赤ちゃんの利き手(右利きと左利き)について知っておきたいこと

赤ちゃん 生活

赤ちゃんが小さな可愛い手でおもちゃを掴んでいるときに、なんとなく気になるのが利き手のこと。赤ちゃんの仕草からどちらが利き手になるのか、前もって判断できるのでしょうか?

赤ちゃんの利き手はいつ決まるの?赤ちゃんの利き手を矯正する方法はあるの?赤ちゃんの利き手には遺伝が関係しているの?など、赤ちゃんの利き手についてはいろいろな疑問点があります。赤ちゃんの利き手について知っておきたいさまざまな情報をご紹介します。

右利きと左利きについて

右利きと左利きについて

世の中には右利きの人が圧倒的に多く、左利きは少数派。よって世の中のすべては右利きの人に便利なようにできています。はさみなどの道具や駅の自動改札など、右利きの人にとってはなんでもないことも、左利きの人にとっては不便極まりないことばかり。

社会全体が右利きの人に便利なようにできている、と言っても過言ではありません。赤ちゃんが左利きだといろいろな面で不利なのでは?と心配するお母さんがいるのは当然といえるでしょう。

左利きの割合は全体の約10%前後。これは世界各国でほぼ共通で、文化、人種、地域による違いはありません。ただし左利きをどのように定義するかによって、左利きの割合は8%から15%の間で推移します。

左利きに対する考え方

左利きに対する考え方

利き手とは本来どちらの手を優位に動かせるか?というもので、日常の動作を行う際に右利きの人は右手を、左利きの人は左手を優位に動すことを指します。左利きの人は右手を使えることも多く、この状態はクロスドミナンスといわれています。

クロスドミナンスとは、たとえばお箸は右手で持ち、鉛筆は左手で持つというように、作業や用途によって両方の手を使いわけられる状態をあらわします。左利きの人にはクロスドミナンスが多いともいわれます。

現在では左利きを無理やり矯正することは少なくなりましたが、過去の時代には、幼少時に強制的に矯正する慣わしがみられました。左利きに関する考え方は地域や文化によっても異なりますが、過去の時代においては、普通ではない、矯正すべきもの、というネガティブな考え方が支配的でした。

天才は左利きに多い?

天才は左利きに多い?

過去の時代にはネガティブにとらえられることの多かった左利きですが、現在では左利きは稀少なものとして、これをポジティブにとらえる人も増えています。

左利きには天才や芸術家が多い、左利きの人は右脳が発達している、左利きは個性的でクリエイティブなど、最近では左利きを欠点ではなく、むしろメリットや長所として受け取る風潮が顕著です。

左利き=才能に恵まれている、というわけではありませんが、左利きは赤ちゃんの個性のひとつ。赤ちゃんが左利きの場合、矯正することを考えるのではなく、個性的な特性と考え、お母さんやお父さんが温かく見守ってあげることが大切です。

赤ちゃんの利き手はいつ決まるの?

赤ちゃんの利き手はいつ決まるの?

赤ちゃんが左手でおもちゃを取ろうとする、おしゃぶりをする指が左手だ、ボールを左手で投げる、左手で指差しをする。こんな光景を目にすると、この子、もしかして左利きなのでは?と考えてしまいます。赤ちゃんの手の動きから、利き手が右手なのか、それとも左手なのかを判断することはできるのでしょうか?

赤ちゃんの利き手に関しては、これまでさまざまな研究調査が行われてきました。その中でももっとも有名なのが、アメリカの発達心理学者アーノルド・ゲゼルルが行ったもの。ゲゼルの調査研究によると赤ちゃんの利き手は4歳頃に決定するといわれています。赤ちゃんが4歳になるまでの利き手の変化についてみていきましょう。

赤ちゃんの利き手は月齢によって変化する?

アーノルド・ゲセルの行った調査研究によると、4歳で利き手が定まるまでの間、赤ちゃんの利き手は月齢によって移動・変化します。月齢ごとに赤ちゃんの手の使い方について以下に挙げてみました。

月齢6ヶ月から1歳までの間

月齢6ヶ月から1歳までの間

赤ちゃんが自分で手を伸ばしてものを取ろうとするのは、月齢5ヶ月前後から。おもちゃや興味を持ったものを手を伸ばして触ろうという動きを示します。

その後月齢6ヶ月以降になると、手でしっかりものを掴めるようになり、一方の手で掴んだものを両手で持ち直したり、交互に持ったりすることもあります。

お気に入りのおもちゃがあれば、それを片方の手で持ったり、引きずりながら遊ぶ姿も見られます。さらに手や指の機能が発達すると、離れた場所にあるものを指で指すことも。

手でものを掴めるようになってから月齢12ヶ月までの間は、どちらの手を優先的に使うということはみられません。赤ちゃんはそのときに使いやすい手でものを取ったり、掴んだりします。手でものを掴むという動作を覚え始めたばかりですので、両方の手を思いどおりに動かせるよう練習しています。

2歳頃

生後2歳頃になると、右手、左手どちらかの手を使うことが増えてきます。スプーンやマグなどを掴むときなど、左右どちらかの手を使う割合が増えてきます。この時点で利き手を判断できそうな気もしますが、ゲゼルの研究結果によると、この時点ではまだ判断できません。

おしゃぶりをする手が利き手?

おしゃぶりをする手が利き手?

離乳を始めると自分の指を口の中に入れておしゃぶりする赤ちゃんも増えてきます。このとき口の中に入れている手が利き手なのでは?と考えるお母さんもいるようですが、指を吸う手が利き手かどうかはっきりと断定することはできません。

指を口の中に入れるとその手は使えませんので、うまく動かせる手のほうを自由にしておく赤ちゃんもいます。つまりおしゃぶりをしている手が利き手とは限らないということ。いずれにしても2歳の段階では、赤ちゃんの利き手がどちらになるかを判断することはまだできません。

3歳頃

3歳頃

2歳頃にはいったん利き手が定まったかのように感じられますが、3歳になると再び左右の手を両方とも使うことが増えます。この時期は赤ちゃんの身体機能の発達も目覚しく、活動範囲もどんどん広がっていきます。食事も離乳食から幼児食に移り、スプーンやフォークも上手に扱えるようになります。

また遊びの種類も豊富になり、それに伴い手先も器用になってきます。食事や遊びのときにどっちの手を使っているか気になりますが、この時点でもまだ赤ちゃんの利き手は完全に固定されていないと考えます。

4歳頃

4歳頃

前出のアメリカの発達心理学者アーノルド・ゲゼルによると、赤ちゃんの利き手がはっきりしてくるのは4歳頃。手でものを掴めるようになった最初の頃は、右手、左手の区別なく両手を使っていた赤ちゃんですが、2歳頃になるとどちらの手を使う割合が増えていきます。

そして3歳になると再び両手を使うようになり、最終的に4歳頃になると利き手が定まってくる、というのがこのセオリーの骨子。赤ちゃんの利き手は月齢とともに変化、交替しながら、やがてどちらの手が優勢にはたらくようになり、利き手として落ち着く、これがゲゼルの研究成果です。

赤ちゃんの利き手は遺伝が関係してるのか?

赤ちゃんの利き手は遺伝が関係してるのか?

赤ちゃんの利き手は遺伝で決まるのでしょうか?左利きの人が多い家系があるということは、遺伝が何らかの形で、利き手の決定に関与しているような気がします。しかし両親のどちらかが左利きだからといって、赤ちゃんが必ず左利きになるわけではありません。同様に、両親は右利きでも赤ちゃんは左利き、というパターンもあります。

両親が右利きの場合と両親のどちらかが左利きの場合を比べると、赤ちゃんが左利きになる確率が高いのは後者のほう。両親のどちらかが左利きの場合、赤ちゃんが左利きになる確率は、両親ともに右利きの場合の二倍弱。

赤ちゃんの利き手にはやはり遺伝的な要素がかかわっているといえそうです。ただし両親ともに右利きの場合でも、赤ちゃんが左利きになる確率は1割弱あります。両親の右利き・左利きの遺伝が、必ず赤ちゃんに伝わるわけではありません。

利き手は生まれる前に決まるのか?

利き手は生まれる前に決まるのか?

赤ちゃんの利き手に関するセオリーはこれまでは、前述したアメリカの発達心理学者アーノルド・ゲゼルの唱えたものが有力と考えられてきました。しかし2004年にイギリスのホッパー博士が発表した説では、赤ちゃんの利き手はお母さんの胎内にいる間に決定されるとのこと。この研究成果では、妊娠10週から12週の間にどちらの指をおしゃぶりしているかが、生まれてからの利き手を左右することが示されました。

妊娠10週から12週の間に左手の指よりも右手の指を頻繁におしゃぶりする赤ちゃんは、まず確実に右利きになるというのがこの説で、赤ちゃんの利き手は4歳頃に固定される、というこれまでの説とは真っ向から対立しています。

どちらの説が正しいかに関してはいまだ結論が出ていませんが、赤ちゃんの利き手が決まる時期に関して、いろいろな考え方や説があることは確か。たとえ胎内決定説が正しいとしても、赤ちゃんの利き手がどちらなのか、お母さんやお父さんが判断できるのは、早くても4歳頃から。赤ちゃんの利き手がどちらかは幼児期後半になってからのお楽しみと受けとめたほうが良さそうです。

赤ちゃんの利き手を判断する方法とは?

赤ちゃんの利き手を判断する方法とは?

赤ちゃんの利き手がどちらなのか、気になって仕方ないというお母さんは少なくありません。

赤ちゃんの利き手を見分けるのは簡単ではありませんが、4歳前後になったら赤ちゃんの動作を注意深く見守り、赤ちゃんがどちらの手を優位に使っているか見極めるようにしましょう。赤ちゃんの利き手を判断する材料とはどんなものでしょうか?

赤ちゃんが率先して使う手

赤ちゃんが率先して使う手

大好きなおもちゃやおやつを取ろうと、自分から率先して使う手がどちらなのか、注意深く観察してみましょう。ボール遊びをするときや、食事をするときにマグやスプーンを持つ手に関しても同様に注意を払うようにしましょう。

瞬発的に出る手

転びそうになったときや体や顔を庇おうとする際に、とっさに出す手はどちらなのかも判断材料になります。考えて使うのではなく、無意識のうちにさっと出す手はどちらなのか、この点も見逃さないように観察しましょう。

赤ちゃんの利き手はなおしたほうがいいの?

赤ちゃんの利き手はなおしたほうがいいの?

左利きは稀少な存在で個性的なアピールがありますが、その一方で日常生活を送る上では不便なことがたくさんあります。赤ちゃんが左利きだと大きくなって苦労するのでは?とお母さんやお父さんが心配するのも無理ありません。

強制的な矯正はNG

左利きは右利きに矯正して当たり前、という考え方が主流だったのは過去のこと。現在では左利きを無理やり矯正することは少なくなりました。

赤ちゃんの利き手が左手であっても、これを無理やり矯正するのは赤ちゃんにとって苦痛な体験です。大きくなったときに困るからといって、まだ赤ちゃんの頃から左手を使うことを無理やり禁じるのは絶対にやめましょう。

赤ちゃんに精神的な負担を与えるだけでなく、赤ちゃんの手足の機能の正常な発達を阻害する一因にもなります。赤ちゃんに左手だけでなく、右手も使えるようになってもらいたい!と考えるお母さんは、遊びの中で楽しみながら右手を使うことを覚えてもらいましょう。

赤ちゃんに上手に右手を使ってもらうには?

赤ちゃんに上手に右手を使ってもらうには?

天才肌の人が多いといわれる左利きですが、その反対にデメリットがあることも事実。はさみをうまく扱えない、字を書くときやお習字のときに少し面倒、食事のマナーが悪いといわれる、食事のときに隣の人に気を使ってしまう、親の躾がなってないと陰口をいわれるなど、右利きの人に比べると不便なことが山のようにあります。

赤ちゃんの左利きを改善し、右手も使えるようになってもらいたい場合には、どのように対応すればいいのでしょうか?左利きの赤ちゃんに右手を使ってもらう際の注意点や改善方法を知っておくことが大切です。

無理せず少しずつ右手を使ってもらう

無理せず少しずつ右手を使ってもらう

赤ちゃんの左利きをなおしたい場合、無理やり矯正するのは絶対にいけません。どうしても左利きを改善したい場合は、毎日の生活の中で少しずつ右手を使う機会を増やすようにしましょう。

赤ちゃんのお気に入りのおもちゃを右手で受け取ってもらう、スプーンやマグを右手で持ってもらう、遊びの中で自然に右手を使ってもらうようにする、など、赤ちゃんに精神的なプレッシャーをかけないように、練習させることが大切。左利きを完全に矯正すると決めるのではなく、必要であれば右手も使える状態にしてあげてはいかがでしょうか?

左利きは赤ちゃんの個性

左利きは赤ちゃんの個性

左利きは赤ちゃんの個性のひとつとおおらかに受け留める心の余裕も必要です。お母さんやお父さんからすると赤ちゃんの左利きは不安材料のひとつですが、左利きに対する社会の反応は変わりつつあります。

左利きが白い目で見られていた時代はもはや過去のもの。左利きに対する考え方はネガティブ一辺倒から、ポジティブなものに確実に変化しています。

自分が左利きで苦労したので、赤ちゃんには同じ苦労をさせたくない、というお母さんやお父さんもいるようですが、この場合でも無理やり矯正するのはやはり考えもの。まずは赤ちゃんの左利きは個性のひとつと受け留め、その上で必要であれば右手も使えるように練習させるのが、バランスの取れた考え方と言えそうです。

まとめ

赤ちゃんの利き手について知っておきたいいろいろな情報を挙げてみました。右利きの人が圧倒的に多い中、赤ちゃんが左利きになるとさまざまな場面で不便を感じるのでは?と心配するお母さんも多いようです。

確かに左利きではいろいろな不便が生じることは確かですが、一方で左利きはかっこいい、頭の良い人が多い、芸術家になれる、スポーツをすると有利など、ポジティブな受け留め方も主流になっています。赤ちゃんの利き手について必要以上に思い煩うことなく、赤ちゃんの成長を温かく見守りましょう。