おむつなし育児法とはその名のとおり、おむつをつけずに赤ちゃんを育てる育児法。おむつなし育児に成功すると、個人差はありますが、通常3歳~4歳頃におむつが外れますが満1歳半から2歳になる頃には、自然に自分からトイレで排泄できるようになるようです。
おむつなし育児法の考え方とは、おむつの中で排泄行為に慣れてしまう前に、おむつを外した状態で排泄することを覚えてもらうこと。
おむつなしで育児することに赤ちゃんもお母さんも慣れてしまうと、タイミングを計って排泄をすることが可能になります。おむつ外しのトレーニングを行う必要もなく、おむつ代も節約できるとあって、おむつなし育児法にはいろいろなメリットがあります。
興味はあるけれどもやり方が分からない、始めてみたいけれど失敗すると面倒そう。おむつなし育児法のメリットやデメリット、正しい行い方やコツなどについて知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。
おむつなし育児とは?
おむつなし育児とは簡単に言うと、赤ちゃんになるべくおむつの外で排泄してもらう育児法を指します。
おむつをつけずに赤ちゃんを育てるなんて、そんなこと出来るの?と思いますが、現在でもアジアやアフリカの発展途上国では、赤ちゃんに四六時中おむつを当てるのではなく、外出時など必要なときに限っておむつをことなく、育児を行っています。
自然に排泄できるように育てる
日本でも現在のように紙おむつが普及する以前には、布おむつだけという時代がありました。布おむつの場合、使い捨てではないため、四六時中おむつをつけるのではなく、必要に応じておむつをつけたり外したりを繰り返すことがほとんどでした。
このため、赤ちゃんがおむつを卒業するのも現在よりずっと早く、満1歳半から2歳になる頃には、ほとんどの赤ちゃんが自分で自然に排泄できていた、といわれています。
また、おむつと赤ちゃんの排泄との研究調査においても、このことが指摘されています。排泄はおむつの中でするものではない、という考え方で育てられた赤ちゃんは、おむつの中で排泄することを覚えさせられた赤ちゃんよりも早い時期に排泄が自立します。
おむつの中で排泄することを学ぶのか?
現在では紙おむつの質が向上し、長時間つけたままでも蒸れない・漏れない構造になっています。このため、赤ちゃんは生後一日目からおむつをつけて育ちます。
私たち大人はこれを当たり前のように感じていますが、本来はおむつやパンツの中で排泄するのは自然なことではありません。赤ちゃんでもおむつをはずしたときには、たっぷりと気持ちよく排泄できるものですが、どこでもいつでもおむつの外に排泄されたのでは、掃除や後始末が大変です。
赤ちゃんにおむつをつけるのは、いわば大人の事情。四六時中おむつをつける目的は、赤ちゃんにおむつの中で排泄することを覚えてもらうこと。おむつの中で排泄することに慣れてしまった頃、今度はおむつを外すトレーニングをする、という二度手間をかけていることになります。
おむつの中で排泄するのは気持ち悪いこと
おむつの外に排泄するという、人間ならば誰でも持っている本能をそのまま養っていこうというのが、おむつなし育児のポイント。生まれたときからおむつをつけて育つことにより、赤ちゃんは自ら持っている自然な本能を忘れてしまい、おむつの中で排泄することを覚えてしまいます。
おむつの中で排泄するのは、赤ちゃんでも大人でも決して気持ち良いものではありません。おむつにおしっこやうんちがついていても、赤ちゃんは平気そうに見えます。
しかしこれは生まれたときからおむつを付けられることで、そのようにトレーニングされたから。赤ちゃんだって、おむつの中で排泄するのは気持ち悪いことだと、お母さんが分かってあげることが大切です。
おむつなし育児で成功するには?
おむつなし育児をすることにはメリットとデメリットの両方があります。おむつなし育児を始めるには、正しいやり方やメリット・デメリットについての知識が不可欠です。またおむつなし育児を行っているからといって、まったくおむつをつけないわけではありません。
おむつなし育児とは、赤ちゃんが自然に気持ちよく排泄できるように、出来るだけおむつを使わずに育児をすること。必要に応じておむつを付けながら、赤ちゃんとお母さんが協力しながら、おまるやトイレで排泄する回数を増やしていきます。
赤ちゃんの様子を注意深く観察し、排泄のタイミングをはかり、おまるやトイレに誘導することが必要ですので、まずはおむつなし育児についての知識を養うようにしましょう。
おむつなし育児のメリット・デメリット
おむつ育児を推進している方の話しを聞くと、赤ちゃんにとってもお世話するお母さんやお父さんにとっても、とっても良さそうな育児法に思えます。でも赤ちゃんにおむつをしないなんて、おもらしをされたら大変、と思う方がほとんどでしょう。おむつなし育児にはメリットとデメリットがあります。それぞれについて詳しく考えてみましょう。
おむつなし育児のメリットとは?
おむつなし育児にはいろいろなメリットがあります。おむつなし育児はうまく運ぶと、お母さんと赤ちゃんの両方にとっていろいろなことが楽になります。
早い時期に赤ちゃんの排泄が自立すること
おむつなし育児のいちばんのメリットは、おむつで育った赤ちゃんよりも早い時期に、おむつの外でうまく排泄が出来るようになることです。
おむつなしに育った赤ちゃんは、満1.5歳から2歳くらいの間に自分でおまるやトイレで排泄が出来るようになります。これによりおむつを外すトイレトレーニングは不必要になりますので、幼児期初期の育児が断然楽になります。
おむつを外して、股を開いた自然な排泄の体勢を早く覚えてもらうことより、面倒で大変なトイレトレーニングの手間を省くことが期待できます。
気持ちよく排泄できる
おむつの中で排泄するのは本来不自然なこと。おむつをつけたままでは、大人が思う以上に赤ちゃんは、思いっきりおしっこやうんちが出来ずにいます。常に残尿感があるために頻尿になったり、便秘気味なのはそのためかも知れません。
出来る範囲でおむつを外しておしっこやうんちをしてもらうことにより、自然な状態で思いっきり排泄する習慣が出来ます。
おむつかぶれがなくなる
おまるやトイレで排泄させることにより、おむつかぶれが確実になくなります。おむつの中で排泄をするのは、皮膚の柔らかい、刺激に敏感な赤ちゃんにとっては、とっても大変なこと。どんな特殊な素材を使ったおむつでも、やっぱり長時間付けていると、かぶれや湿疹、肌荒れの原因になりかねません。
おむつなし育児なら、赤ちゃんの排泄のリズムを確認しながら、赤ちゃんにおむつを付けずに過ごしてもらう時間を作ることが出来ます。とくに普通よりも刺激に敏感な赤ちゃんには、おむつなし育児のほうがお勧めです。
赤ちゃんが自然なリズムで生活できる
おむつを外した状態で排泄させる回数を増やすことにより、赤ちゃんが機嫌良く、自然なリズムで生活できるようになります。
おむつを外している時間が増えることで、体の下半身の動きも活発になり、伸び伸びできるのもメリットのひとつ。おむつがないと体を今よりももっと自由に動かすことが出来ます。
お母さんが赤ちゃんの欲求に敏感になる
おむつなし育児に成功するかどうかは、お母さんがいかに赤ちゃんの自然な欲求に応えられるかにかかっています。赤ちゃんにおまるやトイレで排泄してもらうには、おしっこやうんちが出そうという、赤ちゃんが出すシグナルをうまくキャッチしなければなりません。
常に赤ちゃんの様子や表情を観察していなければなりませんので、自然に赤ちゃんとお母さんの間のコミュニケーションが密になります。赤ちゃんの自然な欲求にお母さんが敏感になり、排泄のタイミングをうまくはかるだけでなく、赤ちゃんの機嫌や感情の起伏、食欲やその他の欲求についてもより深く理解できるようになります。
おむつなし育児のデメリットとは?
おむつ育児にはいろいろメリットがあるのは分かりますが、でもやっぱりおむつなしで赤ちゃんを育てるとなると、いろいろ面倒なことが起こりそうです。ここではおむつなし育児のデメリットについて挙げていきます。
お母さんの手間が倍増する
おむつなし育児では、お母さんが赤ちゃんの排泄しそうな様子を常に観察していなければなりません。おむつを付けたままならば、赤ちゃんがいつ排泄しようと、とりあえずそのままにしておいて、やりかけの家事を終わらせることも出来ます。
しかしおむつを外して排泄させようとすると、赤ちゃんの排泄のタイミングをうまくキャッチする必要があるので、お母さんの手間は確実に増えてしまいます。
周囲の協力と理解を得る必要がある
おむつなし育児はまださほど一般的ではありませんので、いざ始めようとすると家族や周囲の人から反対されることもあるようです。おむつなしで育児するなんて、赤ちゃんがおもらししたらどうするの?という反対の声に押されて、おむつなし育児を断念する方も少ないないようです。
おむつなし育児といっても、まったくおむつを使わないわけではない、ということを理解してもらう必要があります。おむつなし育児に取り組む前に、まず家族の方の理解を得ることが不可欠といえるでしょう。
おむつなし育児のやり方
おむつなし育児で成功するには、どのような方法で行うと効果的なのか、おむつなし育児のポイントを把握すことが必要です。どんな点に気をつけて行うべきかまとめてみましょう。
出来る範囲で行うこと
おむつなし育児のポイントは、出来る範囲で行うこと。外出時や自宅以外の場所ではもちろんおむつを付けたままで構いません。出来る範囲で出来るときに行うようにすると、お母さんの負担が軽くなります。
最初はおしっこやうんちが出なくても構いません。赤ちゃんに声をかけながら、おまるや便器の上で排泄することを促すことにより、徐々におむつの外で自然に排泄する習慣が身につきます。
おまるや専用便器を用意する
おまるや専用の便器を用意しておくほうが便利です。どうしておまるでないといけないというわけではありませんが、最初はおまるがあったほうが赤ちゃんにとっても慣れやすく、お母さんもサポートしやすくなります。
おまるでなくても、おむつの上やお風呂場など、お母さんと赤ちゃんの都合に合わせて臨機応変に行うようにしましょう。
どんな体勢で排泄させるか?
おまるや便器で排泄する体勢はどんなものもかまいません。授乳中におまるを当てる、おまる・便座に座らせて後ろから支える、横になった体勢でおまるを当てる、赤ちゃんを抱きかかえた体勢で排泄させるなど、赤ちゃんがもっとも楽に排泄できる格好で排泄させます。
タイミングをはかる
おむつの外で排泄してもらうタイミングを決めます。おむつをはずしたとき、外出の前後、起床時、就寝時、授乳前後、授乳中、お風呂に入る前・出た後など、赤ちゃんにとっても区切りにいいタイミングを計って、毎日繰り返すようにしましょう。
いつから始めるか?月齢の低いときから
生後2ヶ月以降半年くらいまでの間は、赤ちゃんは寝たままですので、いちばんおむつなし育児が楽な時期といわれています。
生後半年以降になると、赤ちゃんの自我も目覚め、おまるやトイレに素直に座ってくれないこともあります。おむつなし育児を始める際には、生後2ヶ月目からを目安に始めて見ましょう。
生後半年までの間に、おむつの外の排泄できる習慣がある程度確立されると、その後の練習が楽になります。生後半年以降になると、赤ちゃんがおまるに座ることを嫌がることも増えますが、無理やりにおまるに座らせるのはやめましょう。
機嫌よく座ってくれるときを待って行うようにします。回数は少なくても構いません。紙おむつや布おむつをうまく組み合わせながら、満1歳半から2歳くらいの間に布パンツをはいてもらえるように頑張りましょう。
まとめ
おむつなし育児っていいの?悪いの?と戸惑っている方に参考にしていただきたい情報をご紹介しました。おむつなし育児はお母さんにとっては多少面倒ではあります。
しかし見事おむつなし育児に成功したら、赤ちゃんが満2歳になるころには、自分ひとりで自然におまるやトイレで排泄できるようになりますので、面倒なトイレトレーニングも必要ありません。
おむつなし育児の真髄は、おむつの外で排泄するという、赤ちゃんの本能をサポートしてあげること。失敗を重ねつつも、おむつ以外で排泄できる回数が増えるたびに、赤ちゃんもお母さんも精神的に楽になります。赤ちゃんにもっと機嫌良く過ごしてもらうためにも、出来る範囲でおむつなし育児を実践するものありかもしれません。