可愛い赤ちゃんの仕草を見ると、ついつい触りたくなりますよね。小さい手足、柔らかいほっぺたといろんな場所を触っていると、頭のへこみを発見してビックリしたという経験はないでしょうか。
どこかに頭をぶつけたのかもしれない、もしかしたら重大な病気かもと、慌ててしまうお母さんも多いと思います。しかし、頭のへこみはどの赤ちゃんにも生じるものです。
成長するにつれて徐々に変化していくものですが、なぜへこみが生じるのか気になるところです。そこで、赤ちゃんの頭のへこみに関する情報を幅広くご紹介していきたいと思います。
頭のへこみの原因
赤ちゃんの頭にへこみが生じるのには原因があります。もともと頭の骨は1つではなく、さまざまな骨が集まってできています。
前頭骨、頭頂骨、側頭骨、後頭骨、蝶形骨などが成長するにつれて結合していきますが、産まれたばかりの赤ちゃんは、まだこれらの骨が結合されていない状態にあります。
そのため骨と骨との間に隙間ができ、そこに触れると柔らかくへこんでしまうため、頭にへこみが生じる場所ができてしまうのです。大きな隙間は大泉門と呼ばれ、その他にも小泉門など小さなへこみがいたるところに生じています。
大泉門の位置
赤ちゃんの頭のへこみで、最も大きいとされるのが大泉門と呼ばれる部分です。大泉門は頭部の前面エリアに存在し、ちょうどおでこより少し上の髪の毛の生え際あたりに生じています。
大泉門のへこみはひし形をしており、触るとぶよぶよしていて柔らかいのが特徴です。大泉門を観察すると、脈を打つように動いていたり、泣いているときにへこんだりすることが確認できるでしょう。
ちなみに、小泉門は頭部の後面エリアに存在し、大泉門に比べると小さめとなっています。
へこみが動く理由
赤ちゃんの頭のへこみを触ってみると、心拍に合わせて動きます。これを見たお母さんはびっくりして何か異常があるのでは、と悩む方も少なくありません。
しかし、赤ちゃんの頭のへこみには頭蓋骨の隙間部分に当たり、頭蓋骨内を走る血管の動きがそのまま伝わって発生するものですから、心配する必要はありません。
また、頭のへこみが通常よりも膨らんでいたりへこみが深いようならば病気の可能性があると言われていますが、血圧の変化によってもへこみが異なります。例えば血圧の低い夜などはへこみが深くなる傾向にあるので、頭のへこみだけに注目するのではなく、赤ちゃんの全身を見て異常を見つけるようにしましょう。
隙間がある理由
赤ちゃんの頭蓋骨は、さまざまな骨が結合されていない状態になっているため、あちらこちらに隙間があります。
そのため、いろんなところにへこみが確認できますが、しっかり骨が結合されていないのにはきちんとした理由があるのです。
産道を通るため
赤ちゃんは産まれてくるときにお母さんの産道を通ってきますが、その時、頭の形を大きく変えることができなければ狭い産道を通過することはできません。
骨と骨の間に隙間があることで頭に柔軟性がうまれ、変形によるゆがみを吸収しながら狭い産道を通ることができるのです。
脳の成長するため
赤ちゃんの成長スピードは非常に速く、身長も体重もあっという間に増えていきます。その成長の中で、脳もどんどん大きくなっていくことをご存知でしょうか。
赤ちゃんはさまざまなことを学びながら脳を活発に使い、大きく成長させていきます。もしその時に頭蓋骨がしっかり結合されている状態になっていたとしたら、脳の成長に制限がかかってしまうことになるでしょう。
頭蓋骨に隙間があることは、出産だけでなく脳の成長を妨げないという役割も担っているのです。
へこみをさわる時は丁寧に
赤ちゃんの頭のへこみで最も大きいのが大泉門ですが、あまりにも柔らかいため、何度も触っていると脳に影響が出るのではと心配になる方も多いのではないでしょうか。
大泉門のように頭にへこみがある部分は、骨がないため脳がむき出しの状態になっています。ただ、脳は強い筋膜に被われているため、少しの刺激で影響を受けることはほとんどありません。
シャンプーをしたり、撫でたりする程度の力なら問題ありませんので、神経質になる必要はないでしょう。しかし、筋膜が強いからといって乱暴に扱っても大丈夫というわけではありません。
大人のブラシで何度も髪をとかしたり、必要以上に頭のへこみを押したりしないようにしましょう。
激しい揺れに注意
赤ちゃんの頭のへこみは、骨が結合しておらず隙間があるのが原因です。この隙間があることで、赤ちゃんの脳は大人よりも刺激に弱くなりますので、注意が必要です。
骨と骨との間に隙間があることで、脳は頭蓋骨の中でぷかぷかと浮いた状態になります。そのため、激しく頭を揺さぶられると脳に直接強い衝撃がかかり、頭蓋内出血が生じてしまう恐れがあるのです。
赤ちゃんをあやそうと激しく頭を揺さぶっていると、次第にぐったりして「揺さぶられっこ症候群」が生じる危険があるので、激しい動きはさせないようにしましょう。
抱っこしながら勢いよく振り回したり、高い高いと上下に何度も動かしたりするあやしかたは避けるべきです。また、赤ちゃんの首が座っていない時期は、頭に大きな衝撃が加わりやすいので、しっかりと首をサポートして抱っこするようにしてください。
向き癖、抱き癖による頭部のへこみ
まだ首が据わっていない時期は、赤ちゃんは自分の頭を動かせません。お母さんが布団に寝かせたままの状態でいますから、その時にいつも顔を同じ方向へ向けていれば、下になった方の頭蓋骨が圧迫されてへこんでしまいます。そうなると他の骨もゆがみ、それが後頭部片方が膨らみ片方がへこむという状態につながります。
これを斜頭症といい、程度の差はあれど赤ちゃんの半分にこの症状が当てはまるという非常に多い症状です。また赤ちゃんの寝ている状態だけでなく、母乳を飲む時も頭部がへこむ要素があります。
それはいつも同じ方向から母乳を飲ませる事です。授乳の回数は多いため比較的早く発症する事があり、酷い場合は首が回らなくなって反対側の母乳が飲めないケースもあります。
仰向け寝による後頭部のへこみ
赤ちゃんのうつぶせ寝は、乳児突然死症候群の可能性が高まるとして、今は仰向け寝が主流です。しかし、仰向け寝の弊害として後頭部がへこみ頭頂部が突出する短頭症、つまり絶壁頭となる可能性が高いです。
また、月齢の低い赤ちゃんのうちから、ベビー布団だけでなくベビーラックやベビーチェアなどに座らせるお母さんも増えていますが、首や背骨がしっかりしていない時期に座る体勢にさせるとバランスをとるために頭に圧力がかかり、これもまた後頭部のへこみにつながります。
ドーナツ枕を使うか、お母さんが見ているそばで一定時間うつぶせ寝で寝かせるなど、後頭部への圧力を抑えるように工夫してみましょう。
横向き寝による側頭部のへこみ
赤ちゃんは仰向け寝が多いですが、横向きに赤ちゃんを寝かせている場合は側頭部が平らになり後頭部に向かって伸びてしまう事があります。これを長頭症といいますが、NICUに入院している赤ちゃんに多いです。
低体重児の横向き寝はミルクの消化を助けるための姿勢で、こういった赤ちゃんにとっては仰向け寝よりも横向き寝の方が理にかなっています。
お母さんは心配が重なってしまうかもしれませんが、1歳ごろまでには多くの赤ちゃんが丸い頭になっていますので、あまり心配しないようにしましょう。どうしても気になる場合は、小児外科などで相談してみてください。
へこみが解消、結合する時期
赤ちゃんの頭のへこみは、成長するにつれて徐々に閉じてきます。頭の後面エリアにある小泉門は、生後1ヶ月ほどでへこみが確認できなくなってくるでしょう。
頭の前面エリアにある大泉門は、生後1歳半~2歳くらいに閉じてくることが多いようです。赤ちゃんにより個人差はありますし、早産で産まれてきた赤ちゃんは閉じる時期も遅くなる傾向があるので、医師に定期的に診てもらうようにしましょう。
頭のへこみが消失する時期ですが、早すぎても遅すぎても気になるところです。普通より早く頭が閉じてへこみが無くなる場合、小頭症や狭頭症の可能性があります。
また、なかなかへこみが消失せず、頭が閉じる期間が遅くなる場合は、くる病や甲状腺ホルモン欠乏症などの可能性があるでしょう。
いずれにしても、定期健診で医師がきちんと診察し判断してくれるものなので、特に何も言われなければ心配する必要はありません。
頭のへこみから発見できる病気
赤ちゃんの頭のへこみは、成長するにつれて消失していくことがほとんどです。ただ、頭のへこみを観察していると、ある病気を発見できることがあります。
頭の前面エリアにある大泉門は、へこんでいるのが通常ですが、稀に膨らんで腫れているような印象を受けることがあります。
大泉門の腫れと同時に嘔吐も起きているようなら、脳圧が上がり、髄膜炎が引き起こされている可能性があるでしょう。
髄膜炎のほかにも、水頭症、脳腫瘍、脳炎が引き起こされている恐れもあるので、大泉門の腫れが確認された時は、一刻も早く病院で診てもらうようにしてください。
また、いつもより大泉門のへこみが深く、激しい嘔吐や下痢を伴う場合は脱水症が引き起こされている可能性があります。この場合も、すぐに処置が必要ですので病院に急行するようにしましょう。
心配な場合は相談を
赤ちゃんの頭のへこみは、誰にでも生じているものです。しかし、他の赤ちゃんよりもへこみが大きいと感じたり、閉じる期間が遅いと不安になったりしているときは、すぐに医師に相談するようにしましょう。
赤ちゃんにより頭のへこみが消失する時期は異なりますので、神経質になる必要はありませんが、相談してきちんと診察してもらうことで安心感を得ることができます。
初めての育児は戸惑うことも多いので、少しの不安もその都度解決していけるようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんの頭のへこみについて幅広くご紹介しました。大きなへこみである大泉門は、1歳半~2歳くらいになると閉じてきます。
へこみが確認できる間は、強い衝撃や圧力をかけないように気をつけ、慎重に頭を扱うようにしましょう。少しずつ頭のへこみが減っていくことで、赤ちゃんの成長も実感することができるのではないでしょうか。今しか見られない赤ちゃんの頭のへこみを優しく撫でながら、ゆっくりと成長を見守ってあげてください。