との大きな違いでしょう。
深在性汗疹
汗が紅色汗疹よりも更に内部に溜まってしまった場合を深在性汗疹と呼びますが、これは熱帯地域に多く発生し、日本では発生数が非常に少ない病気です。
あせもと蕁麻疹・アトピー性皮膚炎の違い
赤ちゃんは肌が薄く免疫力が低いので、すぐに赤いブツブツができます。しかし肌が赤くブツブツになるのは、あせもだけでなく蕁麻疹(じんましん)やアトピー性皮膚炎も同様です。
あせものでき始めは盛り上がりの無く局所的に赤く変化しますが、悪化すると赤いブツブツが出てくるようになります。蕁麻疹はミミズ腫れのように盛り上がっていますが、数時間たつときれいになくなり、ケアに数日かかるあせもとはこの部分で大きく異なります。
またアトピー性皮膚炎もあせもと似た肌の症状が表れるのですが、乾いてかさぶたになる事と湿疹が体の左右対称に現れる事、そして季節や湿度に関係なく発生する点が、あせもの症状と大きく異なる点だと言えるでしょう。
赤ちゃんのあせもが出る場所
赤ちゃんの肌にあせもが出るのは、汗をたくさんかいて汗腺の出口をふさぎ、ブドウ球菌などと反応して炎症するのが原因です。では、具体的にどのような場所にあせもは発生するのでしょうか。
あせもが発生する場所は、背中や腰、お尻、頭、首が最も多く、他には手足のくびれ、お腹や脇の下などがあります。
いずれも、汗をかきやすく、長時間蒸れやすいのが特徴です。これらの場所は、あせもになりやすいのでこまめに汗を拭きとるようにしましょう。
あせもの原因 対処方法
あせもの予防と対処について知る前に、まずはあせもが発生してしまう原因について触れておきましょう。
あせもは、汗と菌が混ざって繁殖することにより発生します。赤ちゃんの汗腺は、大人に比べると未発達で分泌されたたくさんの汗が汗腺の出口に詰まりやすくなってしまいます。そこに、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が反応し、炎症を起こしてあせもを引き起こしてしまうのです。
また、赤ちゃんの汗腺は大人と同じ量の200~250あると言われており、大人の大きな体に比べると、赤ちゃんの身体は格段に小さい為、汗腺の密度は高くなります。
さらに、体温調整がまだうまくできない赤ちゃんの身体は、体温が上昇したときに汗をかくことで調整しようとします。これ等の要素が加わり、赤ちゃんの皮膚にはあせもが発生しやすくなるのです。では、あせもにならないためには何に注意し、あせもになった時にはどんな対処をするべきなのでしょうか。
おむつの蒸れでのあせも
赤ちゃんのあせもが出やすい場所として、多いのが汗をかきやすい背中や腰ですが、お尻もあせもが現れやすい場所のひとつです。
お尻にあせもが出てしまうのは、おむつの影響があると考えられるでしょう。赤ちゃんは、とにかくたくさんのウンチやおしっこを出しますから、すぐにおむつは濡れた状態になります。
通気性が良く、肌あたりも優しいおむつもたくさん出ていますが、肌が蒸れやすい状況には変わりないため、こまめに交換してあげることが大切です。また、サイズが合っていないとお腹のギャザーで締め付けが起きて、お腹や腰回りにあせもが発生しやすくなります。
月齢に合わせて適したサイズを選び、あせもがひどい場合はパウダーでさらさらにしてから新しいおむつに変えてあげましょう。
厚着で汗によるあせも
赤ちゃんの肌にあせもが現れるのは、たくさんの汗をかいていることが原因のひとつです。つまり、汗をかかないように工夫してあげることで、あせもを防ぎ、和らげる効果があります。
例えば、着ている洋服に注目してみましょう。気温が高い日に厚手の生地の洋服を着ていると、汗をびっしょりかいてしまいます。また、寒い日でもたくさん重ね着していると、中が蒸れて汗をたくさんかいてしまうことがあるでしょう。
赤ちゃんは暑いからと言って、自分で服を脱ぐことはできませんから、着替えの時に汗をびっしょりかいていたら、着せすぎている可能性があるでしょう。
気温の影響によるあせも
赤ちゃんのあせも予防と、あせも改善のためにも、室内の温度は適温に保つことが大切です。
真夏の暑い日にエアコンなしでは、赤ちゃんの汗を止めることはできません。また、寒いからと暖房を強くしすぎると思っている以上に汗ばむ結果になるでしょう。
基本的に赤ちゃんは大人より体温が高いため、少し薄着くらいでちょうど良いのです。手足を触ってみて、冷たいと感じたときは1枚プラスしたり、ブランケットをかけたりして調整するようにしましょう。
寝具、布団の影響によるあせも
赤ちゃんがすやすやと眠っていると、居心地が良いと感じてしまいがちです。しかし起きて抱っこしてみると、背中に汗をびっしょりかいていたなんてことは、よくあることです。
赤ちゃんが寝ているときに、掛け布団をはだけさせていたり、寝相が悪かったりしたら寝ている環境があまり快適ではないと言えるでしょう。
お布団が暑すぎると、赤ちゃんは少しでもひんやりしたところを求めて移動しようとします。また、掛け布団を少しでも動かして、熱を逃がそうとしている可能性もあるでしょう。
寝具は薄いものを重ねるようにして調整し、時々汗をかいていないかもチェックしておくと汗をたくさんかきすぎることは避けられるでしょう。
過剰なクリームによるあせも
赤ちゃんがあせもになったら、清潔な状態に保つことが大切ですが、保湿する必要があるだろうと過剰にクリームを塗ったりしないようにしてください。
基本的に赤ちゃんの肌は、何もつけなくても大丈夫ですから、化粧水やクリームをたっぷり与えすぎて逆に刺激にならないようにしましょう。
生後3週間から4ヶ月の赤ちゃんは、皮脂の分泌が活発なので、クリームを塗ることで皮脂が多くなりすぎて別の湿疹を引き起こす可能性があります。あせもだけに対処したい場合は、薄くベビーパウダーを塗るくらいでちょうど良いでしょう。
ベビーパウダーと軟膏
赤ちゃんのあせもがひどい場合は、ベビーパウダーや軟膏でケアしてあげることも大切です。
ベビーパウダーは、汗のかきやすいワキやお尻に薄く塗ってあげるとサラサラになります。たくさんつけると、より効果があると勘違いしやすいですが、それでは粉がヨレてしまうので薄くつけるようにしましょう。
また、あせも用の軟膏ですが赤ちゃんにも使用できる非ステロイドのものが良いでしょう。ドラッグストアで販売していますので、薬剤師に相談してみてください。
頭皮のあせもケア
あせもは背中や首辺りにできると考えられがちですが、意外と頭もあせもが発生しやすいです。頭皮には髪の毛があるため蒸れやすく、夏は日射病対策として帽子をかぶる赤ちゃんも多いですから、体よりもあせもが出来やすい条件が整っているのです。
頭皮は湿度が高いため、体のあせもに使っている薬を使うと逆効果になってしまう場合があるので、まずは汗をよく拭いてから冷たい水に濡らしたタオルを、あせもができている場所にあてましょう。冷やせばかゆみも収まるので、赤ちゃんもぐずらずに済むでしょう。
あせもの暑い季節、夏の対処方法
気温が高くなる夏は、赤ちゃんはたくさんの汗をかきます。あせもを予防したり、早く治したりするためにも、薄着を心掛けるのが適していると思いがちですが、裸ならOKというわけではありません。
例えば、ノースリーブの服と、半そでや長袖の服、どちらの方があせもに優しいかと言えば、半そでや長袖の方なのです。ノースリーブだと、汗を吸収する範囲が狭いため、汗が皮膚にたまりやすくなります。
しかし、半そでや長袖を着ておくと汗を適度に吸収してくれるため、皮膚に汗がたまりにくくなるのです。ただ、汗でぬれた半そでや長袖を着たままにしておくと、同じようにあせもを引き起こしてしまいます。汗を吸いとったら、こまめに新しい服に着替えさせてあげることも大切です。
また服の素材においては、化繊ではなく綿素材の吸収性が高いものを選ぶようにしましょう。
タオルを1枚プラスする
暑い季節は、何をしてもすぐに汗をかいてしまいます。エアコンで室温を調整していても、授乳後にはお母さんの腕も、赤ちゃんの背中もべったり汗をかいてしまっていた、なんてこともあるでしょう。
事前に汗をかくことがわかっている行為には、タオルを1枚プラスすると着替えの手間を省くことができます。授乳前に背中にタオルを1枚入れ、授乳後にタオルを抜き取ることで、汗だけを拭い去ることが可能になります。
また、寝始めるときはたくさん汗をかきやすいため、ベッドに寝かせる前に背中にタオルを入れて、眠りについてきたら、そっと抜き取ると快適な状態で眠りにつくことができるでしょう。
シャワーは夏なら何度でも
赤ちゃんのあせもは、汗を放置することで発生したり、悪化したりします。つまり、汗をきちんと洗い流しておけば良いのです。
夏場であれば、1日に何度シャワーを浴びても大丈夫でしょう。シャワーは軽く水をかけて洗い流す程度で構いませんが、石鹸を使って洗うのは、1日1回までにとどめておいてください。
洗いすぎてしまうと肌を乾燥させたり、敏感にさせてしまったりする恐れがあるため、基本的にはぬるま湯のシャワーだけで十分です。
おむつであせもがひどい場合は、おしりだけを洗面器で洗うのもオススメです。冬場は身体が冷えやすいので、湿らせたガーゼやタオルで、こまめに拭き取ってあげるようにしましょう。
あせもの悪化に注意 「とびひ」
赤ちゃんのあせもは、放置しておくと大変なことになります。最初は、赤いプツプツ程度の湿疹だったのに、白く化膿してくることがあるからです。
これをさらに放置してしまうと、赤ちゃんが爪で引っかいて菌を広範囲に広げてしまうため、「とびひ」を引き起こしてしまう可能性があります。
とびひになると普通の軟膏では治癒できませんので、すぐに病院で診てもらい、適切に対処するようにしましょう。
あせもの引っかき防止について
赤ちゃんにあせもができたら、肌を清潔な状態に保つだけでなく、こまめに爪を切るようにしましょう。赤ちゃんの爪は薄くて切れやすいため、普通の状態でも皮膚を触っただけで切れてしまいます。
この爪があせもを刺激してしまうと、化膿して悪化しやすくなるので、短く切っておく必要があるのです。あせもがひどい場合や、引っかく回数が多い場合はミトンなどを手に被せて引っかかないように対処しておきましょう。
赤ちゃんはまだ、触ってはいけないということを認識できませんから、先手を打って先に対処しておくことが早い回復に繋がります。
正しいスキンケアとお風呂について
赤ちゃんにあせもができたら、肌を清潔な状態に保つことが重要になります。そこで、正しいスキンケアについてもう一度おさらいしておきましょう。まず、洗う場所をお湯で充分濡らしておきます。
専用のネットを使ってたっぷりと泡立てた泡を使い、泡をつぶさないようにしながら、クルクルと優しく撫で洗いしていきましょう。シャワーでしっかり泡を洗い流して、身体を温めれば終了です。
ゴシゴシと強く洗いすぎると肌を傷めてしまいますし、汚れも充分落とすことは難しくなります。また、シャワーでのすすぎ残しがあると、その泡が刺激になってあせもを悪化させてしまう恐れもあるので、丁寧に洗い流すことが大切です。
あせもの原因はわからない!?
あせもの原因や対処方法についてさまざまな角度からご紹介しましたが、実のところあせもについてすべてが解明されているわけではありません。
あせもは、汗をたくさんかくこと、汗腺の出口をふさいでしまうこと、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が繁殖して炎症してしまうことが関係していると言われていますが、その他にも別の影響があると考えられているのです。
食物アレルギーや、体質などいろんな条件が挙げられていますが、清潔な状態を心掛けることで、あせもの状態は落ち着いてくることは判明していますので、汗を描いたら拭き取り、着替えさせることは徹底していきましょう。
また不安な場合は、自己判断せず病院で診てもらい、適切に対処するようにしましょう。
ここまでのまとめ
赤ちゃんとあせもについてご紹介しました。赤ちゃんの汗腺は大人と同じくらいあるのに、あの小さな身体に集まっていることでたくさん汗をかきやすい状態になっています。
また、赤ちゃんは体温調整ができませんから、厚着になったり室内温度が高くなったりすると、すぐに汗をかいてしまいます。さらに新陳代謝も活発ですので、大人が考えているよりも多くの汗をかいてしまうのです。
少しずつ成長するにつれて、汗腺も発達してきますから出口を汗で防ぐことは少なくなってくるでしょう。あせもが出るのは、赤ちゃんの時期には多いこととはいえ、適切に対処しておかなければ悪化してしまう恐れもあります。
常に清潔な状態を心掛け、たくさん汗をかいたらすぐに着替えるという習慣をつけていくようにしましょう。さまざまな対処方法を実践することで、汗びっしょりの状態を脱し、サラサラの快適な肌をキープできるようがんばっていきましょう。