生まれたばかりの小さくてとっても柔らかい赤ちゃん。寝ているばかりとはいえ、赤ちゃんは発汗量が多く、そのままにしておくと体も顔もべたべたに汚れてしまいます。汗や皮脂分に加えて、ミルクの飲みこぼしやよだれなど、タオルでふいてあげるだけでは落ちにくいものもたくさんあります。
赤ちゃんはまだ抵抗力が低いため、細菌などに対する抵抗力がつき、感染症のリスクが減ってくるまでは、沐浴で赤ちゃんの顔と体をきれいにしてあげなければなりません。新米お母さんにとって、沐浴は最初の試練とも言えそうです。
沐浴は赤ちゃんの顔や体を清潔に保ち、皮膚を清潔に保つために絶対必要なこと。最初は難しく感じていた沐浴も、毎日続けるうちにどんどん上手になってきます。赤ちゃんに気持ちよく過ごしてもらうために必要不可欠な沐浴。赤ちゃんの沐浴について知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。
赤ちゃんの沐浴とは?
赤ちゃんの沐浴とは浴槽ではなく、赤ちゃん用のベビーバスにお湯をはり、その中で赤ちゃんの顔と体を洗ってあげることを指します。
生まれたばかりの赤ちゃんはまだ抵抗力がなく、感染症にかかりやすいため、パパやお母さんと一緒に浴槽に入れることは出来ません。
赤ちゃんは汗をかきやすい
生後すぐの赤ちゃんは寝ているばかりで、体が汚れるようなことはないように思われます。しかし実際には新陳代謝が良く、汗をかく量も多いので、毎日きちんと体と顔を洗ってあげないと汚れや皮脂がたまってしまい、皮膚トラブルが起こります。
赤ちゃんの皮膚トラブルを挙げてみると、あせも、乳児湿疹、脂漏性皮膚炎、新生児ニキビなど、実にたくさんあります。赤ちゃんの皮膚を清潔に保ち、皮膚トラブルを予防する上でも、沐浴は重要な役割を果たしています。
赤ちゃんの沐浴はいつまで行うの?
一般的には赤ちゃんの沐浴は生後一ヶ月間程度行うことになります。ただしこれはあくまでも標準的な目安ですので、乳児1ヵ月健診の際に入浴に切り替えてもいいかどうか、医師に尋ねて確認するようにしましょう。
1ヵ月健診で入浴させても大丈夫ですよ、といわれたら、沐浴は卒業。いよいよ浴槽でお父さんやお母さんと一緒にゆっくりバスタイムを楽しむことができます。入浴しても大丈夫といわれたからといって、沐浴をやめなければいけないということではありません。
沐浴をさせたほうがいいと判断したら、無理に浴槽に入れる必要はありませんので、お父さんやお母さんの都合や赤ちゃんの体調に合わせて臨機応変に対応するようにしましょう。
赤ちゃんの沐浴に使うベビーバスについて
赤ちゃんの沐浴に使うベビーバスですが、たった1ヵ月間のためにわざわざ購入するのはちょっと、というお母さんもいるようです。
確かに1ヵ月間だけ使用するものをわざわざ用意するのは面倒なような気もしますが、赤ちゃんの状態やお父さんやお母さんの体調によっては、生後1ヵ月以降も沐浴を続けることになりますので、やはりそろえておいたほうが便利です。
購入するのではなく、レンタルでベビーバスを用意するという方法もありますので、いろいろ考え合わせて決めましょう。
ベビーバスのタイプ
市販のベビーバスには従来の床に置いて使うタイプだけでなく、シンクに取り付けられるものや折りたためるもの、エアタイプのものなど、いろいろな種類があります。購入する前にあらかじめどのタイプがもっとも便利か、下調べしておきましょう。
また赤ちゃんがずり落ちないような工夫が随所に凝らされている製品もたくさんあります。頭を乗せるヘッドサポートや、おしりストッパー、ずり落ちガードなど、新米お母さんでも使いやすいように工夫された製品を選ぶと安心です。
赤ちゃんの沐浴にかける時間
赤ちゃんの体力を消耗させないために、沐浴にかける時間は極力短くしましょう。理想的には赤ちゃんをお湯に入れている時間は3分間から5分間程度。着替えをさせるまでの時間を入れても10分以内にはすべて終了させるよう頑張ってみましょう。
沐浴の好きな赤ちゃんはベビーバスに入れると気持ち良さそうにしますが、赤ちゃんは体温調節機能もまだ未発達ですので、簡単にのぼせてしまいます。
最初は沐浴の手順に手間取ることもありますが、毎日同じことをしているうちにどんどん上手になってきます。沐浴の仕方をよく学び、手順をしっかり把握しておくようにすると、赤ちゃんをのぼせさせたり、湯冷めさせることなく、上手に沐浴をさせることが出来ます。
赤ちゃんの沐浴はどのくらいの頻度で行う?
季節に関わりなく毎日一回必ず沐浴させることが基本です。真夏の暑いときには1日2回以上沐浴させているというお母さんもいるようです。
沐浴をさせる時間帯ですが、出来れば毎日同じ時間に行うようにすると、生活のリズムが整ってきます。
赤ちゃんに沐浴をさせる時間帯
大人の場合は夜間に入浴することが普通ですが、赤ちゃんの場合、夜間に沐浴させると体を冷やしてしまうことがありますので、出来れば日中に入れてあげるようにしましょう。
お父さんに手伝ってもらって沐浴をさせているお母さんは、お父さんの帰宅を待ってから赤ちゃんに沐浴をさせているかと思いますが、この場合も深夜は避け、出来るだけ早い時間帯に行うようにしたほうがいいでしょう。
赤ちゃんに生活のリズムをつける意味でも、毎日決まった時間に沐浴をさせることが大切です。
沐浴を避ける状態やタイミング
沐浴は毎日決まった時間にさせることが基本ですが、赤ちゃんの様子やそのときの状態によってはむしろ時間を遅らせたほうがいいこともあります。
こんなときは沐浴を避けるべきというタイミングをいくつか挙げてみましたので参考にしてください。
授乳後
おなかいっぱい母乳やミルクを飲んだあとしばらくは沐浴を控えましょう。おなかがいっぱいのときにお湯の中に入れてしまうと、赤ちゃんが気持ち悪く感じてしまい、吐き戻しをすることがあります。授乳後すぐの沐浴は避けましょう。
38℃以上発熱しているとき
赤ちゃんが発熱しているときには沐浴を控え、濡らしたガーゼで体をきれいに拭いてあげるようにしましょう。赤ちゃんは平熱が高いことがあるので、日ごろから赤ちゃんの平熱を測って把握しておくことが必要です。
発熱以外にも嘔吐や下痢、けいれん、ぐったりしている、顔色が悪い、元気がないなど、普段と異なる状態のときは沐浴や入浴はNG。自己判断せず病院に連絡して指示を仰ぐようにしましょう。
空腹時
授乳後すぐ、満腹のときの沐浴と同じように、おなかが空いているときもまた、沐浴をさせるのは避けるようにしましょう。
沐浴は赤ちゃんの体力を消耗させます。授乳直前の空腹時は出来るだけ避けたほうが良いでしょう。
赤ちゃんの機嫌が悪いとき
いつもは機嫌の良い赤ちゃんが機嫌悪くぐずっているのは、体の調子が良くないしるし。赤ちゃんの機嫌が悪いときに無理やり沐浴をするのはやめましょう。
熱はないけれどもぐずっている、泣きやまない、こんなときは決して無理せず、赤ちゃんの機嫌が良くなるのを待って行うようにしましょう。
赤ちゃんの沐浴の手順
赤ちゃんの沐浴の仕方や手順を詳しくみていきましょう。お父さんやお母さんの沐浴のさせ方が下手だと、赤ちゃんは沐浴を嫌なものとして認識してしまい、沐浴のたびにぐずられてしまいます。沐浴の手順をここでしっかり知っておきましょう。
赤ちゃんの着替えをきちんと準備しておく
赤ちゃんの着替えをあらかじめ準備しておきます。おむつも忘れずに用意し、肌着やベビーウェアのボタンや紐は外しておき、着せやすいようにセットしておきます。沐浴後赤ちゃんの体をふくバスタオルも必ず一緒に用意しておきましょう。
ベビーバスにお湯をはる 沐浴の温度
ベビーバスにお湯に入れます。このときお湯の温度は38℃前後が目安になります。慣れないうちに必ず湯温度計で温度をチェックするようにしましょう。季節や周囲の気温によって多少の温度調節が必要です。
お風呂場では換気扇は回さないようにしましょう。冬場の気温が低い時期には浴槽にお湯を張り、お風呂場を温めておくなどの工夫が必要です。
赤ちゃんをベビーバスに入れる
赤ちゃんをベビーバスにゆっくり入れます。このとき沐浴布やガーゼで赤ちゃんの体をおおってあげると、赤ちゃんが安心します。赤ちゃんの首と腰を支え、赤ちゃんがずり落ちないように支えます。
赤ちゃんの洗い方
まずは顔から洗っていきますが、赤ちゃんの耳にお湯が入らないよう注意しましょう。濡らしたガーゼで目もとや眉も含めて丁寧に優しく洗います。
次に赤ちゃんの頭をシャンプーで洗っていきます。赤ちゃんの頭皮からはたくさんの皮脂が分泌されていますので、丁寧に頭皮を洗ってあげないと乳児性脂漏症になるおそれがあります。シャンプーを使わずに沐浴剤で頭を洗う際も、頭皮の汚れや皮脂をきちんと落としてあげましょう。
次に首、わき、手、おなか、足、お股と順々に洗っていきます。顎の下やわき、ふとももの付け根など、たるんでいる部分やくびれている部分はとくに注意して洗い、汚れや垢が残らないようにします。
ここまでは仰向けのまま洗いますが、背中とおしりは赤ちゃんをうつぶせにして洗ってあげます。うつぶせにするのがこわい方はそのまま仰向けの状態で背中とおしりもきれいに洗うようにします。
すすぎと上がり湯
赤ちゃんの顔、頭、体をすべて余すところなく洗ったら、あとはすすぎと上がり湯をして沐浴は終了。別に洗面器に用意しておいたお湯で赤ちゃんの体についた石鹸をきちんと落としてあげましょう。
沐浴剤を利用した場合はすすぎや上がり湯は省略して構いません。洗面器にためたお湯ではなく、シャワーを利用して洗いながすことも出来ますが、その場合もお湯の温度にくれぐれも注意しましょう。
バスタオルでふく
最後にバスタオルで赤ちゃんの体を乾かします。最初にざっとバスタオルで水分をふき取り、その後ガーゼで素肌から丁寧に水分を取ってあげてもいいでしょう。
おへそや耳、鼻など水分が残っているところがあれば、綿棒で丁寧に取るようにします。赤ちゃんの体が乾燥しないよう、保湿クリームやオイルで保護してあげます。
赤ちゃんの沐浴な必要なアイテムとは?
赤ちゃんの沐浴に必要なアイテムについてみていきましょう。ベビーバスについてはすでに述べたとおりですが、それ以外にもいろいろと必要なものがあります。
ベビーソープ、シャンプー、沐浴剤
ベビーソープや沐浴剤は赤ちゃんの沐浴のマストアイテムです。ベビーソープには固形、液状、泡タイプのものといろいろな種類がありますので、好みにしたがって用意しておきましょう。ソープもシャンプーも赤ちゃん専用のものを選ぶようにします。
沐浴剤について
沐浴剤はすすぎや上がり湯が不要なので、お父さんやお母さんが沐浴をさせるのにまだ不慣れなうちは沐浴剤を利用すると便利です。沐浴剤には洗浄成分だけでなく、保湿成分も含まれていますので洗い上がりがしっとり。
すすぎや上がり湯が不要なこともメリットのひとつ。石鹸のように赤ちゃんの体をこすって洗う必要がないので、沐浴時間を短縮できますので、沐浴に慣れていないお父さんやお母さんにお勧めです。
デメリットはソープに比べると洗浄力がやや弱いこと。沐浴剤はお湯に入れるだけで簡単に汚れを落としてくれますが、洗浄力はソープに比べると弱いのがデメリット。うんちの汚れがひどいときや、しっかり洗いたいときには沐浴剤だけではちょっと不十分かも知れません。沐浴剤の特徴を活かすには、石鹸と沐浴剤の違いや特徴をきちんと理解しておくことが大切です。沐浴剤とソープを上手に使い分けましょう。
ガーゼ
赤ちゃんの体はとってもデリケートなので、大人用のボディタオルは使えません。赤ちゃん用のガーゼは薄く特別に柔らかく出来ていますので、赤ちゃんの体を洗う際にはガーゼか、沐浴用のスポンジを使用しましょう。大きめのガーゼを用意しておくと、沐浴布として赤ちゃんの体をくるんでバスに入れるのにも使えます。
水温計 湯温度計
慣れるまでは必ず湯温度計を使い、ベビーバスに入れるお湯の温度を調節しましょう。赤ちゃんの沐浴用にお湯はぬるめにすることがポイント。熱すぎるお湯に入れてしまうと赤ちゃんがのぼせてしまいます。気温が低くなる秋冬の場合は、差し湯用のお湯も一緒に用意しておくと便利です。
洗面器や別のバス
沐浴剤を使用する場合にはすすぎや上がり湯は必要ありませんが、ソープやシャンプーを利用する際には、最後に石鹸やシャンプーの成分を赤ちゃんの体から落としてあげなくてはいけません。すすぎや上がり湯用に別に洗面器にお湯を入れておきます。
バスタオル・綿棒・ブラシ・スキンケア
沐浴が終わったら一刻も早く赤ちゃんの体を乾かしてあげなければ、風邪を引かせてしまいます。肌触りのよいバスタオルで赤ちゃんを包み、水分をふき取るようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんの沐浴について知っておきたいさまざまな情報をご紹介しました。生まれたばかりの赤ちゃんを沐浴させるのは、新米お母さんにとっては緊張の連続。
赤ちゃんの目や鼻に水や石鹸が入ってしまいそう、赤ちゃんがのぼせてしまうのでは、ベビーバスの中にずり落ちそう、寒い中沐浴させると湯冷めしそう、と赤ちゃんの沐浴に関しては不安なことがいっぱいありますが、沐浴の仕方のコツさえ掴めばそれほど難しいものではありません。赤ちゃんが気持ちよく過ごせるよう、沐浴の仕方のポイントをしっかり覚えておきましょう。