耳切れとは耳たぶの下、耳の付け根の部分が切れる症状で、赤ちゃんにも多くみられます。耳が切れると痒みが生じるため、赤ちゃんがこれをかきむしってしまい、症状が悪化するパターンも多くみられます。赤ちゃんにつらい思いをさせないためには、耳切れの原因や予防・対処法をお母さんがしっかりと把握することが大切です。
赤ちゃんの耳切れが生じるときに知っておきたいポイントについて、その原因から予防法・対処方法まで幅広くご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
耳切れとは?
耳切れとは耳たぶの下、耳の付け根の部分が裂けてしまう症状で、赤ちゃんから大人まで、年齢にかかわりなくみられる耳のトラブルのひとつです。耳切れの症状はその度合いによってさまざまで、かさかさと乾燥している状態もあれば、じくじくと黄色い膿や血がでることもあります。
耳の適切なケアを怠ると、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥や衣服のこすれでさらに状態がひどくなり、完治しにくくなるという悪循環に陥ります。耳切れの症状を悪化させないためには、常に耳を清潔に保ち、乾燥しないよう保湿することが大切です。
大人の場合は自分で耳をケアできますが、セルフケアのできない赤ちゃんの場合、お母さんやお父さんが常に赤ちゃんの様子を観察し、適切にケアしなければなりません。赤ちゃんの耳切れを適切に予防するには、まずどうしても耳が切れてしまうのか、その原因について知ることが必要です。
赤ちゃんの耳切れの原因とは?
耳切れというとアトピー性皮膚炎をすぐに思い浮かべますが、耳切れしているからといって、必ずしもアトピーとは限りません。赤ちゃんの耳切れの原因について以下にひとつずつ挙げていきましょう。
汚れや皮脂によるもの
赤ちゃんは新陳代謝が活発で、汗や皮脂の分泌が盛ん。耳には凹凸が多く、丁寧に洗わなければ、汚れ、垢、皮脂がすぐにたまってしまいます。汚れや余分な皮脂が耳の皮膚にこびりつくと、雑菌が繁殖しやすくなり、炎症やかぶれにつながります。
よだれ、汗、涙など
赤ちゃんのよだれ、汗、涙も耳切れの原因のひとつ。自分の顔や体をきれいにできない赤ちゃんにとっては、このような生理的分泌物もスキントラブルを招く一因になります。
乾燥によるもの
乾燥は皮膚にとって大敵。乾燥も赤ちゃんの耳切れの原因のひとつです。保湿を丁寧にしてあげないと、赤ちゃん耳はかさかさに乾燥し、皮膚に本来備わっているバリア機能が低下します。
乾燥した皮膚は、外部からの刺激に弱く、衣服とこすれる、水分に触れるといった些細なことにも敏感に反応し、かぶれや炎症を起こします。
ミルクのこぼし、飲み残しによるもの
授乳後の飲みこぼしの母乳やミルクが、寝ている間に耳に入り、これが原因で耳がじくじくとかぶれることも、赤ちゃんの耳切れの原因のひとつです。
添い寝をしながら授乳する習慣のある方や、吐き戻しをする赤ちゃんの場合、授乳後すぐに寝かせずに、飲みこぼしを丁寧にふき取ってから寝かせることが必要です。
耳をきちんと洗えていない
赤ちゃんの耳は常に清潔に保ってあげることが大切ですが、赤ちゃんの耳に水が入ることをおそれ、入浴の際に赤ちゃんの耳を丁寧に洗えないお母さんもいるようです。
とくに新米お母さんの場合、赤ちゃんをお風呂に入れることに慣れていないため、赤ちゃんが泣き出すと焦ってしまい、耳を洗い残してしまうことも。赤ちゃんの耳に汚れや皮脂がたまると、垢状になってこびりつき、耳が切れることがあります。
石鹸やシャンプーのすすぎ残し
入浴に関するもうひとつの原因は、石けんやシャンプーのすすぎ残しです。赤ちゃんの耳を洗ったあと、石けんやシャンプーを十分に洗い流さないと、石けんやシャンプーの残りが耳に付着してしまい、かぶれや耳切れがおこります。
アトピー性皮膚炎の可能性
耳切れのもうひとつの原因は、アトピー性皮膚炎です。アトピー性皮膚炎とは、痒みのある湿疹が顔、首、おなか、足などに繰り返しおこる症状をさします。アトピー性皮膚炎は食べ物が原因のこともあれば、皮膚のバリア機能の低下によっておこることもあります。
耳切れはアトピー性皮膚炎の特徴的な症状ですが、耳切れがあるからといって、必ずしもアトピーとは限りません。アトピー性皮膚炎は、かぶれやあせもによる湿疹の症状に似通っていますので、判断に迷った場合は専門医の診察と検査を受けることが必要です。
アトピー性皮膚炎の特徴
ちなみにアトピー性皮膚炎の場合は、顔や頭にじゅくじゅくした湿疹があらわれ、それがおなかや手足に広がっていく傾向がみられます。ただし症状のあらわれ方や度合いには個人差があり、アトピーなのか、それとも乳児脂漏性湿疹なのかは短期間では判断できません。
耳切れに加えて、皮膚のカサカサや痒み、じゅくじゅくした湿疹やかさぶたがあらわれ、繰り返し2ヵ月以上続くときは、早めに病院で診察を受けさせましょう。
乳児湿疹の可能性
乳児湿疹とは、赤ちゃんの皮膚のかぶれや炎症を総称したもので、その症状はいろいろ。じゅくじゅくべたべたしたもの、赤いぽつぽつ、ざらざら・ぼつぼつしたもの、かゆみをともなうものなど、湿疹の症状は多岐にわたります。
乳児湿疹の特徴
赤ちゃんの皮膚はまだバリア機能が整っていないため、皮膚のトラブルが生じやすいことが、乳児湿疹の原因です。
生後三ヶ月目までは皮脂の分泌が非常に多く、顔や頭がべたべた、じゅくじゅくします。生後三ヶ月目以降になると、皮脂の分泌はそれまでよりも減りますが、今度は皮膚がかさかさと乾燥し、かさかさしたかさぶたができやすくなります。
これに加えて赤ちゃんは汗の分泌量が多いせいで、あせも、ただれ、かぶれ、赤み、痒みといったスキントラブルも起きやすい状態です。
赤ちゃんの耳切れの対処方法
赤ちゃんの耳が切れたときの対処方法についてみていきまょう。赤ちゃんのスキンケアの中でもっとも大切なポイントは二つ。
ひとつは皮膚を清潔に保つこと、もうひとつは保湿です。赤ちゃんの耳切れの対処方法もこの二つのポイントを中心に考えることが必要です。症状がひどい場合は必ず自己判断せず病院に相談してください。
耳とその周りを清潔にしておく
赤ちゃんの耳が切れてしまったら、まずは耳とその周りの状態をしっかり観察しましょう。汚れや皮脂が垢となって溜まっていることもあります。
耳たぶの裏、耳のくぼみ、耳穴と、汚れがたまりやすい部分をしっかり洗いましょう。耳は皮脂の分泌がとくに多いパーツなので、水でざっと洗うだけでは十分ではありません。
赤ちゃんの耳の洗い方は?
ベビー用石けんをガーゼや柔らかいタオルにつけ、赤ちゃんの耳を念入りに洗います。このときごしごしとこすらないように注意します。石けんの泡をしっかり立てて、泡の吸着力で汚れや皮脂を取り除くつもりで、優しく洗ってあげましょう。
洗い終わったら、すすぎ残しがないようにしっかり石けんの泡をしっかり洗い流します。赤ちゃんの耳に水が入ることを不安に思い、すすぎを十分に行わないお母さんもいますが、これは間違い。石けんの残りが耳に付着したままになり、かぶれや痒みが生じます。
お風呂から上がったら、赤ちゃんの耳についた水分をしっかりふき取ります。このときもごしごしとタオルでこするのはNG。吸水性のよいガーゼやベビータオルで耳の裏やふき取れる部分をしっかり拭きとります。
そのあとコットンを使い、耳の穴の入り口や耳のくぼみの部分の水分を吸い取ります。コットンを使う際のポイントは、そっと優しく、くるりと回すように水分を吸い取ること。耳の穴の奥までコットンを入れることは絶対にやめましょう。
保湿を忘れずに
赤ちゃんの耳をきれいに洗ったら、今度は保湿。ワセリン、ベビーローション、保湿クリーム、ベビーオイル、乳液など、赤ちゃんの保湿にはいろいろな種類がありますが、赤ちゃんの肌にもっとも合うものを使うことがポイントです。保湿をすることで、皮膚のバリア機能が高まり、スキントラブルの改善が期待されます。
よだれや母乳/ミルクが耳に流れないようにする
赤ちゃんの耳によだれや母乳/ミルクが流れ込まないように、十分注意しましょう。赤ちゃんを寝かせたあとも、こまめに様子を観察し、よだれが出たり、汗をかいている場合には、ガーゼで拭きとってあげましょう。
授乳後は必ずげっぷを出させるようにします。吐き戻しの多い赤ちゃんの場合は、授乳後注意深く様子を見守り、吐き戻した場合にはすぐに汚れをふき取るようにします。
よだれもこまめにふき取るようにし、寝ている間も時々様子を見て、赤ちゃんの耳によだれや吐き戻しが流れないよう注意しましょう。
布団や衣服でこすれないように注意
睡眠中に布団で赤ちゃんの耳がこすれると、耳切れがひどくなることがあります。また衣服を脱ぎ着させるときも同様で、無理に引っ張って脱ぎ着させると、赤ちゃんの耳を強くこすってしまいます。
赤ちゃんに着せる服はなるべく柔らかく、手触りの優しい素材を選びましょう。布団に関しては、柔らかすぎるものを使用すると、赤ちゃんの重みで沈んでしまうので、赤ちゃん用には向きません。柔らかな布団は赤ちゃんの鼻や口を覆ってしまう危険性があります。柔らかいものは避け、適度な固さのものを選びましょう。
赤ちゃんの耳切れの予防法
赤ちゃんの耳切れを予防するためには、対処法同様、清潔にすることと保湿の2点がもっとも重要です。赤ちゃんの沐浴や入浴の際には、丁寧に耳の汚れと皮脂を落とし、その後はたっぷり保湿します。
汚れと乾燥は、耳切れだけでなく、赤ちゃんのスキントラブル全般の原因です。赤ちゃんの汗やよだれはこまめに拭きとることが大切。保湿に関しては、入浴後だけでなく、外出するときや室内が乾燥しているときにも忘れずに行いましょう。
まとめ
赤ちゃんの耳が切れるときに知っておきたい情報を幅広くご紹介しましたが、いかがでしたか?赤ちゃんの耳の皮膚は非常に薄くデリケートです。
お母さんがこまめにケアしてあげないと、すぐにかぶれや湿疹ができます。耳のトラブルを放置すると症状が悪化し、耳切れや皮膚の炎症がおこります。赤ちゃんの耳切れの予防方法・対処方法をしっかり覚え、赤ちゃんをスキントラブルから守りましょう。