赤ちゃんの指差しについて知っておきたいこと

赤ちゃんの指差しについて知っておきたいこと いつから 練習方法 など 赤ちゃん 仕草

こちらから世話するばかりだった赤ちゃんが成長して、少しずつコミュニケーションを図ろうする姿を見ると、ここまで大きくなったのかと感動してしまいます。コミュニケーションの方法は様々ですが、それがはっきりするのは指差しではないでしょうか。

指差しは赤ちゃんの大事な発達の目安で、健診項目にもあるほどです。しかし、実際に赤ちゃんの指差しがどのような意味や発達度を持つのか、詳しく知っているお母さんは少ないのではないでしょうか。

詳しく知っていれば、指差しを全くしない赤ちゃんを見て発達障害・自閉症ではないかと悩む事もなくなるでしょう。そこで、赤ちゃんの指差しについての詳細やお母さんの対処法などをご紹介していきます。

目次

赤ちゃんの指差しはいつから

赤ちゃんの指差しはいつから

赤ちゃんが指差しをし始めるのは、一般的に1歳ごろと言われています。早い赤ちゃんでは生後9ヶ月ごろから指差しを始めるようですが、個人差が大きいため1歳6ヶ月健診までに出来ることが目安となっています。

しかし、言葉の話し始めが遅い子は指差しも遅くなる傾向にあるため、成長がゆっくりな赤ちゃんはこの健診で要観察となる可能性もあります。

指差しの指が変だけど大丈夫?

指差しの指が変だけど大丈夫?

指差しは普通人差し指だけを伸ばしますが、赤ちゃんによっては全部の指を開いたパーの形になったり、中指や親指だけを伸ばす形をとることがあります。

最初は指差しの形と分かりませんから戸惑ってしまうかもしれませんが、どんな形であっても何かを指しているようであれば、立派に赤ちゃんなりの指差しなのです。

指が違うからと指差すたびに直すようだと赤ちゃんは嫌がって指差しをしてくれなくなってしまいますし、成長するにつれて変わってきますから、赤ちゃんの個性だと思って通常の指差しと同じように受け取ってください。

指差しの意味は年齢で変わる

指差しの意味は年齢で変わる

赤ちゃんが指差しして何か教えてくれようとしているのは、とても可愛いですよね。赤ちゃんの指差しには様々な意味が込められていて、成長に伴って赤ちゃんが指差しで何を伝えたいのかが変わってきます。

指差しの意味を取り違えていると赤ちゃんが怒ってしまいますから、なるべくならスムーズに答えてあげたいもの。年齢に伴う指差しの意味は遺以下の4つに大別されます。

興味の指差し

興味の指差し

9ヶ月~1歳ごろの早い時期に見られる指差しは、自分が興味を持っているものや好きなものを見かけた時に現れます。

例えば外出した時に車や犬を見かけたら指差ししたり、家の中でちょっと離れた場所にあるお気に入りのおもちゃを指差しして自分が興味を持っていることを伝えます。

要求の指差し

要求の指差し

1歳ごろになると赤ちゃんは自分の要求がはっきりしてきますので、お母さんにこうして欲しいと要求するために指差しをするようになります。

お母さんの近くにあるおもちゃを取って欲しい時や、食べたいものがある時におもちゃやおやつを指差したりするのはこの要求の指差しです。

共感の指差し

共感の指差し

1歳6ヶ月に近くなると、赤ちゃんは自分が好きなものや興味のあるものを周りの人に知ってほしいという共感の指差しをするようになります。

これまでの対象のみに目を向けていた興味や要求の指差しとは異なり、好きなものを指差した後にお母さんや周りの人の顔をじっと見るようになります。お母さんの顔を見ることで、赤ちゃんが指差したものをお母さんに確認し共感してもらいたいと思っているのです。

理解・応答の指差し

理解・応答の指差し

1歳半は意味のある単語を複数話せるのが目安です。もちろん発語が極端に少ない赤ちゃんもいますが、それでもお母さんの言うことはかなり理解しています。

言葉が出づらい赤ちゃんは、お母さんの問いかけに大して言葉が出ない代わりに指差しをして答えようとしますが、これが理解・応答の指差しです。「どっちが好き?」と聞いた時に赤ちゃんが好きなほうを指差すのは、お母さんの言うことを理解して正しく答えている証拠なのです。

指さしした時のお母さんの対応は

指さしした時のお母さんの対応は

赤ちゃんが指差しをした時は、お母さんに何かを伝えようとしています。赤ちゃんが一生懸命コミュニケーションを取ろうとしていますから、お母さんもしっかり答えるようにしていきましょう。

赤ちゃんの意思表示に対してお母さんが答えれば、それが刺激となって赤ちゃんの発達が進むでしょう。

ただ、言葉が出ない赤ちゃんの指差しはどうやって対処したらよいか分からない、というお母さんもいます。そこで赤ちゃんの指差しにはどう答えたらよいのか、いくつかご紹介します。

共感する

共感する

赤ちゃんの指差しは、お母さんに自分の意思を伝える手段です。赤ちゃんが好きなものや興味のあるものを教えてくれようとしているので、お母さんは共感の気持ちを赤ちゃんに伝えましょう。

赤ちゃんが好きなぬいぐるみを指差したら「ぬいぐるみ可愛いね」と、お母さんも赤ちゃんの好きなぬいぐるみが好きだと伝えましょう。コミュニケーションが取れると気づいた赤ちゃんは、お母さんだけでなく家族やお友達など輪を広げていくでしょう。

言葉を教え始めるベストな時期

言葉を教え始めるベストな時期

赤ちゃんが指差しを始めたら、言葉を教えはじめましょう。興味のあるものの名前が分からないから指差すので、名前を教えてあげれば興味がある分どんどん吸収していきます。

ただ、車を指差したら「車だね」と名前だけ教えるのではなく、「車がブーンと走っていくね」と文章で答えるのがコツです。

赤ちゃんは車の名前と一緒に、「走っていく」という言葉の意味も一緒にインプットするようになります。二つの言葉に関連性が出来るので、言葉が増えて文章を作れるようになると、言葉の組み立てがスムーズにできるようになります。

赤ちゃんは話せなくても会話ができる

赤ちゃんは話せなくても会話ができる

何も言葉を発しず指差しだけだと、ちゃんと理解できていないのではないかと思ってしまいますね。しかし口から言葉が出ないだけで、赤ちゃんには着々と言葉のインプットが進んでいます。

話せるようになるまでは理解できないと思い込んでしまうとお母さんからの赤ちゃんの話しかけが少なくなり、赤ちゃんはインプットする言葉が減ってしまい更に発語が遅れる状態になってしまいます。

せっかくの赤ちゃんとのコミュニケーションですから、指差しに答えて終わりではなく、どんどん会話を続けていきましょう。お母さんが会話していると分かれば、赤ちゃんもちゃんとした言葉は出なくても喃語で答えてくれるでしょう。

指差ししない原因とは

指差ししない原因とは

指差しをする目安は1歳6ヶ月となっているので、その時期に近くなっても指差しをしないようだと何か異常があるのでは?と心配になります。

多くのお母さんは指差ししないのを自閉症だからではと思いがちですが、指差しをしないだけで自閉症と決め付けることは出来ません。

自閉症は複数の要因を見て決定するものですし、診断も3歳以降なので今の段階での診断は不可能です。気になる時は、1歳6ヶ月の健診時以外でも相談してみましょう。

聴覚に異常 難聴の場合も

聴覚に異常 難聴の場合も

赤ちゃんの聴覚に異常があると、指差しが遅くなります。赤ちゃんの時の難聴というと、内耳・中耳の形成に問題がある先天性難聴が挙げられますが、現在は出生後入院中に聴覚のスクリーニングテストを行うので、後から発見されることはほとんどありません。

その他には滲出性中耳炎による伝音性難聴があります。赤ちゃんは中耳炎になりやすいのですが、滲みだした液体が中耳に溜まると耳が聞こえづらい難聴状態になります。気になる場合は医師に相談してみると良いでしょう。

手を伸ばす 受け身の場合

手を伸ばす 受け身の場合

赤ちゃんがおもちゃに向かって指を1本だけ出さずに腕を挙げて手を伸ばした場合、これは指差しといえるかどうか迷ってしまいます。

この動作は「欲しいから取って」という要求というよりは、「手を出したら誰かが取ってくれる」という受身を含んだ要求で、まだ指差しするまでには至らない段階です。もう少しが自己意思がはっきりすれば指差しするようになるので、無理強いせずに待ちましょう。

指差しとクレーン現象

指差しとクレーン現象

指差しする代わりに、お母さんの手を欲しいおもちゃがあるところまで持っていく赤ちゃんもいるでしょう。この動作はクレーン現象と呼ばれ自閉症の一症状ですが、1~2歳の赤ちゃんならば問題ないと言われています。

この動作はお母さんの腕を道具として使うことで、言葉以外の自分の気持ちや要求を伝えようとしています。

ですから話せる言葉がだんだんと増えてくる頃には自然とこの現象は無くなりますので、今クレーン現象をしているからと心配する必要はありません。心配ありませんが、気になる場合は医師に相談してみると良いでしょう。

指差ししない時の練習方法

指差ししない時の練習方法

指差しする時期は個人差があるのは分かっていても、赤ちゃんが指差しする気配がないと心配です。もしかしたらお母さんに色々伝えたいことはあっても、指差しをして伝えるという手段がまだ分からないだけなのかもしれません。

待てば自然と指差しをし始めるのかもしれませんが、お母さんがそのきっかけを作ってあげるのも良いでしょう。もちろん無理強いは逆効果ですから、赤ちゃんが楽しみながら指差しを覚えていくようなきっかけが大事です。

親が指差ししてみせる

親が指差ししてみせる

この時期の赤ちゃんは、周りの人の真似をするのが大好きです。それを利用して、まずはお母さんが指差ししているところを赤ちゃんに見せましょう。

例えば赤ちゃんに絵本を読み聞かせる時は「今日はこの絵本を読もうね」と絵本を指差したり、ぬいぐるみを持って「くまさんだよ」と指差して教えると、赤ちゃんは少しずつ指差すことを覚えていきます。

選ばせてみる

選ばせてみる

わざと指差しをしなければならない状態にしてみるのもひとつの方法です。例えば赤ちゃんのお気に入りのおもちゃとそうではないおもちゃを二つ見せて、「どっちが好き?」と聞いてみましょう。

お母さんが指差ししているのを見ている赤ちゃんは、それを真似して自分の好きなおもちゃを指差すでしょう。

もし出来ない場合でも、「○○ちゃんはこのおもちゃが好きなんだよね」とお母さんが指差せば、赤ちゃんは次第に指差すことを理解していきます。

お母さんが先回りしすぎない

お母さんが先回りしすぎない

指差しをしない赤ちゃんの原因として「指差ししなくても良い環境」が挙げられます。お母さんがいつもそばにいて、赤ちゃんが何も言わなくてもお母さんがすでに察知し、指差す前に「このおもちゃが欲しいのね」と取って渡してしまうような環境ならば赤ちゃんは指差す必要が無くなります。

お母さんがいつもそばで赤ちゃんを気にかけるのは良いことですが、あまり先回りしすぎると好きなものを教えなくてもお母さんは知っていると赤ちゃんが考えてしまいます。

そうなれば更に指差しや自己主張をしなくなってしまうでしょう。赤ちゃんが自ら動かなければならない環境の方が、赤ちゃんの自己主張を伸ばすや意思を大きく伸ばすのかもしれませんね。

健診で指差ししないことを指摘された時は

健診で指差ししないことを指摘された時は

1ヶ月・6ヶ月・1歳・1歳半とそれぞれの健診では目安の項目を基に、赤ちゃんがどれだけ成長しているかをチェックします。特に赤ちゃんの成長は個人差がとても大きいですから、1歳半の健診で指差し出来ない子がいるのも当たり前なのです。

チェックする医師や保健師もその辺は十分理解していて、指差ししなくても、周りとコミュニケーションをとろうとしているのが分かれば問題ないとするケースがほとんどです。ただ、そういった点を総合して判断したとしても、それでも指差ししないことが心配とみなされることもあるようです。

そういう時は保健師がきちんと次のアドバイスをしてくれますから、良く話し合ってください。ショックを受けて話をするどころではない時は、時間を明けて保健センターに個別に相談するという方法もあります。

焦り過ぎないこと

焦り過ぎないこと

ちょうどこの頃は成長の個人差が大きいですから、どうしても周りの赤ちゃんと自分の赤ちゃんの発達具合を比較してしまいます。特に指差しは自己主張のひとつですから、指差し出来ない赤ちゃんはどこか遅れているのではと不安になるのも無理はありません。

しかし身長・体重が順調に増えていて、言葉は出なくてもお母さんの言うことが理解できていれば、指差しをするまであと少しです。

お母さんが焦りすぎてギスギスすれば、赤ちゃんもその感情を受け取って萎縮してしまいますから、まずは深呼吸して焦り過ぎないようにしてください。

赤ちゃんの世界を知るチャンス

赤ちゃんの世界を知るチャンス

お母さんは、自分の見ている世界が赤ちゃんと同じだと思っているかもしれません。しかし、急激に発達している赤ちゃんが見ている世界では、大人が気づかない見落としがちなものがたくさん見えています。

特に育児に追われているお母さんは、気づかず通り過ぎてしまうものが多いでしょう。そんな中、赤ちゃんは指差しで自分の見えている世界をお母さんに紹介してくれるのです。

赤ちゃんが指差して初めて、色んなことに気づいたお母さんもいるに違いありません。指差しは赤ちゃんの世界を知るチャンスだと考えて、付き合ってあげましょう。

ここまでのまとめ

指差しは赤ちゃんの自己主張・コミュニケーションの一つです。お母さんに自分に好きなものを知って欲しいと指差しをするので、ぜひ真摯に答えてあげてください。

指差しは1歳6ヶ月健診で出来るのが目安ですが、まだ出来ないと焦って赤ちゃんにプレッシャーを与えるのではなく、お母さんが見本を見せたり赤ちゃんに選ばせたりして、少しずつ自己主張を高める練習をしていきましょう。赤ちゃんが指差しをすることで、お母さんが今まで知らなかった赤ちゃんの一面が見えるかもしれません。

参考:国立障害者リハビリテーションセンター1歳6ヶ月健診での気づき

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