赤ちゃんの寄り目、斜視について知っておきたいこと

赤ちゃんの寄り目、斜視にについて知っておきたいこと 赤ちゃん 仕草

赤ちゃんが寄り目になっているような気がして不安。こんな悩みを持つママも多いようですが、赤ちゃんの寄り目の多くは一過性のもので、成長とともに正常な状態に戻っていきます。

赤ちゃんによく見られる一過性の寄り目は偽斜視(仮性斜視)と呼ばれています。赤ちゃんは黒目の部分がぱっちりと大きいため、寄り目に見えるだけですので心配はいりません。ただし偽斜視ではなく、乳児内斜視と呼ばれる症状もありますので、どちらか判断できない場合には、念のため病院で診察を受けたほうが安心です。

赤ちゃんの寄り目、斜視の原因や治療法、対処法など知っておきたいさまざまな情報を幅広くご紹介します。

目次

赤ちゃんの寄り目の原因とは?

赤ちゃんの寄り目の原因とは?

生後すぐの赤ちゃんは、いまだに眼球の機能が完全に整っていません。目の筋肉や視力が未発達であるために、眼球をうまく動かすことが出来ず、あたかも寄り目であるように見えます。しかしこれは赤ちゃんの成長とともに次第になおっていきますので、不安に思う必要はありません。

赤ちゃんの一時的な斜視は偽斜視(仮性斜視)と呼ばれるもので、実際には斜視とは異なります。偽斜視(仮性斜視)と斜視との違いは何でしょうか?

斜視とは?

斜視とは?

斜視とは一方の目は正面を向いているにも関わらず、もう一方の目が別の方向を向いている状態を指します。正面を向いていないほうの目の状態と、斜視の状態が継続しているかどうかによって分けられます。

斜視の種類

まず斜視の状態が継続している場合ですが、これは恒常性斜視と呼ばれています。これに対して常時ではなく、時折斜視になる状態を間けつ性斜視と呼びます。

また斜視は正面を向いていないほうの目の方向によって、四つの種類に分けられます。目が内側に向いている状態を内斜視、外側を向いている状態は外斜視と呼ばれています。さらに上を向いている場合には上斜視、下側に向いている場合には下斜視と呼ばれます。

斜視の原因とは?

斜視の原因とは?

斜視の原因はいくつかありますが、そのほとんどが目の筋肉のはたらき、あるいは中枢神経に問題があるためといわれています。

他にも遠視などの視力障害、片目の視力が極端に弱いこと、網膜障害などの目の病気、さらには脳の病気や体全身の障害など、さまざまな原因が考えられます。斜視の原因を特定するには、MRIなどの精密検査を行う必要があります。

先天性・後天性の斜視

先天性・後天性の斜視

斜視の原因には先天的なものと後天的なものがあります。先天的なものとして挙げられるのは、目の筋肉の異常、両眼視機能の異常など。後天的なものとしては、病気や事故を挙げることが出来ます。

脳梗塞や脳卒中や重度の糖尿病により、目の筋肉が圧迫されることや、怪我により片目の視力を失ったり、損ねたりすることにより斜視になることがあります。

斜視の原因の種類について

斜視の原因の種類について

斜視の主原因として挙げられるものを以下に列挙してみました。ただし、斜視の原因をはっきりと確定できることもあれば、原因が不明な場合や、複数の原因が考えられることもありますが、ほとんどの場合は以下のいずれかに原因があるとされています。

目の筋肉や神経機能の異常

物体に焦点をあわせようとしているにも関わらず、目の筋肉がうまく調節できない場合、神経伝達に問題があり、焦点が合わせられない場合に斜視が生じてしまいます。

両眼視機能の障害

両眼視機能とはそれぞれの目で見た別々の画像を脳が適切に処理し、一つの画像として受け止める機能を指します。この両眼視機能が正常に作用しないと、右と左の目の両方でものを見ることが出来ずに、斜視になることがあります。両眼視機能の異常は、遺伝的な性質や脳の障害などにより発生するといわれています。

片目の視力が悪い

片目の視力が極端に悪いと、焦点が合わせづらくなり、斜視になることがあります。他にも弱視や遠視があると、寄り目になりやすいといわれています。

斜視の治療法について

斜視の治療法について

斜視の治療法は何がその原因になっているかによって異なります。斜視の場合、寄り目になっているほうの視力が落ちているので、視力を上げていく治療が行われます。眼鏡を着用することにより、視力も上がり、両目の位置をまっすぐにすることが可能です。

また斜視の場合、両眼で物を見る機能が損なわれていることがあります。両目で物を見る機能が備わっていなければ、片方の目の焦点が合わずに寄り目になってしまうので、両眼視機能を獲得できるよう、治療が行われます。

赤ちゃんの寄り目の特徴について

赤ちゃんの寄り目の特徴について

赤ちゃんの寄り目について考える前に、まず赤ちゃんの目の特徴について考えてみましょう。赤ちゃんの目は大人の目と違い、黒目の部分が広く、白目の部分が目立ちません。生まれてすぐの赤ちゃんは、両目が若干離れているため、そのせいで寄り目に見えることがあります。

偽斜視(仮性斜視)の場合

偽斜視(仮性斜視)の場合

偽斜視の場合、赤ちゃんの顔のパーツが大きくなるにつれて、寄り目には見えなくなっていきますので、心配はいりせん。赤ちゃんの小鼻を指でつまんでみて、両目の白目が見える場合には、偽斜視の可能性が高いといわれています。

赤ちゃんの成長にともない鼻が高くなり、顔のパーツが大きくなるとともに、寄り目がちに見えていたのが解消されます。

乳児内斜視(先天性)の場合

乳児内斜視(先天性)の場合

乳児内斜視とは、赤ちゃんの生後6ヵ月以内に生じたものを指しています。生後1ヶ月目から発症することの多い斜視で、先天性の遠視や弱視を伴うことが多いため、治療が必要となります。

乳児内斜視はどの時期に発症したかを見極めることが大切といわれていますので、気になる場合は早めに診察を受けるようにしましょう。先天性ではなく生後6ヵ月目以降に発症した内斜視は、後天性内斜視と呼ばれています。

治療はまず弱視や遠視を改善させておき、その後必要があれば外科手術を行うことになります。乳児内斜視か偽斜視(仮性斜視)か、自分では判断できない場合には、専門医の診断を仰ぐようにしましょう。

偽斜視(仮性斜視)か乳児内斜視かの見極め

偽斜視(仮性斜視)か乳児内斜視かの見極め

偽斜視か乳児内斜視かの判断は、フラッシュを当てて赤ちゃんの顔を撮影する方法を用いて行うことが可能です。フラッシュをたいて赤ちゃんの顔を撮影し、両目の網膜に光が当たっているかどうか判断します。ただし実際に偽斜視か、あるいは乳児内斜視なのかの確定的な判断は、専門医に任せなければなりません。

偽斜視であれば心配ありませんが、内斜視の場合、これを放置しておくと視力障害が悪化してしまうことがあります。不安なことがあれば、乳児の定期健診の際にでも医師に相談するようにしましょう。

赤ちゃんに多い調整性内斜視とは?

赤ちゃんに多い調整性内斜視とは?

赤ちゃんにも多く見られる斜視のひとつが調整性内斜視。調整性内斜視とは、後天内斜視のひとつで、赤ちゃんの場合生後6ヵ月以降に生じることが特徴です。統計上もっとも発症の多い時期は、生後1歳半から3歳までの間といわれています。

調整性という名前が示すとおり、遠視があるために、焦点(ピント)をあわせる機能が過剰にはたらいてしまい、内斜視を生じさせてしまいます。

調整性内斜視の症状は?

内斜視ですので、片方の目が内側を向いています。内側を向きやすいのは、近くにある物体に焦点を合わせようとしたときで、初期の段階ではそれ以外のときは両目の位置は正常ですが、症状が進行していくと、遠くのものを見つめたときにも内斜視になってしまうことがあります。

調整性内斜視の治療法とは?

調整性内斜視の治療は、まず遠視用の眼鏡を着用し、目の位置がまっすぐになるかどうかを確認します。ほとんどの場合は、遠視を矯正する専用の眼鏡を着用することにより、目の位置がまっすぐになります。

まれに遠視矯正用の眼鏡を用いても、目の位置がまっすぐにならないことがありますが、この症状は部分調整性内斜視と呼ばれています。調整性内斜視と診断されたら、専門医の指示と治療に従い、症状の改善に努めるようにすることが必要です。

いつごろ治る?

いつごろ治る?

軽度の寄り目の場合は、赤ちゃんの視力アップに伴って自然と治っていくことがほとんどです。治療を必要とする寄り目の場合でも、メガネの着用や投薬・手術で治ります。

しかしいつ頃治るのかという点に関しては個人差があり、中には良くなったからと勝手に斜視の治療をストップしてしまい余計に悪化してしまったケースもあります。

赤ちゃん時代の寄り目が治らずそのまま大人になる方も少なくありませんし、成長途中で急に斜視が現れることがあり、統計で人口の3%あまりに斜視があると言われています。

斜視のまま大人になってしまうと頭痛や肩こり・情緒不安定などの症状が現れ、仕事や生活に悪影響が出る可能性すらあります。赤ちゃんが斜視と判断された場合は、将来のことを念頭に置いて医師の指導をきちんと受けましょう。 参考:日本眼科学会

寄り目 斜視になるその他の状況は?

赤ちゃんの寄り目と視力の関係とは?

赤ちゃんの顔立ちによって寄り目に見える偽斜視、そして乳幼児に見られる乳児内斜視について見てきましたが、赤ちゃんが寄り目に見える状況は他にもあります。

大人でもふとした拍子に寄り目になることがありますが、これは赤ちゃんでも同じ。赤ちゃんがふとした瞬間に寄り目になってしまう原因や状況についてまとめてみましょう!

赤ちゃんの視力の発達

赤ちゃんの視力の発達

赤ちゃんは生まれた時点ではまだよくものが見えません。新生児の視力は0.01から 0.02程度で、周囲の状態はぼんやりとしたグレー色に見えます。この段階では赤ちゃんは、ものの形や色を認識していません。色は白、黒、グレーの三色くらいしか識別できません。

この後、赤ちゃんの視力は次第に良くなっていき、生後6ヵ月目になった頃には視力は0.1程度にまで上がっています。視力が上がると同時に、ものの遠近感や両目でものを見る機能なども備わっていき、1歳ごろには視力はさらにあがり、0.2以上になりますが、赤ちゃんの視力が1.0になるのは3歳頃になってから、つまり赤ちゃんは3歳になるまでは、視力の発達が完全ではないということになります。

焦点を合わせようとして寄り目になる

焦点を合わせようとして寄り目になる

視力が上がってくる生後1歳くらいまでは、赤ちゃんの多くは遠視で、ものにきちんと焦点を合わせることが出来ません。

目の前にある物体に対してもピントを合わせることが難しいため、知らず知らずに寄り目になってしまうことがあります。まだよく見えない目で一生懸命にピントを合わせようとするために、寄り目になってしまい、ママを驚かせてしまいます。

眠いときや目覚めたときなど

眠いときや目覚めたときなど

赤ちゃんの偽斜視がどんなときに起こるかについては、一人一人の赤ちゃんにより状況が違いますが、眠いときや目覚めたときに寄り目になる赤ちゃんも多いようです。

また赤ちゃんが自分の手を見つめているときや、急に戸外に出たときなど、見つめている対象に集中して焦点を合わせようとするときにも寄り目になりがちです。

発熱やけいれんを起こしたとき

発熱やけいれんを起こしたとき

高熱や痙攣が起きたときにも寄り目になったり、白目になったりすることがあります。赤ちゃんの発熱を伴う痙攣は、熱性痙攣と呼ばれています。

これは決して珍しいことではなく、発熱にともない、急にけいれんを起こし、場合によっては呼吸が一瞬止まることもあります。

熱性けいれんの原因や特徴とは?

熱性けいれんの原因は、赤ちゃんの脳が急な発熱に対処できず、このために体全体がパニック状態になり、ひきつけを起こしてしまうと考えられています。熱性けいれんは生後6ヵ月から6歳までに見られることが多く、体力が増し、体の機能が整ってくるうちに次第になくなっていきます。

熱性けいれんは一度起こすと、再び起こる可能性が高くなりますので、一度でも熱性けいれんを起こした赤ちゃんはその後も注意深く見守らなければなりません。

熱性けいれんの対処法とは?

けいれんは通常は数分以内におさまってきますので、慌てずに赤ちゃんが倒れてけがをしないように、出来れば横たえるようにしましょう。強く抱きしめたりせずに、楽な姿勢にしてあげます。

ほとんどの場合数分で症状はおさまりますが、10分以上たっても症状がおさまらない場合には、すぐに病院に連絡するようにしましょう。以前にも熱性けいれんを起こしたことのある場合は、再び痙攣を起こしたときの処置などについて、かかりつけの医師に相談しておくようにしましょう!

まとめ

赤ちゃんの寄り目や斜視が気になるときに知っておきたい情報をポイントごとにご紹介しました。赤ちゃんがふとした瞬間に寄り目になっていると、お母さんは不安になってしまうもの。もしかして斜視なのでは?と心細く思う方も決して少なくありません。

ほとんどの場合、赤ちゃんの寄り目はほんものの斜視ではなく、赤ちゃんの顔の造作により、黒目が顔の内側に寄り気味に感じられる偽斜視(仮性斜視)。偽斜視は赤ちゃんの顔のパーツが大きくなってくると、自然に寄り目が解消されますので、あまり心配する必要はありません。

赤ちゃんの寄り目が気になる場合には、一人で悩まずに専門医の診察を受けるようにすると安心です。

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