産後の頭痛について知っておきたいこと

産後の頭痛について知っておきたいこと 産後お母さん

産後のお母さんの身体は、思った以上に疲労していてあちこち不具合が生じやすい状態になります。腰痛や便秘など産後にはさまざまな悩みがついて回りますが、その中でもお母さんを苦しめるのが、産後の頭痛です。

産後の頭痛は、人によって吐き気をもよおすほど強い場合もありますし、僅かな頭痛でも長く続くことで疲れてしまうこともあります。また、間違った対処方法を行い頭痛が悪化してしまうこともあるでしょう。そこで、産後の頭痛について原因や正しい対処方法など、詳しい情報を幅広くご紹介していきます。

産後の頭痛の種類について

産後に頭痛を経験するお母さんはたくさんいらっしゃいます。ひとくちに頭痛と言っても実は2種類あることをご存知でしょうか。

片頭痛

片頭痛

産後に起こる頭痛のひとつとして片頭痛があります。特徴は、こめかみや目の周辺部分がズキズキと脈を打つように痛くなります。症状が強い場合、吐き気を伴うことも多く実際に嘔吐することもあります。

片頭痛が一度起きると長引く傾向が強く、1日中続く場合や、3日以上続くこともあるでしょう。

緊張型頭痛

緊張型頭痛

産後に起こる頭痛のひとつとして、もうひとつあるのが緊張型頭痛です。特長は、後頭部から首筋にかけて頭全体がギューッと締め付けられるように痛くなります。緊張型頭痛が強い場合でも、吐き気などが伴うことはほとんどありません。

また、比較的短時間で治まる傾向があり、1時間ほどで治まることもあります。ただ、慢性化している方は長期化することもアリ、人によっては何週間も緊張型頭痛が長引くこともあるでしょう。

異なる産後の頭痛の原因は

産後の頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛に大きく分けられます。それぞれ頭痛の特徴が異なることがお分かりいただけたと思いますが、実は原因も大きく違っているため、間違った対処方法を行うと頭痛を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。

ただ、どちらの頭痛にも共通する項目もあるので、それぞれ詳しくご説明していきましょう。

産後の片頭痛の原因

片頭痛が起きる原因は、簡単に説明すると脳の血管が拡張することで引き起こされています。

血管が拡張することで周囲の三叉神経(さんさしんけい)が刺激され、その刺激により炎症物質が発生し、さらに血管が拡張されて片頭痛が起きるようになっているのです。血管が拡張するのは、さまざまな原因がありますので、詳しく見ていきましょう。

産後のホルモンバランスの変化の影響

産後のホルモンバランスの変化の影響

片頭痛は血管が拡張することで引き起こされますが、それを誘発するのが「エストロゲン」という女性ホルモンの存在です。

出産するとエストロゲンの分泌量が減少し、それと同時にセロトニンという物質も減少していきます。急にこれらの物質の分泌量が減少することで、血管が拡張されてしまい片頭痛が引き起こされてしまうのです。

産後の食べ物の影響

産後の食べ物の影響

片頭痛が頻繁に起きやすい方は、食べ物に含まれている物質が関係している可能性があります。

食べ物に含まれているチラミン、亜硝酸、グルタミン酸ナトリウムなどが血管を拡張させ片頭痛を起きやすくしていると考えられているのです。

チラミンを多く含む食べ物は注意が必要

チラミンを多く含む食べ物として、代表的なのがチーズ、ワイン、チョコレートです。意外なところではキムチにもチラミンがたくさん含まれています。イタリア料理が大好き!という方や、毎日のようにたくさんチョコレートを食べている方は要注意と言えます。

亜硝酸を多く含む食べ物は注意が必要

亜硝酸を多く含む食べ物として、ハム、ソーセージ、サラミなどの加工肉があります。お肉の発色を良くして美味しそうに見せてくれる成分ですが、血管を拡張させて片頭痛を引き起こしてしまいます。加工肉には塩分や添加物も多く含まれていますので、その面から見ても食べ過ぎないようにしましょう。

グルタミン酸ナトリウムを多く含む食べ物は注意が必要

グルタミン酸ナトリウムを多く含む食べ物は、カップラーメンなどのインスタント食品、ポテトチップスなどのスナック菓子です。グルタミン酸ナトリウムは化学調味料のうま味成分なので、インスタント食品やポテトチップスには必ずと言っていいほど加えられています。

産後の緊張型頭痛の原因

産後の緊張型頭痛の原因

緊張型頭痛が起こる原因は、簡単に説明すると血管が収縮されることで引き起こされます。

頭や首、肩などの筋肉が緊張し血行不良が続くと、頭部周囲の神経が刺激されて緊張型頭痛となるのです。血管が収縮する原因はさまざまですので、ひとつひとつ具体的にみていきましょう。

出産による骨盤の歪みの影響

出産による骨盤の歪みの影響

緊張型頭痛が起きる原因として、骨盤の歪みが関係している可能性が高いと言えます。妊娠するとリラキシンというホルモンが分泌され骨盤の関節や靭帯を緩めて広げやすくします。また出産時には骨盤を最大限に開いて赤ちゃんを通そうとするため、産後しばらくの間は骨盤が不安定になり歪んだ状態が続くようになるのです。

骨盤は身体の中心にあり、下半身の大腿骨や筋肉と結合し、上半身の背骨や筋肉とも結合しています。このことから、骨盤の歪みは身体のすみずみに影響し、姿勢を悪くさせて血液の流れを妨げ、緊張型頭痛を引き起こしてしまうのです。

母乳による水分不足の影響

母乳による水分不足の影響

緊張型頭痛が起きる原因として、母乳による水分不足の影響も考えられます。母乳で赤ちゃんを育てている方の場合、体内の水分や栄養が母乳の原料となって使われますから、どうしても不足しやすい状況になってしまいます。

身体の水分が母乳としてどんどん排出されていくと、血液の粘度が高くなり血流が滞りやすくなってしまいます。血流が滞ると血管収縮が引き起こされ緊張型頭痛が起きやすくなってしまうのです。

産後の貧血による影響

産後の貧血による影響

緊張型頭痛が起きる原因として、鉄分不足が影響している可能性もあります。特に出産では大量に出血してしまうため、緊張型頭痛が起きやすくなると言われているのです。また、産後1週間くらいの間は「悪露(おろ)」と呼ばれる血液や胎盤の残りが膣から排出されるため、普段よりも血液が失われやすくなってしまうのです。

また、母乳で赤ちゃんを育てている方の場合、身体の栄養が母乳として優先的に使われるようになります。特に鉄分は母乳として優先的に使われてしまうため、慢性的な貧血になり緊張型頭痛を引き起こしやすくさせているのです。

どちらの頭痛にも当てはまる原因

産後の頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛に大きく分けられますが、どちらの頭痛にも共通している原因がありますので、ご紹介しておきましょう。

産後の姿勢の悪さの影響

産後の姿勢の悪さの影響

産後の頭痛は、姿勢の悪さにより引き起こされることがあります。赤ちゃんのお世話は、授乳、おむつ交換、入浴、寝かしつけと全て前かがみの姿勢になりやすいため、猫背に丸まって姿勢が悪くなってしまいます。

姿勢が悪いと、背中や肩コリが生じ血液循環を悪くさせてしまうようになります。血液循環が滞ると片頭痛や緊張型頭痛が引き起こされやすくなるのです。

産後のストレスの影響

産後のストレスの影響

産後の頭痛は、ストレスにより引き起こされることもあります。初めての育児の場合わからないことばかりで戸惑うことも多いですし、周囲が思うようにサポートしてくれないとイライラしてストレスが溜まりやすくなってしまいます。

ストレスは自律神経を不安定にさせ、ホルモンバランスも崩してしまうため、頭痛という身体の不調を引き起こしやすくなるのです。

産後の不規則な睡眠の影響

産後の不規則な睡眠の影響

産後の頭痛は、不規則な睡眠により引き起こされることもあります。赤ちゃんは夜中でも泣きますし、いつでもおっぱいを欲しがるため、どうしてもお母さんの睡眠時間は不規則にならざるを得ません。睡眠不足が積み重なると、身体の疲労が回復されないまま育児を継続しなくてはならなくなるため、頭痛が引き起こされやすくなってしまうのです。

また、眠れるタイミングが来ても、疲れすぎにより同じ姿勢で長時間眠り続けてしまうため、一部分だけが圧迫されて血流が滞り頭痛が引き起こされることもあるでしょう。

眼の疲れによる頭痛

眼の疲れによる頭痛

お産は全身を使う仕事ですが、意外なことに眼にも影響を与えています。赤ちゃんを押し出す時にいきみますが、このいきみによって眼圧がかかり、網膜の血管に負担がかかってしまいます。

ですから出産後に物が見えづらかったり、産後しばらく経って視力が落ちたように感じる方が多いのです。こういった眼の疲れをそのままにすると、眼の周りの筋肉が緊張し血行が悪くなり頭痛がおきやすくなります。

頭痛と一緒に眼の奥がジーンとするような痛みを感じる時は、眼の疲れからくる頭痛と考えて良いでしょう。赤ちゃんが寝ている時はスマホやパソコンをいじりたくなるかもしれませんが、一緒に休んで眼に過剰な負担をかけないようにしましょう。

産後の頭痛の対処方法は?

産後の頭痛の対処方法は?

産後の頭痛は、ご紹介した通りさまざまな原因から引き起こされていることがお分かりいただけたと思います。では、実際に頭痛が起きたときはどのように対処する必要があるのでしょうか。

どちらの頭痛にも当てはまる対処方法としては、ストレスを溜めずにできるだけリラックスを心掛けることで和らげることができます。

ただ、頭痛の種類によっては、対処方法を間違えることで症状が悪化してしまうこともあるため、それぞれの頭痛に適した対処方法を行うようにしましょう。

産後の片頭痛の対処方法

片頭痛は、血管が拡張することにより引き起こされるタイプの頭痛ですので、拡張した血管を元に戻すことで緩和することができます。

カフェインで血管収縮

カフェインで血管収縮

拡張した血管を簡単に収縮させるなら、カフェインが含まれているコーヒーや緑茶、紅茶などを飲むようにしましょう。カフェインには血管を収縮させる作用があるため、産後の片頭痛を緩和させるのに役立ちます。

ただし、母乳で赤ちゃんを育てている方の場合、カフェインを摂り過ぎると赤ちゃんの健康に影響してしまう可能性があるため、片頭痛が起きたときに少量摂るくらいに抑えておきましょう。

冷やして血管収縮

冷やして血管収縮

拡張した血管を収縮させる方法として、もうひとつ手軽にできるのが冷やすということです。氷や冷やしたタオルなどを痛みが出ている部分にあてることで、血管を即座に収縮することができるため、片頭痛を緩和させることができるでしょう。

安静にして待つ

安静にして待つ

片頭痛が起きたときは、部屋の明かりを消したりカーテンを引いたりして暗くし、目を閉じて安静に過ごすようにしましょう。暗い部屋で安静にすることで、拡張した血管は徐々に治まってくるようになります。

食品に気をつけて予防する

食品に気をつけて予防する

片頭痛が慢性的に起きやすい方は、日頃の食生活を見直して片頭痛が起きやすい食品を控えるようにしましょう。

血管を拡張させやすい食べ物とには、チーズ、ワイン、チョコレート、加工肉(ハム、ソーセージ、サラミなど)インスタント食品、スナック菓子などがあります。片頭痛を抑えるためにも、日頃から食べすぎないように注意しましょう。

産後の緊張型頭痛の対処方法

緊張型頭痛は、血管が収縮することにより引き起こされるタイプの頭痛ですので、収縮した血管の緊張をほぐし、血流を改善することで緩和することができます。

温めて緩和

温めて緩和

緊張した血管を和らげるには、温めるのがイチバンです。ホットタオルを肩や頭など痛みが出ている部分にあてることで、緊張型頭痛を緩和させることができます。時間がある時は、お風呂に入って湯船に浸かり全身を温めるのも良いでしょう。

身体を動かして緩和

身体を動かして緩和

緊張した血管を和らげるには、身体を動かして血流を促進させるのもオススメの方法です。ストレッチをしたり、軽くウォーキングして運動したりすることで、筋肉がほぐれ緊張していた血管も和らいでくるでしょう。動く元気がない時は、マッサージをしてもらうとほぐれやすくなります。

深呼吸で緩和

深呼吸で緩和

緊張した血管を和らげるには、深呼吸してリラックスすることも必要です。筋肉が強張り関節がカチカチの状態だと、血管の収縮はなかなか和らいでいきませんが、ゆっくりと深呼吸を行うことで自律神経が安定し血流が流れやすくなります。また、気持ちがリラックスすることで身体も和らいでくるため、血管の緊張もほぐれてくるでしょう。

やってはいけない産後の頭痛の対処方法

やってはいけない産後の頭痛の対処方法

このように、頭痛によって対処方法は異なります。逆に間違った対処方法を行うと症状を悪化させてしまうことがありますので、具体的にご紹介しておきましょう。

片頭痛でやってはいけない対処方法

片頭痛が起きている時は、ホットタオルや入浴で身体を温めたり、ストレッチやマッサージ、運動をして血行を促進させたりすることはやめましょう。拡張した血管がさらに広がり痛みを増やしてしまいます。

緊張型頭痛でやってはいけない対処方法

緊張型頭痛が起きている時は、冷たいタオルで冷やしたり、カフェイン入りの飲み物を飲んだりすることはやめましょう。収縮した血管がさらに収縮し、痛みを増やしてしまいます。

授乳中に頭痛薬を飲む場合は

授乳中に頭痛薬を飲む場合は

できれば薬に頼りたくないですが、授乳中に頭痛がつらく服用する場合には、医師や薬剤師に相談後、服用するようにしましょう。市販薬は赤ちゃんに影響が出る可能性がある成分を含んでいるものがありますので注意が必要です。

ちなみに、授乳中に飲める頭痛薬の成分は「アセトアミノフェン」「イブプロフェン」の成分は影響が少ないとされています。

まとめ

産後の頭痛について詳しくご紹介しました。ひと口に頭痛と言っても種類も原因もバラバラなので、自分にどのようなタイプの頭痛が起きているのか、よく確認したうえで対処するようにしましょう。

産後の頭痛は気になるとストレスにも繋がりますので、早く緩和させて赤ちゃんと笑顔で過ごせる時間を増やしていってください。