赤ちゃんの口に小さな歯が生えてくるのが確認されると、こんなに大きく成長したのかと実感しますよね。赤ちゃんの歯が生えそろってくると、食べられるものも増えてきますし顎の筋肉も発達して顔の形も変化してきます。
しかし、歯が生え始めたころから「キリキリ」と歯ぎしりをする赤ちゃんが出てきます。赤ちゃんは何故歯ぎしりをするの?歯が欠けてしまわないか心配、歯並びに影響が出るのでは?と心配になるお母さんも多いことでしょう。そこで、赤ちゃんの歯ぎしりに関する情報を幅広くご紹介していきたいと思います。
赤ちゃんの歯ぎしり
赤ちゃんが歯ぎしりを行うのは、決して珍しいことではありません。赤ちゃんが歯ぎしりをするのは、多くの場合成長過程で生じています。
特徴として、赤ちゃんの歯ぎしりは寝ているときだけでなく、起きている時にも行われることがあるという事です。
そのため、歯ぎしりだと気づかないまま消失していることもあります。では、赤ちゃんの歯ぎしりは何故起きてしまうのでしょうか。
歯ぎしりの原因は?
赤ちゃんの歯ぎしりが起こる原因にはさまざまなことが関係していますが、多くのケースで「生えてきた歯を観察している」というのが原因となっています。
赤ちゃんにとって口の中に突如現れた硬い物体は、不思議で仕方がないものなのです。舌で触ったり、上下をすり合わせたりしながら歯の存在を認識しようとしていきます。
歯の存在を少しずつ認識し、いろんな動きを試してみることで、次第に上下の歯を噛みあわせていけるようになるでしょう。何度も歯ぎしりをしながら歯を噛みあわせていくことで、自然と噛むことの練習をしているのです。
むず痒さの解消
赤ちゃんが歯ぎしりをするのは、歯が生えてくるときのむず痒さが原因の場合があります。赤ちゃんの歯は、生後6ヶ月くらいから徐々に生えてきて、1歳くらいになるまでには上下8本の歯が生えてきます。
時間をかけてゆっくりと歯が生えてくるため、歯茎が時々むず痒くなることがあるのです。赤ちゃんが歯ぎしりをするのは、そのむず痒さを解消するために行っているとも言われています。
歯ぎしりをしない赤ちゃんも、頻繁におもちゃを噛んだりすることが増えるため、歯のむず痒さは赤ちゃんにとって共通の悩みとも言えるのではないでしょうか。
顎の筋力
赤ちゃんの歯ぎしりは、繰り返されることで顎周りが刺激されていきます。何度も歯ぎしりすることで上下の歯が噛みあわせる顎の位置が決まり、周囲の筋肉が発達して噛む力が徐々についてくるようになります。
月齢が進むと、おもちゃを掴んで口に入れて噛む仕草をすることが多くなりますが、無理にやめさせる必要はないでしょう。
おもちゃに興味を示し、口の中に入れて感触を確かめているという事もありますが、おもちゃを噛むことで顎の筋力を鍛えるメリットもあるのです。
ストレスの可能性は?
赤ちゃんの歯ぎしりがあると、ストレスが溜まっているのではないかと心配になるお母さんもいらっしゃいます。確かに大人の歯ぎしりはストレスが原因になることがありますが、赤ちゃんの場合その心配は必要ないでしょう。
歯が生え始めたころの赤ちゃんは、歯を認識したり、どう使おうとするか考えたりするために歯ぎしりを行います。
また、むずむずと生えてくるときの痒みを解消するために歯ぎしりをする場合もあるでしょう。このため、まだ乳歯が生えそろっていない段階の歯ぎしりが、ストレスが原因である可能性は低いと言えます。
歯ぎしりは遊びのひとつの場合も
赤ちゃんは自分の体を使って、毎日新しい物事を発見していきます。手で触ったり寝返ったり首を回したりと忙しいですが、その中に歯ぎしりも含まれています。
寝ている時に起きる歯ぎしりは顎の位置を調整する意味合いが強く、また日中起きている時の歯ぎしりは上下の歯を合わせる事で出るカリカリという音に興味を持って遊んでいる場合があります。
昼も夜も歯ぎしりを繰り返す赤ちゃんを見ると心配になるかもしれませんが、赤ちゃんの興味はコロコロ変わっていきますから、様子を見るに留めましょう。あまりにも歯ぎしりに熱中していると見られる時は、さりげなく違う遊びに誘ったりして気をそらせるようにしてみましょう。
歯ぎしりの予防
赤ちゃんの歯ぎしりは、歯の成長において必要なもののひとつと言えます。生理的なものなので、月齢が進むと徐々に落ち着いてきますが、歯ぎしりが気になる場合は「歯がため」を与えてみると良いでしょう。
歯がためを与えることで、他のおもちゃを噛んだり、歯ぎしりをしたりすることが減ると言われているからです。しっかり噛むべきものを与えることで、歯ぎしりによる圧力を軽減させることができるでしょう。
歯並びや擦り減りへの影響は
赤ちゃんの歯ぎしりが続くと、歯並びへの影響が心配になるお母さんも多いことでしょう。平均的に、赤ちゃんの歯ぎしりは歯が生え始めてくる時期に多いため、月齢が進むと減少していく傾向にあります。
乳歯が生えそろうのは1歳半~2歳くらいまでの間と言われていますので、歯が生え始めた段階で歯ぎしりをしていてもさほど影響がある可能性は低いでしょう。
また、せっかく生えてきた乳歯が歯ぎしりにより擦り減ってしまうのではないかという心配もありますが、基本的に歯ぎしりでかけてしまう可能性は低いと言えます。
ただ、かなり長期間にわたり歯ぎしりが続く場合、稀に歯が欠けてしまうこともありますが、わずかですし歯に影響はないため、心配しすぎる必要はないでしょう。
歯ぎしりを続けると受け口になる?
歯ぎしりは上下の歯を合わせて動かしますが、その時上の歯の位置に下の歯を合わせるには下顎を少し前に突き出す必要があります。そうなると自然と受け口の状態になってしまうので、もしかしてずっとこのままではと心配されるお母さんも多いことでしょう。
しかし、奥歯が生えてきて食事を奥歯でしっかり噛めるようになる2歳半~3歳ごろになれば、自然と受け口は解消されます。歯ぎしりで受け口になる事はないので安心してください。
それよりも問題なのは指しゃぶりで、3歳過ぎても指しゃぶりを続けていると受け口や噛み合わせのトラブルが出てくる可能性が高くなるので、そちらを重点的にチェックしましょう。
歯ぎしりで出血したときは?
赤ちゃん歯ぎしりをした後に口内をチェックすると、出血していたという事がよくあります。びっくりしてしまうお母さんも多いですが、赤ちゃんは皮膚だけでなく体内の粘膜も弱いため、歯ぎしりをした時に柔らかい歯茎から出血しやすいのです。
歯茎は粘膜で血管が多く通っていますから、歯茎から出血は傷が小さくても量が多くなりがちです。量が多く見えたとしても、歯ぎしりの出血が自然に止まるようであれば問題ありませんので、慌てて病院にいく前に赤ちゃんの出血の様子をチェックしてください。
その代わり、自然に止まっても何回も出血する場合や出血量が多く止まらないようなら、小児科や小児歯科を受診しましょう。
いつからの歯ぎしりが心配?
基本的に、歯が生え始めた時期の歯ぎしりは生理的なものなので心配はいりません。ただ、乳歯が生えそろう2歳半~3歳くらいの時期になっても歯ぎしりが治まらない場合は、心理的なストレスが関係している可能性があります。
歯のむず痒さや、歯をどう使うかはすでに理解しているため、心理的な影響が歯ぎしりに現れていると言えるでしょう。育児休暇が終わってお母さんと離れる時間が多くなったり、保育園での人間関係が影響したりすることもあるようです。
歯が生えそろっても歯ぎしりが続く場合は、スキンシップをしっかり取ってできるだけストレスを緩和させてあげるようにしましょう。
急に始まる歯ぎしり
今まで歯ぎしりをすることはほとんどなかったのに、急に歯ぎしりをするようになった場合も、心理的なストレスが関係している可能性があるでしょう。
環境が大きく変わったり、妹や弟ができたりすると、歯ぎしりをし始める場合があります。赤ちゃんにとって安心できる環境が崩れ、いつもそばにいたお母さんと一緒に入れないというのは強いストレスになるのです。
身体はどんどん成長していても、心はまだ赤ちゃんのまま緩やかに成長していることも多いので、急に大人扱いせずにしっかりコミュニケーションを取るようにしましょう。
物わかりが良く我がままを言えない性格の子ほど、寝ている間に歯ぎしりが現れることが多いようです。ギュッと抱っこしてスキンシップを取ったり、一緒にお風呂に入ったりしながら二人の時間をきちんと取るようにしましょう。
心配な場合は歯医者さんへ
基本的に、歯が生えそろうまでの歯ぎしりは生理的なものなので心配する必要はありません。しかし体質によっては歯がもろい場合もあるので、歯が欠けたりグラグラしたりしている場合は、歯医者さんに相談するようにしましょう。
マウスピースや歯がためなど、適切なアドバイスを受けることができます。また、歯磨きのケアや虫歯のチェックなども行ってもらえるので、かかりつけの歯医者を早めに見つけておくことも大切です。
ここまでのまとめ
赤ちゃんの歯ぎしりについてさまざまな情報を幅広くご紹介しました。赤ちゃんが歯ぎしりをするなんてとビックリされる方も多いでしょうが、生理的な現象なので特に心配する必要はありません。
ただ、急に歯ぎしりが始まったり、乳歯が生えそろっても歯ぎしりが続いたりする場合は、心理的なストレスが関係している可能性もあるので注意が必要です。赤ちゃんの様子をしっかり観察しながら、健康な歯と心を育めるようにしていきましょう。