赤ちゃんに歯固めを与えるか迷っているときに知っておきたいこと

赤ちゃん 生活

歯がためとはもともとは「お食い初め」の儀式の中で行われる伝統儀式のひとつ。「歯がための石」と呼ばれる石を用いて、赤ちゃんに健康で丈夫な歯が生えそろうことを願うのが「歯がため」の儀式になります。

伝統的な儀式とは別に、歯がためにはもうひとつの意味があります。それは乳歯が生えてきて「歯ぐずり」を始めた赤ちゃんに与える「歯がため」。乳歯が生えかけた赤ちゃんが噛むことにより、顎や乳歯の発達を促し、歯茎や口の中に感じるむず痒さを軽減してくれます。

歯がためは本当に必要なのか?歯がためを行う時期はいつからいつまで?歯がための選び方のポイントとは?など、赤ちゃんの歯がためについて知っておきたいさまざまな情報をご紹介します。

目次

歯がためは必要?必要ではない?

歯がためは必要?必要ではない?

赤ちゃんの歯ぐずりを治すための歯がためについて考えてみましょう。歯がためとは乳歯の生えはじめた赤ちゃんに与えるもので、赤ちゃんが噛んでも害にならないような特殊な素材でできています。

食べ物以外のものを赤ちゃんが舐めたり、噛んだりするのは不潔そうだし、安全かどうか心配、という方もいるようですが、歯がためを与えることにより得られるメリットは多く、赤ちゃんの歯や歯茎、そして顎の発達に重要な役割を果たしてくれます。

何でも噛まない、歯ぐずりが少ない赤ちゃんは歯がためが絶対に必要ではないです。歯がためを与えない場合の意見として、歯並びが心配、歯がためを卒業する時が大変などがあります。

しかしほとんどの赤ちゃんが何かしらを口に持っていきます。タオル、ガーゼ、おもちゃ、ぬいぐるみ、おしゃぶり、指、爪などを口に含むよりも、歯がための方がメリットがあり安心なので与えている場合が多いようです。

おしゃぶりと同様に両方の意見がありますので両親で話し合って与えるか決めるようにしましょう。気になる場合は医師に相談してみると良いでしょう。

歯がためのメリットとは

歯ぐずりの緩和

歯ぐずりの緩和

歯ぐずりとは乳歯が生えはじめたばかりの赤ちゃんがぐずることを指します。乳歯が少し生えかけているために、歯茎や口の中がなんとなくむず痒く、ぐすぐすと泣いたり、手近にあるものを口の中に入れて噛んだりします。

昼間だけでなく、夜間も歯ぐずりをすると、お母さんも赤ちゃん本人も体力を消耗してしまう結果に終わります。赤ちゃんは言葉で気持ちを表現できませんので、いつまでもぐすぐず泣いてしまい、お母さんをイライラさせる原因となります。

歯ぐずりとは?

歯ぐずりとは?

歯ぐずりは乳歯が生えてくる時期に生じるもので、時期的には生後6ヶ月前後から始まり、乳歯が数本生えるまで続くことが多いようです。歯ぐずりの症状が出るかどうかは赤ちゃんによって異なります。

乳歯が生え始めてからすべて生え終わるまで、まったく歯ぐずりをしない子もいれば、一本目の乳歯が生える前からなんとなくぐずり始める子もいます。

歯ぐずりが生じるのは、乳歯が歯茎から上に出てこようとすることにより、歯茎に痒みや違和感を感じるため。生えかけの歯が歯茎を刺激するため、なんとなく熱っぽく感じてしまい、痛いような、痒いような感覚を覚えるようです。

歯ぐずりの症状とは?

歯ぐずりの症状とは?

歯ぐずりの症状をいくつか挙げてみましょう。夜泣きをする、なんとなく不機嫌でぐずることが多い、よだれの量が急に増えた、ミルクや母乳を飲まない、離乳食を嫌がる、指をしゃぶる、手近なものを口に入れて噛んでしまう、ぐずりなきが増える。このような症状が生後6ヶ月前後に見られたら、歯ぐずりが疑われます。

歯がための効果

歯がための効果

歯がためを与えることにより、歯茎のむず痒さが軽減され、歯ぐずりの症状が緩和されます。歯がためを噛むことにより、顎が鍛えられると同時に、乳歯もしっかりと固定され、歯並びも良くなることが期待されます。

歯がためは口に入れて噛むだけでなく、手で掴んで遊ぶ機能も備えていますので、遊ぶことにより気が紛れ、歯ぐずりを効果的に緩和することが出来ます。

歯がためはいつからいつまで?

歯がためはいつからいつまで?

歯がためを与えるのはいつからが適当でしょうか?歯がためのいちばんの目的は歯ぐずりを軽減することにありますので、乳歯が生えはじめる頃が目安になります。

歯が生え始める時期には個人差があり、早い赤ちゃんでは生後3ヶ月目で最初の一本が生え始めます。平均的には生後6ヶ月くらいから生えはじめることが多く、ほとんどの赤ちゃんは生後6ヶ月から9ヶ月目の間に、下の前歯が生えてきます。

歯ぐずりがもっともひどいのは、最初の乳歯数本が生える頃といわれています。最初の2、3本が生えるまでがいちばん歯茎がむず痒い時期なので、歯がためを与えるのに最適な時期は、最初の乳歯が生えてから数ヶ月間といえそうです。

乳歯が生える前の歯ぐずり

乳歯が生える前の歯ぐずり

ただし赤ちゃんによっては、乳歯が生えはじめる前から歯茎がむずむずしてしまい、歯ぐずりを始める子もいます。たとえ乳歯がまだ生えていなくても、生後6ヶ月頃になって急に夜泣きやぐずることが多くなったら、歯ぐずりの可能性が高いでしょう。

注意深く赤ちゃんの歯茎を観察してみましょう。乳歯が生えてくる部分の歯茎が少し膨らんでいたり、腫れているように見える場合には、乳歯がいよいよ歯茎から出てこようとしている兆候かもしれません。乳歯のあるなしに関わらず、上に挙げたような歯ぐずりの症状が見られたら、歯がためをあげる時期が来たと受け止めましょう。

歯がためはいつまで行う?

歯がためはいつまで行う?

歯ぐずりのピークは最初の2本の乳歯が生えるまで、といわれています。乳歯が生えてくる時期は赤ちゃん一人一人異なりますので、歯ぐずりをやめる時期に関しても始める時期同様、赤ちゃんの成長の度合いに応じて行う必要があります。

また歯ぐずりがいつまで続くかに関しても個人差があり、乳歯が2、3本生えてきたら自然に治る場合もあれば、上の歯・下の歯がある程度生えそろうまでずっと続く場合もあります。歯がためを始めたら注意深く赤ちゃんを観察し、歯ぐずりの症状が改善されているかどうか確認しましょう。

歯ぐずりが止まったら、歯がためをやめても構いせんが、歯がためには手で握って遊べるものや、音が出るもの、カラフルな色彩でおもちゃ感覚のものもたくさんあります。歯がためを購入する際には「歯がため」+「おもちゃ」として使えるものを選んでおくと、長く使えて便利です。

歯がためを選ぶポイントとは?

歯がためを選ぶポイントとは?

赤ちゃんの歯がためを選ぶためのポイントを挙げていきましょう。赤ちゃんが口に入れるものですので、まず第一に考えるべきは安全性。どんなに機能性に優れていても、素材に不安があるものは絶対に避けなければなりません。

次に大切なのは赤ちゃんが握りやすく、噛みやすい形状のものを選ぶこと。手指の機能がまだ十分でない赤ちゃんでも、しっかり手で掴めるものを選ぶようにしてください。

もうひとつは水洗いが出来て、汚れが簡単に落ちること。赤ちゃんが口に入れて噛んだり、舐めたりするものですので、水洗いできて、汚れをすっきり落とし、清潔な状態に戻せるものが理想です。

安全性について

安全性について

歯がため選びでもっとも重要なのは安全性。塩化ビニールの中には、赤ちゃんの体に害を及ぼすものもあります。歯がためを選ぶ際には、使用素材を徹底的にチェック、リスクのあるものは絶対に避けましょう。

人気が集中しているのは、天然素材を用いたものや安全なシリコンを使用したもの。天然木を使用したもの、植物性の塗装が施されたものや、本物のお米を使用したものなど、安全性に配慮した製品を選ぶようにしましょう。

衛生的なもの

衛生的なもの

噛みごたえを考慮して、表面に凹凸を施したものも人気ですが、毎日赤ちゃんが噛むものですので、洗いやすさや汚れの落ちやすさも選択基準のひとつになります。洗いやすさから考えると凹凸がなく、表面が平坦なもののほうが毎日のお手入れが楽になります。

他にも製品によっては、水洗い出来ないものもありますので、どのような歯がためを望んでいるかを決めた上で、いろんな製品を比較して購入するようにしましょう。

機能性を追及したもの

機能性を追及したもの

安全性や利便性だけでなく、機能性にも注目しましょう。歯がためという目的だけならば、ほんの数ヶ月で卒業してしまう赤ちゃんもたくさんいます。せっかく購入するのであれば、歯がため兼おもちゃとしても使えるものにしましょう。

ガラガラのように音が出る機能を備えているものや、赤ちゃんの興味を引きやすい明るい色が使われているもの、外出したときに使用できるようなもの、ペンダントタイプでお母さんの胸元で赤ちゃんが遊べるものなど、市販の歯がためは種類もタイプもさまざまです。

他にもベビーカーに取り付けられるタイプやぬいぐるみタイプの一部に歯がためを付けたものなど、赤ちゃんが喜びそうなものを選ぶようにしましょう。

冷やして使えるもの

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歯がむず痒く、ぐずっている赤ちゃんには、冷たく冷やした歯がためがお勧めです。歯がための中には冷蔵庫で冷やして使えるものもあります。

生えかけの乳歯が歯茎を圧迫することにより生じるむず痒さや痛みをほどよく緩和してくれます。

ペンダントタイプのもの

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お母さんの間ではペンダントタイプの歯がためも人気です。アクセサリーとして胸元につけられますので、赤ちゃんを抱っこしているときにもこれであやせて便利。歯がためとは思えないようなすっきりしたデザインのものもあり、選ぶ楽しみも味わえます。

赤ちゃんが握りやすいもの

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他のお母さんに勧められたから、人気の商品だからといって、必ずしもすべての赤ちゃんが気に入るとは限りません。歯がためは赤ちゃんの歯ぐずりを緩和するのが目的ですが、当の赤ちゃんがきちんと手で握ることが出来ないと意味がありません。

機能性やデザイン性も重要ですが、赤ちゃんの手のサイズにぴったり合った、握りやすいものを選んであげるのもお母さんの愛情です。赤ちゃんの小さな手でも握りやすい、扱いやすいものを選ぶようにしましょう。

おしゃぶりは歯がための代用になるのか?

おしゃぶりは歯がための代用になるのか?

歯がための役割を考えると、歯茎に触れるおしゃぶりでもよいのでは?と考えてしまいますね。おしゃぶりだって口に入れるものだから、歯が生える前のうずうずした感じを減らせるように思えますが、実際のところおしゃぶりは歯がための代用にはなりません。

実は、歯がためはこれまで吸うだけだった口の動きに、噛む動きを覚えさせるという役割も持っています。おしゃぶりは吸う動きに合わせたおもちゃですから、噛む動きではボロッと下におちてしまうのです。

また、おしゃぶりの素材はシリコンで、歯がために比べると柔らかいですから、赤ちゃんにとっては物足りないかもしれません。口の中でかみ続けてシリコンが切れてしまっても危ないので、おしゃぶりが好きな赤ちゃんでも、この時期は歯がためを用意しておきましょう。

歯がための儀式とは?

歯がための儀式とは?

歯がための儀式は「お食い初め」の儀式の中で行われるもので、日本では伝統的に赤ちゃんに乳歯が生えるころに親族を招き行われてきました。

お食い初めとは、赤ちゃんに歯が生えるまで成長したことに感謝し、それとともにこれからもますます健康で長寿を全うできるよう、一生食べ物に困らないような人生になるようにとの願いを込めてとり行われる伝統儀式です。

お食い初めとは?

お食い初めとは?

お食い初めの儀式は通常生後100日目から120日目を目安に行われます。これはちょうど赤ちゃんの乳歯が生えてくる時期で、お父さんやお母さんはもちろん、祖父母やその他の親族が出席し行います。

お食い初めで用意される食べ物は「一汁三菜」。伝統的には祝い箸は柳で出来た先細りしたもの、食器は漆器という決まりがありますが、現在ではこれにこだわることなく、ベビー用の可愛い食器を用いて略式で行う方法も人気です。

お食い初めの呼び方

お食い初めは全国各地で異なる呼び方をされています。お食い初めという呼び名がもっとも一般的ですが、他には「歯がため」、「箸そろえ」、「百日の祝い」、「真魚はじめ」、「箸付け」など。それぞれの地域によって呼び方は異なりますが、内容自体はほとんど変わりません。

歯がため石とは?

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お食い初めの儀式で使われる石は「歯がため石」と呼ばれます。伝統的には歯がため石はお宮参りのときに神社から授かった石を利用していましたが、現在では市販のお食い初めセットに含まれている場合もあります。

神社で祈祷してもらった石を使うというのが本来の方法ではありますが、どうしてもそうしなければならないというものではありませんので、市販されている歯がため石を用いても構いません。乳歯入れとセットになったものは、記念として残しておけて便利です。

お食い初めの歯がための行い方

お食い初めの儀式の中での歯がためのやり方について説明してみましょう。まず箸を歯がため石にちょっと付けます。

そのあと石につけた箸を赤ちゃんの歯茎につけて終わり。地域によっては歯がため石を直接赤ちゃんの歯茎に付けるところもあるようですが、慣れていない方が行うと、赤ちゃんが小さな石を誤って飲み込んでしまうおそれもありますので、箸を石につけてから、赤ちゃんの歯茎につけるやり方のほうが安心です。

まとめ

赤ちゃんの歯がためについて、歯がための儀式から市販の歯がためのおもちゃまで、歯がためについて知っておきたいさまざまな情報ををご紹介しました。歯がための儀式は生後100日目に行われる「お食い初め」の儀式の中のひとつ。丈夫な歯で健康な一生を送ってもらいたいとの願いを込めて、歯がための石で赤ちゃんの健康と長寿を祈願するのが目的です。

歯がためは儀式を意味するだけではありません。赤ちゃんが噛んでも安心な天然素材で作られた「歯がため」はベビー用品メーカーから各種販売されていますので、人気の製品をチェックしておき、赤ちゃんが気に入るものをぜひ用意しておきましょう。

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