赤ちゃんが顔をこするときに知っておきたいこと

赤ちゃんが顔をこするときに知っておきたいこと 赤ちゃん 仕草

赤ちゃんはよく小さな手で自分の顔をこすっています。可愛い仕草で微笑ましい光景ですが、四六時中顔をこすっていると、爪で引っかいた傷がたくさん出来てしまいます。赤ちゃんの顔の皮膚は薄く、小さな爪で引っかくだけで傷がつき、赤みを帯びたり、かぶれることもあります。

赤ちゃんが顔をこすって傷をつけることを防ぐためには、赤ちゃんがそもそもどうして顔をこすってしまうのか、その原因を把握しなければなりません。赤ちゃんは新陳代謝も活発で皮膚のトラブルも起きやすくなっています。赤ちゃんが顔をこすることと皮膚の状態は密接な関係があります。

赤ちゃんが顔をこする原因から対処方法まで、赤ちゃんが顔をこするときに知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。ぜひ参考にしてください。

赤ちゃんが顔をこするのはどんなとき?

赤ちゃんが顔をこするのはどんなとき?

赤ちゃんが顔をこする状況とはどんなときでしょうか?赤ちゃんが顔をこすっていたからといって、すぐに病院で診察を受けなければならないということにはなりません。赤ちゃんが顔をこする原因にどのようなものがあるか、いくつか挙げてみましょう。

眠くなったときにこする

眠くなったとき

赤ちゃんが顔をこするのは眠くなったせいかもしれません。赤ちゃんだけでなく、大人でも眠気を感じると無意識に顔をこすってしまいます。眠気を感じると顔をこすってしまうのは、涙の分泌と関係があります。

人間は起きて活動しているときには涙が分泌されていますが、睡眠中は涙の分泌がありません。眠気を感じたときやこれから寝ようとするときには、体がそれを察知し、涙の分泌をストップしようとします。

眠くなると人が無意識に目をこするのは、目に刺激を与えることにより涙の分泌を促そうとするため。眠いときだけでなく、起床したときなどに目をこするのもこのことに原因があります。

体温が上がってかゆくなる

体温が上がってかゆくなる

大人でも運動して体が温まると、体のあちこちが痒くなることがあります。運動をすると血流が促進されるため毛細血管が膨らみ、その周辺にある神経が刺激されて痒みが起こると言われています。赤ちゃんは運動をしませんが、泣いた時や眠い時には体温が上がるため、同様に痒みがおきると考えられます。

特に顔の皮膚は薄いので、余計に顔が痒くなるのかもしれません。加えて体温が上がると汗をかきますが、痒い顔に汗がついてしまうと悪化して、ぐずりが酷くなる可能性も。

そんな時は、水で濡らしたガーゼで顔を拭いてあげましょう。汗がふき取られ、また気化熱で顔もひんやりするので痒みを抑えられるでしょう。暑い時期はクーラーや扇風機を上手く活用してください。

乾燥による痒みによるもの

乾燥による痒み

赤ちゃんの肌はすべすべで柔らかく、理想的な状態にあるような気がしますが、実は赤ちゃんの皮膚は大人に比べると乾燥しやすく、適切なケアをしてあげないとすぐにかさかさ肌になってしまいます。

ここでまず皮膚の機能と赤ちゃんの皮膚の特徴について詳しくみてみましょう。

皮膚の機能とは?

皮膚の機能とは?

皮膚にはバリア機能といって、外部からの異物から体を保護する機能が備わっています。紫外線や細菌、有害物質など、体の内部に侵入すると害を及ぼすものを皮膚表面でシャットアウト。それと同時に皮膚を通して体の水分が外に逃げないよう、水分の蒸発を防ぎます。

一方で異物をシャットアウトしながら、もう一方で水分の蒸発を防ぐ、これが皮膚のバリア機能になります。皮膚の表面部分は角層と呼ばれていますが、この角層はバリア機能の正常なはたらきに大きな役割を果たしています。

なんらかの原因により、この皮膚のバリア機能が低下するとさまざまな問題が生じます。乾燥肌、敏感肌、アトピー性皮膚炎、湿疹など、バリア機能が低下することによりあらわれる皮膚のトラブルはたくさんあります。

赤ちゃんの皮膚の特徴とは?

赤ちゃんの皮膚の特徴とは? (2)

潤いがあり瑞々しく、バリア機能が正常にはたらいている皮膚表面の角層には、十分な量の水分・天然保湿因子・皮脂があります。ところが赤ちゃんの場合、大人に比べると水分、天然保湿因子、そして皮脂分の三つの要素がきわめて少ないため、肌が乾燥しやすい状況になっています。

赤ちゃんは母乳やミルクを1日何度も飲むため、口のまわりをふく回数も多く、これに加えて汗やよだれもたくさん出ますので、顔や首への摩擦がどうしても多くなります。皮膚への摩擦が多いこともバリア機能を低下させる一因。赤ちゃんの皮膚を健康に保ち、乾燥させないためには適切なスキンケアを行う必要があります。

赤ちゃんの肌のトラブルでこする かく

赤ちゃんの肌のトラブル

皮膚トラブルが生じているために痒みがあることも、赤ちゃんが顔をこする原因のひとつです。赤ちゃんの皮膚は柔らかくすべすべしていて、皮膚トラブルが起こるようには思えませんが、実は赤ちゃんにはさまざまな皮膚のトラブルが起こります。

赤ちゃんが眠くないにも関わらずしきりに顔をこするときは、皮膚疾患により痒みや炎症が起こってせいかも知れません。赤ちゃんに特有な皮膚疾患をいくつか挙げてみましょう。

乳児湿疹

乳児湿疹

乳児湿疹とは生後1、2ヶ月目以降にあらわれる湿疹やかぶれなどを指します。生まれたばかりの赤ちゃんは皮脂の分泌が多い傾向にありますが、その後は徐々に減っていき、生後1、2ヶ月以降は肌が乾燥しやすい 状態に変化していきます。

肌が乾燥している上、赤ちゃんの口の周囲には常に刺激が加えられています。母乳やミルクを飲んだり、ガーゼやウェットティッシュなどでミルクの残りやよだれをふいてもらったりと、赤ちゃんの口の周りは1日中摩擦を受けています。

四六時中摩擦を受けることで、皮膚の表面がダメージを受け、肌荒れが進み、口の周りだけでなく顎や頬にもさまざまな症状があらわれます。顎にニキビ状のぽつぽつや頬の赤み、顔全体のかさかさなども見られるようになります。

新生児ニキビ

新生児ニキビ

新生児ニキビは生後すぐから生後1ヶ月目ごろに多くみられる症状で、思春期ニキビと同じように赤いぽつぽつが顔にたくさん出来ます。赤ちゃんにニキビが出来る理由は、皮脂の分泌の多さ。生後しばらくは皮脂の分泌が多く、毛穴に皮脂が詰まってしまうことからニキビが発生します。

新生児ニキビは生後2、3ヶ月目に入り、皮脂の分泌が徐々に減ってくると、ほとんどの場合自然に治っていきます。

あせも

あせも

赤ちゃんは新陳代謝が活発。また汗を分泌する汗腺の数は大人とほぼ変わらないにも関わらず、体の体表面積が小さいため、とにかくたくさん汗をかいているという印象があります。

とくに顔、頭、首の回り、背中など、窪みがある部分は、汗が溜まりやすく、まめに汗をふき取ってあげないと、すぐにあせもが出来てしまいます。あせもをかいてしまうとさらに炎症が生じるという悪循環に陥ることも少なくありません。

アレルギー性皮膚炎

アレルギー性皮膚炎

ハウスダストや食べ物アレルゲンによりアレルギー性皮膚炎になると、顔や体に痒みが出ます。アレルギー性皮膚炎かどうかの診断は難しく、痒みや肌の乾燥といった症状からだけでは判断できません。痒み、乾燥、湿疹といった皮膚の症状以外に、咳やくしゃみ・鼻水、呼吸困難、目の痒み、下痢などの呼吸器や胃腸の症状があるときは、一度病院で診察を受けたほうがいいでしょう。

赤ちゃんのアレルギーは食べ物アレルゲンによるものが多く、このうち小麦、牛乳、卵は子供の三大アレルゲンと呼ばれ、赤ちゃんの食べ物アレルギーの大半を占めます。食べ物以外にもハウスダストや花粉、化学物質など、アレルゲンには いろいろな種類があります。

近年とくに乳幼児のアレルギー発症率が高まっていますので、赤ちゃんが顔を頻繁に顔をこするだけでなく、他のアレルギー症状もある場合には早めに皮膚科か小児科で診察を受けるようにしましょう。

その他の皮膚疾患

赤ちゃんが顔をこするのは、上に挙げた症状だけでなく、その他の皮膚疾患に原因がある可能性もあります。赤ちゃんは月齢によって、皮脂の分泌が多かったり少なかったりする上、汗をかきやすく、皮膚疾患にかかりやすくなっています。

赤ちゃんに多くみられる皮膚疾患をいくつか挙げてみましょう。とびひ、水いぼ、手足口病、水疱瘡、りんご病など、上記に挙げた疾患以外にもたくさんありますので、症状だけをもとに自己判断で薬を塗ることがないよう注意しましょう。

ハンドリガードの可能性も

ハンドリガード

ハンドリガードとは赤ちゃんが自分の手を認識することで、生後2、3ヶ月頃からよくみられる赤ちゃんの行動です。それまでは自分の手足や体を認識していなかった赤ちゃんですが、月齢が2、3ヶ月になると自分に手があるという感覚を得るようになります。

あたかもそれまで自分に手があることに気がつかなかったかのように、じっと手を見つめる赤ちゃん、見ているだけで幸せになれる光景です。

自分に手があることに気づいた赤ちゃんは、手を組み合わせてみたり、前後左右に動かしたり、口に入れておしゃぶりをしたりと、手を使ってさまざまな動きを行うようになります。赤ちゃんが顔をこするのはハンドリガードの延長と考えることも出来ます。

ハンドリガードは赤ちゃん全員が必ずするわけではありません。またハンドリガードを行う時期もまちまちですので、神経質になる必要はありません。

赤ちゃんが顔をこするときの対処方法とは?

赤ちゃんが顔をこするときの対処法について考えていきましょう。眠いときに顔をこするのは自然な反応ですが、こすりすぎると皮膚をいため、肌荒れやかぶれの原因になります。

赤ちゃんに皮膚のトラブルが生じている場合は、病院で治療を受けるのがいちばんの早道ですが、それ以外にも注意したい点がたくさんあります。

ミトンをはめる

ミトンをはめる

赤ちゃんが頻繁に顔をこすったり、引っかくために傷がたくさん出来てしまう場合は、ミトンをはめてあげるのもいいでしょう。ミトンを購入する際のポイントは、天然素材で肌に対する刺激が少ないタイプを選ぶこと。

ただし赤ちゃんにミトンを四六時中はめるのは、手の機能発達の妨げになるという意見もあります。生後2、3ヶ月目の赤ちゃんにとって、素手で物を掴むという感覚を養うことが重要。ミトンをはめる場合は、赤ちゃんの身体機能の発達に支障をきたさないよう、タイミングと時間を選んであげましょう。

ミトンの選び方

ミトンの選び方

ミトンを選ぶ際には赤ちゃんの手のサイズに合ったものを選ぶようにしてください。手首の部分のゴムがきつ過ぎると、血管をおさえつけてしまい、赤ちゃんに痛い思いをさせてしまいます。またサイズが大き過ぎるものだと簡単に外れてしまい、たびたび付け直すのが面倒です。

市販のミトンの中には親指部分が分かれたものがありますが、このタイプならミトンをつけたまま物を掴むことが出来ますので、赤ちゃんもイライラせずに済みます。

どんなにママが注意していても、赤ちゃんはミトンごと指しゃぶりをしたり、口に入れたりしますので、安全な素材で出来ているもの、洗濯しやすいものを選んであげましょう。

赤ちゃんのスキンケアを十分に行う

赤ちゃんのスキンケアを十分に行う

赤ちゃんの肌の乾燥はそのまま痒みにつながります。赤ちゃんの皮膚が乾燥しないよう、ローション・オイル・ミルク・クリームで皮膚を保護してあげましょう。

赤ちゃんにつける保湿クリームは肌に負担をかけないよう、刺激の少ないベビー用のものを選びます。刺激の強いクリームや乳液を利用すると、かえって皮膚のバリア機能を損ねる結果になります。

赤ちゃんのスキンケア製品を選ぶ際の注意点

赤ちゃんのスキンケア製品を選ぶ際の注意点

赤ちゃんの皮膚には副作用のない天然成分ワセリンやナチュラルオイルもお勧め。ワセリンやオイルには皮膚を保護し、水分の蒸発を防ぐ効果が期待できます。

赤ちゃんのスキンケアは季節に応じて、どのタイプを使用するか変えることがポイント。湿度・気温の高い夏はさらっとしたローション、乾燥した冬は保湿性の高いクリームを使用するなどの工夫が必要です。また顔に炎症やかぶれ、痒みがある場合には事前に必ず医師に尋ねて確認しておきましょう。

赤ちゃんの爪のお手入れを怠らない

赤ちゃんの爪のお手入れを怠らない

赤ちゃんの爪はそのままにしておくとあっという間に伸びてしまいます。スキンケア同様、赤ちゃんの爪のお手入れもきちんと行うようにしましょう。指先から爪が出ていたら、その都度切ってあげます。

赤ちゃんの爪は薄く柔らかいので、大人用の爪きりを使うと赤ちゃんの指先を傷つけてしまうおそれがあります。ベビー用の爪きりやネイルケアセットを用意しておくようにしましょう。

室内の環境にも注意する

室内の環境にも注意する

赤ちゃんの皮膚の保湿だけでなく、赤ちゃんがいる部屋の室温や湿度にも十分注意しましょう。暖房や冷房を入れていると部屋が乾燥してしまうことがあります。乾燥は皮膚疾患やアレルギー症の症状を悪化させる大きな原因のひとつ。部屋の湿度を適切に保つようにしましょう。

まとめ

赤ちゃんが顔をこするときに知っておきたい情報をご紹介しました。赤ちゃんが顔をこする原因はさまざま。眠くなったからこすっているだけなら心配ありませんが、乳児湿疹やアトピー性皮膚炎にかかっているようであれば、病院で診察を受け治療しなければ、赤ちゃんの顔のかゆみや炎症は治りません。

赤ちゃんがしきりに顔をこすってしまい、顔に傷がついてしまうと、その傷あとに炎症がおこることもあります。赤ちゃんの柔らかですべすべの皮膚をキープしてあげるには、赤ちゃんの肌を乾燥から防ぐことが大切。赤ちゃんの肌トラブルの原因や対処法を正しく学び、赤ちゃんが快適に過ごせるようにしてあげましょう。