赤ちゃんをベビーカーに乗せてお出かけするときに気になるのが、電車やバスに乗るときのマナー。公共の乗り物に乗るときには、ベビーカーを折りたたむべきなのか、そのままでも大丈夫なのか、悩んでしまうお母さんも多いようです。
赤ちゃんとの外出を楽しいものにするために、ベビーカーで電車やバスに乗るときの決まりやマナーについて、知っておきたい情報を幅広くご紹介します。ぜひ参考にしてください。
ベビーカーで電車やバスに乗るのは大丈夫なの?
電車やバスは公共の交通機関。子育て中のお母さんやお父さんにだって、ベビーカーを使って乗車する権利は当然あります。ベビーカーで電車やバスに乗ること自体が、禁止されているわけではありません。
ベビーカーで公共の交通機関に乗る際の問題点は、使っている方のマナーにあります。ベビーカーで公共の乗り物に乗る際には、周囲の方に迷惑がかからないように、そして赤ちゃんに危害が及ばないように、いろいろな点に配慮する必要があります。すべての方に当てはまるわけではありませんが、ベビーカーのマナーを心得ていないお母さんもいて、他の乗客の方の顰蹙をかうケースも多く見受けられます。
ベビーカーで電車やバスに乗ることに対するさまざまな意見
ベビーカーで公共の交通機関に乗ることについては、賛否両論いろいろな意見が聞かれます。子育て中のお母さんやお父さんにとっては、ベビーカーで電車やバスに乗ることは必要不可欠です。
お母さんひとりでベビーカーで出かけることは重労働なので、なるべく避けている方もいるようですが、それでも必要に迫られ、ベビーカーで公共交通機関に乗るシチュエーションは多々あります。
このように子育て中のお母さんやお父さんにとっては必要なことですが、中にはこれを望ましくないと考える方もいます。ベビーカーで電車やバスに乗るのは望ましくない、といわれる理由について詳しくみていきましょう。
ベビーカーは余計な場所をとる
ベビーカーを折りたたまずに乗ると余計な場所を取ってしまうため、これを迷惑と感じる方がいます。通路の前に置くと移動する乗客の邪魔になり、また開閉ドアの前に置くと乗降の際の妨げになります。
一台ならまだしも、お母さんが2、3人固まってドアの前にいると、他の乗客の方は身動きもできません。また最近のベビーカーはサイズが大きく、これも迷惑と感じられる原因のひとつになっています。
ベビーカーにぶつけられた
電車やバスに乗り降りする際や車中を移動する際に、誤って周囲の方の足をベビーカーの車輪で踏んでしまうケースも見受けられます。故意にぶつけたわけではありませんが、踏まれた方にとっては災難。ベビーカーに対してネガティブな印象をもたれてしまいます。
赤ちゃんに対する危険
電車やバスが急発車・急停車したときに、ベビーカーの前に立っている乗客が赤ちゃんの上に倒れ掛かるリスクもあります。
シートベルトをつけていない場合には、赤ちゃん自身が転落する危険性も。他にもホームと車両の隙間に車輪を挟まれたり、段差につまずいたりすることで、赤ちゃんとお母さんに危険が及ぶだけでなく、周囲の方を巻き込む可能性もあります。
ベビーカーを安全に使用するためには
このように、ベビーカーで電車やバスに乗ることに関しては否定的な意見も多く、ベビーカーで出かけべきかどうか迷ってしまいます。
ベビーカーのせいで、周囲の方に迷惑をかけてしまうのでは?と気兼ねしながらの外出は、精神的にも負担。さらに周囲の方に迷惑をかけるだけでなく、ベビーカーの使用方法を一歩間違えると、赤ちゃんやお母さん、そして周囲の方にも危険が及ぶ可能性もあります。ベビーカーを安全に使用するためには、ベビーカーを使用するお母さんだけでなく、周囲の方の協力や理解も必要です。
このような状況を踏まえて国土交通省では、赤ちゃんの安全のため、また子育てしやすい環境づくりの一環として、ベビーカーで電車やバスなどの公共交通機関に乗る際のガイドラインを発表しています。ベビーカーで乗り物に乗る際は、このガイドラインに従うことが原則です。
国土交通省によるベビーカー使用のガイドライン
ベビーカーで電車やバスに乗る際にいちばん気になるのは、ベビーカーを折りたたむべきかどうか、と疑問。国土交通省ではベビーカーを使用する側とその他の乗客、双方の便宜と安全を考慮に入れた上で、一定のガイドラインを設けています。※参照1
ベビーカーマークの設定
ベビーカーマークとは、ベビーカー使用者が安全に使用できる場所や設備を示す統一的なマークで、このマークがある場所ではベビーカーを折りたたまずに使用できます。車椅子用のスペースがある車両では、そこにベビーカーをおくことができます。
ベビーカーマークがあるということは、折りたたまずに使用できることを意味しますが、周囲の方に配慮することを怠らず、必要があれば折りたためるように準備しておくことも大切です。
ベビーカー禁止の場所
国土交通省のガイドラインでは、転倒のおそれのあるエスカレーターやその他危険な場所ではベビーカーを使えません。駅の構内のエスカレーターや階段では、いったんベビーカーを折りたたみ、赤ちゃんを抱いて乗るようにしましょう。お母さんひとりで出かけているときは、エレベーターを利用したほうが安心です。
ベビーカーで電車やバスに乗る際の注意点
ベビーカーで電車やバスに乗る際にもっとも重要なポイントはふたつ。ひとつは赤ちゃんの安全を確保すること。もうひとつは公共の場でのベビーカーのマナーと決まりを守ることです。
赤ちゃんにシートベルトをつけること
赤ちゃんをベビーカーに乗せたら、必ずシートベルトで体を固定してあげましょう。ベルトを締めていないと、電車やバスが急停車・発進する際に赤ちゃんがバランスを崩し、ベビーカーから転落するおそれがあります。
大人であれば、乗り物の不意の動きや揺れに対して、とっさにうまくバランスを取れますが、赤ちゃんの場合は自分でバランスを取ることができません。平坦な道だから、乗っているのは数分だから、と甘く考えずに、必ずシートベルトをつけてあげましょう。
ストッパーでベビーカーを固定する
電車やバスに乗ったら、必ずストッパーでベビーカーを固定しましょう。乗り物内には傾斜はありませんが、他の乗客の方に押された勢いでベビーカーが動いてしまうことがあります。ベビーカーは必ずストッパーで固定し、絶対に目を離さないようにしましょう。車内だけでなく、駅のホームやバス亭でもストッパーをかける習慣をつけると安心です。
バスに乗る場合
バスに乗る際にはお母さんが着席して、ベビーカーを固定ベルトで座席に固定する方法もあります。状況に応じてもっとも安全な方法を選ぶことが求められています。
隙間や段差に注意する
ホームと電車の間の隙間にベビーカーがはさまってしまうのは非常に危険です。電車に乗る際には慎重に。駆け込み乗車は絶対にやめましょう。車内で移動する際には、車両と車両の間の段差に注意します。
階段ではベビーカーを折りたたむことが原則ですので、バスに乗るときや、エレベーターの設置のない駅を利用する際には、お父さんや家族の方に同行してもらうことも考えましょう。
混雑している時間帯は避ける
真にやむを得ない理由がある場合を除き、ラッシュアワーや混雑する時間帯に電車やバスに乗ることは避けましょう。これはベビーカーで電車やバスに乗る際の重要なマナーのひとつです。
ベビーカーで満員電車に乗ると、他の乗客の方が赤ちゃんの上にのしかかってくるリスクも否めません。満員電車にベビーカーで乗ることは極力避け、他の移動方法を考えるか、時間帯をずらして乗りましょう。
必要に応じてベビーカーを折りたたむ
電車やバスの混み具合や状況に応じて、必要があればすぐにベビーカーを折りたためるよう、あらかじめ用意をした上で出かけましょう。ベビーカーを折りたたむと、赤ちゃんを抱っこするためのスリングや抱っこ紐が必要です。両手がふさがらないように、バッグは肩にかけられるものにしましょう。
折りたたむことを想定すると、ベビーカーは軽量タイプがおすすめです。電車やバスへの乗り降りがスムーズにできて、持ち運びに楽な軽量タイプのベビーカーを一台用意しておくと便利です。
電車やバスで楽に使える軽量ベビーカー
軽量ベビーカーにはたくさんの種類があります。軽量ベビーカーを選ぶ際には重さだけでなく、他にも機能性が備わっているかどうか必ずチェックしましょう。
電車やバスに乗るときに便利なのは、コンパクトにたためる、片手で開閉・走行ができる、支えなくても自立するタイプのベビーカー。ベビーカーで出かけることが多いお母さんは、軽量ベビーカーの購入も検討してみましょう。
周囲の方に対する配慮を怠らない
ベビーカーで外出する際には、周囲の方への配慮を怠らないようにしましょう。車椅子用のスペースがあれば、その場所にベビーカーをおくようにし、ない場合にはできるだけ迷惑にならない場所を選びます。
お友達同士が集まって、2台、3台とベビーカーを一緒に並べるのはマナー違反。出入り口付近や通路の真ん中をベビーカーでふさぐことがないよう、十分に注意しましょう。親切にしてくれた乗客の方に対しては、失礼な振る舞いがないように注意し、感謝の気持ちを忘れずに伝えましょう。
まとめ
ベビーカーで電車やバスに乗る際のマナーやガイドラインについて知っておきたい情報を幅広くご紹介しました。ベビーカーで電車やバスに乗る際には、ベビーカー使用のマナーや決まりをきちんと守ることが大切です。
また周囲の方に迷惑をかけないようにするだけでなく、赤ちゃんとお母さん本人に安全にも十分配慮しなければなりません。赤ちゃんと一緒にお出かけを楽しく有意義なものにできるよう、ベビーカーで公共交通機関に乗る際の決まりと注意点をしっかり学んでおきましょう。