頻回授乳について知っておきたいこと とは? いつまで時間は 間隔は 量は

生まれたばかりの赤ちゃんには頻回授乳(ひんかいじゅにゅう)を行うことが基本。母乳育児が推奨される中、生後すぐの赤ちゃんには、赤ちゃんが欲しがるだけ母乳を与えることが大切です。

頻回授乳は母乳の出を良くし、安定した量の母乳の分泌につながります。出産前を直前に備えた方にも、頻回授乳についてぜひ知っておきたいポイントをまとめみました。

頻回授乳の間隔は?いつまで続ける?など、頻回授乳のポイントなど幅広くご紹介していきます。

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頻回授乳とは?

頻回授乳とは?

頻回授乳とは、生まれたばかりの新生児が欲しがるだけ母乳を与える授乳法を指します。一般的には、新生児に対する授乳は、3時間おきに一日8回といわれていますが、これはあくまでも分かりやすく説明するための目安。

生後すぐから完全母乳での授乳を行う場合、1日10回から15回授乳するということも決して珍しくありません。

母乳の出方には個人差があり、出産後すぐに母乳が十分に出る方もいれば、生後1ヵ月間はミルクと母乳混合の方も多いようですが、母乳の出方を安定させるためにも頻回授乳は非常に重要です。頻回授乳を行うことにより、母乳の産生および射乳反射を促すホルモンが分泌されます。

母乳の仕組み頻回授乳が必要な理由とは?

母乳を作り出し、そして乳管に押し出す射乳には二つのホルモンの分泌が関わっています。母乳を産生するのに必要なホルモンはプロラクチン、射乳に必要なホルモンはオキシトシンと呼ばれています。

母乳を作り出す仕組みは妊娠中から始まっていますが、分娩後の授乳のやり方次第によっては、この二つのホルモンの分泌が極端に減少し、その結果母乳の出が悪く、完全母乳での育児を諦めざるを得なくなってしまいます。

頻回授乳とプロラクチンおよびオキシトシンの関係について詳しく見ていきましょう。

プロラクチンの分泌と頻回授乳

プロラクチンの分泌と頻回授乳

プロラクチンのはたらきは乳腺房に作用して母乳を作り出すこと。プロラクチンの分泌の値は分娩後2時間の間高い数値を保ち、その後次第に減少していきます。

プロラクチンの値は分娩後時間の経過とともにどんどん減少していきますが、赤ちゃんに乳頭を吸引してもらうことにより再び活性化され、血中プロラクチン濃度があがります。

プロラクチンの値の変化

母乳をあげない場合、出産後1週間のプロラクチンの値は出産直後の約半分まで減少します。また出産後2週間後にはその値は妊娠していない状態と同程度に減ってしまいます。

赤ちゃんに母乳を飲んでもらうことにより、乳頭への刺激が起こり、プロラクチンの血中濃度を一時的に上昇させます。

授乳の回数とプロラクチンの関係

24時間以内に8回以上授乳した場合、次に授乳するまでの間、プロラクチンの血中濃度の低下を防ぐことができます。24時間に8回ということは、単純に計算すると3時間に一回の授乳ペースということになります。

夜間の授乳の重要性

昼間よりも夜間のほうがプロラクチンの値が高くなりますので、夜間の授乳が非常に重要です。

オキシトシンの分泌と頻回授乳

オキシトシンの分泌と頻回授乳

プロラクチンと並び、母乳の出方に重要なかかわりをもつのがオキシトシン。プロラクチンが母乳の産生を行うのに対し、オキシトシンにはプロラクチンによって作り出された母乳の射乳を促します。射乳とは赤ちゃんがママの乳頭を吸啜をしたときに、母乳が出てくることを指します。

乳腺房の筋上皮細胞にはたらきかけ、これにより母乳が勢いよく放出される、これがオキシトシンの作用になります。

赤ちゃんの哺乳によって血中濃度が上がる

オキシトシンの血中濃度は、赤ちゃんがおっぱいを飲みはじめて一分間以内に上昇し、授乳終了後に基準値に戻ります。

また乳頭への刺激だけでなく、赤ちゃんとの触れ合いや赤ちゃんのことを考えるだけでも、オキシトシンの分泌が促されます。参照1

頻回授乳の回数や間隔について

頻回授乳の回数や間隔について

母乳の出を安定させるためにもっとも重要なことは、出産後出来るだけ早期に授乳を開始し、そして頻回授乳を続けること。

母乳を産み出すはたらきのあるプロラクチンは、分娩後時間が経つにつれて濃度が下がってきますので、これを防ぐには出来るだけ頻繁に授乳を繰り返すことが必要です。

出来るだけ頻繁に授乳すべきと言われても、一体どのくらいの頻度で、どのくらいの間隔を置きつつ、1日何回授乳すべきか、この点について迷ってしまう方も多いようです。頻回授乳の間隔、回数、頻度について詳しく見てみましょう。

新生児の母乳授乳の頻度と回数

新生児の母乳授乳の頻度と回数

プロラクチンの項目のところで述べたように、24時間の間に8回の授乳を行うと、プロラクチンの濃度は低下しません。逆に言うと3時間以上の時間をあけて授乳すると、プロラクチンの値は下がるという事。

3時間以上時間をあけての授乳は勧められません。では3時間置きの授乳で十分かというと、これはミルクの場合に適当な間隔といわれています。

母乳はミルクに比べると消化が良く、新生児の場合、3時間置きの授乳では間に合いません。生後2ヶ月目までの赤ちゃんへの母乳授乳は、まさに頻回という言葉どおり、1、2時間置きの頻度になることがほとんどです。

生後3、4ヶ月目までの赤ちゃんに対する授乳も、赤ちゃんの体重増加が標準範囲内に留まっていれば、間隔や回数を気にすること無く授乳するほうが、それ以降の安定した母乳の出につながります。

生後2、3ヶ月頻回授乳の頻度

生後2、3ヶ月頻回授乳の頻度

生後2、3ヶ月の赤ちゃんに対しては、赤ちゃんが欲しがるだけ母乳をあげて構わないというのが、完全母乳の基本。

とくに生後2ヶ月目までの赤ちゃんは一度に飲める母乳の量も少ないため、場合によっては30分置き、1時間置きの授乳になることもあります。

ミルクと母乳混合育児の場合

ミルクと母乳混合育児の場合

分娩後すぐには母乳の出が十分でなかったため、ミルクと母乳混合で育児をされている場合、どのような配分と頻度で授乳すればいいのでしょうか?

先述のようにミルクは母乳に比べると消化に時間がかかりますので、ミルクの量が多過ぎると、授乳の間隔があき過ぎてしまいます。3時間以上間隔があくと、母乳の分泌量が減ってしまうおそれがあります。いずれはミルク・母乳混合から完全母乳に切り替えたい方は、とくに注意が必要です。

まず母乳をあげる

まず母乳をあげる

混合の場合でもまずは母乳をあげるようにして、不足する部分をミルクで補うようにすると、ミルクのあげ過ぎを防ぐことができます。

加えるミルクの量も最初は控えめにし、赤ちゃんの様子や体重増加のペースを見ながら調整するようにしましょう。

頻回授乳で適切な量を飲んでもらうには

頻回授乳で適切な量を飲んでもらうには

母乳の場合、一回の授乳の量を正確に把握することが難しいため、授乳後に赤ちゃんが頻繁に泣くと、もしかして母乳が足りていないのでは?と不安に思うママも多いようです。その反対に授乳後に赤ちゃんが吐いたり、むせたり、下痢のような症状があると、もしかして飲み過ぎなのでは?という疑問も生じます。

ミルクであればどのくらいの量を飲んでくれたか、赤ちゃんに飲んでもらう前にはっきりと把握できますが、母乳の場合何グラム飲んでくれたかは、授乳前・授乳後の赤ちゃんの体重を計測することによって把握できます。

赤ちゃんの体重変化が気になる方は、乳幼児用の体重計を用意しておくと便利です。グラム単位まで精密に計測できますので、1日単位の体重増加もきちんと把握できます。

新生児の体重増加の適正値とは?

新生児の体重増加の適正値とは?

飲んでいる母乳やミルクの量が適正かどうかは、体重増加から判断します。期待される1日の体重増加量は1日30グラム程度といわれていますが、これはあくまでも理想的な数値で、母乳のみの場合はこれよりも少ないことがあります。

ちなみにWHO/UNICEFによると、母乳のみによる生後半年までの新生児の体重増加目安は、1週間に100gから200g。新生児の体重増加はかなり幅がありますので、気になることがあれば、乳幼児定期健診の際に小児科医にアドバイスを求めるようにしましょう。

体重が増加しない場合

体重が増加しない場合

頻回授乳をしているにも関わらず、赤ちゃんの体重増加が進まない場合、なんらかの理由により母乳の分泌が不足していることも考えられます。

排便や排尿の回数などにも注意し、母乳だけでは栄養が不足するようであれば、不足分をミルクで補うことも考えてみましょう。

ただしミルクよりの混合になり、母乳を飲ませる回数が減ると、さらに母乳の分泌が減ってしまいます。ミルクを与える回数や量を加減しながら、母乳をあげる回数は減らさないように注意しましょう。参照2

新生児の生理的体重減少

新生児の生理的体重減少

新生児には生理的体重減少という症状があります。これは生後2週間頃までに見られる症状で、赤ちゃんの排便、排尿、そしてママがまだ授乳に慣れていないことから起こるもので、生後2週間もすると減少はなくなり、体重は増加し始めますのであまり心配する必要はありません。

新生児の生理的体重減少の割合はごくわずかですが、体重の10%以上の減少が見られる場合や生後2週間を経過しても減少分が戻らない場合、下痢や便秘の症状が気になる場合、他に体に異常な点がみられる場合には、小児科で診察してもらうようにしましょう。

体重が増え過ぎた場合

体重が増え過ぎた場合

体重が減少するのではなく、増加の幅が大きい場合には飲み過ぎの可能性もあります。新生児の体重増加が気になるのは、完全母乳ではなく、ミルクとの混合育児の場合が多いようです。

母乳が不足しているのでは?と懸念するあまり、ミルクを与える量が多過ぎている可能性がありますので、その場合にはミルクの量を加減しましょう。

赤ちゃんの体重増加の割合や標準体重ですが、これらはあくまでも目安で、遺伝的な要素によっても赤ちゃんの成長の度合いは変わってきます。気になることがあれば自己判断せずに、乳幼児定期健診の問診の際に疑問な点や不安なことを解消するようにしましょう。

頻回授乳はいつまで続ける?

頻回授乳はいつまで続ける?

生後2ヶ月目くらいまでは、1日の授乳回数が10回から15回、中には20回以上授乳することもありますが、赤ちゃんの成長に伴い、一回に飲める量が増えると、生後3ヶ月目からは授乳回数も徐々に減っていきます。

生後3ヶ月以降も完全母乳を続けたい方は、いきなり授乳のペースを落とすのではなく、赤ちゃんのペースに合わせて緩やかに授乳の回数や間隔を調整していくようにしましょう。

生後3ヶ月目までの頻回授乳はママにとっては試練ですが、赤ちゃんの成長とともに、授乳の回数は自然に減っていきます。頻回授乳に関してはいつまで、という決まりはありません。

授乳中に赤ちゃんが遊び飲みをするようになったら、頻回授乳も一段落。赤ちゃんのペースとママの都合によって、少しずつ間隔をあけていくようにしましょう。

頻回授乳のポイント

頻回授乳のポイント

頻回授乳は安定した母乳の出にとって必要不可欠ですが、ママにとっては非常に負担の大きく、頻回授乳中の睡眠不足や疲労に悩まされる方も少なくありません。

新生児への頻回授乳はどんなやり方でも辛いものですが、行うからには出来るだけ効率よく赤ちゃんへの授乳を行いたいものです。頻回授乳の際に参考にしてもらいたいポイントを挙げてみましょう。

正しい母乳の仕方を覚える

正しい母乳の仕方を覚える

母乳の正しいあげ方をきちんと学んでおきましょう。出来るだけ短い間に効率よく母乳を飲んでもらうには、押さえておきたいポイントがあります。

赤ちゃんに口を大きくあけてもらい、深く乳頭を咥えてもらいます。このとき赤ちゃんの顎が乳房に触れるようなポジションを取らせます。

授乳のタイミングを考える

授乳のタイミングを考える

生後3ヶ月目頃まではまだ授乳のタイミングがうまくつかめないことが多いようです。

赤ちゃんが泣いたらあげる、という授乳パターンは間違えではありませんが、赤ちゃんが大泣きしてからはじめて授乳を始めると、赤ちゃんが母乳をきっちり飲み始めるまでに時間がかかってしまい、結果として授乳の時間が無駄に延びてしまいます。授乳のタイミングを見計らうようにすると、赤ちゃんに効率よく母乳を飲んでもらえます。

まとめ

頻回授乳について知っておきたいポイントをまとめてみました。新生児への母乳のあげ方の基本は頻回授乳。出産直後からの頻回授乳は、安定した母乳の出方に絶対に欠かせません。

頻回授乳は出産直後からはじめることが大切。完全母乳にするか、ミルクとの混合にするかは、最初の数ヶ月間の母乳の出方にもよります。頻回授乳のやり方やコツについてしっかり覚えておくようにしましょう。

参考※ 公益社団法人 日本助産師会 母乳育児支援
参考※ 国立保健医療科学院 乳幼児身体発育評価マニュアル

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