産後の肥立ち (回復)について知っておきたいこと

出産という大役を終えると、肥立ち(ひだち)という言葉をよく耳にするようになります。医師から「「産後の肥立ちが良いですね」と太鼓判を押されることもあれば、「産後の肥立ちが悪いので安静にしましょう」と注意されることもあるでしょう。

肥立ちとは、簡単に説明すると回復という意味があります。普段あまり聞くことのない言葉ですが、実は身体にとってとても大切な意味を現していますので、産後の肥立ちについて詳しくご紹介していきましょう。

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産後の肥立ち(ひだち)とは?

産後の肥立ち(ひだち)とは?

産後の肥立ちとは、簡単に説明すると妊娠する前の状態まで身体が回復することを意味しています。妊娠や出産により女性の身体には大きな変化が生じますが、出産を終えて回復していくと元のような身体に戻っていきますが、その状態を表しているのが「産後の肥立ち」という言葉なのです。

回復がスムーズで良い傾向にあると「肥立ちが良い」と言われ、回復が滞っていてなかなか元に戻らない状態のことを「肥立ちが悪い」と言います。

産後は身体にはどんな変化が起きる?

産後の肥立ちの善し悪しは、身体の回復スピードによって現されます。では、具体的に身体にはどんな変化が生じているのでしょうか。

妊娠による身体の変化

妊娠による身体の変化

まず、妊娠することにより女性の身体には胎盤が作られ、子宮もどんどん大きくなって胎児を成長させていきます。胎児の成長に合わせて子宮が大きくなるので、骨盤内に納まりきれなくなるため、骨盤の靭帯や関節を緩めて広げていき胎児を成長しやすくしていきます。

出産による身体の変化

出産による身体の変化

赤ちゃんが出産する段階になると、陣痛が起きて骨盤がより大きく開くようになります。自然分娩の場合、狭い産道を抜けて外の世界に出る必要があるからです。

赤ちゃんが産道を通り抜けるためには、骨盤が大きく開く必要があるため出産後はしばらく骨盤が開いた状態になります。

産後による身体の変化

産後による身体の変化

出産後は、赤ちゃんを保護していた卵膜や子宮内膜、胎盤などが不要になります。そのため、「悪露(おろ)」と呼ばれる血液や組織が混じったものが膣から体外へと分泌されるようになります。

子宮の中がキレイになり、大きく膨らんでいた子宮が徐々に小さくなることで、悪露も落ち着き子宮の大きさも元通りに近づいてくるでしょう。

産後身体の変化はいつまで続く?

産後身体の変化はいつまで続く?

女性の身体は、妊娠、出産、産後と大きく変化していきます。では、その変化はいつまで続くのでしょうか。子宮の大きさが元に戻ってきたり、悪露が落ち着いたりしてくるのには、産後3週間~8週間が必要だと言われています。

床上げ3週間について

よく「床上げ3週間」と言われるのは、産後は布団を敷きっぱなしにして安静にしておく必要があるということです。身体の回復が落ち着いたら、お布団を上げてしまいますが、それが早い場合ちょうど産後3週間経っている頃になるのです。

産後の回復スピードにより、産後4週間かかる人もいれば、産後8週間までかかる方もいらっしゃいます。

産褥期について

産後身体が回復するまでの期間は、産褥期(さんじゅくき)と言われることもあります。同じく布団を引いて安静に過ごす期間という意味です。

悪露が出ている期間使用するパッドのことを産褥パッドと呼びますし、その時に使用するショーツは産褥ショーツを言われます。産褥期間中は、横になって悪露が出終えるまで安静にする必要があるということなのです。

産後の肥立ち(回復)をよくすることとは

産後の肥立ち(回復)をよくすることとは

産後の肥立ちの善し悪しは、産後どう過ごすかによって大きく変わってきます。まず、床上げ3週間や産褥期と呼ばれるように、産後しばらくの間は安静に過ごすようにしましょう。

安静に過ごすということは、料理や洗濯などの水仕事をせず、1日のほとんどを寝て過ごしている状態のことを言います。赤ちゃんと共に横になり、心身ともに休めることで産後の肥立ちは良くなっていくことでしょう。

産後は身体を動かす時間を短くする

産後の肥立ちを左右するものとして、産褥期間中はできるだけ身体を動かさないようにします。例えば、スーパーにお買い物に出かけたり、掃除機をかけたりすることは止めましょう。身体を動かすことで、悪露が大量に出やすくなり負担になることがあるからです。

また、立った状態で活動する時間が長くなることで骨盤が開いたままの状態で内臓が下がっていくことになります。骨盤がまだ閉じていない状態の時だと、下がってきた内臓が骨盤内に入り込み、骨盤が閉まるのを邪魔してしまいます。いわゆる「内臓下垂」が引きこされてしまうため、産後は最低でも3週間は立つ時間や身体を動かす時間を短くするようにしましょう。

内臓下垂が招く身体の不調

内臓下垂が招く身体の不調

産褥期間中に安静にすることなく動き回ってしまうと、内臓下垂が起きてその後さまざまな不調が身体に現れやすくなります。

子宮が圧迫されて悪露が出にくくなり長引いてしまったり、膀胱が圧迫されて尿漏れが起きてしまったり、便秘症になったりする方もいらっしゃいます。

子宮の圧迫により子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系の病気を発する確率も上がると言われていますし、産後の生理不順にも影響しやすいので、できるだけ内臓下垂は避けたいところです。

産後は周囲のサポートでリラックス

産後は周囲のサポートでリラックス

産後の肥立ちを左右するのは、産褥期間中の影響が大きくなります。産後は、赤ちゃんのお世話や体力の回復で余裕がないことも多くなりますが、できるだけリラックスして過ごすことを意識するようにしましょう。

リラックスして過ごすためには、周囲のサポートが必要不可欠です。家族のサポートが受けられる場合は、この時期だけは思いっきり甘えるようにしましょう。

また、家族が仕事を休めない場合や、両親や親せきが家から離れている場合などは、地域のサポートサービスを活用するのもひとつの方法です。それほど、産褥期間中は産後の肥立ちに大きく左右するものだということを覚えておきましょう。

産後は栄養はしっかり摂ろう

産後の肥立ちを良くするためにも、産褥期間中はしっかりと栄養バランスのとれた食事を摂るようにしましょう。きちんとした食事を摂ることで、母乳の出も良くなりますし身体の回復に必要な栄養素も補給できるため、産後の肥立ちが良くなります。

母乳で赤ちゃんを育てる場合、鉄分やカルシウム、たんぱく質が不足しやすいので意識してしっかりと摂るように心がけてください。

産後は身体を温めるように

産後は身体を温めるように

産後の肥立ちを良くするためにも、身体が冷えないように注意してください。身体が冷えると血行が悪くなり悪露が出にくくなるからです。また、悪露だけでなく老廃物が排出されず新鮮な血液が運ばれてこないため、新陳代謝も鈍くなってしまうでしょう。

そうならないためにも、身体は冷やさないようにしてください。腰回りや下半身はホッカイロや靴下で保温し、温かい飲み物をゆっくり飲むようにしましょう。

悪露が落ち着いて医師の許可が下りれば、湯船に浸かってしっかりと身体を温めるのも効果的です。産褥期間中は基本的に感染を予防するためにもシャワーで過ごす必要があるので、湯船には浸からないようにしましょう。

産後は目を休める習慣を

産後は目を休める習慣を

産後の肥立ちを良くするためにも、産褥期間中はあまり目を使わないようにしましょう。目を使うことで脳が刺激されて疲労してしまうからです。

スマートフォンやパソコン、テレビなどからは刺激の強いブルーライトが出ていますので、産褥期間中はできるだけ短時間で用事を済ませるようにしてください。

東洋医学の視点からも、目を酷使すると血液をたくさん使い肝臓を疲れさせることから、産後は目を使わないようにすることが薦められています。

産後の肥立ちが悪い状態とは

産後の肥立ちを良くするためには産褥期間中が重要になります。しかし、思うように身体が回復せず「産後の肥立ちが悪い」と言われてしまう状況は、どのような状態になっていることを指すのでしょうか。

産褥熱が出る

産褥熱が出ている

産後の肥立ちが悪いと言われる症状として、産褥熱があります。産褥熱は大量の悪露と発熱が続く状態のことです。子宮や出産でできた傷から細菌が侵入してしまうため、高熱が出てしまうことがあるでしょう。

乳腺炎が出る

乳腺炎が出る

産後の肥立ちが悪いと言われる症状として、乳腺炎があります。乳腺炎は母乳が詰まって炎症を起こし発熱が続く状態のことです。乳腺が詰まると炎症が起きやすくなりますが、そこに細菌が感染すると化膿することもあるので、授乳により傷みが生じることも多いでしょう。

油っこい食べ物や甘い食べ物を摂取しすぎると、乳腺が詰まりやすくなり乳腺炎が起きやすくなるので注意するようにしてください。

子宮復古不全が続く

子宮復古不全が続く

産後の肥立ちが悪いと言われる症状として、子宮復古不全があります。子宮復古不全とは、妊娠により大きくなった子宮が、なかなか元の大きさに戻っていかない状態のことを言います。子宮が縮むスピードが遅いため、悪露が長引くのが大きな特徴です。

産後すぐの悪露が極端に少ない場合や、産後2ヶ月くらいまで悪露が続く場合は、子宮復古不全の可能性が高いと言えるでしょう。

尿漏れが起きる

尿漏れが起きる

産後の肥立ちが悪いと言われる症状として、尿漏れがあります。内臓下垂が起きることで骨盤底筋が支えきれなくなるため、少しの衝撃で尿もれしやすくなってしまうのです。尿漏れは骨盤底筋を鍛えたり骨盤の歪みを改善したりすることで緩和することができますので、産褥期間が開けたらエクササイズを開始するようにしましょう。

腰痛が起きる

腰痛が起きる

産後の肥立ちが悪いと言われる症状として、辛い腰痛もあります。腰痛は骨盤が開いて靭帯や関節が緩むことにより生じやすくなりますが、ストレスやホルモンバランスの影響を受けて痛みが出てくる場合もあります。骨盤が緩んだままだったり歪んだまま固定されたりしてしまうと、腰痛が起きやすく慢性化しやすいので注意しましょう。

産後うつになる

産後うつになる

産後の肥立ちが悪いと言われる症状として、産後うつがあります。食欲がなくなってしまったり、悲しい気持ちが続いたり、何をしても落ち込んだりしてしまうようになるのです。

産後はホルモンバランスや自律神経のバランスが崩れやすいため、産後うつを発症しやすいと言われています。育児をひとりで抱え込んでしまうと、産後うつになりやすいので、困っていることや気になっていることは、家族や医師に相談しその都度解決していけるようにしましょう。

産後の肥立ちと更年期の関係

産後の肥立ちの良し悪しは、その時の体調だけでなく未来の体調にまで影響することがあります。生理が終わる閉経期になると、更年期障害が起きる可能性があるからです。

産後の肥立ちが悪いことで、子宮が圧迫されて血流が悪いまま長年過してしまうと、更年期障害が重くなる傾向があると言われています。更年期障害はホルモンバランスの崩れや血液循環の停滞から引き起こされるケースが多いため、骨盤の状態が非常に重要になるのです。

産後の肥立ちを良くすることで、未来の更年期障害を防げるかもしれませんので、産褥期間中はしっかり安静に過ごすようにしましょう。

1ヶ月検診でチェックしてもらおう

1ヶ月検診でチェックしてもらおう

産後の肥立ちの良し悪しは、自分ではなかなかわからないという場合もあるでしょう。身体を休める産褥期間は最低でも3週間で、しっかり回復するためには産後6週間~8週間が必要になります。

途中、赤ちゃんと一緒に産後の1ヶ月検診を受けることがあるでしょうから、その時にいろいろ質問してみると良いでしょう。医師も、悪露の出方や子宮の状態などをチェックしてくれるので安心です。

医師から「普通の生活に戻って大丈夫ですよ」と言われれば、肥立ちが良い状態だということです。逆に肥立ちが悪い状態なら、「もう少し安静に過ごすようにしてください」と注意されてしまいます。

自宅での過ごし方が適切でない可能性もあるので、産後の肥立ちが悪い場合は、細かなことから医師に相談して修正できるようにしておきましょう。

まとめ

産後の肥立ちについて詳しくご紹介しました。身体の回復具合を表す肥立ちという言葉ですが、身体の状態を示す大切なバロメーターでもあるので、軽視しないことが大切です。

産後の肥立ちの良さは、出産直後の過ごし方によって大きく変わってくるので、安静に過ごしゆったりと心身を休めるようにしてください。産後の肥立ちを良くするためにも、やって良いことと良くないことを見極め、より良い状態で回復できるようにしていきましょう。

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