産後のイライラについて知っておきたいこと

産後のイライラ について知っておきたいこと 原因は?解消方法は? 産後お母さん

妊娠中、どんどんとお腹が大きくなっていくと、まだ見ぬ赤ちゃんとの対面が待ち遠しくなりますよね。しかし、出産後は育児に追われて余裕がなくなり、常にイライラしてしまうことが多くなります。

優しいお父さんやお母さんに囲まれ、可愛い赤ちゃんと幸せな時間を過ごすイメージを持っていた方にとっては、産後の余裕のなさやイライラ状態に戸惑うこともあるでしょう。

実は、産後のイライラにはきちんと原因があるのです。理由もわからずイライラしてばかりいると落ち込んでしまったり、ひどい場合は産後鬱になってしまったりしますが、イライラの原因を知り、対処方法を実践することでそれを防ぐことができるようになります。そこで、産後のイライラはなぜ起こるのか、そしてどのように対処するべきなのか、詳しくご紹介していきましょう。

産後のイライラはどこから来るの?

産後のイライラはどこから来るの?

産後にイライラしてしまいやすいのは、さまざまな原因が重なっているからです。まず、出産は身体にとっても精神的にも大きなダメージを与えるものだということを知っておきましょう。

出産を経験することにより、身体には大きな傷跡が残されると思ってください。その傷跡が充分癒えるまでは、通常モードに慣れなくて当たり前なのです。

産後にイライラして赤ちゃんを可愛く思うことができず、落ち込んでしまうお母さんもいらっしゃいますが、ほとんどの方が経験していることでもありますので、自己嫌悪に陥らず、今はそういう時期なのだと思うようにしましょう。

育児によるイライラ

育児によるイライラ

産後にイライラしてしまいやすい原因として、まず挙げられるのが育児の影響です。特に初めての出産で初めての育児の場合、戸惑うことが多く、思い通りにならないことにイライラしやすくなってしまうでしょう。

お世話につきっきりになる

お世話につきっきりになる

産後の育児でイライラしやすいのは、赤ちゃんのお世話を24時間体勢で行わなければならないからです。産後しばらくの間は、赤ちゃんは頻繁におっぱいを欲しがりますし、長い時間眠り続けることができないため、すぐにぐずったりなかなか寝てくれなかったりします。

また、おむつの交換もしょっちゅうですから、お母さんは休む暇どころか寝る暇も確保することができません。そのため、だんだんと心の余裕がなくなっていき、イライラしやすくなってしまうのです。

慢性的な睡眠不足

慢性的な睡眠不足

産後の育児でイライラしやすいのは、睡眠不足が影響している部分もあります。赤ちゃんは長い時間大人しくしていたり寝ていたりすることができないため、1時間~2時間おきに起こされることも珍しくありません。

睡眠不足が続くと集中力を保つことができなくなりますし、気持ちの余裕も失われてしまいますから、どうしてもイライラしやすくなってしまうのです。

なぜ泣いているのかわからない

なぜ泣いているのかわからない

産後の育児でイライラしやすいのは、赤ちゃんがどうして泣いているのかわからず戸惑ってしまうことも関係しています。特に初めての育児を経験している方の場合、育児書などはアテにならないほどトラブルや不可解なことが連続してしまうでしょう。

また、赤ちゃんは産まれてからしばらくの間は、まだ表情筋が発達していないためニッコリと笑うことはほとんどありません。そのため、赤ちゃんを理解できずついイライラしてしまうのです。

赤ちゃんを可愛く思えないと自己嫌悪に陥ってしまうお母さんもいらっしゃいますが、少しずつ育児に慣れ、赤ちゃんが声を立ててニッコリを笑い始める頃には、可愛いと思えるようになりますし、イライラも少しずつ和らいでくることでしょう。

ホルモンバランスによるイライラ

ホルモンバランスによるイライラ

産後にイライラが起きやすいのは、ホルモンバランスが急変することも影響しています。赤ちゃんを出産すると、それまで分泌されていた女性ホルモンが一気に減少してしまうため、身体をコントロールすることができなくなり、イライラしやすくなってしまうのです。

女性ホルモンの作用でイライラ

女性ホルモンの作用でイライラ

妊娠すると、それまで分泌されていた女性ホルモンの量は一気に増えていきます。プロゲステロン(黄体ホルモン)と、エストロゲン(卵胞ホルモン)という2種類の女性ホルモンの量が増えていきますが、出産と同時に女性ホルモンの分泌量は一気に減少してしまうため、その急変ぶりに身体がついていけなくなってしまうのです。

身体がだるい状態が続いたり、気持ちが不安定になったり、体温をうまく調整できなくなったりしてしまうため、思うようにいかない身体についイライラしやすくなってしまうのです。

母乳によるホルモンの影響

母乳によるホルモンの影響

産後にイライラしやすいのは、産後に活発に分泌される「プロラクチン」というホルモンが影響している部分もあります。プロラクチンは、母乳を出すために必要なホルモンのひとつで、卵巣の機能を抑制して母乳を出すことを優先します。母性が芽生えるのも、このプロラクチンの作用によるものだと言われているのです。

ただ、母性が芽生えるということは子供を守るという意識が強くなるため、男性や他者に対して必要以上に警戒しやすくなってしまいます。そのため、夫や義母、義父に対してイライラしやすくなる部分があるのです。

夫に対するイライラ

産後にイライラしやすいのは、夫との関係性からくることもあります。出産を経験すると、赤ちゃんに集中する日々が続くようになり、夫婦間のコミュニケーションが希薄になりやすいのも、ひとつの大きな原因だと言えるでしょう。

気を使ってくれない

気を使ってくれない

産後にイライラしやすいのは、夫が育児や家事を手伝ってくれないことで起きやすいと言われています。ちょっとしたお皿洗いや、おむつ替えでも「僕がやるよ」の一言もないため、常にイライラしやすくなってしまうのです。

女性は、男性に気づいてほしいという気持ちが強いため、相手から言ってもらうことを期待している部分があります。それを満たしてくれないため、どうしても気を使ってくれないとイライラしてしまうのです。

自由な時間が羨ましい

自由な時間が羨ましい

産後にイライラしやすいのは、夫の自由な行動にカチンと来てしまうことも関係しています。同僚や友人と飲みに行く日が多いと「私が育児に大変な思いをしている間も、彼は自由な時間を楽しんでいる」とイライラしてしまうのです。

産後は、赤ちゃんのお世話が24時間体制で続きますから、お母さんに自由な時間などほとんどありません。少し余裕のある時間ができたとしても、睡眠にあてたり家事をしたりするために奪われてしまうため、夫の自由な行動にイライラしてしまうようになるのです。

夫婦生活の再開が早い

夫婦生活の再開が早い

産後にイライラしやすいのは、夫が夫婦生活の再開を迫ってくることでも起きてしまいます。産後は、身体の回復に時間がかかりますし、赤ちゃんのお世話で手一杯の状態になるため、正直夫婦生活のことを気に掛ける余裕すらありません。

そのような状況で求められることでイライラしてしまい強く拒否をしてしまうようになるのです。また、母乳育児の方の場合、プロラクチンの作用により母性が強くなるため男性に対しての拒否反応が強くなる傾向があります。

産後はセックスレスになる夫婦が多いと言われていますが、産後しばらくの間は夫婦生活をする気になれないということを、お互いに理解しておく必要があると言えるでしょう。

人に対するイライラ

人に対するイライラ

産後にイライラしやすいのは、周囲の人たちが影響している部分もあります。産後に実家に帰省している方の場合、いつもとは生活リズムが異なりますし、四六時中両親が口を挟んでくるため、ついイライラしやすくなってしまいます。

また、赤ちゃんが産まれると義母や義父、友人や知人が訪問してくる頻度が多くなりますが、育児に追われ片付いていない家を見られることに抵抗を感じてイライラしてしまうことも多いようです。

赤ちゃんに会いたいという気持ちはありがたいことですが、自分に余裕がない時は無理をして会わず時期をずらしてもらうようにしましょう。

イライラの対処方法について

産後にイライラしやすいのは、このようにさまざまな原因が複雑に絡んでいるため起きています。産後に起きる身体の生理現象として致し方ない部分もありますが、ひとつひとつイライラの原因を理解し見直していくことで、対処することはできるでしょう。

ホルモンバランスを整えよう

ホルモンバランスを整えよう

産後は、女性ホルモンの分泌量が極端に少なくなるため、どうしても気持ちが不安定になりイライラしやすくなります。ホルモンバランスが完全に整うのは、生理が再開されてからになるので、当分はイライラしやすい状態が続くことを夫婦間で共有しておきましょう。

そのうえで、ホルモンバランスを整える対策を取るようにしてください。

栄養面でケアしよう

栄養面でケアしよう

産後は女性ホルモンが乱れやすいですが、食事の栄養面を見直すことで改善していくことができます。女性ホルモンは、大豆イソフラボン、ビタミンB6、ビタミンEが含まれている食材を取ることで、改善しやすくなります。

味噌や豆腐、豆乳などの大豆製品には、大豆イソフラボンやビタミンB6が豊富に含まれていますし、ウナギやカボチャにはビタミンEが豊富に含まれています。バランスよく毎日の食生活に取り入れることで、乱れた女性ホルモンを少しでも安定させていきましょう。

運動でケアしよう

運動でケアしよう

産後に起こる女性ホルモンの乱れは、軽い運動で回復させることができます。産後1ヶ月は安静に過ごす必要がありますが、それ以降は少しずつ身体を動かして女性ホルモンや身体の機能回復に努めましょう。

ストレッチをしたり、ヨガをしたり、ウォーキングをしたりするなど、軽い運動を行うことで血行が良くなりホルモンバランスも安定しやすくなります。少しの時間でも構いませんので、リフレッシュも兼ねて軽い運動を行うようにしましょう。

完璧主義をやめよう

完璧主義をやめよう

産後のイライラは、今まで通りにいかないことへの不満から引き起こされることが多くあります。思うように睡眠が取れない、家をキレイにしたいのに余裕がないなど、今までできていたことが簡単にできないため、イライラが起きてしまいます。

まずは、これまでできていたことを同じように完璧にやろうとすることは止めるようにしましょう。いつもの半分ほどクリアしていればOKという感覚になることで、気持ちに少し余裕が出てくるようになります。

できることは任せてとにかく睡眠

できることは任せてとにかく睡眠

産後は赤ちゃんのお世話や家事などに追われ、睡眠時間を満足に取れなくなります。しかし、睡眠時間を削れば削るほどイライラしやすくなるので、まずは優先順位として睡眠を確保するようにしましょう。

家の中が散らかっていようが、洗濯物が放置されていようが、とにかく眠るようにすることで、身体の機能回復が早まるようになります。産後の回復が早くなると、日常生活の再開もスムーズに進むため、結果的にイライラを感じる期間が短くなります。

家事は必要最低限で

家事は必要最低限で

産前に完璧に家事をこなしていた方にとって、産後思うように家を維持できないことはストレスに繋がります。しかし、育児中心の生活で家事も完璧にこなそうとすることは不可能に近いと言えるでしょう。

家事は必要最低限のレベルで抑えるようにし、料理もレトルトや冷凍食品、お惣菜を活用するのもひとつの方法です。いい塩梅の「手抜き」を修得することで、今後の育児や家事も無理なく乗り越えていくことができるでしょう。

周囲に理解を求めよう

周囲に理解を求めよう

産後にイライラしやすい人ほど、不満ややってほしいことを口に言えないことが多くあります。しかし言葉にしなければ相手には伝わりませんので、しっかりと意思を伝えるようにしてください。

もう少し家事に協力してほしいと曖昧に言うのではなく、「洗い物をしてほしい」「洗濯物をお願い」など、具体的に提案することで相手にとっても動きやすくなります。また、体調がまだ安定していない時期の訪問は控えるように伝えることも大切です。

辛い時は病院を受診

辛い時は病院を受診

色々対策をとってみても、一向に効果が現れないと更にイライラが増してしまいます。中々自己解決できない時は婦人科や心療内科を受診しましょう。イライラくらいで受診するなんて、としり込みしてしまうかもしれませんが、イライラ改善の治療を受けているお母さんは多いです。

また、イライラの原因は人間関係・ホルモンの影響・疲れなど多岐にわたります。自分はこれが原因だと思っても、診察を受けると他の原因が大きく関わっていることもありますので、効率的にイライラを抑えるためには病院受診がベスト。

治療方法はカウンセリングや漢方薬・ホルモン剤などがありますので、自分に合った治療を医師とよく話し合いましょう。

イライラから産後うつのケースも

イライラが悪化すると、家族に八つ当たる・手を上げてしまう・自分をダメな母親と考える、など産後うつへと進行してしまうことがあります。ただのイライラから「赤ちゃんが可愛くなくなった」「これからの子育てに自信が持てない」などと考えるようになると、産後うつへの第一歩となってしまうので、出来るならその前に病院を受診するのがベストです。

このまま放置すると自殺という最悪のケースも出てきますので、もし周りがおかしいと思った時は一緒に精神科や心療内科を受診してください。専門医とお母さん・家族が良く話し合って最善の治療方法を行っていけば、時間がかかっても必ず良い結果を得られるはずです。

まとめ

産後のイライラについて詳しくご紹介しました。イライラが起きる原因にはたくさんのことがあり、ひとつだけとは限りません。さまざまな原因が重なることによりイライラは増幅し、結果的に自己嫌悪に陥ってしまうようになります。

産後のイライラを解消するためには、自分の気持ちを周囲に伝え、理解してもらうことがとても大切です。ひとりで育児を抱え込まず、みんなで一緒に赤ちゃんを育てていくことで、イライラを少しでも早く解消していってください。