赤ちゃんがハイハイや伝わり立ちをするようになると、いよいよ一人歩きまであと一息。一日も早く赤ちゃんが一人で歩いてくれるよう、一人歩きのトレーニングをしたい!と考えるお母さんも多いでしょう。
赤ちゃんの歩行器に関しては、一人歩きの練習になるという肯定的な意見がある一方で、歩行器を使うのはかえって赤ちゃんの一人歩きの妨げになる、という否定的な意見もあります。歩行器を上手に使うには、歩行器を使うメリット・デメリットや注意点を把握しておくことが必要です。
赤ちゃんの歩行器について、そのメリットやデメリット、使い始める時期、使用の際の注意点など、知っておかなければならないポイントを詳しくまとめてみました。赤ちゃんの安全のため、また健康な身体の発育と運動機能の発達のため、歩行器をうまく使うコツをご紹介します。
一人歩きのトレーニングに歩行器は必要?不必要?
赤ちゃんの歩行器に関しては様々な意見があります。一昔前までは歩行器を使うことはいわば当たり前で、歩行器のデメリットに関してはほとんど聞かれませんでした。しかし現在では歩行器の使用に関して、賛成・反対両方の意見が聞かれるようになりました。
歩行器は確かに便利な育児用具ではありますが、正しい使い方や使う時期を心得ていなければ、赤ちゃんの一人歩きを遅らせる原因にもなりかねません。歩行器を使う前に、使い方のポイントや使用する目的について確認して置くようにしましょう。
歩行器は育児に絶対必要不可欠というわけではありませんが、上手に使うことができれば、忙しいお母さんの手助けにもなります。
歩行器は赤ちゃんの一人歩きのサポートをするだけでなく、遊びや食事のときに使っても便利な存在になってくれます。歩行器を購入する前に、まずはその特徴や使い方について正しい知識を持つことが先決です。
歩行器の特徴とは?
歩行器とは車輪(キャスター)のついたベビー用具。丸い穴の中に入った赤ちゃんをベルトで支える形になりますので、うまく重心の取れない赤ちゃんでも、少し足を動かすだけで、付いている車輪が回り、歩行器ごと赤ちゃんが前に進みます。
赤ちゃんがふらついても、ベルトやテーブルが支えになり、赤ちゃんはしりもちを付かずに歩行の練習が出来るという仕組み。これが歩行器を使用する主目的といえます。
赤ちゃんに歩く練習をさせるのに、お母さんやお父さんの助けが要らない。歩行器の中に入れておくだけで、赤ちゃんが一人でに歩くことを覚えてくれる、というのが、歩行器のいちばんのポイントといえます。
赤ちゃんの成長に合わせて使用できる
赤ちゃんが入る部分はベビーチェアのように見えますが、実際には赤ちゃんを立った状態にキープします。付属の補助(股)ベルトの長さを調節することにより、赤ちゃんの足がちょうど床に付くようにし、赤ちゃんが自分で足を動かすことにより歩行器ごと前に進むことが出来ます。
歩行器は赤ちゃんの成長に合わせて、ベルトの長さを調節することにより、長く使えるようになっています。調節(股)ベルトの機能は、赤ちゃんの足の位置を調節するだけではありません。赤ちゃんをしっかりと固定することで、転倒を防ぐ機能も果たします。
また調節ベルトだけでなく、高さを変えて、赤ちゃんの身長に合わせることの出来る歩行器もあります。
キャスター部分の特徴
車輪のついているキャスター部分にもさまざまな工夫が凝らされています。食事をさせるときや遊ぶときには、キャスター部分のストッパーを止めることができます。
キャスター部分は円形、楕円形、四角形と、製品により形状が異なります。円形状のキャスターは自由な方角に動きやすく、四角形のものは安定性があります。
他にもキャスターの外側にバンパーをつけ、部屋の家具や調度類に傷が付かないような工夫がされたものや、車輪の音が静かなもの、一定の歩数以上は移動できないようにストッパーがついているもの、段差があっても怪我をしないような補助の脚がついているものもあります。
歩行器を選ぶ際には赤ちゃんの月齢だけでなく、部屋の作りなどにも考慮して、もっとも適したものを選ぶようにしましょう。
遊べる用具がついているもの
歩行器のテーブルの部分は、食事をさせるときに食器を置いたり、おもちゃを置いて遊べるようになっています。歩行器の中には、このテーブルの部分におもちゃが備え付けられているものもあります。着脱式になっていて、音の出るおもちゃや触って遊べるおもちゃがついていますので、歩行器の中でも赤ちゃんが楽しく遊べます。
歩行器を使うメリット 必要な意見
歩行器を使うことに関しては賛否両論があることはすでに述べました。育児アイテムの定番歩行器に、なぜ賛否両論があるのか、ここではまず歩行器を使うメリットから挙げていきましょう。
お母さんが手を離せないときに便利
赤ちゃんの歩行器は、料理や家事などで、お母さんがどうしても手を離せないときに使うと非常に便利です。
どんなに言い聞かせても、お母さんの後追いをしてしまう赤ちゃんに困っている場合、ちょっとの間赤ちゃんに歩行器に座ってもらい、その間に用事を済ませることが出来ます。
食事をさせるときにも便利
食事をさせるときにじっとしてくれずに困っているお母さんにとっても、歩行器は便利な存在です。自分で離乳食を食べることの出来る赤ちゃんなら、歩行器のテーブルに食器を載せて、一人でごはんやおやつを食べてもらうことができます。
まだ一人で食べられない赤ちゃんの場合、歩行器に座っている状態で遊ばせながら食べさせることが出来るので、育児に対する負担が減ります。
赤ちゃんが機嫌良く遊んでくれる
歩行器で自分で移動しながら遊ぶことが出来るので、赤ちゃんにも行動の自由が出来ます。じっとしてるのが嫌いな赤ちゃんや、立ち上がることが好きな赤ちゃんに向いています。
歩行器に座ると少し高い位置から周りを見渡すことが出来ますので、赤ちゃんにとっても楽しい経験になります。座って遊ばせるとぐずる赤ちゃんやじっと座っているのが苦手な赤ちゃんにとっては、歩行器は楽しいおもちゃのひとつになるでしょう。
怪我を防止することが出来る
ひとりでよちよち歩きが出来るようになった赤ちゃんは、まだうまく体のバランスが取れずふらふらしたり、しりもちを付いたり、転んでしまうことがあります。
歩行器には赤ちゃんの転倒を防ぐベルトやストッパーがついていますので、赤ちゃんが転んで家具の角に頭をぶつけてしまうといった事故を防止することが出来ます。
歩行器を使うデメリット 不必要な意見
以前には当たり前のように使用されていた歩行器ですが、最近では歩行器は出来れば使わないほうが良い、との意見も広く聞かれるようになりました。
母親教室で助産婦さんから歩行器では出来れば使わないほうがいい、との指導を受け、困惑してしまうお母さんも少なくありません。歩行器に対してどうして様々な意見があるのか、ここでは歩行器のデメリットについて詳しく見ていきましょう。
赤ちゃんの身体機能の発達の妨げになる
歩行器のデメリットの中でももっとも問題視されるのがこれです。毎日繰り返し歩行器を使っていると、足腰の力ではなく、つま先立ちで歩く悪いくせがついてしまいます。
また歩行器を使用する時間が長くなると、ハイハイやつたわり立ち・歩きをする時間が減り、脚の筋肉だけでなく、上半身の筋肉の発達にも支障を来たすおそれがあります。
ハイハイやつかまり立ち・歩きの重要性
赤ちゃんがひとりで歩けるようになるまでには、いくつかの段階があります。最初は重心が定まりお座りが出来るようになり、次にハイハイ、そしてつかまり立ちが続きます。その後、つかまり歩きが出来るようになり、最後に一人歩きが完了します。
赤ちゃんはハイハイやつかまり立ちをすることにより、手のひら、腕、肩、背中、おなか、腰、足と体のすべての部分をはたらかせます。これにより筋肉が十分に発達し、ひとりで歩ける準備が整えられます。
赤ちゃんがハイハイやつかまり立ちをたくさんするのは、体の重心の取り方や脚の動かし方など、たくさんのことをひとりでに学ぶため。ハイハイやつかまり立ちをする時期に、歩行器を多用しないほうがいいといわれるのはここに原因があります。
安心して転倒や転落のリスク
歩行器には様々な安全上の工夫が凝らされてはいますが、それでもやはり赤ちゃんを歩行器にのせる際には、十分な注意が必要。赤ちゃんが誤って転倒したり、段差から転落してしまうという事故を防止するには、赤ちゃんの動きに注意を払わなければなりません。
赤ちゃんを歩行器にのせながら、家事や料理を行う際には、歩行器の周囲に歩行の妨げになるものがないかどうか、安全チェックを必ず行うようにしましょう。階段や上がり口などの段差、電気コードや家具の角などにはとくに注意が必要です。
歩行器が嫌いな赤ちゃんもいます
歩行器にのると視界が広がり自分で動けるようになるため、歩行器に夢中になってしまう赤ちゃんが多く、お母さん達は赤ちゃんは歩行器が好きなもの、と思い込んでしまいがちです。しかし、中には歩行器が嫌いな赤ちゃんもいることを知っておきましょう。
歩行器が嫌いな赤ちゃんは、例えばハイハイしている赤ちゃんはハイハイ自体が楽しく、ほかの事に目が行かない状態なのかもしれません。また急に目線が高くなるなど、これまでの環境が急に変化するのが嫌な、マイペースでいきたい赤ちゃんも歩行器を嫌がるでしょう。
これまで赤ちゃんの行動を見てきてなんとなく歩行器が必要かどうか分かるかもしれませんが、はっきりしない時はお試しとしてレンタルしたり親戚から借りてみるのも良いかもしれません。
赤ちゃんの手の届く場所が変わること
ハイハイの場合には床にあるものに注意しなければなりませんが、歩行器にのっている赤ちゃんの視線は床よりも高い位置にあります。
ソファの上や背、椅子の上や背もたれ、ローテーブル、引き出しなど、歩行器にのった赤ちゃんの手の届く範囲にどんなものがあるか、きちんと把握しておかなければ、誤飲事故が起きる可能性もあります。
歩行器を使い始める時期
メリット・デメリットのある歩行器ですが、使用するとしたらいつ頃からが適当でしょうか。歩行器のデメリットのところで説明したように、本来であればハイハイやつたわり立ちをする時期の赤ちゃんを、歩行器に四六時中のせておくことは決して勧められません。
歩行器はそれぞれの製品の特徴や性能により、生後何ヶ月目から使用できるか決まっています。製品を購入する前には、使用書きや注意を必ず読むようにしましょう。
歩行器は赤ちゃんの腰が座る生後7ヵ月目からの使用が基本になりますが、赤ちゃんの身体機能の成長具合は一人一人異なります。生後7ヵ月目というのはあくまでも目安で、この時期になってもまだ腰がしっかりと座っていない場合には、もう少し時間が経って腰がしっかり安定して座るまで待ったほうが無難です
歩行器を使う際の注意点とは?
使い方を誤ると転倒や転落につながるリスクのある歩行器ですが、使い方に注意を払いさえすれば、育児中のお母さんを力強くサポートしてくれる便利な育児アイテムです。
歩行器のメリットを最大限得るためには、赤ちゃんの安全を確保することや、使用する時間や時期に注意することが重要です。
歩行器に頼り過ぎないようにする
歩行器の使用に関してもっとも重要なことは、歩行器に頼りっぱなしにならないこと。家事が忙しいときに赤ちゃんを歩行器にのせてしまうとお母さんは楽になります。
しかしそのために、本来であればハイハイやつたわり立ちをして上半身や足腰の筋肉の発達させなければならない時期に、歩行器にのせたままにすると、体の筋肉の発達が遅れるおそれがあります。歩行器に頼り過ぎるのは禁物です。
歩行器はあくまでも補助的なアイテム。しっかりバランスを取って歩けるようになるには、お座り→ハイハイ→つかまり立ち→つたわり歩き、といった一連の流れをたどる必要があります。
もちろん赤ちゃんの個性や成長の度合いなどによっては、ハイハイをあまりせずに、いきなり立ち上がる赤ちゃんもいます。これとは逆に、つかまり立ちよりもハイハイが好きで、いつまでもハイハイをしている赤ちゃんもいます。
ハイハイやつかまり歩きは一人歩きの準備段階ですので、赤ちゃんを無理やり歩行器にのせたり、長時間歩行器にのせたまま、ということがないように十分注意しましょう。
歩行器を使用する目的を考える
歩行器を購入する場合には、どのような目的で使用するのか、その点をまずはっきりさせましょう。
歩行器には赤ちゃんが楽しんで遊べるおもちゃが付いているものもあれば、シンプルで折りたため、場所を取らないものもあります。市販の歩行器にはこのようにさまざまな種類とタイプがあります。
どのような目的で使用するかはっきり決めていないと、歩行器選びに失敗してしまいます。
[噂]歩行器を使うと足の形が悪くなる?
足の形が悪くなるから、と歩行器を使わせない意見も少なくありません。確かに歩行器に乗っている赤ちゃんの足を見ると皆O脚ですし、また足の筋力が十分でない時期に歩行器を使わせると、筋力が偏ると考える方もいらっしゃるでしょう。
しかし、生まれてから歩き始めるまでは赤ちゃんの足はO脚が自然な形です。足の形や長さなどはほぼ遺伝で決まりますので、歩行器だけが原因で足の形が悪くなることは考えられません。
もちろん腰がしっかりしていない時期に歩行器を使わせると股関節に負担がかかってしまい、股関節脱臼の恐れもでてきます。これからも分かるように歩行器は乗せるタイミングが非常に大事です。
レンタルか購入か
歩行器はレンタルで短期間使用することも出来ますが、レンタル料とレンタルする期間によっては購入したほうがかえってコストを低く抑えられることもあります。まずは歩行器の使用目的や使用予定期間を考え、それからレンタルにするか、購入するか、決めるようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんの歩行器についてぜひ知っておきたいポイントをご紹介しました。赤ちゃんの歩行器については賛否両論いろいろな意見がありますので、購入前に歩行器に関する基本的な知識を学んでおくことが大切です。
赤ちゃんの安全を確保するためにも、歩行器の特徴やメリット・デメリット、使い方のポイントを完全に把握した上で、もっとも赤ちゃんのためになるものを選びましょう。