赤ちゃんは汗っかきで、すぐに体温が上がりがちです。室温を調整しようとエアコンをつけるものの、冷えすぎてしまったり空気が乾燥しすぎたりするため、風邪を引きやすくなってしまうこともあるでしょう。
自然に近い状態で身体を涼しくさせるために、エアコンではなく扇風機を使用したいと考える方も多いのではないでしょうか。
しかし扇風機を赤ちゃんに使用するのなら、いくつか知っておきたいことがあります。思わぬ事故を引き起こさないためにも、扇風機を使用するためにはどんな注意点と対策が必要なのか、詳しくご紹介していきましょう。
赤ちゃんに最適な温度を再確認する
個人差がありますが、大人がちょうど良いと思う気温は、赤ちゃんにとって寒すぎることがあります。扇風機を使って室内を赤ちゃんにベストの状態にするには、赤ちゃんの最適温度を再確認しましょう。
赤ちゃんにとって最適なのは18~28度。夏の場合25~28度くらいで湿度は45%~60%。大人ならちょっと汗ばむくらいの環境かもしれません。ちなみに冬の場合は18~22度くらいです。
扇風機を使えばある程度温度や湿度は下げられますが、あまりにも蒸し暑かったり温度が下がらないような時は、エアコンを併用して最適な温度・湿度をキープするようにしましょう。ただ、使用時間によって赤ちゃんの体温が下がりすぎる可能性もありますから、こまめに赤ちゃんの身体に触って冷たくないかどうかをチェックしてください。
赤ちゃんには扇風機の力は強い?
扇風機は、風を生み出す家電製品です。熱くて重い空気を扇風機の力で動かすことで、涼しくすることができます。
室内が同じ気温であっても、扇風機の風があたることで涼しく感じるのは、風がある作用を引き起こしているからです。
風が肌にあたることで、肌表面の温度を下げることができるため、体温が上がりすぎることを防いでくれます。ただ、この作用により違う現象が起きてしまうこともあります。詳しく見ていきましょう。
赤ちゃんの体温を奪う扇風機
扇風機の風に直接あたると涼しくなるのは、肌表面の温度が下がるからです。肌表面の温度が下がるのは、扇風機の風により温度が奪われていることが関係しています。
同じ気温であっても、風が吹いている日と風が吹いていない日では体感温度が違うように、風は人の体温を奪う部分があります。このことから、扇風機により必要以上に体温を奪ってしまうケースがあるのです。
赤ちゃんが長時間扇風機の風に当たり続けることで、どんどん体温が奪われ基礎体温が下がってしまうことがあります。赤ちゃんは体温調整がまだうまくできないため、風の影響をダイレクトに受けてしまうのです。
このことから、赤ちゃんに扇風機を使用するのは注意すべきだと考えられています。
赤ちゃんの体温が下がる場合の影響
赤ちゃんが長時間扇風機の風に当たり続けると、体温が奪われてしまうことがあります。赤ちゃんの基礎体温は、大人よりも高い37.5℃前後が平均となっていますが、体温が高いことで外から侵入してきたウィルスや細菌をやっつける効果があるのです。
しかし、体温が下がることでその機能が下がってしまい、ウィルスや細菌の影響を受けやすくなってしまいます。
体温が低くなると、下痢が続いたり、風邪を頻繁に引いたりすることが増えるため、体温はできるだけ下げないようにすることが赤ちゃんの健康には重要となります。
気化熱に注意
赤ちゃんが扇風機の風に長時間当たり続けると、体温は奪われてしまいます。短時間なら大丈夫だと考えがちですが、条件によっては短時間でも急速に体温が奪われてしまうことがあるので注意が必要です。
お風呂上りなど身体が濡れている状態で扇風機の風に当たってしまうと、水分が蒸発するとともに熱もたくさん奪われてしまいます。
気化熱と呼ばれる現象で、道路に打ち水するとひんやりする効果と同じです。お風呂上りだけでなく、汗をたくさんかいている場合も同じように熱が奪われてしまうため、こまめに汗を拭きとり、濡れた衣服は着替えるようにしましょう。
扇風機の上手な使い方 対策
扇風機の角度を調整
赤ちゃんに扇風機の風を直接当てると、必要以上に体温を奪ってしまう可能性があるため、直接当てないようにすることが大切です。しかし、扇風機を使用して赤ちゃんを涼ませたい場合はどのように使用すればよいのでしょうか。
まず、赤ちゃんには間接的に風を届けるようにしましょう。例えば、扇風機を壁に向けて動かすことで、壁に当たって弱まった風が赤ちゃんに届くようになります。強い風だと効果はありませんので、弱程度の風にすると安心でしょう。
また、首ふり機能を利用して壁に風を当てるようにすると、風があたるときとあたらないときのリズムが生まれるため、ずっと体温が奪われ続けるという心配もなくなります。壁のほかに天井に風があたるようにするのも効果的です。
タイマー機能を利用
赤ちゃんを扇風機で涼ませたいなら、壁や天井を使って間接的に風を届けるのが安心です。首ふり機能を使えば、ずっと風が当たり続ける心配はありませんが、念のためタイマーをかけておくようにしましょう。
1時間ごとに設定しておき、赤ちゃんの体温に影響がないかチェックしていきます。手足に触れてひんやり冷たい状態になっていたら、身体が冷えてきている可能性が高いので扇風機の使用はいったん中断しましょう。
逆に手足が熱く汗もびっしょりかいている状態なら、扇風機で涼みきれていない可能性があります。汗をぬぐい、着替えをさせて扇風機を少し強めの中にしたり、エアコンに切り替えたりするようにしましょう。
扇風機で室温を下げる
できるだけ自然に近い状態で育てたいから、エアコンをできるだけ使いたくないというお母さんもいらっしゃると思います。
しかし、かなり気温が上がっている場合、エアコンを使用する方が赤ちゃんの身体に負担がかからないこともあるので臨機応変に対処することが重要です。ただ、そこまで気温は高くなくても少しひんやりさせてあげたいという事もあるでしょう。
そんな時は、洗面器などに氷を入れ、塩を振って扇風機の前に設置しましょう。扇風機の風が塩と氷にあたることで、ひんやりと冷たい空気をお部屋に送ることができます。エアコンを使用しなくても、室温を調整することができるので試してみると良いでしょう。
ただ、塩と氷に赤ちゃんが触れてしまう危険性もあるので、手の届かないようにガードしたり、距離を離しておいたりすることも大切です。腰が据わって自由に移動できる状態に成長している場合は、エアコンに切り替えた方が安全と言えるでしょう。
室内が暑い時は扇風機を外に向けて
扇風機は部屋の空気を回して風を作るものです。ですから、外気温よりも室内の温度が高い場合は、扇風機を使っても熱い空気が回るだけで部屋の温度が下がることはありません。
こんな時はエアコンの出番ですが、設置していなかったり赤ちゃんの身体に悪いから使わないと考える方もいらっしゃいます。そんな時は扇風機を外に向けて回してみてください。
強制的に室内の空気が外に出され、代わりに外の涼しい空気が入ってきます。ただ窓に向けて置くだけでも効果的ですが、窓からドアまでの風の通り道に扇風機を置くと更に入ってくる風の量がアップします。早く部屋を涼しくしたい時は、複数個同じように置くのも良いでしょう。
赤ちゃんの怪我に注意
赤ちゃんの月齢が進み、寝返りや動けるようになっている状態なら、扇風機に触れないようにすることが大切です。寝相で知らないうちに動いて扇風機を倒してしまい、思わぬ怪我をしてしまう可能性があるからです。
また、気づかないうちに起きて扇風機の羽を触ろうとして、指を怪我してしまうこともあります。赤ちゃんの指は細いため、簡単に扇風機の羽に接触してしまいますから、羽のないタイプの扇風機にしたり、ネットなどでガードしたりしておくようにしましょう。
汗疹と扇風機、エアコンの兼ね合い
扇風機を使用することで、自然に近い状態で気温や体温を調整することができます。しかし、汗をたくさんかいて汗疹ができてしまっている赤ちゃんなら、エアコンの方が扇風機より快適である可能性が高いでしょう。
汗疹を緩和させるためには、できるだけ汗を肌に残さないことが重要になります。こまめにシャワーを浴び、必要以上に汗を出さないことで回復が早まりますので、汗疹がひどい場合は扇風機からエアコンに切り替えるようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんに扇風機を使用するに当たり、知っておきたい注意点や対策をご紹介しました。基本的に扇風機の風は赤ちゃんに直接当たらないようにしましょう。
そして気温がかなり高い日は、扇風機だけだと体温を調整できないこともあるので、エアコンに切り替える柔軟さが大切です。
扇風機の風は自然に近いため、優しく赤ちゃんを涼ませてくれますが、汗をかいている状態や身体が濡れている状態だと、必要以上に体温が奪われてしまうことも忘れないでおきましょう。こまめに赤ちゃんの状態をチェックしながら扇風機を上手に利用し、快適に夏を乗り切ってください。