赤ちゃんが哺乳瓶でミルクを飲むのを嫌がる。こんな場合はもしかしたら乳首が合っていないせいかも知れません。赤ちゃんの哺乳瓶の乳首は、メーカーによって材質や穴の形がそれぞれ違っています。また乳首にはサイズがあり、サイズの合わない乳首を使っていると赤ちゃんがミルクを飲みにくくなります。
哺乳瓶の乳首は消耗品。お母さんが気をつけて定期的に替えてあげる必要があります。赤ちゃんにミルクを上手に飲んでもらうためには替え時や失敗しない選び方を知っておかなければなりません。
赤ちゃんの哺乳瓶の乳首について、お母さんが知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。哺乳瓶の乳首選びにぜひ役立ててください。
赤ちゃんの授乳について
新生児にとって母乳やミルクは唯一の栄養源。母乳やミルクをしっかり飲んでもらうことは、赤ちゃんの健全な成長に欠かせません。母乳・ミルク・混合と授乳の形はさまざまですが、いずれの方法でも赤ちゃんが必要な量の栄養をきちんと摂れているかを確認してあげるのはお母さんの役目。
赤ちゃんの授乳は月齢に合わせて一回に与える量の目安が定められています。月齢が上がるにしたがって、一回に飲む母乳・ミルクの量も増えていきます。それに合わせて哺乳瓶のサイズや乳首の種類を替えていかなければなりません。
哺乳瓶は育児の必需品
母乳育児の方でも一時的に母乳があげられないことはあります。たとえば乳首に傷がついてしまったとき、体調が優れないとき、病気のとき、保存した母乳を哺乳瓶で飲ませるときなど、哺乳瓶を使用しなければならない場面はたくさんあります。母乳育児の場合でも哺乳瓶は育児のマストアイテムです。
乳首選びの重要性
哺乳瓶選びでもっとも気をつけたいのが乳首。乳首は赤ちゃんの口が直接触れる部分で、その形状や素材はさまざまです。
上手に選んであげないと、赤ちゃんが嫌がって飲んでくれないこともあります。また母乳とミルクの混合育児の場合、乳首の選び方に失敗してしまうと、乳頭混乱になる可能性もあります。
乳頭混乱とは?
乳頭混乱とは哺乳瓶の乳首に馴染んでしまい、母乳を飲みたがらなくなること。乳頭混乱の原因は、母乳よりも哺乳瓶から飲むほうが飲みやすいことや、乳首が変わったことに対する違和感など。哺乳瓶から母乳に替えたときだけでなく、母乳から哺乳瓶に切り替えたときにも起こります。
母乳とミルクの混合育児を行っている方はとくに注意を払い、哺乳瓶の乳首を上手に選んであげることが重要です。
哺乳瓶の乳首の種類について
哺乳瓶を上手に選ぶためにはいくつかのポイントがあります。選ぶ際に基準になるのは、サイズ、素材、穴の形および形状。
赤ちゃんに上手にミルクを飲んでもらうためには、哺乳瓶の乳首の種類や違いについてお母さんがきちんと理解しておかなければなりません。哺乳瓶の乳首は出来るだけお母さんの乳頭に近いものが理想的。哺乳瓶の乳首の種類や違いについて詳しく見ていきましょう。
乳首の穴の形について
哺乳瓶の乳首の穴の形は丸穴、スリーカット(Y字型)、クロスカット(X字型)の三種類。それぞれの特徴について見ていきましょう。
丸穴タイプ おもに新生児用
丸穴タイプはミルクを吸う力がまだ弱く、コツのつかめていない新生児に向いています。丸穴の場合、哺乳瓶を傾けるだけでぽとぽとミルクが流れてきますので、新生児用に用意しておくのはこのタイプが適当です。
丸穴タイプにはサイズがあり、いちばん少さいSSサイズからLサイズまで揃っています。ちなみに目安としてはSSサイズは哺乳量80ml~120ml、Sサイズは120ml~160ml、Mサイズは160ml~200ml、Lサイズは200ml~220ml。
月齢で考えるとSSサイズは新生児、Sサイズは月齢1ヵ月、Mサイズは月齢3ヶ月、Lサイズは月齢6ヵ月前後。ただしこれはあくまでも目安で、赤ちゃんのミルクの飲み具合や吸う強さなどによって、乳首のサイズを替えていきましょう。
スリーカット(Y字型)
スリーカットとはY字型に切り込みの入ったタイプで、このタイプは赤ちゃんが自分の力で乳首を吸えるようになってから使います。月齢の目安は3ヶ月以降。月齢3ヶ月未満の赤ちゃんでも、吸う力が強く、上手にミルクを飲める場合には、スリーカットタイプの乳首がお勧めです。スリーカットに替えるタイミングは、丸穴タイプで一回の授乳時間が10分を切るようになったとき。
哺乳瓶の種類によっては、SSおよびSサイズは丸穴タイプ、Mサイズからはスリーカットという製品もあります。丸穴タイプとクロスカットの中間的存在です。
クロスカット(X字型)
クロスカットとはXの形に切り込みの入ったタイプ。月齢の目安は6ヵ月から。スリーカットに比べると出てくる量が多くなりますので、ミルクだけでなく、白湯や果物の果汁を飲ませたいときにも便利です。
スリーカットで授乳すると、一回の授乳に20分以上と時間がかかり過ぎる場合は、クロスカットタイプに替えたほうがいいかもしれません。スリーカットよりも出てくる量が多くなりますので、月齢が上がってから使用します。
哺乳瓶の乳首の素材
哺乳瓶本体の素材同様、乳首の素材にもいろいろなタイプがあります。乳首に使われる主な素材は二つ。ひとつはゴム製で、天然ゴムやイソプレンゴムがあります。もうひとつはシリコン製。それぞれのメリット・デメリットをみていきましょう。
天然ゴム製・イソプレンゴム製
ゴム製の乳首の特徴は柔らかく、新生児でも吸いやすいこと。色は黄色がかっていて、ゴム独特のにおいがあります。ゴム製のデメリットはこのにおい。赤ちゃんによってはにおいが気になって、うまくミルクを飲んでくれないことがあります。
シリコン製
シリコン製の乳首のいちばんの特徴は耐久性。消毒にも強く、ゴム製よりも長持ちします。色は無色透明でにおいはありません。少し固さが感じられますので、乳歯が生えてきた赤ちゃん向きと言えるでしょう。
シリコン特有の固さが嫌いな赤ちゃんもいますので、シリコン製の乳首は赤ちゃんが哺乳瓶に慣れてきてからにしたほうが良さそうです。
哺乳瓶の乳首の形状
哺乳瓶の乳首の形状は製造メーカーによってそれぞれ異なります。お母さんの乳頭に出来る限り近い形状のものが理想ですが、赤ちゃんが口にふくんだときに違和感なくフィット感があるかどうかは、見た目とは関係ありません。
柔らかく口にふくみやすい形状のものが一般的ですが、最近では乳頭混乱が起こりにくいように工夫されたものも人気です。上下左右にいびつな形をしていて、母乳とミルク混合育児の場合でも乳頭混乱が起こりにくくなっています。
他にも哺乳瓶自体に傾斜がついていて、赤ちゃんが飲みやすいものや、ミルクの出てくる穴が三つあるものなど、各ブランドそれぞれ特徴のある哺乳瓶を開発販売しています。赤ちゃんの好みやミルクの飲み具合の反応を見て、どれがいちばん合っているか、赤ちゃんの様子をよく観察するようにしましょう。
哺乳瓶の乳首の替え時はいつ?どれぐらい?
赤ちゃんの哺乳瓶は、出産前の準備リストのマストアイテム。新生児は一回に飲む量が100ml以下ですので、もっとも容量が少なく、乳首も丸型で小さめのものを用意しておきます。
その後赤ちゃんの成長に合わせて、一回の授乳の量を増やしていきますが、このとき哺乳瓶の容量サイズとともに乳首についても見直してみましょう。
哺乳瓶の乳首は消耗品
哺乳瓶の乳首は毎日赤ちゃんが吸うもので、繰り返し使ううちに消耗していきます。乳首は消耗品ですので、使用上の注意書きに沿い定期的に交換しなければなりません。
交換する時期ですが、通常は1ヵ月に一回程度とされていますが、ほとんどの方は複数の乳首を同時に使用していますので、取替えの時期は乳首の状態によって判断しましょう。
一回の授乳にかかる時間の目安とは?
一回の授乳にかかる時間は飲む量によります。たとえば新生児の場合、10分間で50ml、月齢1ヵ月の赤ちゃんの場合は10分間で100ml。3ヶ月では150ml、6ヵ月では200mlと、一回の授乳で飲める量はどんどん増えていきます。
一回の授乳で飲むミルクの量は、一人一人の赤ちゃんによって差がありますが、一回の授乳にかかる時間が10分以内、あるいは20分以上のときは、乳首のサイズや穴の形を見直すようにしましょう。
乳首を替える必要性
赤ちゃんの月齢に合わせて用意した乳首を使っていても、不都合があれば臨機応変に乳首や本体を替えてあげるようにしましょう。赤ちゃんがミルクを飲みにくそうにしている、むせてしまう、口からミルクをこぼしてしまう、ミルクを飲み終わる時間が短すぎる・長すぎる。このような場合には乳首が合っていない可能性が高いと考えましょう。
ミルクを口からこぼす場合
ミルクが口からこぼれてしまうのは、乳首の穴からミルクが出過ぎているせいかも知れません。赤ちゃんの吸う力とミルクの出方のバランスが取れていないと、口からミルクがあふれてしまい、赤ちゃんがむせてしまいます。この場合は乳首の穴の形を変えてみるか、乳首のサイズをもう少し小さいものにしたほうがいいでしょう。
授乳に時間がかかり過ぎる場合
一回の授乳に時間がかかり過ぎる場合にも乳首の穴の形を見直す必要があります。赤ちゃんの吸う力がまだ弱いようであれば、もう一度丸穴に戻してあげることも考慮してみましょう。
乳首以外の飲まない、嫌がる原因とは?
赤ちゃんがミルクを飲みにくそうにしているので、乳首の種類を替えてみたけれども赤ちゃんの様子は変わらない。こんなときは乳首ではなく、それ以外の可能性が考えられます。
たとえば乳首の穴詰まり。乳首の穴は極小、注意して掃除しなければここにミルクのかすが残ってしまい、赤ちゃんがミルクを吸い出せなくなります。
もうひとつの原因はキャップを固く閉め過ぎること。キャップを強く締めすぎると、ミルクの出が悪くなる傾向にあります。反対にキャップを緩く締めるとミルクの出が良くなります。
他にもミルクの出方はミルクの温度とも関連があり、ミルクが熱すぎると穴から勢いよく出てしまいます。赤ちゃんがミルクを飲むのを嫌がる原因は乳首だけではありません。授乳の際には普段からいろいろな点に気をつけるようにしましょう。
乳首のお手入れについて
哺乳瓶本体同様、乳首も毎日のお手入れが大切。ミルクの出てくる穴が詰まってしまうと、ミルクが出にくくなり、赤ちゃんに負担がかかってしまいます。少しずつしかミルクが出ないと、赤ちゃんも機嫌悪くなり、授乳の時間も長引いてしまいます。
乳首は本体と同じように消毒し、そのあと穴が詰まっていないかどうか丁寧に確認しましょう。乳首の穴にはミルクの残りかすが溜まりやすくなっていますので、消毒だけでなく穴の汚れやミルクの残りをきちんと落とすようにしましょう。
哺乳瓶の乳首の選び方のポイントとは?
哺乳瓶の乳首は製品によってさまざまな特徴があります。どの製品でも一応の目安として、使用に適した月齢が書かれていますが、これはあくまでも目安。赤ちゃんの中には吸てつ力の強い子もいれば、弱い子もいます。
哺乳瓶の乳首を選ぶ際には、まず赤ちゃんがミルクを飲む様子を観察し、一回の授乳にかかる時間を測るようにします。他にもミルクを飲むときの様子をじっくり観察し、いつもと違う様子があれば、乳首の取替えも考慮しましょう。
哺乳瓶の乳首のサイズや種類を取り替えるタイミングは、一人一人の赤ちゃんの吸てつ力の発達によって異なります。また口にふくんだときの感触についても、赤ちゃんの好みは千差万別。乳首を取り替える際には、ひとつだけでなく、異なるタイプのものをいくつか用意しておき、赤ちゃんはどのタイプを好むか、見比べてみましょう。
まとめ
哺乳瓶は赤ちゃんの育児に必要不可欠なマストアイテム。完全母乳を目指しているお母さんでも、病気や体調が悪いときなど、哺乳瓶での授乳が必要になる場面は必ずあります。
哺乳瓶を選ぶ際には本体の素材や安全性だけでなく、乳首のサイズ、穴の形、形状、素材についても十分に吟味しましょう。哺乳瓶の乳首が合っていないと、赤ちゃんはぐずってミルクをなかなか飲んでくれません。
離乳食前の赤ちゃんにとっては、ミルクと母乳だけが唯一の栄養。哺乳瓶の乳首はお母さんの乳頭に相当する大事なパーツ。失敗しない哺乳瓶の乳首の選び方を知っておきましょう。